令和8年度愛知県海外出願補助金|上限300万円・補助率2分の1を徹底解説

補助金

自社の技術やブランドを海外市場へ持ち出すとき、現地での権利化を後回しにすると模倣品や先取り出願に足元をすくわれます。

とはいえ外国特許庁への出願は、現地代理人費用や翻訳費用がかさみ、一件あたり数十万円から百万円を超えることも珍しくありません。

公益財団法人あいち産業振興機構が実施する海外出願補助金は、この費用の2分の1以内を、1企業あたり最大300万円まで補助する制度です。

令和8年度は2次募集が行われ、申請書の提出期限は令和8年8月7日午後5時必着と案内されています。

機構からは今年度の募集はこの2次募集で終了する旨も明記されました。

この記事では、Jグランツの公募情報とあいち産業振興機構が公開している募集案内をもとに、対象者、補助額、対象経費、申請の流れを順に整理してお伝えします。

  1. 愛知県海外出願補助金の基本情報
    1. 補助金・助成金の正式名称
    2. 対象都道府県・市区町村
    3. 実施機関
    4. 対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
    5. 対象業種
    6. 対象経費
    7. その他要件
    8. 補助対象外となるもの
    9. 申請期間
    10. 上限金額・助成額
    11. 補助率
    12. 問い合わせ先
    13. 公式公募ページと確認すべきこと
  2. 愛知県海外出願補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)
  3. 愛知県海外出願補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴
    1. 申請すべき人
    2. 見送ったほうが良い人の特徴
  4. その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
    1. 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
    2. ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
    3. 中小企業省力化投資補助金
    4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 愛知県海外出願補助金の申請に必要なもの
    1. 申請に必要な書類一覧と取得方法
    2. 記載例はどこで確認できるか
  6. 愛知県海外出願補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方
    1. 市場性を具体的に書く
    2. 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
    3. この制度を利用する必要性・重要性を記載
    4. 実行体制を明記する
  7. 愛知県海外出願補助金の申請手順
  8. 愛知県海外出願補助金を自社で申請する際の注意点
  9. 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
    1. 制度選定の精度が上がる
    2. 事業計画の質が上がる
    3. 採択後の実務まで見据えられる
  10. 愛知県海外出願補助金を不正受給するとどうなるのか
    1. 事実と異なる申請が判明した場合に待っている結末
    2. 提出書類の突き合わせで矛盾が浮かび上がる仕組み
  11. 愛知県海外出願補助金のまとめ

愛知県海外出願補助金の基本情報

正式名称 中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)/令和8年度・愛知県2次募集
対象地域 愛知県(県内に本社または事業所を有する中小企業者)
実施機関 公益財団法人あいち産業振興機構 新事業支援部 知的財産活用グループ
対象者 愛知県内に本社または事業所を有する中小企業者、またはそれらで構成されるグループ(みなし大企業を除く)
対象業種 全業種(従業員数300名以下)
対象経費 外国特許庁への出願手数料、現地代理人費用、国内代理人費用、翻訳費用
補助上限額(企業単位) 3,000,000円(複数案件の場合の1企業あたり上限)
補助上限額(案件単位) 特許150万円/実用新案・意匠・商標60万円/抜け駆け対策商標30万円
補助率 補助対象経費の2分の1以内(千円未満切り捨て)
事前申込期間 令和8年7月1日(水曜日)~令和8年7月31日(金曜日)
申請書提出期間 令和8年7月17日(金曜日)~令和8年8月7日(金曜日)午後5時必着
申請方法 事前申込のうえ、原則メール(データ)で申請書類を提出(Jグランツの一部併用が可能)
問い合わせ先 公益財団法人あいち産業振興機構 新事業支援部 知的財産活用グループ(052-715-3074)

補助金・助成金の正式名称

正式名称は「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」です。

経済産業省の交付要綱および実施要領に基づき、各都道府県の中小企業支援機関が窓口となって実施しています。

愛知県では公益財団法人あいち産業振興機構が窓口を担い、機構のサイトでは「海外(外国)出願補助金」という呼び方で案内されています。

Jグランツ上の公募名は「【愛知県・2次募集】令和8年度_中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」と登録されています。

