令和8年度の「航空宇宙産業への参入支援事業(宇宙製品等開発経費助成)」は、令和8年8月14日(金)17時00分までJグランツで申請を受け付けています。
この助成事業は「機器開発助成」と「ソリューション開発助成」の2つに分かれており、申請時にどちらか一方を選択すると、申請後の変更はできません。助成限度額も申請下限額も助成対象期間も異なるため、区分の確定が事業計画づくりの出発点になります。
この記事では、公益財団法人東京都中小企業振興公社が公開している令和8年度の募集要項をもとに、区分の選び方、申請資格要件、経費区分ごとの上限、事業形態別の提出書類、令和7年度に採択された8件の内容までを整理しました。
東京都航空宇宙産業への参入支援事業(令和8年度)の基本情報
| 制度名 | 令和8年度 航空宇宙産業への参入支援事業(宇宙製品等開発経費助成) |
| 実施機関 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 企画管理部 助成課 宇宙助成事業担当 |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象者 | 都内の本店または支店で実質的な事業活動を行っている中小企業者(会社・個人事業者)等、中小企業団体、中小企業グループ(共同申請)、都内での創業を具体的に計画している個人 |
| 助成区分 | 機器開発助成/ソリューション開発助成(いずれか一方を選択。申請後の変更は不可) |
| 助成限度額 | 機器開発助成:1億円(申請下限額1,500万円)/ソリューション開発助成:2,000万円(申請下限額なし) |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成対象期間 | 機器開発助成:令和8年12月1日〜最長令和11年11月30日(3年以内)/ソリューション開発助成:令和8年12月1日〜最長令和10年8月31日(1年9か月以内) |
| 申請受付期間 | 令和8年6月25日(木)〜8月14日(金)17時00分(厳守) |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムが必要) |
| 交付決定 | 令和8年12月1日 |
| 問い合わせ先 | TEL 03-3251-7894(平日9:00〜12:00・13:00〜17:00)/uchu-josei@tokyo-kosha.or.jp |
出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「航空宇宙産業への参入支援事業(宇宙製品等開発経費助成)」、令和8年度 募集要項(PDF)
令和8年度の受付状況と申請までのスケジュール
申請受付は令和8年8月14日(金)17時00分まで
令和8年度の申請受付期間は、令和8年6月25日(木)から8月14日(金)17時00分までです。募集要項では17時が「厳守」と示され、持参・郵便・電子メールなど、Jグランツ以外の方法による提出は受け付けられません。
申請書様式はxlsxファイルで、動作環境はWindows OS・Excel2010以降と指定されています。Jグランツにアップロードできるファイルは1ファイルあたり30MBまでで、動画ファイルは受け付けられません。提出書類はスキャンやファイル形式の変換によりPDF形式でアップロードすることが推奨されています。
GビズIDプライムがないと申請そのものができない
申請はJグランツでのみ受け付けるため、GビズIDプライムアカウントが前提になります。募集要項でも「国の審査によりID発行まで時間がかかる場合がある」と注意喚起されていますが、公社は取得に要する日数を明示していません。未取得の場合は、申請書の作成と並行してGビズID公式サイトで発行申請を進めてください。
GビズIDに関する不明点は、GビズIDヘルプデスク(0570-023-797)が窓口です。
交付決定は令和8年12月1日、助成対象期間の開始も同日
審査日程は、一次審査(書類)が令和8年9月中旬まで、二次審査(面接等)が10月中旬、総合審査会が11月上旬、交付決定が令和8年12月1日です。一次審査の結果は9月下旬にJグランツで通知され、採択結果は合否にかかわらず全ての申請者に通知されます。
助成対象期間は機器開発助成・ソリューション開発助成とも令和8年12月1日からです。これより前に発注・契約した経費は助成対象になりません。申請段階から、令和8年12月1日以降に発注・契約・支払いを開始できるスケジュールで開発計画を組む必要があります。
機器開発助成とソリューション開発助成のどちらで申請するか
