東京都事業承継支援助成金|令和8年度第2回は8月3日~9月16日|対象要件と助成額

補助金

東京都事業承継支援助成金(正式名称「事業承継支援助成金」)は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成金です。事業承継や経営改善を進める過程で外部専門家に委託する費用の一部が助成されます。

令和8年度は年3回の募集があり、第1回は7月17日17時で受付を終了しました。第2回の申請受付期間は令和8年8月3日(月)から9月16日(水)17時までです。

助成限度額は200万円、助成率は助成対象経費の3分の2以内で、申請下限額20万円が設定されています。申請はJグランツ(電子申請)のみで、持参・郵便・電子メールでは受け付けられません。

本記事では、第2回・第3回の日程から逆算した準備、申請前面談と現地診断の要否、助成額の計算、対象経費と対象外経費の線引きを、令和8年度の募集要項公式FAQに沿って整理します。

  1. 令和8年度の受付状況|第2回は8月3日から9月16日まで
    1. 第2回の基準日は令和8年8月1日|支援を受けた時期の判定が変わる
    2. 9月16日17時の締切から逆算して着手する項目
  2. 東京都事業承継支援助成金の基本情報
    1. 申請前に確認しておく公式資料
  3. 自社が対象になるか|申請要件の確認
    1. 中小企業者の規模要件と小規模企業者の判定
    2. 都内で引き続き2年以上、実質的に事業を行っていること
    3. A・B・C・Dの4タイプと申請要件
    4. 申請対象外になる主な条件
  4. 申請前面談と現地診断のどちらが必要かを判定する
  5. 助成額はいくらになるか|申請下限額20万円と計算例
    1. 助成率3分の2の計算例
    2. 助成率が10分の10になる条件
  6. 対象経費と対象外経費の境界
    1. タイプ別の助成対象経費
    2. 助成対象にならない経費
    3. 見積書は1件30万円以上で必要|「一式」表記は認められない
  7. 交付決定前の契約・発注は対象外|助成対象期間の考え方
  8. 申請方法と必要書類|Jグランツのみで受付
    1. GビズIDプライムの取得
    2. 申請に必要な書類
    3. 代理申請を利用する場合
  9. 公表されている審査の視点と採択後の実務
    1. 募集要項に記載された審査の視点
    2. 実績報告は事業完了後15日以内
    3. 関係書類は5年間保存|変更には事前承認が必要
    4. 交付決定が取り消され返還を求められるケース
  10. 東京都事業承継支援助成金のまとめ

令和8年度の受付状況|第2回は8月3日から9月16日まで

令和8年度の事業承継支援助成金は、第1回から第3回までの3回に分けて募集されます。回ごとに申請受付期間・現地診断の実施期間・交付決定日・助成対象期間がすべて異なるため、どの回に申請するかを先に決めることが準備の出発点になります。

項目第1回第2回第3回
申請受付期間令和8年6月1日~7月17日17時(受付終了)令和8年8月3日~9月16日17時令和8年10月13日~12月15日17時
申請前面談・現地診断の実施期間令和8年6月1日~7月10日令和8年8月3日~9月9日令和8年10月13日~12月8日
基準日令和8年6月1日令和8年8月1日令和8年10月1日
交付決定日(予定)令和8年10月1日令和8年12月1日令和9年3月1日
助成対象期間令和8年10月1日~令和9年5月31日令和8年12月1日~令和9年7月31日令和9年3月1日~令和9年10月31日
実績報告事業完了後15日以内事業完了後15日以内事業完了後15日以内
出典:令和8年度事業承継支援助成金 募集要項(6ページ「4 助成事業のスケジュール」)東京都報道発表(令和8年6月1日)

第2回の基準日は令和8年8月1日|支援を受けた時期の判定が変わる

申請要件は「基準日時点」で判定されます。基準日は第1回が令和8年6月1日、第2回が令和8年8月1日、第3回が令和8年10月1日です。

AタイプとBタイプで求められる「公社等の支援を受けていること」の期間も、基準日の前年同日から申請日の前日までと定められています。第2回に申請する場合は、令和7年8月1日から申請日の前日までに支援を受けている必要があり、第1回の「令和7年6月1日から」とは判定の起点が異なります。

