船舶が停泊中も自家発電を続けている限り、港湾から出る二酸化炭素はなかなか減りません。
陸上から船へ電力を送る設備を整えたり、コンテナヤードの荷役機械を電動化・水素化したりする動きが、全国の港で少しずつ広がっています。
その設備投資を国が後押しする制度が、港湾における脱炭素化促進事業です。
環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の一つで、公募事務は公益財団法人北海道環境財団が担っています。
令和8年度の公募期間は令和8年5月21日から令和8年10月30日18時までで、補助上限額は1億円という大型の制度です。
本記事では、補助対象となる3種類の事業と補助率の違い、申請の進め方までを公募要領に沿って整理してご紹介します。
港湾における脱炭素化促進事業の基本情報
| 正式名称 | 令和8年度 産業車両等の脱炭素化促進事業のうち、港湾における脱炭素化促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) |
| 対象地域 | 全国 |
| 実施機関 | 公益財団法人北海道環境財団(環境省補助金) |
| 対象者 | 民間企業(港湾運営会社含む)、地方公共団体・港湾管理者(一部事務組合・港務局含む)、一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人、その他環境大臣の承認を経て財団が認める者、これらにファイナンスリースで設備等を提供する契約を行う民間企業 |
| 対象業種 | 電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業(他に分類されないもの)、公務(他に分類されるものを除く)、運輸業・郵便業、金融業・保険業 |
| 対象経費 | 工事費(本工事費・付帯工事費・機械器具費・測量及試験費)、設備費、業務費、事務費のうち財団が承認した経費 |
| その他要件 | 事業実施場所における再生可能エネルギー由来電力やバイオ燃料の活用等による脱炭素化計画が事業計画に盛り込まれていること、CO2排出削減量を算出過程とともに明示すること、国からの他の補助金を受けていないこと、暴力団排除に関する誓約事項に誓約できること |
| 対象外 | 既存施設の撤去費・廃材の運搬費・処分費、CO2排出削減に寄与しない周辺機器やオプション品、官公庁への申請や届出に係る経費、補助事業であることを明示するプレートの製作・貼付け経費、応募申請や交付申請などの手続きに係る経費。荷役機械のうちフォークリフトは対象外 |
| 申請期間 | 令和8年5月21日(木)〜令和8年10月30日(金)18時必着(Jグランツ上の受付終了日時は2026年10月30日18時00分) |
| 上限金額 | 1億円(複数年度事業の場合は複数年度の合計額) |
| 補助率 | 陸上電力供給設備の導入は1/3以内、荷役機械の導入は従来型との差額の2/3以内(ハイブリッド型は差額の1/2以内)、荷役機械の改造は2/3以内(ハイブリッド型への改造は1/2以内) |
| 問い合わせ先 | 公益財団法人北海道環境財団(環境省補助金専用サイト)/メール port_ask■heco-hojo.jp(■を@に置き換え) |
補助金・助成金の正式名称
正式名称は「令和8年度 産業車両等の脱炭素化促進事業のうち、港湾における脱炭素化促進事業」です。
予算上の区分としては「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」に位置づけられています。
同じ「産業車両等の脱炭素化促進事業」という枠の中には、空港における脱炭素化促進事業とフォークリフトの燃料電池化促進事業も含まれており、それぞれ別の公募要領が定められています。
港湾向けの公募に応募する場合は、必ず港湾用の公募要領と様式を使うようにしてください。
対象都道府県・市区町村
対象地域は全国で、都道府県や市区町村による地域の限定はありません。
環境省の補助事業であるため、国内のどの港湾でも要件を満たせば応募することができます。
ただし採択審査では港湾管理者など関係者との合意形成ができているかが確認されますので、事業実施場所の調整は応募前に済ませておく必要があります。
設備を設置する港湾の管理者である地方公共団体が、地域気候変動適応計画において高潮・高波への適応策を位置づけている場合は、審査で加点の対象になります。