本事業は2つの助成で構成され、申請時にどちらか一方を選択します。募集要項には「申請後、『機器開発助成』『ソリューション開発助成』の変更を行うことはできません」と明記されています。区分によって助成限度額・申請下限額・助成対象期間・経費区分ごとの上限まで変わるため、事業計画の規模を決める前に区分を確定させる必要があります。
対象事業・限度額・期間の違い
| 項目 | 機器開発助成 | ソリューション開発助成 |
| 対象事業 | ロケット、人工衛星、探査機、地上施設およびこれらに関連した機器類の開発・改良(制御・管制に係るソフトウェア等、構成部品・部材の研究開発も含む) | 「人工衛星による通信・観測・測位」等のデータ利活用サービスの開発・改良 |
| 助成限度額 | 1億円 | 2,000万円 |
| 申請下限額 | 1,500万円 | なし |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成対象期間 | 令和8年12月1日〜最長令和11年11月30日(3年以内) | 令和8年12月1日〜最長令和10年8月31日(1年9か月以内) |
| 事業期間の区切り | 設定できる(1事業期間は1年以上) | 設定できない |
| 直接人件費の上限 | 助成対象期間中の1年につき1,000万円 | 助成対象期間全体で1,000万円 |
| 展示会等出展費+広告費の上限 | 合計1,000万円 | 合計250万円 |
申請下限額1,500万円が機器開発助成の分かれ目になる
機器開発助成には申請下限額1,500万円が設定されているため、助成対象経費が1,500万円に届かない開発計画では申請できません。ソリューション開発助成に申請下限額はありません。
募集要項に示されている開発例は、機器開発助成が「地上通信機器の開発・改良および地上局の改良技術」「小型月面探査機の開発」「衛星の管制に係るソフトウェアの開発」「衛星用スラスタの開発」です。ソリューション開発助成は「衛星データの解析サービス」「衛星データを活用した災害予測サービス」「衛星データを活用した農業、環境モニタリング」が挙げられています。
機器開発助成だけ「事業期間」で区切れる
機器開発助成では、研究開発を段階的に完了でき、各段階における達成目標を数値的に確認できる場合に限り、助成対象期間を「事業期間」に区切ることができます。事業期間ごとに完了検査を受け、検査の結果により助成金が交付されます。
ただし、設定できる事業期間は1年以上で、各事業期間内に発注または契約、取得・実施、支払いを完了させる必要があり、事業期間をまたいだ経費は申請できません。また、事業期間ごとに助成金の支払いを受けた場合でも、すべての事業が完了できないときは助成金の返還を求められることがあります。ソリューション開発助成では事業期間を設定できません。
対象になる事業者と申請資格要件
中小企業者の資本金・従業員数の基準
申請できるのは、大企業が実質的に経営に参画していない中小企業者です。基準は業種によって異なります。
| 業種 | 資本金または従業員数 |
| 製造業、建設業、運輸業、情報通信業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業を含む)、その他の業種 | 3億円以下 または 300人以下 |
| ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業、工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 または 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 または 100人以下 |
| サービス業(旅館業・小売業を除く) | 5,000万円以下 または 100人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 または 200人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 または 50人以下 |
情報通信業のうち、放送業、情報サービス業の管理・補助的経済活動を行う事業所、映像・音声・文字情報制作業などはサービス業に該当するものとして扱われ、5,000万円以下または100人以下の基準が適用されます。
「都内で実質的に事業を行っている」の判断(基準日は令和8年6月1日)