また、「引き続き2年以上、都内で実質的に事業を行っている」という要件も基準日を起点に判定され、基準日までの2年以内に休眠・休業がないことが必要です。

9月16日17時の締切から逆算して着手する項目

第2回の締切は令和8年9月16日17時ですが、締切当日までには準備できない項目がいくつかあります。

  • GビズIDプライムの取得…Jグランツの利用に必須で、国の審査に期間を要します。申請時に発行が完了していない場合は申請を受け付けられません(募集要項 STEP1)。
  • 申請前面談・現地診断…第2回の実施期間は令和8年8月3日から9月9日までで、締切より1週間早く終わります。日程は先着順で調整されます(公式FAQ Q18)。
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)…発行後3か月以内のものが必要です。
  • 納税証明書…法人は都税事務所発行の法人事業税及び法人都民税の納税証明書、個人事業者は個人事業税の納税証明書と住民税納税証明書などが必要です。
  • 委託先の見積書…1件30万円(税込)以上の場合に必要で、「一式」表記では受け付けられません(公式FAQ Q17)。委託先に業務内容と工数の内訳を出してもらう時間を見込む必要があります。

第2回に間に合わない場合は、第3回(令和8年10月13日~12月15日)が用意されています。ただし第3回の基準日は令和8年10月1日、交付決定日は令和9年3月1日となり、支援を受けた時期の判定も助成対象期間もずれる点に注意してください。

東京都事業承継支援助成金の基本情報

制度名令和8年度 事業承継支援助成金
実施機関公益財団法人東京都中小企業振興公社 総合支援部総合支援課 事業承継・再生支援事業事務局
対象地域東京都
対象者都内中小企業者(会社・個人事業者)、または公社の「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」を利用する創業予定者(Dタイプのみ)
助成対象経費事業承継、経営改善に係る外部専門家等への委託費
助成限度額200万円
申請下限額20万円
助成率助成対象経費の3分の2以内(小規模企業者がA・B・Dタイプで「企業価値や事業価値等の算定」に取り組む経費は10分の10以内)
申請受付期間(第2回)令和8年8月3日~9月16日17時
交付決定日(第2回・予定)令和8年12月1日
助成対象期間(第2回)令和8年12月1日~令和9年7月31日(8か月)
申請方法電子申請システム「Jグランツ」のみ(GビズIDプライムが必要)
問い合わせ先電話03-3251-7885/E-Mail shoukei@tokyo-kosha.or.jp
出典:東京都中小企業振興公社「令和8年度 事業承継支援助成金」および令和8年度募集要項

申請前に確認しておく公式資料

  • 募集要項(PDF)…申請要件、対象経費、対象外経費、必要書類、審査の視点まで記載されています。
  • 申請前チェック表(PDF)…申請前面談と現地診断のどちらが必要かを判定できます。
  • 公式FAQ…医療業の扱い、申請前に支払った経費、見積書の書き方など、判断に迷う論点が示されています。
  • 公社の助成金ページ…申請前確認書・交付申請書、事業承継計画書、支援内容証明書などの様式をダウンロードできます。

自社が対象になるか|申請要件の確認

本助成金は「都内の中小企業であること」だけでは要件を満たしません。規模要件、都内での事業実態、タイプ別の要件をすべて満たす必要があります。

中小企業者の規模要件と小規模企業者の判定

中小企業者に該当するかは、業種ごとに資本金または常時使用する従業員数で判定されます。「従業員300人以下」とまとめられることがありますが、卸売業・サービス業・小売業では基準が異なります。

業種資本金及び常時使用する従業員
製造業(ソフトウェア業・情報処理サービス業を含む)、その他業種3億円以下 又は 300人以下
ゴム製品製造業(一部除く)3億円以下 又は 900人以下
卸売業1億円以下 又は 100人以下
サービス業(旅館業を除く)5千万円以下 又は 100人以下
旅館業5千万円以下 又は 200人以下
小売業5千万円以下 又は 50人以下
出典:令和8年度募集要項8ページ「6 申請要件(1)」

あわせて、大企業が実質的に経営に参画していないことも要件です。大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の2分の1以上を保有している場合、複数の大企業で3分の2以上を保有している場合、役員総数の2分の1以上を大企業の役員・職員が兼務している場合などが該当します。

助成率10分の10の対象となる「小規模企業者」は、基準日時点で製造業・その他は常時使用する従業員20人以下、商業(卸売業・小売業)・サービス業は5人以下です。

都内で引き続き2年以上、実質的に事業を行っていること

法人の場合は、都内に登記簿上の本店または支店があり、申請時に履歴事項全部証明書を提出できることが条件です。個人事業者の場合は、税務署へ提出済みの個人事業の開業・廃業等届出書の写しで、納税地・主たる事業所等が都内にあることを確認できる必要があります。