実施機関
実施機関は公益財団法人北海道環境財団で、環境省から補助金の交付決定を受けて公募事務を行っています。
令和8年度分については、令和8年4月1日付けで環境省から財団への交付決定がなされています。
応募書類の受付から審査、交付決定、補助金の支払いまでを一貫して財団が担当しますので、手続き上の窓口はすべて財団になります。
財団は空港向けの3事業とフォークリフトの燃料電池化促進事業も同時に扱っていますので、問い合わせの際は港湾の案件である旨を明記すると話が早く進みます。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
応募できるのは、民間企業(港湾運営会社を含む)、地方公共団体・港湾管理者(一部事務組合や港務局を含む)、一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人、その他環境大臣の承認を経て財団が認める者です。
加えて、補助対象の設備等をこれらの事業者にファイナンスリースで提供する契約を行う民間企業も応募できます。
2者以上で共同実施する場合は、参画するすべての事業者が上記の区分に該当する必要があり、そのうち1者が代表事業者として応募を行います。
代表事業者は補助事業の全部または一部を自ら行い、かつ取得財産の全部または一部を取得する者に限られます。
ファイナンスリースを利用する場合は、リース事業者を代表事業者とし、設備を使用する事業者との共同申請という形をとります。
対象業種
Jグランツで指定されている対象業種は、電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業(他に分類されないもの)、公務(他に分類されるものを除く)、運輸業・郵便業、金融業・保険業の5区分です。
港湾運送やターミナルオペレーションを担う事業者は運輸業・郵便業に、港湾管理者である自治体は公務に該当します。
金融業・保険業が含まれているのは、設備をファイナンスリースで提供するリース事業者が応募できる制度設計になっているためです。
従業員数の上限は設けられていませんので、大企業でも応募すること自体は可能です。
対象経費
補助対象経費は、事業を行うために必要な工事費、設備費、業務費及び事務費のうち財団が承認したものです。
工事費はさらに本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及試験費に区分され、材料費や労務費、共通仮設費、現場管理費などが含まれます。
事務費には上限率が定められており、工事費・設備費・業務費の合計のうち5,000万円以下の部分は6.5%、5,000万円超1億円以下の部分は5.5%、1億円超の部分は4.5%を乗じた額の範囲内とされています。
荷役機械の改造を行う事業では、駆動部換装等の改造に要する経費が対象で、架装物など動力構造物以外の部分の変更費用は原則として除かれます。
自社製品を調達する場合は、原価計算により利益相当分を排除した製造原価が補助対象経費の額となります。
その他要件
対象事業の基本的要件として、実績・能力・実施体制が構築され、利害関係者との調整が図られて事業実施が確実であることが求められます。
事業内容・事業効果・経費内訳・資金計画等が明確な根拠に基づいて示されていることも条件です。
さらに応募申請時の事業計画には、事業実施場所における今後の再生可能エネルギー由来電力やバイオ燃料の活用等による脱炭素化に向けた計画を盛り込む必要があります。
導入する設備等について国からの他の補助金を受けていないことも要件となっており、他制度への応募状況は実施計画書に記載しなければなりません。
補助事業期間は原則として単年度ですが、単年度での実施が困難な場合は3年度以内の複数年度事業とすることができます。
補助対象外となるもの
補助対象外経費の代表例として、既存施設の撤去費、廃材の運搬費、廃材の処分費が挙げられています。
二酸化炭素排出削減に寄与しない周辺機器やオプション品に係る経費も対象外です。
官公庁への申請・届出に係る経費、補助事業で導入した設備であることを明示するプレートの製作・貼付け経費、応募申請から精算払請求までの手続きに係る経費も補助対象になりません。
設備面では、コンテナ貨物を取り扱う荷役機械のうちフォークリフトが明確に除かれており、こちらは別枠のフォークリフトの燃料電池化促進事業で扱われます。