法人の場合、基準日である令和8年(2026年)6月1日時点で都内に登記簿上の本店または支店があり、都内で実質的に1年以上事業を行っていることが要件です。都内で創業し、引き続く事業期間が1年に満たない場合は「未決算法人」として扱われます。個人事業者の場合は、基準日時点で税務署に個人事業の開業・廃業等届出書が提出され、その写しにより都内所在地等が確認できることが必要です。
募集要項では「実質的に事業を行っている」とは、登記簿謄本や開業届に記載された都内所在地に単に建物があることではなく、申請書、納税証明書、ホームページ、名刺、看板や表札、電話等連絡時の状況、事業実態や従業員の雇用状況等から総合的に判断するとされています。
都内の自社事業所がバーチャルオフィスのみの場合は、申請時に公社が求める検査等を行うことができる場所(原則として都内)を設定し、成果物・財産・帳票類等を責任を持って保管できる場所を確保することが必要です。
創業予定者・中小企業グループも申請できる
都内での創業を具体的に計画している個人も申請できます。ただし、すでに事業を営んでいる人は創業予定者に含まれません。交付決定後は速やかに開業し、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)または税務署に提出した開業届の写しにより、都内所在地等が確認できるようにする必要があります。
都内の複数の中小企業者等で構成する中小企業グループによる共同申請も可能です。代表企業を設定してグループを代表して申請書を提出し、助成金を受領します。グループ構成企業間に資本の出資関係がないこと、構成企業の役職員が代表企業の役職員を兼務していないこと、交付決定後に共同事業の実施に係る契約を締結することなどが条件で、必要書類も参加企業全社分が求められます。
申請できないケース
次のいずれかに該当する場合は申請できません。
- 同一テーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成等を受けている
- 同一年度に一企業から2件以上申請している(申請は一企業につき一件)
- 同一テーマ・内容で公社が実施する他の助成事業に申請している
- 事業税等を滞納(分納)している、東京都および公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っている
- 申請日までの過去5年間に、公社・国・都道府県・区市町村等が実施する助成事業等に関して不正等の事故を起こしている
- 過去に公社から助成金の交付を受けており、「企業化状況報告書」や「実施結果状況報告書」等を所定の期日までに提出していない
- 風俗関連業、ギャンブル業、賭博等、支援の対象として社会通念上適切でないと判断される業態を営んでいる
「業種を問わず申請できる制度」として紹介されることもありますが、上記のとおり業態による除外はあります。また、申請の確認・提出および申請受付以降の手続きは、申請事業者の代表者または従業員が行う必要があります。
助成対象にならない事業と経費
助成対象とならない事業の例
募集要項では、助成対象事業の要件として「宇宙産業をテーマとする事業」「具体的な計画及び技術的な開発要素がある事業」「最終成果物の権利及び実用化製品等の製造及び販売の権利が申請者に帰属する事業」の3つをすべて満たすことが求められています。そのうえで、次のような事業は助成対象になりません。
- 技術的な開発要素がないもの
- 研究開発の主要な部分が申請者による開発ではないもの
- 研究開発の全部または大部分を外注(委託)しているもの
- 既製品の模倣にすぎないもの
- 申請時において研究開発が概ね終了しているもの
- 生産・量産用の機械設備の導入等、設備投資を目的としているもの
- 研究開発が特定の顧客(法人・個人)向けで、汎用性のないもの
- 特定の発注企業からの図面により作成するもの
- 助成対象期間内に、研究開発の完了が見込めないもの
- 助成事業完了後、開発成果物(試作品等)の一定期間の保存が見込めないもの
助成対象とならない経費の例
- 発注または契約、取得・実施、支払いまでの一連の手続きが助成対象期間内に行われていない経費
- 消費税、収入印紙代、振込手数料、通信費、光熱費、自社の交通費、事務用品費等の間接経費
- 建物・施設取得費、工事費、施工監理費等の建物附帯設備とその工事に係る経費
- パソコン、タブレット、デジタルカメラ等、汎用性が高く使用目的を特定できない機械装置・工具器具
- 中古品の購入、自家用機械類の改良・修繕等に係る経費
- ホームページ製作費、ノベルティ製作費、名刺等の開発品の広告物ではない経費
- 達成目標のうち一部でも未達成だった場合に、それまでにかかったすべての経費
- 親会社、子会社、グループ企業等の関連会社との取引により生じる経費