いずれも「引き続き2年以上、都内で実質的に事業を行っている」ことが求められます。募集要項では、この判定を申請書、納税状況、ホームページ、看板や表札、電話等連絡時の状況、事業実態や従業員の雇用状況等から総合的に行うとしています。登記だけを都内に置いている状態では要件を満たしません。

創業後2年未満の法人・個人事業者と創業予定者は、Dタイプに限り、公社の「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」を利用していることを条件に申請できます。

A・B・C・Dの4タイプと申請要件

1回の申請で選べる事業区分は1つだけです。複数の区分を組み合わせることはできません。

タイプ対象となる取組主な申請要件
Aタイプ(後継者未定)第三者への事業承継(M&A等)に向けた取組。譲渡側のみが対象基準日の前年同日から申請日前日までに公社等の指定支援を受けていること/今後10年以内に事業承継を予定し、基準日時点で代表権が引き継がれていないこと
Bタイプ(親族内又は従業員承継)後継者への事業承継(譲渡)に向けた取組。事業承継計画書の作成が必要Aタイプと同じ支援要件・承継未了要件
Cタイプ(企業継続支援)令和7年度の「企業継続支援」を受けて実施する経営改善等の取組令和7年4月1日から令和8年3月31日までに公社の企業継続支援を受けていること
Dタイプ(譲受支援)事業又は株式の譲受のための取組各回の実施期間内に公社の現地診断を受けられること/基準日時点で承継が未了であること/助成対象期間内に基本合意書または最終契約書が締結される予定であること
出典:令和8年度募集要項4ページ「3 助成対象事業・経費」、8~13ページ「6 申請要件」

AタイプでファイナンシャルアドバイザーやM&A仲介業者との契約締結費用を申請する場合は、公社の「短期支援」を受けていることが条件になります。短期支援は個別相談の後に公社担当者が月1回程度訪問し、6か月程度かけて実施される支援です。委託先はM&A支援機関登録制度の登録機関に限られ、この経費での申請は一企業当たり1回に限られます。

申請対象外になる主な条件

  • 医療法人…中小企業基本法上の中小企業に該当しないため申請できません。個人開業医は医療業として申請可能です(公式FAQ Q7)。
  • すでに承継が完了している場合…先代が代表を退任済みで、後継者が単独で代表を務める体制になっている場合は対象外です。
  • 吸収合併など組織再編を伴う承継…Bタイプは同一法人における代表退任と同時の代表就任による交代を対象としており、組織再編を伴う場合や法人から個人事業主への事業譲渡は対象になりません(公式FAQ Q8)。
  • セミナー・交流会・承継塾・イノベーションスクールのみの参加…これらの参加は「支援を受けた」に当たらず、申請要件を満たしません(公式FAQ Q3)。
  • 税金等を滞納している場合…都税事務所との協議のもとで分割納付している期間中も申請できません。
  • 同一年度にすでに採択されている場合…同一年度内に複数回申請することはできず、異なるタイプでの申請もできません(公式FAQ Q1)。
  • 風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、連鎖販売取引、送り付け商法、催眠商法、霊感商法などの業態。
  • 同一テーマ・内容・経費で他の助成を受けている場合…公社、国、都道府県、区市町村等から助成を受けている(過去に受けたことを含む)場合や、公社の他の助成事業に併願申請している場合は対象外です。

申請前面談と現地診断のどちらが必要かを判定する

本助成金は、申請書を用意するだけでは申請できません。どの支援を受けてきたかによって、申請前に受けるべき面談の種類が変わります。

これまでに受けた支援申請前に必要な手続き追加提出書類
公社の個別相談(アドバイザー面談)、短期支援、TOKYO版創業・承継マッチング支援事業、企業継続支援不要
東京商工会議所・町田商工会議所・東京都商工会連合会の「地域持続化支援事業」、東京都信用金庫協会/信用組合協会の事業、東京信用保証協会の「専門家派遣事業」、東京都中小企業団体中央会の事業現地診断(実施期間内)支援内容証明書
上記のいずれの支援も受けていない(A・Bタイプ)申請前面談(公社個別相談)を申請日の前日までに
Dタイプで申請する現地診断(実施期間内)
出典:令和8年度募集要項7ページ「5 申請前チェック表」、15ページ「8 申請前面談・現地診断」

