東京都内で病院や医科診療所を運営する医療機関にとって、電子カルテの操作をはじめとした医療DXへの対応は避けて通れない課題となっています。
しかし研修受講や資格取得にかかる費用、代替職員の確保などの負担から、人材育成が後回しになっているケースも少なくありません。
そこで東京都が用意しているのが「東京都医療DX人材育成支援事業」です。
この制度を活用すれば、IT・DX関連の研修や資格取得にかかる費用を、1医療機関あたり50万円を上限に全額(補助率10分の10)受け取ることができます。
本記事では、東京都医療DX人材育成支援事業の対象者や対象経費、申請期限、そして自社で申請する際の注意点まで詳しく解説します。
東京都医療DX人材育成支援事業の基本情報
| 正式名称 | 令和8年度東京都医療DX人材育成支援事業 |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 実施機関 | 東京都(保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当)/申請受付窓口:東京都医療DX推進事業補助金事務局 |
| 対象者 | 東京都内で病院又は医科診療所を開設する者(東京都知事が適当と認める者) |
| 対象業種 | 医療、福祉 |
| 対象経費 | IT・DX関連の研修受講費、資格取得費、技能認定試験受験費、代替職員の雇用又は派遣費 |
| その他要件 | 電子カルテ等医療DXに向けた取組を進めること、東京都の効果検証調査に協力すること |
| 補助対象外 | 交付申請前に開始した取組、国や地方公共団体の他の補助金等を充当する経費 |
| 申請期間 | 第2回:令和8年9月30日、第3回:令和8年11月30日(必着・最終) |
| 上限金額 | 50万円(500,000円、1医療機関あたり) |
| 補助率 | 10分の10(定額) |
| 問い合わせ先 | 東京都医療DX推進事業補助金事務局(050-3816-2607) |
補助金・助成金の正式名称
正式名称は「令和8年度東京都医療DX人材育成支援事業」といいます。
東京都保健医療局が所管する事業で、医療機関のIT・DX人材育成を目的に令和8年度から実施されています。
電子カルテの操作など医療DXに関連する知識・技能を持つ人材の育成を通じて、デジタル技術の導入を後押しする点が特徴です。
年度ごとに内容が見直される可能性があるため、次年度以降の申請を検討する場合は最新情報の確認が必要です。
対象都道府県・市区町村
対象となるのは東京都内です。
東京都内で病院又は医科診療所を開設していることが要件となっており、都外の医療機関は対象外です。
都内に複数の施設を持つ医療機関であっても、対象となるのは要件を満たす開設者単位での申請です。
実施機関
実施機関は東京都保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当です。
申請の受付や審査業務は外部事業者に委託されており、窓口は「東京都医療DX推進事業補助金事務局」となっています。
制度そのものに関する問い合わせは東京都の担当課、申請手続きに関する相談は事務局へと窓口が分かれている点に注意が必要です。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象者は、東京都内で病院又は医科診療所を開設する者であって、東京都知事が適当と認める者です。
国や地方公共団体、独立行政法人、国立大学法人などの公的機関は対象から除かれます。
過去に本補助金の交付を受けたことがある医療機関や、暴力団関係者に該当する者も対象外となる点に留意しましょう。
対象業種
Jグランツ上の対象業種区分では、医療、福祉が指定されています。
病院・医科診療所という業態に特化した制度であり、他業種の事業者は対象になりません。
自院がこの業種区分および開設者要件を満たすかどうか、事前に確認しておくと安心です。
対象経費
対象経費は大きく4つに分類されます。
1つ目はIT・DX関連の研修受講で、医療機関への出張研修も対象に含まれます。
2つ目はIT・DX関連の資格取得で、資格取得に付随する通信講座の受講費用も対象です。
3つ目はIT・DX関連の技能認定試験の受験費用、4つ目はこれらに取り組む職員が不在となる際の代替職員の雇用又は派遣費用です。
その他要件
申請にあたっては、電子カルテシステムの導入や電子カルテ情報共有サービスなど医療情報連携基盤への接続、電子処方箋の導入といった医療DXへの取組を進めることが求められます。
あわせて、デジタル技術導入状況に関する調査など、東京都が行う効果検証への協力も条件のひとつです。
交付申請前に研修受講や資格取得などの取組を開始してしまうと、補助対象として認められません。
補助対象外となるもの
交付申請を行う前に実施した研修受講や資格取得、技能認定試験の受験、代替職員の雇用又は派遣は補助の対象外です。
国や地方公共団体による他の補助金等を充当する経費についても、重複して本補助金を受け取ることはできません。
対象となる取組は、原則として交付申請後から令和9年3月31日までに完了したものに限られます。
申請期間
申請は原則として補助金申請システムjGrantsによるオンライン申請で行います。
提出期限は複数回に分かれており、第1回は令和8年6月30日ですでに締め切られています。
