北海道地域課題解決型起業支援事業(2次募集)|2026年8月19日締切の対象要件と申請準備

その他

北海道の「地域課題解決型起業支援事業」は、2026年度の2次募集を2026年7月14日から受け付けています。申請の締切は2026年8月19日(水)17時必着で、この記事の更新時点では受付中です。

対象は、2026年4月1日以降に北海道内で新たに起業する個人です。すでに開業届を提出して事業を行っている人や、個人事業主が法人成りする場合は対象になりません。補助率は2分の1以内、補助上限額は200万円です。

注意が必要なのは、交付決定が2026年10月上旬の予定であり、原則として交付決定日以降に発注(契約)した経費しか補助対象にならない点です。締切までに「何を申請書に載せるか」だけでなく「何を今は発注しないでおくか」まで決めておく必要があります。

この記事では、公益財団法人北海道中小企業総合支援センターが公表している2次募集の募集要項とFAQ、および北海道庁の公表資料をもとに、対象者の判定、補助額の計算、対象外になりやすい経費、提出書類、交付決定後の手続きまでを整理します。

  1. 北海道地域課題解決型起業支援事業(2次募集)の基本情報
  2. 現在の受付状況と2026年8月19日17時必着までのスケジュール
    1. 電子申請と紙媒体では手順が異なる
    2. 交付決定は2026年10月上旬、事業完了期限は2027年1月15日
  3. 自分が対象になるかを3つのステップで判定する
    1. ステップ1:2026年4月1日以降に初めて起業する個人か
    2. ステップ2:デジタル技術の活用と地域課題の解決を同時に満たす事業か
    3. ステップ3:法人形態・企業規模・居住地の要件を満たすか
    4. 対象外と判断される代表的なケース
    5. 他の補助金との併用が制限される場合
  4. 補助率2分の1以内・上限200万円の補助額を計算する
    1. 補助額と自己負担額の計算例
    2. 経費区分ごとに別の上限が設定されている
  5. 交付決定日より前に発注・契約した経費はどこまで対象になるか
    1. 人件費・店舗等借料・借料は例外として扱われる
    2. 店舗賃料が前月払いの場合の考え方(公式FAQの例)
  6. 対象経費と対象外経費の境界でつまずきやすいポイント
    1. 設備費:単価5千円未満・中古品・汎用パソコンは対象外
    2. 店舗等借料:敷金・礼金や自宅兼事務所の扱い
    3. 経費区分を問わず対象外となるもの
  7. 公式に示された評価基準6項目と「一定程度優遇」される3つの条件
    1. 募集要項に記載された評価基準
    2. 交付対象事業者の決定時に一定程度優遇される3条件
  8. 2026年8月19日から逆算した申請準備と提出書類
    1. 全員が提出する8点
    2. 該当する人だけが提出する8点
    3. 取得に日数がかかる書類から着手する
  9. 交付決定後に発生する手続きと入金までの資金繰り
    1. 補助金は精算払いで、入金は2027年2月末の予定
    2. 5年間の報告義務と50万円以上の財産の処分制限
    3. 交付対象事業者の情報は公開される
  10. 北海道が公表している地域課題解決型起業支援事業の実績
    1. 公表されている交付対象事業者の情報
  11. 北海道地域課題解決型起業支援事業(2次募集)のまとめ