交付決定日より前に発注や契約、購入を行った経費も原則として対象外となりますので、着手のタイミングには十分ご注意ください。
申請期間
令和8年度の公募期間は、令和8年5月21日(木)から令和8年10月30日(金)18時必着とされています。
Jグランツ上の受付終了日時も2026年10月30日18時00分と表示されており、公式案内と一致しています。
補助金予算の上限額に達することが判明した場合は、期間内であってもそれ以降の公募受付が終了される可能性があります。
審査は原則として月単位で応募案件を取りまとめて行われ、公募締切日から結果通知までの標準的な期間は40日とされています。
早い月に応募すれば早く結果が分かる仕組みですので、準備が整った時点で応募するのが得策です。
上限金額・助成額
補助上限額は1億円で、複数年度事業の場合は複数年度の合計額に対して適用されます。
この上限は、船舶へ電力を供給する設備を導入する事業と、荷役機械の改造を行う事業について公募要領に明記されています。
補助下限額は設定されていないため、小規模な設備更新であっても要件を満たせば応募できる制度設計になっています。
Jグランツの補助上限額欄も100,000,000円と表示されており、公募要領の記載と一致しています。
補助率
補助率は、実施する事業の種類によって3通りに分かれています。
船舶へ電力を供給する陸上電力供給設備を導入する事業は、補助対象経費の3分の1以内です。
荷役機械を導入する事業は、同規模・同等仕様の従来型(ガソリン・ディーゼル型)との差額の3分の2以内で、ハイブリッド型の場合は差額の2分の1以内となります。
既存の荷役機械を改造する事業は補助対象経費の3分の2以内で、ハイブリッド型への改造の場合は2分の1以内です。
導入事業の補助率が差額ベースで計算される点は見積作成に直結しますので、比較対象となる従来機の見積書も忘れずに取得してください。
問い合わせ先
問い合わせ先は公益財団法人北海道環境財団で、原則として電子メールでの受付となっています。
メールアドレスはport_ask■heco-hojo.jpで、■を@に置き換えて送信します。
件名には「【株式会社○○○○】港湾についての問い合わせ」のように、法人名と事業名を必ず記入するよう求められています。
財団のサイトには港湾向けのよくある質問(Q&A)がPDFで公開されていますので、問い合わせの前に一度目を通しておくと解決が早くなります。
なお申請後は、担当者のメールアドレス確認のため、応募用アドレスあてに申請済みである旨のメールを送るよう案内されています。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の概要や添付ファイル一式はJグランツの公募詳細ページから確認できます。
公募要領や交付規程、実施要領、応募様式のダウンロードは、公益財団法人北海道環境財団の港湾における脱炭素化促進事業の公募情報ページに集約されています。
確認すべきポイントは、公募要領に記載された対象事業の3類型、補助率と上限額の適用関係、そして補助対象外経費の代表例という3点です。
応募書類のうち様式1から様式3、ハード対策事業計算ファイル、提出書類チェックリストは、必ず財団のホームページからダウンロードしたものを使用するよう指示されています。
港湾における脱炭素化促進事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
最大の魅力は、単体で数億円規模になることもある港湾設備の投資に対して、1億円という大きな補助枠が用意されている点です。
陸上電力供給設備の導入は補助対象経費の3分の1以内ですが、金額の絶対値が大きいため補助額のインパクトも相応に大きくなります。
荷役機械の導入では従来型との差額が補助の基礎になるため、電動化や水素化を選んだことによる価格上昇分を直接的に埋められる設計になっています。
既存機を改造する類型も用意されており、機械を丸ごと買い替えずに脱炭素化を進めたい事業者にも道が開かれています。
ファイナンスリースが認められているので、初期投資を抑えたい事業者はリース事業者と組んで応募するという選択肢も取れます。
カーボンニュートラルポートの形成に関わる取り組みは対外的な発信力も高く、荷主や金融機関に対する説明材料としても機能します。
港湾における脱炭素化促進事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 港湾で船舶に電力を供給する陸上電力供給設備の導入を計画している事業者
