今治市雇用促進奨励金は、今治市に事業所を新設・増設・移転した企業、または市内の賃貸オフィスに事業所を開設した企業が、その立地にともなって新たに市内居住の従業員を雇用したときに交付される奨励金です。根拠となるのは今治市企業立地促進条例(平成18年今治市条例第25号)で、令和5年4月1日施行の改正内容が現行制度になります。
交付額は新規雇用従業員1人につき50万円以内、賃貸借型企業立地奨励金に該当する企業は1人につき30万円以内です。限度額は立地場所で変わり、指定区域を除く今治市全域は1億円、今治新都市区域(指定区域)は条例に限度額の定めがありません。
この奨励金は単独では申請できません。先に「企業立地促進奨励金」または「賃貸借型企業立地奨励金」の交付要件に該当し、市長から適用事業者の指定を受けていることが前提になります。さらに指定申請書には、建築確認済証の交付日から30日以内、操業開始日の60日前まで、賃貸借契約の締結日から14日以内という提出期限が定められており、この期限を過ぎると奨励金そのものを受けられなくなります。
本記事では、自社が対象になるかの判定、1人50万円コースと30万円コースの分かれ方、指定申請の期限からの逆算、交付申請の添付書類、他制度との重複禁止までを、今治市の条例・施行規則と市公式ページにもとづいて整理します。
今治市雇用促進奨励金の基本情報
| 制度名 | 雇用促進奨励金/指定区域雇用促進奨励金(企業立地優遇制度・今治市企業立地促進条例) |
| 実施機関 | 今治市 産業部産業政策局産業振興課 |
| 対象地域 | 愛媛県今治市内(指定区域「今治新都市区域」と、指定区域を除く全域) |
| 対象者 | 企業立地促進奨励金または賃貸借型企業立地奨励金の交付要件に該当し、適用事業者の指定を受けた事業者 |
| 交付額 | 新規雇用従業員1人につき50万円以内(賃貸借型企業は1人につき30万円以内) |
| 限度額 | 指定区域を除く全域:1億円/今治新都市区域:条例に限度額の定めなし |
| 申請時期 | 操業開始後に交付要件を満たした日以降(条例第9条第1項第4号) |
| 受付期間 | 2026年4月1日〜2027年3月31日(Jグランツ公募詳細ページ) |
| 申請方法 | 今治市産業振興課へ奨励金交付申請書(別記様式第8号)と添付書類を提出 |
| 根拠法令 | 今治市企業立地促進条例/同施行規則(いずれも令和5年4月1日施行) |
| 問い合わせ先 | 今治市産業振興課(電話0898-36-1540) |
表のとおり、この制度は対象経費に補助率を掛ける補助金ではなく、新規雇用従業員の人数に応じて金額が決まる奨励金です。したがって「経費の2分の1」といった補助率や、対象経費ベースの自己負担額という考え方はありません。一方で、金額の上限が「50万円以内」「30万円以内」と定められている点には注意が必要です。条例上は1人あたり50万円が確定額ではなく上限額であり、交付額は市の審査と予算の範囲内で決まります(条例第10条)。
2026年度の今治市雇用促進奨励金は申請できる状態か
2026年度の受付期間は、Jグランツの公募詳細ページで2026年4月1日から2027年3月31日までと示されています。募集回の設定や締切日の前倒しは示されておらず、条例第9条第1項第4号のとおり「操業開始後において交付要件を満たした日以降」に随時申請する形です。
ただし、Jグランツの公募詳細ページには申請ボタンが用意されていません。申請は今治市産業振興課への書類提出で行います。今治市「奨励金交付までの手続き」でも、奨励金の交付を受けるにはまず市長に申請して適用事業者の指定を受ける必要があると案内されています。電子申請で完結する制度だと考えて準備を進めると、窓口提出の日程を組み込み忘れることになります。