北海道地域課題解決型起業支援事業(2次募集)の基本情報

項目内容
正式名称2026年度(令和8年度)地域課題解決型起業支援事業(2次募集)
実施主体北海道(執行機関:公益財団法人北海道中小企業総合支援センター 企業振興部企業振興グループ)
対象地域北海道内全域
対象者事業を営んでいない個人で、2026年4月1日から事業実施期間完了日までに道内で開業届出または対象法人の設立を行い、その代表者となる者
対象事業デジタル技術を活用し、道内の地域課題(地域活性化関連、まちづくりの推進、子育て支援、社会福祉関連、買い物弱者支援等)の解決に資する社会的事業(第一次産業を除く)
補助率2分の1以内
補助上限額200万円(千円未満は切り捨て)
募集期間2026年7月14日(火)〜2026年8月19日(水)17時必着
申請方法原則、電子申請フォーム(困難な場合は事前に事務局へ相談のうえ紙媒体)
交付決定2026年10月上旬(予定)
事業実施期間交付決定日から最長2027年1月15日まで
補助金の支払い精算払い(2027年2月末に額の確定・支払いの予定)
問い合わせ先公益財団法人北海道中小企業総合支援センター 企業振興部企業振興グループ(電話:011-232-2403/E-mail:jyoseishien@hsc.or.jp)
出典:2026年度「地域課題解決型起業支援事業」2次募集開始のご案内(北海道中小企業総合支援センター)令和8年度「地域課題解決型起業支援事業」に係る交付対象事業者の2次募集について(北海道)

現在の受付状況と2026年8月19日17時必着までのスケジュール

2026年度は1次募集(2026年4月28日〜5月29日)がすでに終了しており、現在受付中なのは2次募集です。2次募集の受付期間は2026年7月14日(火)から2026年8月19日(水)17時必着で、期限を過ぎた申請は受け付けられません。

電子申請と紙媒体では手順が異なる

申請は原則として電子申請フォーム(kintoneフォーム)から行います。締切は2026年8月19日17時です。募集要項では、フォームでの申請完了後に必ず事務局(jyoseishien@hsc.or.jp)へメールで連絡することが求められています。この連絡は申請とセットの手順なので、送信して終わりにしないよう注意してください。

電子申請フォームでの提出が困難な場合に限り、紙媒体での提出が認められています。ただし、事前に事務局へ相談したうえで提出する必要があり、郵送する場合は原則として簡易書留など記録の残る方法で送付します。紙媒体も2026年8月19日17時必着で、募集期間内に到着しなかったものは受付されません。締切間際に郵送を選ぶと配達日数の分だけ準備期間が短くなるため、紙媒体を検討する場合は事務局への相談を先に済ませておく必要があります。

交付決定は2026年10月上旬、事業完了期限は2027年1月15日

募集要項に記載されている2次募集のスケジュール(予定)は次のとおりです。

時期内容
2026年7月14日〜8月19日(17時)募集期間
2026年10月上旬審査、交付決定、以降センターの伴走支援
2027年1月15日事業実施期間の完了期限
2027年1月30日実績報告書の提出最終期限
2027年2月末起業支援金の額の確定および支払い
出典:2026年度地域課題解決型起業支援事業 2次募集 募集要項(PDF)

申請から交付決定まで約1か月半あり、交付決定から事業完了期限まではおよそ3か月しかありません。設備の設置や内装工事を予定している場合、この3か月の間に発注・納品・請求・支払いをすべて終える必要があるため、締切前の段階で業者との日程感を確認しておくことになります。

自分が対象になるかを3つのステップで判定する

この制度は「起業する個人」を対象とした支援金で、法人や既存事業者向けの補助金とは対象者の考え方が大きく異なります。以下の3ステップで確認してください。

ステップ1:2026年4月1日以降に初めて起業する個人か

補助対象者は、事業を営んでいない個人であって、2026年4月1日以降、事業完了の日(最長2027年1月15日)までに、道内で新たに個人事業の開業届出を行うか、対象となる法人を設立してその代表者となる者です。公式FAQでは、募集開始日以後に法人を設立した場合でも、申請は法人名義ではなく個人名で行うと案内されています。

対象となる法人は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・企業組合・労働者協同組合・特定非営利活動法人・一般社団法人です。