- 支払いに際しポイントを取得・使用した場合のポイント相当分
- 他社発行の手形や小切手等により支払が行われている経費
特に影響が大きいのは、達成目標を1つでも達成できなかった場合の扱いです。募集要項では、完了検査で達成目標に設定したすべての内容の達成を確認できなかった場合は事業完了とならず、助成金は交付されないと明記されています。
助成額の計算方法と経費区分ごとの上限
助成対象経費は8区分
助成対象経費は次の8区分で、募集要項の「助成対象経費一覧」に記載のないものは助成対象になりません。
- 原材料・副資材費(鋼材、機械部品、電気部品、化学薬品、試験用部品等)
- 機械装置・工具器具費(試作金型、計測機械、測定装置、サーバ、ソフトウェア、レンタルサーバやクラウドサービスの利用料等)
- 委託・外注費(開発、製造・改造・加工、分析鑑定、試験、共同研究、規格等認証・登録の審査費用等)
- 専門家指導費(外部専門家の謝金・相談料、外部専門家の旅費交通費、外部研修の受講料等)
- 産業財産権出願・導入費(調査、出願、審査請求、譲渡・実施許諾の費用。特許料・登録料等の権利維持費は対象外)
- 直接人件費(研究開発に直接従事する者、および統括管理担当者1名分)
- 展示会等出展費(出展小間料、小間装飾等の資材費、輸送費、海外出展に伴う通訳・翻訳費)
- 広告費(開発品のパンフレット・チラシ・PR映像の製作費、新聞・雑誌・web等への広告掲載費)
直接人件費・展示会等出展費・広告費には別枠の上限がある
助成限度額とは別に、経費区分ごとの上限が設定されています。上限を超える計画を立てても、超過分は助成されません。
- 直接人件費:機器開発助成は助成対象期間中の1年につき1,000万円、ソリューション開発助成は助成対象期間全体で1,000万円(研究開発分と統括管理分の合計)
- 従事時間の上限:1人につき1日8時間、年間1,800時間
- 展示会等出展費+広告費:機器開発助成は合計1,000万円、ソリューション開発助成は合計250万円
- オンライン展示会の出展小間料:1回あたり20万円(1回の開催期間が1か月以内のものが対象)
直接人件費は実際の給与額そのものではなく、募集要項の「人件費単価一覧表」に基づく時間給×従事時間で算出します。単価は報酬月額(基本給+諸手当、賞与を除く)の区分ごとに決まっており、報酬月額130,000円未満は時間給1,050円、605,000円以上は時間給5,210円です。役員は登記簿謄本、従業員は雇用保険被保険者証等の提出が必要で、雇用保険に未加入の従業員が行った業務、所定労働時間外や休日の労働、個人事業者の自らに対する報酬は対象になりません。
助成額の計算例
以下は、助成率2/3と助成限度額をもとにした計算例です。実際の交付予定額は審査により減額されることがあり、最終的な助成金額は完了検査後に確定します。
- 計算例1(ソリューション開発助成):助成対象経費900万円 × 2/3 = 助成額600万円。自己負担額は900万円 − 600万円 = 300万円
- 計算例2(機器開発助成):助成対象経費1,800万円 × 2/3 = 助成額1,200万円。自己負担額は600万円。申請下限額1,500万円を満たすため申請できる
- 計算例3(限度額に達する場合):助成対象経費1億8,000万円 × 2/3 = 1億2,000万円となるが、機器開発助成の助成限度額は1億円のため、助成額は1億円までとなる
消費税は助成対象とならない経費として明記されているため、助成対象経費は税抜で考えます。助成金の確定額は、経費区分ごとに実際に要した助成対象経費に3分の2を乗じて得た額(千円未満切り捨て)と、経費区分ごとの交付予定額のいずれか低い額の合計です。
事業形態別の提出書類と申請前に用意する公的書類
法人・未決算法人・個人事業者・創業予定者で提出書類が異なる
提出書類は事業形態によって異なります。〇は必須提出、△は該当者のみ必須提出、▲は任意提出です。未提出書類や記載漏れがある場合は、書類不備の状態で審査されます。
| 提出資料 | 法人 | 未決算法人 | 個人事業者 | 創業予定者 |
| 1 申請書【指定様式】 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 2 補足説明資料(30枚以内) | ▲ | ▲ | ▲ | ▲ |
| 3 産業財産権(特許・実用新案等)の証拠書類 | △ | △ | △ | △ |
| 4 見積書【原則2社以上】 | △ | △ | △ | △ |
| 5 確定申告書の写し【直近2期分】 | 〇 | - | 〇 | - |