対象都道府県・市区町村

この2次募集の対象は愛知県内の事業者に限られます。

条件は「愛知県内に本社または事業所を有すること」であり、市区町村単位の絞り込みは設けられていません。

本社が県外にあっても県内に事業所を構えていれば応募できる書きぶりのため、名古屋市以外の三河地域や尾張地域の拠点からでも検討できます。

グループで応募する場合は、構成員のうち中小企業者が3分の2以上を占め、その県内事業者が中心であることが求められます。

なお同じ枠組みの補助金は他の道府県の支援機関でも実施されているため、県外の事業者は所在地の窓口を確認してください。

実施機関

実施機関は公益財団法人あいち産業振興機構で、担当は新事業支援部の知的財産活用グループです。

所在地は名古屋市中村区名駅四丁目4番38号、愛知県産業労働センター(ウインクあいち)の14階に置かれています。

機構は申請書の内容や記載方法について個別相談にも応じており、電話とメールのどちらでも受け付けています。

同じ機構内には知財総合支援窓口も設けられているため、出願戦略そのものから相談したい場合の入り口としても使えます。

対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)

対象は、中小企業支援法第2条第1項第1号から第3号までに規定される中小企業者です。

業種区分ごとの基準は、卸売業が資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業が5千万円以下または50人以下、サービス業が5千万円以下または100人以下、製造業その他が3億円以下または300人以下と定められています。

大企業が発行済株式の2分の1以上を保有する場合など、みなし大企業に該当する事業者は資本金や従業員数の基準を満たしていても対象外です。

個人事業主も応募できますが、国内外を問わず既に事業を行っていることが条件で、確定申告書の控えで事業所得の記載を示す必要があります。

地域団体商標の外国出願については、事業協同組合等、商工会・商工会議所、NPO法人も対象に含まれます。

対象業種

Jグランツの公募情報では、業種の制限は設けられていません。

農業・林業、漁業、鉱業・採石業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、公務、その他のサービス業がすべて列挙されています。

実際の絞り込みは業種ではなく、日本国特許庁への出願をすでに済ませているかどうかという要件で生じます。

従業員数の上限は300名以下と登録されており、中小企業者の定義に沿った運用となっています。

対象経費

補助対象経費は「外国出願補助費」という区分にまとめられています。

内訳は、外国特許庁への出願手数料、外国特許庁に出願するための現地代理人費用、同じく国内代理人費用、そして出願に要する翻訳費用の4つです。

外国特許庁への出願料と同時に支払える審査請求料、優先権主張料、補正料、出願維持年金なども対象に含まれます。

翻訳費用については、単価と語数の内訳を請求書に明記することが求められています。

共同で外国出願を行う場合は、中小企業者等の持分比率に応じた額が対象額の基礎となります。

その他要件

応募の前提として、日本国特許庁に対して特許、実用新案、意匠または商標の出願を済ませていることが必要です。

そのうえで、採択後に当該出願を基礎として優先権を主張し、年度内に外国特許庁へ出願する予定であることが求められます。

商標については優先権主張を伴わない出願も、別に定められた範囲であれば認められます。

先行技術調査等の結果から外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと、外国出願に必要な資金能力と資金計画を有していることも要件です。

出願業務を依頼する国内弁理士等から協力承諾書を得られること、事業完了後5年間のフォローアップ調査に協力することも条件に含まれます。

審査請求が必要な国では期日までに必ず審査請求を行い、中間応答が生じた場合には応答する義務も課されます。

補助対象外となるもの

国内出願にかかる費用は、外国出願の基礎になっているものであっても対象になりません。

国際出願手数料のうち日本国特許庁の収入となる手数料も同様に除かれます。

補助決定日より前に発注または発生した費用は対象外となるため、採択の通知を受ける前に現地代理人へ発注してしまうと補助を受けられません。

日本国内の消費税および地方消費税、外国における付加価値税も対象から外れます。

一度出願料を支払った後に追加で発生する自発補正や中間手続きの経費、仲介手数料、第三国の代理人へ支払った費用も、必要性が認められない限り対象外です。

申請期間

令和8年度2次募集の事前申込期間は、令和8年7月1日(水曜日)から令和8年7月31日(金曜日)まででした。

申請書の提出期間は令和8年7月17日(金曜日)から令和8年8月7日(金曜日)午後5時必着とされています。

Jグランツ上の受付終了日時も2026年8月7日17時00分と登録されており、機構の案内と一致しています。

締切を過ぎた場合はいかなる理由があっても受け付けられないと明記されているため、余裕を持った提出が欠かせません。

応募者数が予算金額を下回る場合には期間が延長されることがあり、その際は機構のホームページで告知されます。

機構からは今年度の募集がこの2次募集で終了する旨も案内されていますので、次の機会を待つ場合は来年度の1次募集が対象になります。

上限金額・助成額

1企業あたりの上限は、複数案件を申請する場合で300万円です。

1案件あたりの上限は、特許出願が150万円、実用新案・意匠・商標登録出願がそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標登録出願が30万円と区分されています。