ステップ2:デジタル技術の活用と地域課題の解決を同時に満たす事業か

補助の対象となる起業には、募集要項で次のすべてに該当することが求められています。

  • 人口減少や少子高齢化で顕在化した地域課題(地域活性化関連、まちづくりの推進、子育て支援、社会福祉関連、買い物弱者支援等)の解決に資する分野の社会的事業であること
  • 起業する地域におけるサービス供給の不足等に起因する地域課題の解決に資すること
  • 提供するサービスの対価として得られる収益によって、自律的な事業の継続が可能であること
  • 起業する者の生産性の向上・機会損失の解消および顧客の利便性の向上につながるデジタル技術を活用していること
  • 北海道内で実施し、事業実施期間完了日までに営業(不特定多数に対する商品の販売、サービスの提供等)を開始すること

デジタル技術の活用例として募集要項が挙げているのは、キャッシュレス決済の導入、Web予約システム、ECサイトによる販売、SNSやWebサイトでの情報発信などです。特別なシステム開発が前提になっているわけではありませんが、「地域課題の解決」と「デジタル技術の活用」は別々の要件として並んでいるため、どちらか一方だけでは要件を満たしません。

ステップ3:法人形態・企業規模・居住地の要件を満たすか

設立する法人が中小企業者等に該当するかは、業種ごとの資本金・従業員数で判断します。募集要項に示されている区分は次のとおりです。

業種分類資本の額または出資の総額常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他3億円以下300人以下(ゴム製品製造業の一部は900人以下)
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下
出典:2026年度地域課題解決型起業支援事業 2次募集 募集要項(PDF)1ページ。企業組合・労働者協同組合・特定非営利活動法人・一般社団法人は、この規模要件とは別に対象法人として列挙されています。

業種の判断について、公式FAQは総務省の日本標準産業分類の中分類から選び、複数の分類にまたがる場合は収入額または販売額が最も多い事業活動で判断するよう案内しています。

居住地についても要件があり、北海道内に住民票を有し居住しているか、事業実施期間完了日までに道内に住民票を移して居住する予定であることが必要です。法人の登記または個人事業の開業届出も道内で行う必要があります。このほか、大企業からの出資・役員受け入れの制限、道税・消費税および地方消費税の滞納がないこと、破産者で復権を得ない者でないこと、反社会的勢力と関係がないことなども条件です。申請者が未成年の場合は法定代理人の同意が必要になります。

対象外と判断される代表的なケース

募集要項と公式FAQで、対象外になることが明示されているのは次のようなケースです。

  • 開業届を提出しないですでに事業を行っている人、休業中の法人やその代表者
  • 個人事業主が法人成りをする場合(FAQで対象外と明記)
  • 代表者が複数いる法人を設立する場合で、申請者以外の代表者がすでに事業を営んでいる場合(FAQで対象外と明記)
  • 企業組合・労働者協同組合で、組合員の中に事業を営んでいる個人がいる場合
  • 第一次産業(農業・林業および水産業)に分類される事業
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する風俗営業等に該当する事業、公序良俗に反する事業

なお、道外で事業を営んでいた人が北海道へ移住して起業する場合は、2026年4月1日の前日時点で事業を営んでいないこと(廃業届の提出や会社の解散等)が必要だとFAQに記載されています。個別の事情はさまざまなため、この類型に当たる場合は申請前にセンターへ問い合わせるよう案内されています。

他の補助金との併用が制限される場合

申請する事業の内容の全部または一部を対象として、国(独立行政法人を含む)から補助金等の交付を受ける場合、この起業支援金は受給できません。国費を財源としない補助金であっても、対象経費を重複して計上することはできません。

さらに公式FAQでは、国費を財源とする補助金等のうち起業・創業支援を目的とするものについては、事業年度が異なっていても重複して受給できないとされています(例として地域おこし協力隊の起業に係る補助金が挙げられています)。地方自治体が窓口の補助金でも財源に国費が含まれる場合があるため、他制度と併用する予定があるときは、申請前にセンターへ相談することが求められています。提出書類にも「他の補助金、助成金への応募状況がわかる資料(応募予定のものを含む)」が含まれています。