現行の交付要件・交付額は、令和5年3月24日の条例改正・規則改正(いずれも令和5年4月1日施行)による内容です。条例と施行規則の附則には、改正後の規定は施行日以後の指定に係るものに適用し、施行日前の指定については従前の例によると定められています。すでに古い年度に指定を受けている事業者は、当時の要件が適用される点も押さえておいてください。
出典:Jグランツ「今治市雇用促進奨励金」公募詳細/今治市「奨励金交付までの手続き」/今治市企業立地促進条例
自社が対象になるかを3ステップで判定する
雇用促進奨励金は、雇用したことだけでは要件を満たしません。判定は「どこに立地するか」「どの業種か」「土台となる奨励金の要件を満たすか」の順で進めると迷いません。
ステップ1 立地場所が今治新都市区域か、それ以外かを確認する
今治市の企業立地優遇制度は、企業の集中的立地を図る区域である指定区域(今治新都市区域)と、指定区域を除く全域の2区分で設計されています。どちらに立地するかで、対象業種・限度額・交付対象年度が変わります。予定地が今治新都市区域に含まれるかどうかは、用地の位置で決まるため、土地・建物を決める段階で産業振興課に確認しておくべき項目です。
ステップ2 業種が施行規則の別表に掲げられているかを確認する
対象業種は今治市企業立地促進条例施行規則の別表第1(指定区域を除く全域)と別表第2(指定区域)で、日本標準産業分類の中分類・小分類まで指定されています。大分類が合っていても小分類で外れることがあるため、自社の事業がどの小分類に当たるかを先に特定してください。
ステップ3 企業立地促進奨励金か賃貸借型企業立地奨励金の要件を満たすかを確認する
雇用促進奨励金は、企業立地促進奨励金または賃貸借型企業立地奨励金の交付要件に該当する指定事業者に交付される制度です(条例第4条第2項)。指定区域を除く全域の場合、企業立地促進奨励金は新設で投下固定資産総額1億円以上(中小企業者は5,000万円以上)、増設・移転で投下固定資産総額3億円以上(中小企業者は1億円以上)かつ新規雇用従業員10人以上(中小企業者は3人以上)が要件です。賃貸借型企業立地奨励金は、賃貸借型企業の立地にともなう新規雇用従業員が2人以上であることが要件になります。
このため、投下固定資産の要件を満たせない企業は、賃貸オフィスで開設して賃貸借型のルートに乗るかどうかが分岐点になります。ただし賃貸借型の対象業種は情報通信業(情報サービス業、インターネット附随サービス業、映像・音声・文字情報制作業)と学術研究、専門・技術サービス業(学術・開発研究機関、専門サービス業、広告業)に限られており、製造業や卸売業は賃貸借型ルートを使えません。
あわせて、指定を受けるには土地・建物の引渡日から5年以内の操業開始、環境保全に関する適切な措置、都市計画法・建築基準法その他の法令への適合、国・地方公共団体でないことという条件も満たす必要があります(条例第6条第2項)。市長は指定に際して公害防止協定の締結などの条件を付すことができるとも定められています。
立地場所で変わる限度額と対象業種
同じ「今治市雇用促進奨励金」でも、指定区域と指定区域を除く全域では条文が別立てになっています(条例別表第1・別表第2)。金額に直結するため、ここを取り違えると受給見込み額の計算が崩れます。
指定区域を除く全域:限度額1億円、医療・福祉は産科・小児科に限られる
指定区域を除く今治市全域では、雇用促進奨励金の限度額は1億円です。対象業種は施行規則別表第1で、製造業(先進的植物工場を含む)、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、卸売業、医療・福祉、学術研究、専門・技術サービス業とされていますが、小分類の限定が付いています。
- 医療・福祉は「医療業」のうち産科、小児科に限る
- 卸売業、小売業は各種商品卸売業から その他の卸売業までで、小売業は掲げられていない