直近で申請できるのは第2回の令和8年9月30日必着分で、最終となる第3回は令和8年11月30日必着です。
研修や資格取得の実施スケジュールを踏まえ、余裕を持って交付申請を行うことが重要です。
上限金額・助成額
上限金額は1医療機関あたり50万円(500,000円)です。
研修受講や資格取得など複数の取組を組み合わせて実施した場合でも、1医療機関としての上限は50万円である点に注意が必要です。
上限額の範囲内であれば、対象経費の内訳に応じて柔軟に活用することができます。
補助率
補助率は10分の10、つまり対象経費の全額が補助される定額制度です。
自己負担が原則発生しない点は、一般的な補助金と比べても大きな特徴といえるでしょう。
ただし対象経費や上限額の範囲を超える部分については、医療機関側の負担となります。
問い合わせ先
制度に関する問い合わせ先は、東京都医療DX推進事業補助金事務局です。
電話番号は050-3816-2607で、受付は令和8年4月15日から開始されています。
制度の趣旨や対象要件そのものについては、東京都保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当(03-5320-4448)でも確認できます。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の概要はJグランツの公募詳細ページで確認できます。
より詳しい申請手続きや提出書類については、東京都保健医療局の公式ページで公開されています。
申請前には必ず最新の申請手続きの手引きを確認し、提出書類に不備がないよう準備しておくことをおすすめします。
東京都医療DX人材育成支援事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
この制度の最大の魅力は、補助率が10分の10、つまり全額補助であるという点です。
自己負担なしで職員のIT・DX関連の研修受講や資格取得を進められるため、費用面がネックで人材育成に踏み出せなかった医療機関でも導入しやすい制度です。
研修受講中に不在となる職員の代替要員にかかる費用まで対象に含まれているため、現場の人員体制を維持しながら人材育成に取り組める点も見逃せません。
電子カルテシステムの導入や電子処方箋への対応など、今後さらに求められる医療DXへの布石として活用できる制度といえるでしょう。
東京都医療DX人材育成支援事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 東京都内で病院又は医科診療所を開設しており、職員のIT・DXスキル向上を検討している医療機関
- 電子カルテシステムの導入や電子処方箋への対応など、医療DXを計画的に進めたい医療機関
- 研修受講や資格取得にかかる費用負担がネックとなり、人材育成を後回しにしてきた医療機関
- 令和9年3月末までに研修等を完了できるスケジュールを組める医療機関
見送ったほうが良い人の特徴
- 東京都外に所在する病院・診療所
- 過去に本補助金の交付を受けたことがある医療機関
- すでに交付申請前に研修や資格取得を開始してしまっている医療機関
- 国や地方公共団体の他の補助金で同じ経費を充当する予定の医療機関
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金
- ものづくり補助金
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金
新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新分野・新市場への進出に挑む中小企業を対象とした国の支援制度です。
事業転換に伴う大規模な設備投資や体制構築の費用をまかないたい場合の選択肢となります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、革新的な製品・サービスの開発やサービス提供方法の改善に取り組む中小企業等を支援する制度です。
医療機関が高度な医療機器やシステムを独自に開発するようなケースでも活用の余地があります。
中小企業省力化投資補助金
人手不足の解消を目的に、あらかじめ登録されたカタログ型の省力化製品の導入費用を支援する制度です。
手続きが比較的簡素で、スピーディーに人手不足対策を進めたい事業者に適しています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化に取り組む小規模事業者を対象とした全国的な制度です。
商工会議所等のサポートを受けながら申請できるため、補助金申請が初めての医療機関にも取り組みやすい制度です。
東京都医療DX人材育成支援事業の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
申請には、医療DX人材育成支援事業補助金に係る交付申請書のほか、事業計画書、経費所要額調、歳入歳出予算書(見込書)抄本などの提出が必要です。
jGrantsで申請する場合は、交付申請書と印鑑証明書の提出が不要になるなど、書類準備の手間を軽減できます。
その他参考となる資料については、申請手続きの手引きを確認しながら準備を進めましょう。
記載例はどこで確認できるか