補助率2分の1以内・上限200万円の補助額を計算する

補助率は2分の1以内、補助上限額は200万円です。募集要項では、起業支援金の額を算出する際に千円未満の端数が生じたときは切り捨てとされています。また、公租公課(消費税および地方消費税等)は対象外経費に挙げられているため、以下の計算例は税抜の対象経費で示します。

補助額と自己負担額の計算例

対象経費(税抜)補助額の計算補助額自己負担額
120万円120万円×1/2=60万円(上限内)60万円60万円
400万円400万円×1/2=200万円(上限と同額)200万円200万円
500万円500万円×1/2=250万円→上限200万円を適用200万円300万円
1,234,567円1,234,567円×1/2=617,283.5円→千円未満切り捨て617,000円617,567円
計算例です。実際の交付額は審査により決定されます。補助率・上限額・端数処理の根拠は募集要項3ページ

対象経費が400万円を超えると、超過分はすべて自己負担になります。補助金の支払いは事業完了後の精算払いのため、事業実施期間中は対象経費の全額を自己資金または融資でいったん支出することになります。

経費区分ごとに別の上限が設定されている

補助上限額200万円とは別に、募集要項では一部の経費区分に個別の上限が設けられています。事業計画の経費明細を作る前に確認しておく項目です。

経費区分個別の上限
人件費フルタイム従業員1人当たり月額35万円、パート・アルバイト従業員等は1人当たり日額換算8千円
知的財産権等関連経費補助対象経費総額(税抜)の3分の1
委託費補助対象経費総額(税抜)の2分の1
外注費区分としての上限額はなし(ただし金額が過大で申請者に事業の主体性が認められない場合は対象外となる可能性があるとFAQに記載)
出典:募集要項「Ⅱ 対象経費について」公式FAQ(PDF)

人件費については、法人の代表者・役員、組合の役員および組合員、個人事業主本人と生計を一にする三親等以内の親族の人件費は対象外です。雇用主が負担する社会保険料や労働保険料などの法定福利費も対象になりません。

交付決定日より前に発注・契約した経費はどこまで対象になるか

この制度で最も判断を誤りやすいのが、経費を計上できる時期です。募集要項では、交付決定日(2026年10月上旬予定)以降に発注(契約)した経費が対象とされています。公式FAQはさらに具体的で、原則として事業実施期間中に「発注」「納品」「請求」「支払」等の取引がすべて行われた経費が対象だと説明しています。

つまり、申請してから交付決定を待つ間に設備を発注したり内装工事の契約を結んだりすると、その経費は補助対象から外れます。締切前の準備段階では見積書を取得するところまでにとどめ、発注は交付決定通知を受けてから行うという順序になります。

人件費・店舗等借料・借料は例外として扱われる

募集要項の但し書きにより、人件費・店舗等借料・借料の3区分は交付決定日前に契約したものも対象になり得ます。ただし対象となるのは、交付決定日以降に支払った分のうち、事業実施期間に対応する部分です。

  • 人件費:交付決定日前に雇用している従業員でも、交付決定日以降に支払われた給与・賃金のうち事業実施期間に対応する分は対象。交付決定日前に支払った給与・賃金は対象外
  • 店舗等借料:交付決定日前に賃貸借契約を締結した店舗でも、事業実施期間に対応する分は対象。交付決定日前に支払った賃借料は対象外
  • 借料:交付決定日前から借用している物件等についても、交付決定日前に支払った賃借料は対象外

店舗賃料が前月払いの場合の考え方(公式FAQの例)

公式FAQには、店舗賃料の支払期日が前月25日払いの場合について、事業期間を2026年6月26日(交付決定日)〜2027年1月15日と仮定した具体例が示されています。