- 映像・音声・文字情報制作業は映像情報制作・配給業と広告制作業、学術研究の広告業はデザイン業で、いずれも専ら情報通信の技術を利用する方法により行う事業に限る
- インターネット附随サービス業にはコールセンター事業を含む
「医療・福祉なら対象」と読み取ってしまうと、介護事業所や一般診療科の開設で対象外になります。
今治新都市区域:条例に限度額の定めがなく、運輸業・教育も対象になる
指定区域雇用促進奨励金は、条例別表第2で「新規雇用従業員1人につき50万円以内の額(賃貸借型企業は1人につき30万円以内の額)」と定められ、限度額の記載がありません。今治市の公式ページでも指定区域雇用促進奨励金は「限度額なし」と表示されています。
対象業種も広く、施行規則別表第2では別表第1に加えて運輸業、郵便業(鉄道業、道路旅客運送業、道路貨物運送業、水運業、航空運輸業、倉庫業、運輸に附帯するサービス業)と教育・学習支援業(学校教育、社会教育、職業・教育支援施設)が対象です。医療・福祉には産科・小児科の限定が付いていません。土地の取得を検討している場合は、今治市指定区域用地取得奨励金も同じ区域を対象にしています。
出典:今治市企業立地促進条例 別表第1・別表第2/同施行規則 別表第1・別表第2/今治市「奨励金の概要」
新規雇用従業員として数えられる人と数えられない人
交付額は「新規雇用従業員」の人数で決まります。この用語は条例第2条第4号で定義されており、一般的な意味の新規採用者とは範囲が違います。
雇用時期・居住・雇用期間の3要件をすべて満たす必要がある
条例第2条第4号は、新規雇用従業員を「企業の立地に伴い新たに雇用される従業員」としたうえで、次の条件を付けています。
- 今治市に居住する者であること
- 操業開始の1年前から操業開始後6月までの間に雇用されていること
- 奨励金の申請時に引き続き今治市に居住していること
- 連続して1年以上雇用されていること
この定義から、次のような採用は人数に入りません。操業開始の1年3か月前に雇用した従業員、操業開始から8か月後に雇用した従業員、採用後に今治市外へ転居した従業員、雇用期間が1年未満の従業員です。逆に言えば、採用の時期を操業開始日から見て「1年前〜6か月後」の窓に収めることが、金額を左右する実務ポイントになります。
また「申請時に引き続き今治市に居住」という条件があるため、住民票抄本を交付申請の直前に取得する必要があります。採用時点の住所だけを確認して安心すると、申請時に要件を欠く可能性があります。
短時間労働者を人数に含められるのは賃貸借型ルートだけ
短時間労働者の扱いは、どちらのルートで指定を受けたかによって変わります。条例第2条第4号のただし書きは、短時間労働者を新規雇用従業員に含めるのは、賃貸借型企業立地奨励金および指定区域賃貸借型企業立地奨励金、ならびにこれらを要件とする雇用促進奨励金・指定区域雇用促進奨励金に限ると定めています。
つまり、1人30万円以内となる賃貸借型ルートでは短時間労働者を人数に算入でき、施行規則第3条により2人をもって新規雇用従業員1人とみなします。一方、1人50万円以内となる企業立地促進奨励金ルートでは、短時間労働者は新規雇用従業員に含まれません。「短時間労働者は2人で1人と数える」という説明を制度全体のルールとして受け取ると、50万円ルートで見込み額を過大に計算してしまいます。
なお短時間労働者は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条に定めるものを指します。
交付額の計算例
以下は実際の採択事例ではなく、条例別表の金額をもとにした計算例です。
- 計算例1(指定区域を除く全域・企業立地促進奨励金ルート) 中小企業者が投下固定資産総額6,000万円で新設し、要件を満たす新規雇用従業員が4人。1人50万円以内で算定された場合、50万円×4人=200万円。限度額1億円の範囲内。