- コンテナ貨物を扱う荷役機械を、ハイブリッド型・水素換装型・水素燃料型・電気自動車型で新規導入したい事業者
- 既存のトランスファークレーンやストラドルキャリア等を、駆動部換装によって低・脱炭素型へ改造したい事業者
- 港湾運営会社や港湾管理者として、カーボンニュートラルポートの形成に取り組んでいる組織
- 設備をファイナンスリースで提供する契約を予定しているリース事業者
- 事業実施場所における再エネ電力やバイオ燃料の活用計画を示せる事業者
- CO2排出削減量を算出根拠つきで説明でき、事業完了後3年間の報告にも対応できる体制がある事業者
見送ったほうが良い人の特徴
- 導入したい設備がフォークリフトである場合(別事業の対象となります)
- 同じ設備について国からの他の補助金をすでに受けている、または受ける予定がある場合
- 交付決定を待たずに発注や契約を済ませてしまっている場合
- 港湾管理者など関係者との合意形成が済んでおらず、事業実施の見通しが立たない場合
- 令和9年2月26日までに設備の検収と支払いまで完了させる工程が組めない場合
- CO2排出削減量の算出根拠を数量で示す資料を準備できない場合
- 取得財産の処分制限期間中の管理や、事業完了後3年間の報告に対応する体制がない場合
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
これまで手がけてこなかった事業領域へ踏み出すときの設備投資を支える、国の大型制度です。
港湾で培った荷役や電力供給のノウハウを、水素供給や再エネ関連の新規サービスへ展開していく構想であれば検討対象に入ってきます。
既存事業との違いをどこに置くかで採否が分かれますので、線引きは早い段階で明確にしておきたいところです。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
革新的な製品やサービスを生み出すための設備投資に対して、幅広い業種が利用している定番の制度です。
荷役機械の駆動部換装で得た技術を製品化したい機械メーカー側にとっては、こちらのほうが相性の良い制度になります。
技術的な新規性の説明に紙幅を割く必要があるため、開発部門を巻き込んだ書類作成が前提になります。
中小企業省力化投資補助金
人手不足への対応として、省力化に資する機器やシステムの導入を支援する制度です。
港湾の周辺業務、たとえば倉庫内の搬送や検数作業の自動化といった領域では、こちらのほうが適用しやすい場面があります。
カタログ掲載製品から選ぶ方式なら準備の負担が軽く、脱炭素の枠に乗らない投資の受け皿として使えます。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が販路開拓や業務効率化を進める際に、広く使われている制度です。
港湾関連のサービスを担う小規模な協力会社が、環境対応の取り組みを対外的にPRしていく場面などで活用できます。
申請には商工会または商工会議所の確認書が必要ですので、スケジュールには余裕を持たせておいてください。
港湾における脱炭素化促進事業の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
中核となる書類は、様式1の応募申請書、様式2の実施計画書、様式3の経費内訳の3点です。
実施計画書には、事業実施地域の地図、導入設備仕様書、機器・設備の耐用年数根拠資料、配置図・システム図、ハード対策事業計算ファイルとその算出根拠資料、実施体制・維持管理体制、事業実施スケジュール表を添付します。
荷役機械を導入する事業では、比較対象となる従来機の仕様書・見積書・見積内訳書も併せて提出する必要があります。
申請者情報としては、組織概要・定款または寄附行為、直近2期の貸借対照表・損益計算書、提出書類チェックリストが求められ、共同事業者がいる場合はその分も必要です。
提出はJグランツまたは電子メールから選べますが、Jグランツを利用する場合は事前にGビズIDプライムまたはメンバーアカウントの取得が必要になります。
記載例はどこで確認できるか
記入方法や留意点は、公募要領と交付規程、実施要領に整理されています。
これらの資料と応募様式一式は、北海道環境財団の公式サイトからまとめてダウンロードできます。