| 6 代表者の直近の源泉徴収票、または所得税納税証明書その2 | - | 〇 | - | 〇 |
| 7 資金繰り表(助成対象の全期間・月単位) | - | 〇 | - | 〇 |
| 8 助成事業を遂行できる資金保有の裏付け書類 | - | 〇 | - | 〇 |
| 9 登記簿謄本(履歴事項全部証明書・発行後3か月以内) | 〇 | 〇 | - | - |
| 10 開業届の写し | - | - | 〇 | - |
| 11 法人事業税および法人都民税の納税証明書(都税事務所発行) | 〇 | - | - | - |
| 12 代表者の所得税納税証明書その1、または個人事業税の納税証明書 | - | 〇 | 〇 | 〇 |
| 13 代表者の住民税の納税証明書(非課税の場合は非課税証明書) | - | 〇 | 〇 | 〇 |
出典:公社「航空宇宙産業への参入支援事業(宇宙製品等開発経費助成)」/令和8年度 募集要項(PDF)P.18〜19
確定申告書は法人の場合、法人税申告書 別表一および別表二、決算報告書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書の4点です。個人事業者の場合は、所得税及び復興特別所得税の確定申告書 第1表と、事業の収支内訳書または貸借対照表を含む青色申告決算書です。創業後2期未満の事業者は直近1期分となります。
中小企業グループによる共同申請の場合は、申請書の「共同申請構成表」に加えて、上記No.5〜13を参加企業全社分そろえる必要があります。
見積書が2社以上必要になるケース
見積書は「該当者は必須提出」ですが、該当するかどうかは経費区分と金額で決まります。
- 機械装置・工具器具費:1件あたりの単価が税抜100万円以上の購入品を計上する場合(単価、数量、規格、メーカー、型番等の記載があるもの。市販品は価格表示のあるカタログ等でも可。リース・レンタルの場合は不要)
- 委託・外注費:1契約あたり税抜100万円以上の経費を計上する場合(項目ごとに内訳があり、価格の妥当性が評価できるもの)
- 機器開発助成で複数の事業期間に同じ相手先・同じ内容の経費を計上し、その総額が税抜100万円以上になる場合
登記簿謄本は発行後3か月以内のものと指定され、納税証明書は「証明書として提出可能な直近年度分」が求められます。これらは都税事務所や税務署などの窓口で取得する必要があり、公社は取得日数を示していません。取得に要する期間は各交付窓口で確認してください。
また、マイナンバーが記載された書類は受領されません。確定申告書や開業届にマイナンバーが記載されている場合は、番号が判別できないようにして提出します。
申請から交付決定までの手順と公式の審査項目
申請手順
- GビズIDプライムアカウントを取得する(未取得の場合)
- 公社ウェブサイトから令和8年度の募集要項と申請書様式(機器開発助成用/ソリューション開発助成用)をダウンロードする
- 申請書(xlsx)に記入し、事業形態に応じた必要書類を準備する
- Jグランツの公社指定フォームから、令和8年8月14日(金)17時00分までに申請書類をアップロードする
- 一次審査(書類):令和8年9月中旬まで。結果は9月下旬にJグランツで通知
- 二次審査(面接審査等):令和8年10月中旬
- 総合審査会:令和8年11月上旬
- 交付決定:令和8年12月1日にJグランツで通知
申請内容や提出資料に不備・不足がある場合はJグランツで差戻しとなり、申請フォームの「担当者メールアドレス」欄に通知メールが届きます。公社が示す期限を過ぎた場合や回答がない場合は審査不通過となることがあります。また、申請後は公社が求める修正事項以外の加筆・修正はできません。
一次審査は「資格審査」と「技術審査」に分かれる
一次審査は申請書類に基づく書面審査で、資格審査と技術審査で構成されます。資格審査の視点は申請要件等(申請資格への適合、その他適格性など)で、必要に応じて現地調査が行われる場合があります。技術審査の視点として募集要項に挙げられているのは次の4つです。
- 優秀性(従来技術に対する優秀性・新規性、社会課題解決への貢献など)
- 実現性(開発能力、開発体制、開発計画など)
- 妥当性(計画全体の確実性、達成目標の内容、申請経費の適切性など)
- 普及可能性(市場動向・ニーズの把握、販売見込み、競争優位性など)
二次審査は「経理審査」と「面接審査」
二次審査は経理審査と面接審査で構成されます。経理審査は書面で行われ、視点は財務内容・事業予算等(自己資金の調達、企業内容の堅実性、予算の適正性など)です。面接審査の視点は技術審査と同じ4項目です。