この300万円という枠は、他の道府県の中小企業支援団体に申請した同じ海外出願支援事業の補助金との合計額で判定されます。

一方、工業所有権情報・研修館(INPIT)が実施する海外権利化支援事業の外国出願補助金とは別枠の扱いです。

複数案件を申請する場合は案件の数だけ事前申込を行う必要がある点にも注意してください。

補助率

補助率は補助対象経費の2分の1以内で、千円未満の端数は切り捨てて算定されます。

つまり特許出願に300万円かかった場合の補助額は150万円となり、案件単位の上限とちょうど重なります。

見積書に記載する為替レートは確定額が補助金額の上限になるため、変動を見込んだうえで設定しておくことが実務上の要点です。

出願国ごと、経費区分ごとに計算過程と補助対象かどうかが分かるよう記載することが求められています。

問い合わせ先

問い合わせ先は、公益財団法人あいち産業振興機構 新事業支援部 知的財産活用グループです。

電話番号は052-715-3074、ファクシミリは052-563-1438、メールアドレスはinfo-chiiki@aibsc.jpと案内されています。

機構では申請内容や記載方法について担当者が個別に説明と助言を行っているため、迷った段階で相談しておくと書類の差し戻しを避けられます。

窓口の営業時間は8時45分から17時30分までで、土日祝日と年末年始は対応していません。

公式公募ページと確認すべきこと

補助上限額や対象業種、従業員数の条件はJグランツの公募詳細ページで確認できます。

募集案内、実施要領、交付要綱、申請者向けQ&A集はあいち産業振興機構の公式ページにPDFで掲載されています。

とくに確認しておきたいのは補助対象期間で、採択決定後から令和9年1月21日(木曜日)までに発注と支払いを完了し、実績報告書まで提出したものだけが補助の対象になります。

1次募集のパンフレットも参考資料として残されていますが、2次募集とは日程が異なるため必ず2次募集版を参照してください。

愛知県海外出願補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)

海外での権利化は、費用の重さから後回しにされがちな投資です。

しかし優先権を主張できる期間には限りがあり、国内出願から一定の期間を過ぎると同じ内容で外国出願を行っても本来の出願日を確保できません。

この制度は、判断を先送りしがちな時期の費用負担を半分に下げることで、期限内に踏み切るための後押しになります。

複数国へ同時に出願する場合の負担軽減も見逃せません。

1企業あたり300万円という枠があるため、特許1件と商標数件を組み合わせるといった使い方も可能です。

海外で自社商標を先に押さえられてしまう抜け駆け出願への対策にも専用の枠が用意されており、防御目的の出願にも道が開かれています。

加えて、地域未来牽引企業、賃上げを実施する企業、ワーク・ライフ・バランス推進企業には審査上の加点措置があり、日頃の経営努力が評価に反映される設計になっています。

愛知県海外出願補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴

  • 申請すべき人
  • 見送ったほうが良い人の特徴

申請すべき人

  • 愛知県内に本社または事業所を構え、日本国特許庁への出願をすでに済ませている中小企業
  • 自社製品の輸出や現地生産を計画しており、進出先での権利取得が事業の前提になっている事業者
  • 海外の展示会に出展した結果、模倣品や類似表示を確認して防御の必要を感じている事業者
  • 自社ブランドが海外で第三者に先に商標出願されるおそれを認識している事業者
  • PCT国際出願を済ませており、これから各国の国内段階へ移行する予定の事業者
  • 出願業務を依頼する国内弁理士等から協力承諾書を得られる体制がある事業者
  • 採択後、令和9年1月21日までに発注と支払いを完了させ、実績報告書を提出できる見通しがある事業者

見送ったほうが良い人の特徴

  • 愛知県内に本社も事業所も持たない事業者(所在地の道府県の支援機関の窓口が該当します)
  • 大企業が株式の2分の1以上を保有するなど、みなし大企業に該当する事業者
  • 日本国特許庁への出願がまだ済んでおらず、外国出願だけを先行させたい事業者
  • すでに現地代理人へ発注済みで、費用の発生が補助決定日より前になっている案件
  • 同一の案件について他の国費による補助金の採択をすでに受けている事業者
  • 出願後の中間手続き費用や国内出願費用の補填を目的としている事業者
  • 採択後の出願を取り下げる可能性があり、5年間のフォローアップ調査に応じる体制が整わない事業者