  • 2026年6月25日に支払う7月分賃料:交付決定日前の支出のため全額対象外
  • 2026年7月25日に支払う8月分賃料、2026年11月25日に支払う12月分賃料:対象
  • 2026年12月25日に支払う1月分賃料:日割り計算により1月15日までの分が対象
  • 2027年1月25日に支払う2月分賃料:全額対象外

2次募集の交付決定は2026年10月上旬の予定なので、この考え方をあてはめると、賃料が前月払いの物件では9月中に支払う10月分賃料が対象外になる可能性があります。物件をすでに借りている、あるいはこれから借りる予定がある場合は、支払期日と交付決定日の前後関係を確認しておく必要があります。判断に迷う場合は、FAQでもセンターへの確認が案内されています。

対象経費と対象外経費の境界でつまずきやすいポイント

補助対象経費は、人件費、店舗等借料、設備費、原材料費、借料、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、マーケティング調査費、広報費、その他事務局が必要と認める経費の13区分です。区分名だけを見ると幅広く使えそうに見えますが、募集要項では区分ごとに細かい除外規定が置かれています。

設備費:単価5千円未満・中古品・汎用パソコンは対象外

設備費として対象になるのは、道内の店舗・事務所の開設に伴う外装工事・内装工事費用、機械装置・工具・器具・備品の調達費用、事業計画書に記載された補助事業のみに利用する特定業務用ソフトウェアなどです。一方、次のものは対象外とされています。

  • 単価5千円(税抜)未満のもの、消耗品
  • 中古品の調達費用
  • 不動産の購入費、新築工事・建物本体に影響を与える増築工事・改築工事、外構工事
  • 車両(キッチンカーを含む)の購入費(リース・レンタル費用は「借料」で対象)
  • 汎用性が高く補助事業に限定して使用されると特定できない物(例としてパソコン、タブレット端末、電話機、複合機、事務用プリンター、カメラ等が明記)
  • 家庭用・一般事務用ソフトウェアの購入費やライセンス費用(FAQでは会計ソフトが対象外と明記)
  • DIY工事の設備材料費

デジタル技術の活用が要件になっている制度でありながら、パソコンやタブレットの購入費は汎用品として対象外に挙げられています。機械装置・工具・器具・備品として認められるのは、単価5千円(税抜)以上かつ耐久年数1年以上で、長期間にわたり形状を変えずに繰り返し使用できる物品です。また、外装・内装工事および設備費のうち単価50万円(税抜)以上のものは、事業実施期間完了後も一定期間は無断で処分できません。

店舗等借料:敷金・礼金や自宅兼事務所の扱い

店舗等借料では、道内の店舗・事務所・駐車場の賃借料や共益費、賃貸借契約に伴う仲介手数料が対象です。対象外として挙げられているのは、敷金・礼金・保証金等、火災保険料・地震保険料、補助事業に直接関係のない駐車場の賃借料、本人または三親等以内の親族個人が所有する不動産に係る借料、自己所有物件などです。

自宅兼事務所で起業する場合、対象になるのは店舗・事務所専有部分に係る賃借料のみで、間仕切り等により物理的に住居部分と明確に区別されていることが条件です。募集要項は、専有部分の証明が不十分で対象外と判断されるケースとして、部屋のデスク部分だけを仕事スペースとして使用し自宅と事務所エリアの区分けがされていない場合や、固定した仕切りがないまま他の事業者と同じ空間で事務所を使用している場合を挙げています。賃貸物件の場合は、図面を用いた面積按分など適切な方式で算出した資料の提出が必要です。

なお公式FAQは、税務上の損金に計上できる場合でも本補助金の対象経費になるとは限らないとしています。確定申告での家事按分と同じ割合をそのまま計上できるわけではない点に注意が必要です。