CO2削減量の計算にはハード対策事業計算ファイル(Fファイル)を使いますので、地球温暖化対策事業効果算定ガイドブックとあわせて確認しておくと入力に迷いません。
同じページに港湾向けのよくある質問(Q&A)も掲載されており、実務上の細かな疑問はここで解消できる場合が多くあります。
港湾における脱炭素化促進事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
この制度の審査で問われる市場性とは、売上の伸びよりも、対象港湾でどれだけの取扱量が動きどれだけのCO2が減るかという実需の話です。
年間のコンテナ取扱個数や船舶の着岸隻数、荷役機械の稼働時間といった実績値を土台に、導入後のCO2削減量とCO2削減コストを算出根拠つきで示してください。
数字の出どころを表や計算式で辿れる形にしておくと、審査側の確認作業が滞りません。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
審査項目には今後の脱炭素化計画が明示されていますので、設備導入で終わらない筋道を描けるかが分かれ目になります。
再生可能エネルギー由来電力の調達方法やバイオ燃料の活用時期まで踏み込んで書ければ、同種の申請の中で際立った計画になります。
脱炭素先行地域への該当、温室効果ガス排出削減目標の設定、デコ活への参画、エコ・ファースト制度の認定、TCFDへの賛同表明といった加点材料も、該当するものは漏れなく記載しましょう。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
補助金がなければ従来型の設備を選ばざるを得ない、という価格差の構造を率直に説明することが説得力につながります。
従来型と低・脱炭素型の見積を並べ、その差額が自社の投資判断にどう影響しているかを金額で提示してください。
カーボンニュートラルポート形成という政策目的に、自社の事業がどう接続するのかも併せて述べておくと文脈が通ります。
実行体制を明記する
審査では、発注先だけでなく施工監理の体制まで十分かどうかが見られます。
設計・調達・据付・試運転の各段階で誰が責任を持つのかを整理し、事業完了後の運営管理・保守計画まで一続きで示すことが大切です。
共同実施やファイナンスリースを利用する場合は、代表事業者と共同事業者の役割分担も具体的に書き込んでおきましょう。
許認可の要否や港湾管理者との調整状況も審査項目に含まれていますので、進捗を客観的に説明できる資料を添えると安心です。
港湾における脱炭素化促進事業の申請手順
- 北海道環境財団の公募情報ページから、公募要領・交付規程・実施要領・Q&Aをダウンロードして要件を確認する
- 実施したい事業が、陸上電力供給設備の導入・荷役機械の導入・荷役機械の改造のいずれに該当するかを整理する
- 導入設備と、荷役機械の場合は比較対象となる従来機について、原則3社以上から見積書と見積内訳書を取得する
- ハード対策事業計算ファイル(Fファイル)でCO2排出削減量と削減コストを算出し、算出根拠資料をまとめる
- 様式1の応募申請書、様式2の実施計画書、様式3の経費内訳を財団のサイトからダウンロードして作成する
- 事業実施地域の地図、設備仕様書、配置図・システム図、実施体制、スケジュール表などの添付資料を揃える
- 組織概要・定款、直近2期の貸借対照表・損益計算書、提出書類チェックリストを準備する(共同事業者がいる場合はその分も)
- Jグランツから電子申請するか、様式1から様式3を電子メールに添付して提出する
- Jグランツで申請した場合は、応募用アドレスあてに申請済みである旨のメールを送る
- 一次審査・二次審査を経て採択通知を受け取り、交付申請書を提出して交付決定を受ける
- 交付決定日以降に発注・契約を行い、令和9年2月26日までに事業を完了して支払いまで済ませる
- 完了後30日以内または令和9年3月10日のいずれか早い日までに完了実績報告書を提出し、交付額確定後に精算払請求を行う
港湾における脱炭素化促進事業を自社で申請する際の注意点
まず気をつけたいのは、補助事業の開始が交付決定日以降に限られるという原則です。
見積合わせや事業者選定は事前に行えますが、発注や契約を交付決定前に済ませてしまうとその経費は補助対象から外れてしまいます。
発注先の決定にあたっては競争原理が働く手続きが求められ、原則3社以上からの見積取得か、それが難しい場合は業者選定理由書の用意が必要になります。