- 計算例2(指定区域を除く全域・賃貸借型ルート) 情報サービス業の企業が賃貸オフィスを開設し、要件を満たす新規雇用従業員がフルタイム2人と短時間労働者2人。短時間労働者2人は1人とみなされるため、算定人数は3人。30万円×3人=90万円。
- 計算例3(限度額に達する場合) 指定区域を除く全域で、1人50万円として算定される新規雇用従業員が250人の場合、単純計算は1億2,500万円ですが、限度額1億円が適用されます。
条例の文言は「50万円以内の額」「30万円以内の額」です。1人あたりの単価が常に上限額で確定するとは条例に書かれておらず、交付額は市の審査を経て予算の範囲内で決定されます(条例第10条)。消費税の扱いや端数処理については条例・施行規則に規定が見当たらないため、想定額の算定方法は事前に産業振興課へ確認してください。
指定申請書の提出期限から準備を逆算する
この制度でもっとも見落としやすいのが、奨励金の交付申請ではなく、その前段にある「適用事業者の指定申請」の期限です。施行規則第6条第3項と今治市「奨励金交付までの手続き」は、事業者の状況に応じて次の期限を定めています。
建築確認が必要な場合は確認済証の交付日から30日以内
工場や事務所を建てるなど、企業の立地に係る建築基準法の規定による申請が必要な事業者は、建築基準法第6条第1項の確認済証の交付の日から30日以内に指定申請書を提出します。着工や竣工が基準ではなく、確認済証が下りた日が起点です。設計事務所や施工会社から確認済証を受け取ったら、その日付を確認して30日のカウントを始めてください。
建築確認が不要な場合は操業開始日の60日前まで
建築基準法の申請が必要のない事業者(賃貸借する事業者を除く)は、操業を開始する日の60日前までが提出期限です。操業開始日を決めた時点で、その2か月前が実質的な締切になります。
賃貸オフィスで開設する場合は賃貸借契約の締結日から14日以内
事業の用に供する建物を賃貸借する事業者は、建物の賃貸借契約の締結日から14日以内に指定申請書を提出しなければなりません。3つの期限のうちもっとも短く、契約を結んでから物件の内装や採用計画を詰めている間に過ぎてしまいやすい期限です。賃貸借型ルートを検討する場合は、契約締結前に産業振興課へ相談し、申請書類をそろえた状態で契約日を迎える段取りが現実的です。
なお設備更新に係る奨励金を受けようとする事業者は、設備更新に着手するまでが提出期限です。設備投資奨励金を検討している場合は今治市設備投資奨励金の記事もあわせて確認してください。市長が別に定める必要があると認めたときは、操業を開始する日までの間の定めた日までとする例外規定も置かれています。
指定申請書(別記様式第1号)には、事業実施計画書(別記様式第2号)、法人登記事項証明書または住民票抄本、印鑑(登録)証明書、定款・寄附行為または規約、直近1事業年度の貸借対照表・損益計算書・剰余金処分計算書、土地の登記事項証明書および申請位置図、配置図および設計図、見積書または契約書の写し、市税の完納証明書、建築基準法の確認済証の写しを添えます(施行規則第6条第1項)。登記事項証明書や市税の完納証明書は取得に時間がかかるため、期限が14日や30日と短い場合は、期限の起点となる日より前に手配を始めておく必要があります。
指定を受けたあと、操業を開始したとき、または設備更新が完了したときは、その日から14日以内に操業開始届(別記様式第11号)を提出します(施行規則第13条)。事業を休止・廃止したときも14日以内の届出が必要です。
指定申請から奨励金の入金までの手順
- 今治市産業振興課へ事前相談し、立地予定地の区域区分と業種の該当性、どちらのルートで指定を受けるかを確認する。
- 施行規則第6条第3項の期限までに、指定申請書(様式第1号)と添付書類を提出する。
- 市の審査を経て、指定(不指定)書(様式第3号)が交付される。申請内容を変更する場合は指定申請内容変更申請書(様式第4号)で承認を受ける。