事業計画書の記載方法や申請の流れは、東京都保健医療局の公式ページで公開されている申請手続きの手引きから確認できます。
jGrantsの操作方法についても、同ページや制度事務局への問い合わせを通じて確認することができます。
東京都医療DX人材育成支援事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
自院が置かれている地域の医療需要や、電子カルテ普及の動向などを客観的なデータとともに示します。
地域の医療計画や東京都の統計資料を引用すると、審査担当者に説得力のある説明ができます。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
近隣の医療機関と比較して、自院がどのようなデジタル化の遅れや課題を抱えているのかを具体的に整理します。
課題を放置した場合のリスクと、人材育成によって得られる改善効果をセットで記載すると効果的です。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
自己資金だけで研修受講や資格取得を進めることが難しい理由を、費用面や人員体制の観点から説明します。
補助率10分の10という制度の特性を踏まえ、この機会に人材育成を進める必要性を明確に打ち出しましょう。
実行体制を明記する
どの職員がどの研修・資格取得に取り組むのか、実施時期や担当部署とあわせて具体的に記載します。
代替職員の確保方法まで書き込んでおくと、計画の実現可能性が審査でも評価されやすくなります。
東京都医療DX人材育成支援事業の申請手順
- 東京都保健医療局の公式ページで申請手続きの手引きを確認し、対象となる取組を選びます
- 医療DX人材育成支援事業計画書など、必要な申請書類を準備します
- jGrantsでアカウントを登録し、必要書類をアップロードして交付申請を行います
- 東京都による審査を経て、交付決定通知を受け取ります
- 交付決定後に、研修受講や資格取得などの対象となる取組を実施します
- 取組の完了後、実績報告書と証拠書類を提出します
- 額の確定を経て、指定口座に補助金が振り込まれます
東京都医療DX人材育成支援事業を自社で申請する際の注意点
交付申請を行う前に研修受講や資格取得に着手してしまうと、補助対象として認められなくなるため注意が必要です。
提出期限は複数回に分かれているため、直近の締切だけでなく次回以降のスケジュールも把握したうえで準備を進めることが大切です。
提出書類に不備があると審査に時間がかかることがあるため、申請手続きの手引きを確認しながら漏れのないよう準備しましょう。
jGrantsでの申請が難しい場合は、早めに事務局へ相談し、代替の手続き方法を確認しておくと安心です。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
医療DX関連の補助金・助成金は複数存在するため、自院の状況に最も適した制度を見極める必要があります。
専門家に相談することで、要件を満たさない制度への申請といった手戻りを防ぎやすくなります。
事業計画の質が上がる
専門家は過去の採択事例やよくある不採択の理由を把握しているため、書類の完成度を高めるための助言を得られます。
第三者の視点が入ることで、自院だけでは気づきにくい説明不足を補うことができます。
採択後の実務まで見据えられる
採択後も実績報告書の作成や証拠書類の整理といった事務作業が続きます。
専門家のサポートを受けておくことで、交付決定後の手続きでもつまずきにくくなります。
東京都医療DX人材育成支援事業を不正受給するとどうなるのか
- 交付決定の取り消しと補助金の返還を求められるリスク
- 職員や取引先からの通報で発覚することもある
交付決定の取り消しと補助金の返還を求められるリスク
虚偽の申請内容や不正な手段によって補助金を受け取ったことが判明した場合、東京都は交付決定を取り消し、支払い済みの補助金の返還を求めることができます。
悪質なケースでは加算金の支払いが求められることもあり、医療機関としての社会的信用を大きく損なう結果につながりかねません。
返還を求められた場合、指定された期限内に一括で返還しなければならないケースが一般的です。
職員や取引先からの通報で発覚することもある
不正受給の疑いは、東京都医療DX推進事業補助金事務局への情報提供や、実施した効果検証調査の過程で明らかになることがあります。
内部の職員や取引のある研修事業者からの指摘がきっかけとなるケースも少なくありません。
安易な虚偽申請は、医療機関としての信頼そのものを揺るがしかねないという認識を持っておく必要があります。
東京都医療DX人材育成支援事業のまとめ
東京都医療DX人材育成支援事業は、東京都内の病院・医科診療所を対象に、IT・DX関連の研修受講や資格取得にかかる費用を全額(補助率10分の10、上限50万円)支援する制度です。
提出期限は複数回に分かれており、直近は令和8年9月30日、最終は令和8年11月30日となっています。
交付申請前に研修等を開始してしまうと補助対象外となるため、スケジュール管理には特に注意が必要です。
最新の公募状況や詳細な要件は、Jグランツの公募詳細ページや東京都保健医療局の公式ページで必ずご確認ください。
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