その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例

  • 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
  • ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
  • 中小企業省力化投資補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)

既存事業とは異なる市場や製品分野へ本格的に軸足を移す企業に向けた、規模の大きな支援枠です。

海外市場への進出を新事業と位置づける場合、設備や体制づくりの費用をこちらでまかなうという組み立て方が考えられます。

付加価値額や給与支給総額について数値目標の達成が条件となるため、根拠のない見込みで応募すると採択後に負担が跳ね返ってきます。

公募回ごとに要件が調整されますので、応募の直前に最新版の公募要領を取り寄せてください。

ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)

新しい製品やサービスを生み出すための設備投資を支える、長く続いている制度です。

海外出願補助金が権利化の費用を見るのに対し、こちらは権利化しようとしている技術そのものを形にする段階を支えます。

特許出願の有無が技術的な新規性を裏づける材料になることもあり、知財の取得と補助金の申請を並行して進める企業は少なくありません。

交付決定前に発注した経費が対象外になる点は、海外出願補助金と同じ考え方です。

中小企業省力化投資補助金

人手不足に直面する現場へ、省力化につながる機器やシステムを導入するための制度です。

登録済みの製品カタログから選ぶ方式が用意されており、計画書の作成にかかる手間は比較的軽く抑えられています。

導入後には労働生産性の向上を報告する義務があるため、着手前の作業時間や人員配置を記録に残しておくことが後の手続きを左右します。

海外展開で国内の人手が手薄になる局面では、社内の省力化と組み合わせて検討する価値があります。

小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際、最初に選ばれることの多い制度です。

海外向けの多言語サイト制作や、越境ECの立ち上げ、海外展示会への出展費用といった使い方が想定されています。

申請には商工会または商工会議所による事業支援計画書の交付が必要で、この確認を受ける時間を逆算して動くことが締切対策になります。

補助額の規模は控えめですが、海外出願で権利を押さえたうえで販路を広げる段階に適しています。

愛知県海外出願補助金の申請に必要なもの

  • 申請に必要な書類一覧と取得方法
  • 記載例はどこで確認できるか

申請に必要な書類一覧と取得方法

  • 補助金交付申請書(様式第1-1/冒認商標の場合は様式第1-2)/事前申込後に機構からメールで届くWord形式の原本に記入
  • 協力承諾書(様式第1-1の別紙/様式第1-2の別紙)/国内代理人から受け取り、申請者が原本を保管してPDFで提出
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書等)/法務局で最新情報が記載されたものを取得
  • 会社の事業概要/事業概要が明記されたパンフレット等で代用可能
  • 役員等名簿(様式第1-1の別添/様式第1-2の別添)/登記簿謄本の役職名を転記して作成
  • 直近2期分の決算書/貸借対照表と損益計算書(販売費及び一般管理費の内訳、製造原価報告書を含む)
  • 国内出願にかかる出願書類/特許庁長官名の受領書や通知書、登録証、明細書および図面
  • 外国出願に要する経費が確認できる見積書等/現地代理人費用の支出予定先と為替換算の内訳を明記
  • 外国出願に要する経費に関する資金計画/事前申込後に機構から届く様式で作成
  • 先行技術調査等の結果/J-PlatPatの検索結果やPCT国際調査報告書の写しで代用可能(商標登録出願は除く)
  • 共同出願の場合の持分割合および費用負担割合が明記された契約書等の写し
  • 特許出願非公開制度に関する自己確認書/令和6年5月1日以降に基礎となる特許出願を行った案件が対象
  • 賃金引上げ計画の誓約書および従業員への賃金引上げ計画の表明書/加点措置を希望する場合のみ
  • えるぼし認定やくるみん認定等の認定通知書の写し/ワーク・ライフ・バランス推進企業として加点を希望する場合のみ

記載例はどこで確認できるか

申請書のフォーマットと記入例は、事前申込を行った事業者に対して機構からメールで一式が送付されます。

制度全体の考え方や添付書類の趣旨は、あいち産業振興機構の公式ページに掲載されている募集案内と実施要領で確認できます。

同じページには申請者向けQ&A集も用意されており、優先権主張の可否や見積書の書き方など、迷いやすい論点が具体例つきで整理されています。

優先権主張を伴わない商標登録出願の取扱いについては、別紙のPDFに認められる範囲がまとめられています。

愛知県海外出願補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方

  • 市場性を具体的に書く
  • 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
  • この制度を利用する必要性・重要性を記載
  • 実行体制を明記する