- 操業開始日から14日以内に操業開始届(様式第11号)を提出する。
- 新規雇用従業員が「連続して1年以上雇用」「申請時に引き続き今治市に居住」の条件を満たした日以降に、奨励金交付申請書(様式第8号)と添付書類を提出する(条例第9条第1項第4号)。
- 市が内容を審査し、奨励金交付(不交付)決定通知書(様式第10号)が交付される。
- 交付決定通知を受けた後、市長に奨励金の請求を行う(施行規則第11条)。請求手続きを行わないと入金されません。
手順5の申請時期に注意してください。操業開始と同時に申請できるわけではなく、新規雇用従業員の雇用が連続1年に達するまで待つ必要があります。操業開始と同時に雇用した従業員であれば、最短でも操業開始から1年後が申請可能時期の目安になります。奨励金の交付は今治市補助金等交付規則にもよるため、入金時期は請求後の市の事務処理に従います(施行規則第12条)。
雇用促進奨励金の交付申請に必要な添付書類
施行規則別表第3では、奨励金の種類ごとに添付書類が指定されています。雇用促進奨励金・指定区域雇用促進奨励金の列に○が付いているのは次の書類です。
- 事業実施報告書(別記様式第9号)
- 市税の完納証明書
- 投下固定資産総額が証明できる書類
- 新規従業員の労働者名簿の写し(労働基準法第107条第1項の労働者名簿)
- 新規従業員の賃金台帳の写し(労働基準法第108条第1項の賃金台帳)
- 新規従業員の住民票抄本
- その他市長が必要と認める書類
ここで重要なのは、居住と雇用の証明に使われるのが雇用契約書ではなく労働者名簿・賃金台帳・住民票抄本だという点です。労働者名簿と賃金台帳は労働基準法上の法定帳簿で、氏名・雇入れの年月日・従事する業務の種類・賃金の支払状況が記録されます。採用時からこの2つを正しく整備していないと、後から作り直すことになります。住民票抄本は新規雇用従業員本人のものが必要なため、取得の依頼と同意を得る段取りも見込んでおいてください。
複数の奨励金交付申請書を同時に提出する場合、重複する添付書類は省略できます(別表第3備考1)。企業立地促進奨励金と雇用促進奨励金を同時に申請する場合は、市税の完納証明書などを一部にまとめられます。
出典:今治市企業立地促進条例施行規則(第6条・第10条〜第13条、別表第3、別記様式)
他の奨励金や市の補助金と併用できるのか
今治市企業立地促進条例には、重複支給を禁止する条文と、市の他の補助金等を受けている場合の不交付条項が置かれています。併用を前提に資金計画を立てる前に、この2条を確認してください。
条例第14条で重複支給が禁止されている組み合わせ
条例第14条は、次の奨励金を重複して支給しないと定めています。指定区域内における同種の奨励金についても同様です。
- 企業立地促進奨励金と賃貸借型企業立地奨励金
- 設備投資奨励金と他の奨励金
- 指定区域用地取得奨励金と指定区域大規模用地取得奨励金
雇用促進奨励金にとって影響が大きいのは2番目です。設備投資奨励金は他の奨励金と重複支給されないため、中小企業者が設備更新で設備投資奨励金を選ぶ場合、雇用促進奨励金との併用は想定されていません。設備更新と新規雇用の両方を予定している企業は、どちらの制度を使うほうが総額で有利になるかを、指定申請の前に比較しておく必要があります。設備投資奨励金の要件と金額は今治市設備投資奨励金の記事で確認できます。
一方で、企業立地促進奨励金(固定資産税の収納額に相当する額)と雇用促進奨励金は、条例第4条第2項が雇用促進奨励金を企業立地促進奨励金の交付要件該当者に交付する制度として設計しているため、組み合わせて受けることが前提になっています。指定区域では、指定区域用地取得奨励金や指定区域大規模用地取得奨励金と組み合わせる余地もあります。
市の他の補助金等の対象になっているものには交付されない