経費区分を問わず対象外となるもの

募集要項の「その他費用」では、どの区分であっても対象にならない経費が列挙されています。

  • 手形・小切手による支払い、立替払いで精算が済んでいないものなど、支払いが明確に判別できないもの
  • 求人広告、電話代・インターネット利用料金等、光熱水費
  • プリペイドカード・商品券・切手代等の金券の購入費
  • 事務用品・衣類・食器・ノベルティ等の消耗品に類する費用、雑誌購読料、新聞代、書籍代
  • 飲食、奢侈、遊興、娯楽、接待の費用
  • 公租公課(消費税および地方消費税等)、登録免許税、各種保険料
  • 振込手数料、代引き手数料、キャンセルに係る取引手数料
  • 借入金の支払利息および遅延損害金、動植物、自動車等車両の修理費・車検費用

支払方法にも条件があり、原則として銀行振込(預金振替)による支払いが証明できる経費が対象です。分割払いやクレジットカード決済の場合は、金融機関からの引き落としが事業実施期間内に完了している必要があります。振込控えは一定期間が経過すると再発行できない場合があるため、取引の都度、発注書・納品書・請求書・銀行振込控を整備しておくことが求められています。

親族間の取引についても、募集要項24ページに利益相反と判断される例の一覧表があります。たとえば個人事業主が生計を一にする三親等以内の親族を従業員として雇用する場合や、三親等以内の親族個人が所有する不動産・車両を賃借する場合は対象外です。三親等以内の親族が代表権を有する法人へ役務委託・調達発注を行う場合は、相見積もりを取れば対象になるとされています。

公式に示された評価基準6項目と「一定程度優遇」される3つの条件

審査は、書類審査と審査会の2段階で行われます。書類審査では補助対象者の要件と補助の対象となる起業の要件に適合しているかが確認され、審査会では事業計画が評価されたうえでセンター理事長が交付対象事業者を決定します。選定の過程で事務局からヒアリングが行われる場合や、追加書類の提出を求められる場合があります。審査結果に対する問い合わせには応じられないとされています。

募集要項に記載された評価基準

  • デジタル技術の活用(生産性の向上・機会損失の解消および顧客の利便性の向上につながるデジタル技術を活用しているか)
  • 社会性(本道の地域社会が抱えている課題の解決に資するか)
  • 事業性(事業収益によって自律的な事業継続が可能か)
  • 必要性(地域の課題に対する事業の需要が見込まれるか)
  • 資金調達の見込み
  • その他評価するに当たり考慮すべきと認められるもの

交付対象事業者の決定時に一定程度優遇される3条件

募集要項には、次の3つに該当する者について、交付対象事業者を決定する際に一定程度優遇すると明記されています。

  • 空き店舗(近隣商業地域または商業地域に限る)を活用する者
  • 道外から移住する者(2026年4月1日以降に移住した者に限る)
  • 札幌市以外の区域で創業する者

空き店舗の活用で優遇を受ける場合、提出書類として市町村が発行する用途地域証明書が必要です。用途地域証明書を発行していない市町村(札幌市等)については、各市町村等が運営する地図情報サービス等の印刷物を添付します。物件を探している段階であれば、候補物件が近隣商業地域または商業地域に含まれるかを先に確認しておくことになります。

なお、優遇の具体的な配点や評価方法は公表されていません。公式資料で確認できるのは、この3条件が優遇の対象として明記されているという事実までです。

2026年8月19日から逆算した申請準備と提出書類

提出書類は、全員が提出する8点と、該当する人だけが提出する8点に分かれています。様式はセンターの2次募集ページからダウンロードできます。

全員が提出する8点

  1. 様式第1 2026年度地域課題解決型起業支援金 交付申請書
  2. 様式第1・別紙1 申請事業の経費明細
  3. 様式第1・別紙2 申請事業の経費明細(内訳)
  4. 様式第1・別紙3 暴力団員等に該当しない者であること等の誓約書
  5. 2026年度地域課題解決型起業支援金 事業計画書
  6. 補助対象経費の金額および内容が分かる資料(見積書等、店舗物件資料、謝金・外注費・委託費等の内容がわかるもの)※添付がない場合は原則対象外
  7. 住民票(申請日前3カ月以内に取得したもの)
  8. 都道府県民税について未納がないことのわかる書類(申請時点で最新のもの)。過去に事業経験がある場合は消費税についての納税証明書