市場性を具体的に書く

なぜその国を出願先に選んだのかという問いに、数字で答えられる状態にしておきましょう。

現地の需要規模や取引先候補の名前、すでに届いている引き合いの件数といった材料は、机上の想定よりもはるかに強い説明になります。

権利が成立した後にどの製品でいくらの売上を見込むのかまで書き込めると、出願が事業計画の一部であることが伝わります。

出願国が複数にわたる場合は、国ごとに位置づけの違いを書き分けておくと審査側が優先度を読み取りやすくなります。

差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載

先行技術調査の結果は、単に「該当なし」と書くだけでは説明として物足りません。

どの範囲をどの手法で調べ、近い先行例と比べて自社の技術がどこで異なるのかを、構成要素の単位で示してください。

この整理は権利取得の可能性が明らかに否定されないという要件への回答そのものであり、審査での評価に直結します。

商標であれば、指定商品や役務の区分をどう選んだのかという判断の理由も添えておくと理解が進みます。

この制度を利用する必要性・重要性を記載

補助がなければ出願をどう縮小せざるを得ないのかを、率直に書くことが説得力につながります。

出願国を減らす、時期を遅らせる、あるいは断念するといった選択肢と、それぞれが事業に与える影響を並べてみてください。

優先権を主張できる期間という動かせない制約があるからこそ、今年度に出願しなければならない理由が客観的な形で示せます。

資金計画では自己資金と借入金の内訳を明確にし、補助金の入金が令和9年3月末になることを織り込んでおきましょう。

実行体制を明記する

外国出願は、社内の担当者、国内代理人、現地代理人、翻訳者が連携して初めて進みます。

申請書には出願業務を依頼する国内弁理士等を記載する欄があり、その代理人から協力承諾書を得ることが前提になっています。

選任弁理士に依頼せず自ら現地代理人へ直接依頼する場合は、同等の書類を自らの責任で機構へ提出できる旨を申請書に明記する必要があります。

実績報告では外国語の受理通知や領収書に日本語訳を付す作業が発生するため、誰がその対応を担うのかも決めておくと安心です。

愛知県海外出願補助金の申請手順

  1. 日本国特許庁へ特許、実用新案、意匠または商標の出願を行い、出願番号と出願日が分かる書類を手元にそろえます。
  2. 外国出願を依頼する国内弁理士等に相談し、対象国と概算費用の見積りを取得します。
  3. 事前申込期間内に、専用フォームまたはメールで機構へ事前申込みを行います。件名は「【事前申込】令和8年度海外展開支援事業応募(申請企業名)」とします。
  4. メール本文に、郵便番号と所在地、電話番号、担当者名、メールアドレス、出願種類、申請件数、予定金額を記載します。複数案件の場合は案件の数だけ申し込みます。
  5. 機構から送られてくる申請書類一式と記入例を受け取り、様式第1-1(冒認商標の場合は様式第1-2)をWordで作成します。
  6. 国内代理人から協力承諾書を受け取り、登記簿謄本や決算書などの添付書類をPDFでそろえます。
  7. 見積書には出願国ごと、経費区分ごとの計算過程と為替換算の内訳を記載します。
  8. 本提出の前に、申請書と添付書類一式を機構のメールアドレスへ送り、内容の確認を受けます。
  9. 申請書提出期間内、令和8年8月7日午後5時必着で、申請書類一式をメールで提出します。
  10. 令和8年10月初旬に審査委員会の結果として採否決定通知が届きます。
  11. 採択後に外国特許庁へ出願し、費用の発注と支払いを行います。
  12. 出願費用の支払い完了後30日以内、または令和9年1月21日(木曜日)のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。
  13. 機構の確認を経て、令和9年3月末までに補助金が支払われます。