第2回の申請前面談・現地診断の実施期間は令和8年8月3日から9月9日までです。申請受付の締切(9月16日17時)より1週間早く終わります。

面談の日程は、公社ホームページの申込みフォームから申し込んだ後に事務局が調整します。日程は先着順で、締切間際は混み合うと公式FAQに明記されています(Q18)。現地診断は公社の巡回支援員が訪問し、事業承継の計画や実施状況をヒアリングするもので、審査の一環ではありませんが申請要件であり、期日までに実施できない場合は申請できません(公式FAQ Q19・Q20)。

助成額はいくらになるか|申請下限額20万円と計算例

助成率は助成対象経費の3分の2以内、助成限度額は200万円です。あわせて申請下限額20万円が設定されており、助成額がこれを下回る規模の取組では申請できません。

助成率3分の2の計算例

以下はいずれも実際の採択事例ではなく、公表されている助成率と限度額から計算した想定例です。

  • 想定例1…助成対象経費300万円×3分の2=200万円。助成限度額200万円のため助成額は200万円、自己負担は100万円。
  • 想定例2…助成対象経費90万円×3分の2=60万円。助成額60万円、自己負担30万円。
  • 想定例3…助成対象経費27万円×3分の2=18万円。申請下限額20万円に達しないため申請できません。

消費税は間接経費として助成対象外に位置づけられているため(募集要項14ページ「7 対象外経費(10)」)、上記の計算は税抜きの助成対象経費を前提としています。なお、審査の結果、助成金交付予定額が申請額から減額される場合があることも募集要項に明記されています。

助成率が10分の10になる条件

小規模企業者(製造業・その他は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)が、Aタイプ・Bタイプ・Dタイプで「企業価値や事業価値等の算定」に取り組む経費については、助成率が10分の10以内になります。自社株式の評価やセルフ・デューデリジェンスなどがこれに当たります。

この助成率で申請する場合は、指定様式の「小規模企業者に該当することの確認書」を添付します。Cタイプは助成対象に企業価値の評価に向けた取組を含まないため、10分の10の適用対象外です。

対象経費と対象外経費の境界

タイプ別の助成対象経費

タイプ助成対象経費
Aタイプ自社株式の評価、財務・税務・法務・労務等のセルフ・デューデリジェンスなど企業価値や事業価値の算定のための業務委託経費/後継者候補の確保に向けた人材紹介会社のサービス利用経費/FA・M&A仲介業者等との契約締結に要する経費(初期費用・中間金・成功報酬)
Bタイプ企業価値や事業価値の算定のための業務委託経費/株式譲渡、相続手続き等に要する外部専門家への業務委託経費/中核人材(幹部社員)を確保・育成するための人材紹介会社等のサービス利用や研修の業務委託経費
Cタイプ中核人材の確保・育成の業務委託経費/社内経営管理システム(生産管理・営業管理・財務会計等)の構築に向けた業務委託・システム開発委託経費/組織、人事等内部管理体制の整備のための業務委託経費/新市場開拓のための市場調査委託経費/HP・パンフレット等の作成や更新のための業務委託経費
Dタイプ財務・税務・法務・労務等のデューデリジェンスなど企業価値や事業価値の算定のための業務委託経費/契約書の作成やレビューのための業務委託経費/事業統合(PMI)計画の策定のための業務委託経費
出典:令和8年度募集要項4ページ「3 助成対象事業・経費」

中核人材の確保については、採用時に課長級以上の社員が目安と示されています。また財産取得となる場合は、所有権(ソフトウェアの場合は著作権)が申請者に帰属する経費であることが条件です。

助成対象にならない経費

  • 契約から支払(決済)までの一連の手続きが助成対象期間内に行われていない経費
  • 間接経費(消費税、振込手数料、運送料、通信費、光熱水費、収入印紙代等)
  • 通常発生している顧問料
  • 親会社、子会社、グループ企業等の関連会社(役員・社員を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社等を含む)との取引
  • 通常業務・取引と混合して支払いが行われている経費、他の取引と相殺して支払われている経費
  • 委託業務(委託費)のすべてを第三者へ再委託した経費
  • 委託した業務が、企業ホームページの情報等から主たる業務であることを確認できない業者への委託費
  • 弁護士法・税理士法・行政書士法などで有資格者のみに認められた業務を、資格を有しない業者に委託した経費
  • 見積書、契約書、仕様書、納品書、検収書、請求書、振込控、領収書等の帳票類が不備の経費
  • 購入時にポイントカード等でポイントを取得した場合のポイント分、キャッシュバック等により証憑の金額と実際の支払額が一致しない経費
  • 一般的な市場価格に対して著しく高額な経費