面接審査については、募集要項に次の点が明記されています。
- 令和8年10月中旬の公社が定める日時・場所(東京都千代田区近辺の予定)で、原則対面のプレゼンテーションと質疑応答により実施される
- 日時の変更はできない
- 経営コンサルタント・顧問・大学教授・委託企業等、申請事業者以外は入室できない
- 使用可能な資料は、原則として申請時に提出した申請書類のみ
二次審査のみの結果通知は行われず、総合審査会を経た採択結果としてまとめて通知されます。
代理申請ができる範囲
Jグランツ上の当初申請手続きに限り、第三者による代理申請機能を使用できます。ただし、申請の確認および提出は申請者自身が行い、申請受付以降の手続きも申請者自身が行います。
助成対象経費に関与する事業者(外注・委託先の事業者)およびその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者は、代理申請を請け負うことができません。代理申請を行う場合は「同意書(代理申請用)」を作成し、Jグランツ申請フォームの指定箇所にアップロードします。GビズID上で委任者・受任者の双方が委任申請と承認を行う必要があります。
令和7年度に採択された事業者と申請テーマ
公社は助成金事業の採択企業一覧を公開しており、本助成事業についても令和7年度の支援対象事業一覧が公表されています。令和7年度は機器開発助成5件、ソリューション開発助成3件の計8件が採択されました。公表されているのは事業者名と事業計画テーマのみで、助成額や審査での評価内容は公表されていません。
機器開発助成(令和7年度・5件)
- 株式会社エイビット:キューブサット用衛星通信モジュールの開発
- 株式会社SUIHO SPACE INNOVATIONS:ロケット・衛星・探査機に適用可能な再使用型推進器技術の開発
- 株式会社ダイモン:資源探査と自己位置認定が可能な複数機連携式月面探査車の開発
- 日本材料技研株式会社:超軽量薄膜太陽電池に用いる電荷輸送層MXeneの開発
- 株式会社リーデッジテクノロジー/株式会社ウィズアクア:完全閉鎖循環型魚介類向け宇宙養殖システムの開発
ソリューション開発助成(令和7年度・3件)
- 株式会社Aqunia:衛星データ連携によるグローバル洪水予測システムの開発
- 株式会社JAOPS:衛星ミッション管制のスケジューリング、自動化、AI統合の実装
- 株式会社スペースシフト:マルチSAR統合による違法漁船検知システム開発
公表されているのは事業者名と申請テーマだけであるため、採択された理由や審査での評価を読み取ることはできません。事実として確認できるのは、機器開発助成には推進器・探査車・太陽電池材料といった機器そのものの開発に加えて宇宙養殖システムが含まれ、ソリューション開発助成には洪水予測・ミッション管制・違法漁船検知といった衛星データの利活用サービスが並んでいるという点です。
出典:公社「助成金事業 採択企業一覧」(令和7年度 支援対象事業一覧(PDF))、東京都・公社報道発表「令和8年度 航空宇宙産業への参入支援事業(宇宙製品等開発経費助成)の募集を開始します」(令和8年6月25日・PDF)
採択後に発生する義務と助成金が入金されるまで
助成金は後払い、達成目標が未達だと交付されない
募集要項の冒頭には「助成金の支払いは事業の実施を公社等が確認した後(後払い)となります」と記載されています。交付決定通知書に記載される交付予定額は予定上限額であり、支払いを保証するものではありません。開発費は自己資金や借入で先に支出する前提になるため、機器開発助成のように最長3年の事業では、その期間の資金繰りを申請前に確認しておく必要があります。
また、申請書に記載した達成目標をすべて達成したことを完了検査で確認できなければ事業完了とならず、助成金は交付されません。達成目標は第三者が到達を明確に判断できるものを設定する必要があり、「展示会への出展」など製品・技術開発ではないものを達成目標にすることはできません。
遂行状況報告・実績報告・完了検査の流れ
- 事業の実施期間が原則1年を超える場合は、公社が指定した期日までの状況を遂行状況報告書にまとめ、期日から15日以内に提出(提出後、中間検査。中間検査では助成金は交付されない)
- 事業終了後は、事業終了日から15日以内に実績報告書を提出
- 完了検査で、検査員による目標達成の確認と、公社職員による全購入物・経費の確認が行われる
- 完了検査後に助成金額が確定し、「助成金確定通知書」がJグランツで通知される
- 確定通知後、Jグランツの所定フォームから請求すると、指定の銀行口座へ振り込まれる