愛知県海外出願補助金を自社で申請する際の注意点

最初につまずきやすいのは、事前申込を経なければ申請書そのものが手に入らないという点です。

申請書には機構が付与する受付番号が記載済みの状態で送られてくるため、様式を独自に作成して提出することはできません。

次に気をつけたいのが発注のタイミングです。

補助決定日より前に発注または発生した費用は補助対象外となるため、採択の連絡を待たずに現地代理人へ手続きを進めると、その案件の補助は受けられなくなります。

見積書の作り方も差し戻しの原因になりやすい箇所です。

現地通貨の料金と為替レート、換算後の金額を並べ、補助対象と対象外を区別して記載する必要があります。

なお、本補助金の各種申請について、行政書士または行政書士法人以外の者が報酬を得て代理することは行政書士法により認められていません。

採択後は原則として出願の取下げや放棄が認められていない点も、応募前に社内で共有しておきましょう。

自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ

  • 制度選定の精度が上がる
  • 事業計画の質が上がる
  • 採択後の実務まで見据えられる

制度選定の精度が上がる

外国出願を支える公的支援は、この制度のほかにINPITの海外権利化支援事業などが並行して存在します。

同一案件で重複して受けられないものと、別枠として併用できるものが混在しているため、組み合わせの判断は簡単ではありません。

弁理士や知財に強い中小企業診断士に相談すれば、どの案件をどの制度へ振り分ければ企業全体の負担が最も軽くなるかを設計してもらえます。

機構が設けている知財総合支援窓口も無料で利用できるため、専門家への依頼を検討する前段として活用できます。

事業計画の質が上がる

申請書では、出願の中身と事業展開の見通しを一続きの話として説明することが求められます。

技術に詳しい社内担当者ほど、明細書の内容を丁寧に書きすぎて事業の話が薄くなりがちです。

第三者の目が入ると、技術の説明と市場の説明の分量が整理され、審査する側が判断しやすい構成に組み替えられます。

仕上がった資料は、現地パートナーとの交渉や金融機関への説明にもそのまま流用できます。

採択後の実務まで見据えられる

この制度は採択されて終わりではなく、令和9年1月21日という実績報告の期限が待っています。

外国特許庁や国際事務局が発行する受理通知や領収書には日本語訳を付す必要があり、慣れていないと想定以上に時間を要します。

出願から実績報告まで一貫して支援してくれる代理人を選んでおけば、査定状況報告書の提出やフォローアップ調査への回答まで見通しを持って進められます。

審査請求や中間応答の期日管理も代理人の役割になるため、契約の範囲を最初に確かめておくことをおすすめします。

愛知県海外出願補助金を不正受給するとどうなるのか

  • 事実と異なる申請が判明した場合に待っている結末
  • 提出書類の突き合わせで矛盾が浮かび上がる仕組み

事実と異なる申請が判明した場合に待っている結末

この補助金は経済産業省の交付要綱と実施要領に基づいて運用される国費由来の制度です。

偽りその他不正の手段によって交付を受けたと判断されれば、交付決定は取り消され、受領済みの補助金は加算金とともに返還を求められます。

採択された事業者は名称、所在地、交付決定を受けた出願種別が公表される仕組みになっており、取消しの事実も外部から把握されうる状態に置かれます。

加点措置を受けながら表明した賃上げが実行されなかった場合にも、実施要領の規定に基づき交付決定の取消しと返還につながる可能性があります。

提出書類の突き合わせで矛盾が浮かび上がる仕組み

実績報告では、外国特許庁や国際事務局が発行した受理通知と現地代理人の請求書を添えることが求められます。

これらは申請者が作成する書類ではなく第三者が発行するものであるため、申請時の見積内容や出願国と食い違えば確認の過程で表に出ます。

加えて事業完了後5年間はフォローアップ調査と査定状況報告書の提出が続くため、実在しない出願を装い続けることは現実的ではありません。

申請内容に誤りを見つけたときは、放置せず計画変更承認申請などの手続きを通じて機構へ届け出ることが、結果として自社を守る対応になります。

愛知県海外出願補助金のまとめ

愛知県の海外出願補助金は、公益財団法人あいち産業振興機構が窓口となり、県内中小企業の外国出願費用の2分の1以内を補助する制度です。

上限は1企業あたり300万円、案件単位では特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、抜け駆け対策商標30万円と定められています。

対象経費は外国特許庁への出願手数料、現地代理人費用、国内代理人費用、翻訳費用の4区分で、国内出願費用や消費税は含まれません。

令和8年度2次募集の申請書提出期限は令和8年8月7日(金曜日)午後5時必着で、応募には7月31日までの事前申込が前提となっていました。

採否の決定は令和8年10月初旬、実績報告書の最終期限は令和9年1月21日(木曜日)、補助金の支払いは令和9年3月末までという日程です。

対象業種や従業員数の条件はJグランツの公募詳細ページで、募集案内や実施要領はあいち産業振興機構の公式ページで確認できます。

今年度の募集はこの2次募集で終了と案内されていますので、次回に向けては国内出願と先行技術調査を先に進めておくことが準備の第一歩になります。