公式FAQでは、パッケージソフトウェアや市販ソフトウェアの導入費用は対象外だが、カスタマイズに伴う開発委託費部分は対象になるとされています(Q13)。コンサルティング費用も、助成対象事業に直接関係する業務委託経費のみが対象です(Q16)。

見積書は1件30万円以上で必要|「一式」表記は認められない

見積書は1件30万円(税込)以上の委託について提出が必要です。委託業務の明細が記載され、納品予定(成果)物が確認できることが条件で、提案書等があれば併せて提出します。

数量単位を「一式」と表記した見積書は、事業遂行のために必要な経費か判別できないため受け付けられません。具体的な業務内容・単価・工数と、業務ごとの納品予定(成果)物を記載してもらう必要があります(公式FAQ Q17、募集要項29ページの見積書例)。委託先への依頼に時間がかかるため、締切間際ではなく早い段階で依頼しておく項目です。

交付決定前の契約・発注は対象外|助成対象期間の考え方

助成事業を実施できるのは交付決定日以降です。交付決定日より前に契約・発注を行ったものは助成対象外になります(募集要項16ページ「9 申請方法(1)シ」)。

第2回で申請する場合、交付決定日は令和8年12月1日(予定)で、助成対象期間は令和8年12月1日から令和9年7月31日までの8か月間です。この期間内に、委託契約の締結、業務の履行、納品(成果)物の取得、支払(決済)までを完了させる必要があります。

公式FAQでは、申請前に支払った経費は対象にならないこと、一方で見積もりは交付決定日以前のもので構わないことが明示されています(Q15)。申請段階では委託先から見積書を取得するところまで進め、契約締結は交付決定を待つという順序になります。

また、完了検査時に納品(成果)物が確認できない場合、途中までかかった経費は支払われません(公式FAQ Q14)。8か月の期間内に成果物が確定する業務範囲で計画を組む必要があります。Bタイプで法人版事業承継税制(特例措置)に関連した経費を申請する場合は、都道府県発行の確認書や税務署申告後の受信通知等の成果物の受領と経費の支払いまでを助成対象期間内に終える必要があります。

事業の実施場所は自社の事業所・工場等で、原則として都内です。公式FAQでは、公社が成果物等を確認できることを条件に、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)であれば申請可能とされています(Q12)。

申請方法と必要書類|Jグランツのみで受付

申請は電子申請システム「Jグランツ」でのみ受け付けられます。持参、郵便、電子メール等、Jグランツ以外の方法による提出は受け付けられません。

GビズIDプライムの取得

Jグランツの利用には「GビズIDプライム」アカウントが必要です。プライム以外のアカウントでは申請できません。国の審査によりアカウント発行まで時間がかかるため、GビズID公式ウェブサイトから早めに取得手続きを進めます。申請時点でGビズIDの発行が完了していない場合、申請は受け付けられません。

申請に必要な書類

  • 申請前確認書・交付申請書(指定様式/1つのExcelファイルに2種類の様式)
  • 確定申告書の写し(直近2期分。法人は別表一~十六、決算報告書、法人事業概況説明書、科目内訳書等すべて)
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書/発行後3か月以内・原本保管)。個人事業者は開業届の写し
  • 社歴(経歴)書。会社概要やパンフレットでも可
  • 直近の事業税等の納税証明書(原本保管)
  • 見積書(1件30万円(税込)以上の場合)
  • 支援内容証明書(A・Bタイプで公社以外の支援を受けて申請する場合)
  • 事業承継計画書(Bタイプのみ)
  • 小規模企業者に該当することの確認書(助成率10分の10で申請する場合)

提出書類は募集要項17~22ページで指定されたファイル名を付ける必要があり、Jグランツにアップロードできる1ファイルあたりの容量は16MBまでです。マイナンバーが記載された書類は受領されないため、確定申告書や開業届に記載がある場合はマスキング処理が必要です。申請後は、公社が求める修正事項以外の加筆・修正はできません。