条例第15条は、各奨励金は「その対象が既に交付を受け、又は受けようとしている市の他の補助金等の対象となっているときは、交付しない」と定めています。今治市の他の補助金・助成金で同じ対象について支援を受けている、または申請中である場合は不交付になります。今治市には雇用環境整備支援事業費助成金など雇用関連の助成制度があるため、同じ新規雇用を対象に別制度へ申請する予定がある場合は、事前に産業振興課へ対象の重複を確認してください。
なお条例第14条・第15条はいずれも「市の」奨励金・補助金を対象とした規定です。国や愛媛県の制度との関係については条例に記載がないため、併用の可否は各制度の要領と今治市産業振興課の双方に確認する必要があります。
指定の取消しと奨励金の返還につながる条件
条例第13条は、市長が指定を取り消し、奨励金の交付を停止し、または既に交付した奨励金の全部もしくは一部の返還を命ずることができる場合を列挙しています。
- 条例第4条から第6条までに規定する要件を欠いたとき
- 指定時または変更承認時に付された条件に違反したとき
- 事業所の事業を休止し、廃止し、またはこれと同様の状態になったとき
- 事業所を指定した事業以外の用途に供したとき
- 詐欺その他不正な行為により、指定または奨励金の交付を受け、または受けようとしたとき
- 市税を滞納したとき
- その他条例または条例に基づく規則に違反する行為があったとき
実務上とくに注意したいのは「市税を滞納したとき」です。指定申請と交付申請のいずれでも市税の完納証明書が添付書類になっており、交付後も市税の滞納は返還命令の理由になります。また、市長は指定の申請をした者や指定事業者に対して必要な報告を求め、調査を行うことができます(条例第12条)。事業の休止・廃止は14日以内の届出義務があり(施行規則第14条)、届け出た内容が返還判断の材料になります。
不正受給が疑われる場合や、要件を満たさなくなった可能性がある場合の相談先は、制度を所管する今治市産業部産業政策局産業振興課(電話0898-36-1540)です。
今治市雇用促進奨励金のまとめ
今治市雇用促進奨励金は、今治市への立地にともなう新規雇用に対して、1人につき50万円以内(賃貸借型企業は30万円以内)を交付する制度です。判断の要点を整理します。
- 2026年度の受付期間は2026年4月1日〜2027年3月31日。申請は今治市産業振興課への書類提出で行う。
- 単独では申請できず、企業立地促進奨励金または賃貸借型企業立地奨励金の交付要件該当と適用事業者の指定が前提。
- 限度額は指定区域を除く全域が1億円、今治新都市区域は条例に定めなし。対象業種も区域で異なり、指定区域外の医療・福祉は産科・小児科に限られる。
- 新規雇用従業員は「操業開始1年前〜操業開始後6月に雇用」「申請時も市内居住」「連続1年以上雇用」をすべて満たす者。短時間労働者を算入できるのは賃貸借型ルートのみ。
- 指定申請書の提出期限は、確認済証の交付日から30日以内/操業開始日の60日前まで/賃貸借契約の締結日から14日以内。ここを過ぎると制度を使えない。
- 交付申請の添付書類は労働者名簿・賃金台帳・住民票抄本・市税の完納証明書・投下固定資産総額の証明書類・事業実施報告書。採用時からの帳簿整備が前提になる。
- 設備投資奨励金は他の奨励金と重複支給されず、市の他の補助金等の対象になっているものには交付されない。
立地予定地の区域区分、業種の小分類、操業開始日の見込みが決まった段階で、今治市産業振興課(電話0898-36-1540)へ事前相談し、指定申請書の提出期限を確定させることが最初の一手になります。制度の詳細は今治市「企業立地優遇制度(今治市企業立地促進条例)」、同「奨励金交付までの手続き」、今治市企業立地促進条例、同施行規則、Jグランツ公募詳細ページで必ず最新の内容を確認してください。
-1200-x-400-px-3.png)