該当する人だけが提出する8点

  • 同意書(申請者が未成年の場合)
  • 他の補助金、助成金への応募状況がわかる資料(応募予定のものを含む)
  • 開業届の写し(2026年4月1日以降に開業届を提出した方)
  • 登記事項証明書等(2026年4月1日以降に法人等を設立した方)
  • 事業内容がわかる資料等
  • 市町村が発行する用途地域証明書(近隣商業地域または商業地域の空き店舗を活用する場合)
  • 廃業または退任したことが分かる資料(過去に起業経験や法人の代表経験のある方)
  • 確定申告書の写し(2026年に確定申告をした方)

資料はA4サイズ片面縦に統一し、ホチキス止めをしないよう指定されています。提出された書類は返却されません。募集要項には「提出必要書類チェック表」が用意されているので、提出前にこれで確認します。

取得に日数がかかる書類から着手する

締切は2026年8月19日17時です。自分で作成できる書類と、役所や取引先の対応を待つ必要がある書類を分けて考えると、着手の順番が決まります。

  • 第三者の対応を待つもの:住民票、都道府県民税の未納がないことがわかる書類、納税証明書、用途地域証明書(発行のない市町村では地図情報サービスの印刷物)、登記事項証明書、対象経費の見積書、カタログ等の資料
  • 自分で作成するもの:交付申請書、経費明細(別紙1・別紙2)、誓約書、事業計画書
  • 事前に相談が必要な場合があるもの:紙媒体での提出、「その他事務局が必要と認める経費」への該当可否、他の補助金との併給、業種区分の判断

証明書の交付にかかる日数は市町村によって異なるため、この記事では具体的な日数を示しません。ただし公式FAQは、「その他知事が認める経費」への該当可否について、確認に時間を要するため日にちに余裕を持って相談するよう案内しています。また、経費の見積書は補助対象経費の根拠資料であり、添付がない場合は原則として対象外になるため、業者からの見積取得は最優先で進める項目になります。

交付決定後に発生する手続きと入金までの資金繰り

交付決定を受けた後の手続きも、申請前に把握しておきたい内容です。

補助金は精算払いで、入金は2027年2月末の予定

起業支援金は精算払いです。事業実施期間内に実績報告書を提出し、事業成果・物品納入・事業費の計上・取引先への支払い等の内容を完了検査等で確認した後に支払われます。募集要項のスケジュールでは、実績報告書の提出最終期限が2027年1月30日、額の確定および支払いが2027年2月末の予定です。

交付決定が2026年10月上旬なので、開業に必要な支出は2026年10月から2027年1月にかけて自己資金または融資で先に行い、補助金の入金は最短でも2027年2月末になります。開業資金の計画を立てる際は、この約4〜5か月の立替期間を織り込む必要があります。

5年間の報告義務と50万円以上の財産の処分制限

  • 事業実施期間完了日以降に迎える事業年度末(個人事業主は12月31日、法人は決算日)から起算して5年間、各事業年度末の事業活動の状況について事業化等状況報告書を提出する
  • 事業に関する記録や経理帳簿・証拠書類は5年間保存する
  • 取得価格が1件あたり税抜50万円以上の財産は、事業実施期間完了後も一定期間(減価償却資産の耐用年数に相当する期間)は無断で処分等ができない。処分等にはセンターの事前承認が必要
  • 取得した財産の処分等により収入があったとき、または事業化等状況報告書等で一定の収益が生じたと認められる場合は、起業支援金の全部または一部の返還を求められる場合がある
  • 北海道または会計検査院による会計検査等が行われる場合がある