Dタイプで「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」を利用する場合は、公社創業支援課と作成した事業計画書とプランコンサルティング修了証が追加で必要になります。

代理申請を利用する場合

Jグランツ上の代理申請機能を使えば、行政書士等の第三者が申請書類を作成できます。ただし申請の確認と提出は申請者自身が行い、申請受付以降の手続きも申請者自身が行います。

助成対象経費に関与する外注(委託)先の事業者とその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者(公社職員・相談員等)は、代理申請を請け負うことができません。代理申請を行う場合は「同意書(代理申請用)」を作成し、Jグランツ申請フォームの指定箇所にアップロードします。

公表されている審査の視点と採択後の実務

募集要項に記載された審査の視点

審査は資格審査、書類審査、総合審査で行われ、募集要項23ページに次の3つの視点が示されています。

  1. 取組の妥当性…申請事業を実施することにより経営改善、事業承継等の課題の改善につながる効果があるか
  2. 取組計画の実現可能性…申請事業の計画の実施体制、資金計画、スケジュール等に問題がないか
  3. 必要性(要件適合等)…主に公的な支援等という視点から支援の必要性があるか

審査は非公開で行われ、審査に関する個別の問い合わせには回答されないと明記されています。加点項目や採択率は公表されていません。なお「交付決定」は助成対象とすることを決定したもので、交付および交付金額を確約するものではないとされています。

実績報告は事業完了後15日以内

助成事業が完了したら、15日以内に実績報告を行います。実績報告の確認書類として、見積書、契約書(注文書と注文請書のセットで代用可)、仕様書、納品書、検収書、請求書、振込控、普通預金通帳または当座勘定照合表、領収書、成果物、委託業務が完了したことを確認できる報告書等の整備・保管が必要です。原則として原本のない経費は助成対象になりません。

助成事業に係る経理事務は、他の事業と区別して収支を記録します。海外で発行された証明書や経理関係書類には日本語訳の添付が必要です。

関係書類は5年間保存|変更には事前承認が必要

助成事業に係る関係書類・帳簿類は、助成事業が完了した年度の翌年度から起算して5年間保存する義務があります。公社職員による立入り調査や報告の求めに応じる必要もあります。

事業実施場所の変更、助成事業の内容を著しく変更する場合、増額する経費区分が当初金額から20%を超えて増加する場合、新たな経費区分を計上する場合、委託・外注先の変更や追加を行う場合などは、あらかじめ公社の承認が必要です。承認を得ずに変更した場合は助成対象外になります。

交付決定が取り消され返還を求められるケース

交付決定または変更承認等の内容と異なる事実が認められたとき、偽りその他不正の手段により助成金の交付を受けたときまたは受けようとしたとき、助成金を他の用途に使用したとき、都内で実質的に事業を行っている実態がないと認められたとき、申請要件に該当しない事実が判明したときなどには、交付決定の全部または一部が取り消され、既に交付されている場合は期限を定めて返還を命じられます。

不正等の事故を起こした事業者や委託先の事業者等は、以後、公社が実施するすべての助成事業に申請できなくなります。不正の内容と関係者等が公表される場合もあります。

東京都事業承継支援助成金のまとめ

東京都事業承継支援助成金は、都内中小企業者やTOKYO版創業・承継マッチング支援事業を利用する創業予定者が、事業承継・経営改善のために外部専門家へ委託する費用について、助成率3分の2以内・助成限度額200万円(申請下限額20万円)の助成を受けられる制度です。

令和8年度は年3回の募集で、第2回の申請受付期間は令和8年8月3日から9月16日17時まで、申請前面談・現地診断の実施期間は8月3日から9月9日までです。基準日は令和8年8月1日で、支援を受けた時期の判定は令和7年8月1日以降となります。交付決定日は令和8年12月1日(予定)で、契約・発注は交付決定日以降でなければ助成対象になりません。

事業承継後の販路開拓を支援する制度としては東京都の事業承継を契機とした成長支援事業(販路開拓コース)があり、国の制度では事業承継・M&A補助金があります。ただし同一テーマ・内容・経費で他の助成を受けている場合は本助成金の対象外となるため、経費区分の切り分けを含めて公社に確認してください。

最新の日程と様式は、東京都中小企業振興公社の事業承継支援助成金ページ令和8年度募集要項(PDF)で必ず確認してください。募集要項は年度途中に改訂される場合があります。