令和8年度事業は令和9年2月26日までに支払いまで完了させる必要があるため、納期の長い大型設備では工程が想像以上にタイトになります。
事業完了後も3年間はCO2排出削減効果の事業報告書を毎年提出する義務があり、取得財産の処分には事前の承認が要る点も見落とさないようにしてください。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
港湾の脱炭素化に関わる支援策は環境省だけでなく国土交通省や地方自治体にも存在し、対象設備が部分的に重なっています。
国からの他の補助金との重複は本制度では認められていませんので、どの投資をどの制度に載せるかという整理は最初にやっておくべき作業です。
制度横断で全体像を把握している専門家が入ると、この交通整理が格段に速く進みます。
事業計画の質が上がる
CO2削減量の算定や削減コストの提示には、環境省系の補助金に共通した作法があります。
Fファイルの入力や算出根拠の見せ方に慣れた人が関わるだけで、審査での読みやすさは目に見えて変わってきます。
現場の担当者が本来の業務を止めずに済むという点も、外部に任せる実利として無視できません。
採択後の実務まで見据えられる
この補助金は交付決定後も、計画変更承認、完了実績報告、精算払請求、取得財産の管理と続いていきます。
帳簿と証拠書類は事業完了年度の終了後5年間または設備の法定耐用年数期間のいずれか長い期間の保存が必要で、会計検査院の実地検査を受ける可能性もあります。
最初の段階から書類の残し方を設計しておけば、数年後の検査対応で慌てる場面を減らせます。
港湾における脱炭素化促進事業を不正受給するとどうなるのか
- 適正化法に基づく返還命令と刑事罰の可能性
- 会計検査院の実地検査で指摘される前にできること
適正化法に基づく返還命令と刑事罰の可能性
本補助金の執行は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)の規定に従って行われます。
応募書類に虚偽の内容や事実と異なる記載があった場合、事業の不採択、採択の取消し、交付決定の取消し、補助金の返還といった措置が取られます。
公募要領には、補助金に係る不正行為に対して適正化法第29条から第33条において刑事罰等を科す旨が規定されていることが明記されています。
事業完了後であっても、補助事業の効果が発現していないと判断されれば補助金の返還を求められることがあります。
採択案件は応募者名と事業実施場所が財団のホームページ等に掲載されますので、社会的な影響も小さくありません。
会計検査院の実地検査で指摘される前にできること
補助事業が終了した翌年度以降、会計検査院による実地検査が行われる場合があります。
また環境省から委託を受けた団体が、設備の稼働状況や管理状況、CO2排出削減量を確認するために現地調査を行うこともあります。
経費区分の誤りや実績値の食い違いに気づいた時点で北海道環境財団へ自ら申し出れば、計画変更の承認や訂正の手続きで収まる場合が少なくありません。
補助事業の経費は収支簿と証拠書類を備えて他の経理と明確に区分し、工事業者等への支払いは金融機関からの振込に限られます。
小切手や手形による支払いは認められていませんので、経理処理のルールは着工前に社内へ周知しておいてください。
港湾における脱炭素化促進事業のまとめ
港湾における脱炭素化促進事業は、船舶へ電力を供給する陸上電力供給設備の導入と、コンテナ貨物を扱う低・脱炭素型荷役機械の導入・改造を支援する環境省の補助金です。
補助上限額は1億円で、補助率は陸上電力供給設備が3分の1以内、荷役機械の導入が従来型との差額の3分の2以内、改造が3分の2以内という設定です。
ハイブリッド型については、導入・改造ともに補助率が2分の1以内に引き下げられる点にご注意ください。
令和8年度の公募期間は令和8年5月21日から令和8年10月30日18時必着で、原則として月単位で審査・採択が行われます。
予算の上限に達した場合は期間内でも受付が終了する可能性がありますので、応募の準備は早めに進めておくのが賢明です。
最新の要件や様式はJグランツの公募詳細ページと、北海道環境財団の港湾における脱炭素化促進事業の公募情報ページで必ずご確認ください。
カーボンニュートラルポートの形成に向けた一歩として、この制度を活用していただければと思います。
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