また、交付決定後に経費支出計画を無条件に変更することはできません。補助事業の内容を変更する場合は変更申請が必要ですが、補助事業の目的に変更をきたさず、事業量または事業費の変更が20%以内であるときは変更申請が不要とされています。

交付対象事業者の情報は公開される

交付決定を受けた場合、屋号および会社名、事業場所、事業テーマ名が北海道庁のホームページで公開されます。募集要項では、交付対象事業者の氏名、事業テーマ、開業地等の情報を原則として北海道およびセンターのホームページ等で公開するとされています。開業前の段階で事業内容が公表されることになるため、公表を前提に事業テーマ名を検討することになります。

北海道が公表している地域課題解決型起業支援事業の実績

北海道は、この事業で起業支援を行った実績を公表しています。2次募集分だけの数字ではなく年度全体の数字ですが、制度の規模感を把握する材料になります。

年度申請者数起業支援金の交付者数
令和7年度56名32名
令和6年度56名32名
令和5年度56名28名
令和4年度52名26名
令和3年度57名29名
令和2年度23名17名
令和元年度17名12名
出典:地域課題解決型起業支援事業における実績について(北海道 経済部地域経済局中小企業課)

公表されている交付対象事業者の情報

同じページには、年度ごとの採択者事業一覧として、屋号・会社名、事業場所、事業テーマが掲載されています。令和7年度に交付を受けた32件では、江別市、苫小牧市、千歳市、小樽市、釧路市、帯広市、旭川市、北広島市、上ノ国町、当別町、余市町、幕別町、岩見沢市、喜茂別町、紋別市、清里町、中札内村など道内各地が事業場所として並び、事業場所が札幌市とされているのは3件です。募集要項が「札幌市以外の区域で創業する者」を優遇の対象として明記していることと合わせて確認できる情報です。

事業テーマとしては、地域材を活用したクラフト製品の体験講座、デジタル技術で効率化した診療所、障害者の自立支援を目的とした菓子店、空き家再生、地域連携型の買い物支援などが公表されており、募集要項が挙げる社会的事業の分野に対応した内容が並んでいます。

ただし、公表されているのは屋号・事業場所・事業テーマ名までで、審査の評価内容、採択理由、個別の交付額は公表されていません。この一覧から採択されやすい事業内容を読み取ることはできないため、事業計画は募集要項の評価基準に沿って組み立てることになります。

北海道地域課題解決型起業支援事業(2次募集)のまとめ

2026年度の2次募集は、2026年8月19日(水)17時必着で受付中です。補助率は2分の1以内、補助上限額は200万円(千円未満切り捨て)で、対象は2026年4月1日以降に道内で新たに起業し、デジタル技術を活用して地域課題の解決に取り組む個人です。

申請前に確認しておきたいのは次の点です。

  • 交付決定は2026年10月上旬の予定で、人件費・店舗等借料・借料を除き、交付決定日以降に発注した経費が対象になる
  • パソコン・タブレット等の汎用品、中古品、単価5千円(税抜)未満の物品、車両購入費は設備費の対象外
  • 空き店舗(近隣商業地域・商業地域)の活用、道外からの移住、札幌市以外での創業は、交付対象事業者の決定時に一定程度優遇されると明記されている
  • 提出書類は必須8点に加えて該当者向けが8点あり、住民票や納税関係書類、用途地域証明書など第三者の発行を待つものが含まれる
  • 支払いは精算払いで、入金は2027年2月末の予定。交付決定後は5年間の報告義務がある

制度の詳細や最新の情報は、公益財団法人北海道中小企業総合支援センターの2次募集ページ募集要項(PDF)公式FAQ(PDF)で確認してください。要件や経費の判断に迷う場合は、募集要項でもセンター(企業振興部企業振興グループ/電話011-232-2403、jyoseishien@hsc.or.jp)への事前確認が案内されています。