経費の支払いは助成事業者名義の金融機関口座からの振込払いが原則です。助成事業者に在籍する役員や社員の口座からの振込は原則対象外で、手形・小切手・電子記録債権による支払いは一切認められません。
販売の開始は完了検査日の翌日から
助成事業の成果を活用した製品の販売は、助成事業の完了後(完了検査日の翌日)から開始します。完了前に販売した場合は助成金交付決定の取消しとなります。展示会等出展費・広告費についても、助成事業完了までは販売行為が禁止されています。
想定顧客からのフィードバックを目的としたテストマーケティングを行う場合は、事前に対象や内容等を記載した届出書を提出し、開発した試作品を特定のユーザーに無償貸与する形に限られます。実施後は実施結果を記載した報告書の提出が必要で、ソフトウェアやwebサービスを公開する形式で実施した場合は、実施後に事業完了まで公開を中止する必要があります。手続きをせずに実施した場合や、有償貸与・譲渡を行った場合は販売行為とみなされ、交付決定の取消しとなることがあります。
企業化状況報告書と収益納付、取得財産の5年管理
助成事業が完了した日の属する会計年度の終了後、翌年度から5年間、各会計年度が終了するごとに企業化状況報告書を提出します。この5年間に事業化により相当の収益を得た場合や、産業財産権の譲渡・実施権の設定等により収益が生じた場合は、収益の一部を納付します(納付額は助成金の交付額が上限)。
助成事業により取得または効用の増加した財産(設備およびその他成果物は取得価格または増加価格が税抜50万円以上のもの)は、公社配布のステッカーを貼って管理し、助成事業を完了した年度の翌年度から起算して5年を経過する日まで保存する義務があります。この期間内に目的外使用・売却・譲渡・交換・貸付・担保提供・廃棄を行うときは、あらかじめ財産処分承認申請書を提出して公社の承認を受ける必要があり、処分により収入があった場合は助成金の全部または一部を納付します。関係書類も同じく5年間保管します。
この報告義務は次回以降の申請にも影響します。募集要項では、過去に公社から助成金の交付を受けている場合、報告期間すべての「企業化状況報告書」等を所定の期日までに提出していることが申請要件とされており、未提出があると、報告期間満了の翌年度の3月31日まで本助成事業に申請できません。
交付決定が取り消され、返還が必要になる場合
次のような場合、助成金交付決定の全部または一部が取り消され、すでに交付されている場合は期限を定めて返還を求められます。あわせて、不正の内容や申請者およびこれに協力した関係者等が公表されることがあります。助成金の額の確定後であっても適用されます。
- 交付決定または変更承認等の内容と異なる事実が認められたとき
- 偽り、隠匿その他不正の手段により助成金の交付を受けたとき、または受けようとしたとき
- 助成金を他の用途に使用したとき、または使用しようとしたとき
- 都内において実質的に事業を行っている実態がないと認められるとき、または助成事業の実施場所において活動実態がないと認められるとき
- 申請要件に該当しない事実が判明したとき
- 公社の承認が必要な変更について、事前の承認を得ずに変更等を行ったとき
- 申請日までの過去5年間または申請日から助成金を支払う日までの間に、法令に違反したとき
募集要項では、不正行為に対して刑事罰が適用される場合もあると明記されています。
東京都航空宇宙産業への参入支援事業のまとめ
令和8年度の東京都航空宇宙産業への参入支援事業(宇宙製品等開発経費助成)は、令和8年8月14日(金)17時00分までJグランツで申請を受け付けています。
- 機器開発助成は助成限度額1億円・申請下限額1,500万円・最長3年、ソリューション開発助成は助成限度額2,000万円・申請下限額なし・最長1年9か月。助成率はいずれも2/3以内で、申請後の区分変更はできない
- 助成対象期間は令和8年12月1日から。それ以前の発注・契約・支払いは助成対象外
- 提出書類は法人・未決算法人・個人事業者・創業予定者で異なり、申請にはGビズIDプライムが必要
- 直接人件費や展示会等出展費+広告費には、助成限度額とは別に区分ごとの上限がある
- 助成金は後払いで、達成目標をすべて達成できなければ交付されない
申請を検討する場合は、まず令和8年度の募集要項で機器開発助成とソリューション開発助成のどちらに該当するかを確定させ、そのうえで事業形態に応じた提出書類と、令和8年12月1日以降に発注できる開発スケジュールを組み立ててください。最新の情報は公社の事業ページで確認できます。
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