【口語・文語】定型詩の意味は?自由詩・散文詩・韻文詩との違いも解説

定型詩

「定型詩って? 口語と文語それぞれに何か意味はあるの?」

「定型詩・自由詩・散文詩に違いはあるの?」

文章を書くときに定型詩を使う機会は多いのですが、このように疑問に思う人もいるハズ。

詳しくは本文で解説いたしますが、定型詩とは『5・7・5』のように詩句の数や配列順序に一定の形式をもっている詩を指します。

定型詩を使うことでリズム感のある詩を作成できるのですが、そんな定型詩には『口語』と『文語』の2種類があります。

口語型定型詩とは『話し言葉もしくは書き言葉で作成された定型詩』であり、文語型とは『昔の書き言葉で作成された定型詩』のことです。

簡単に言うと文章表現に違いがあるということですね。

コレが口語型と文語型の違いになります。

そしてそんな定型詩(口語型・文語型)は、自由詩・散文詩・韻文詩との明確な違いもあります。

そのため詩を作るとき定型詩・自由詩・散文詩・韻文詩を場面に応じて使い分けることで、文章表現能力をアップさせることが可能です。

そこでこの記事では定型詩の意味だけでなく、定型詩の代表例・その他詩との違い・外国語における定型詩を解説いたします。

この記事を読み終える頃には、日本語・外国語問わず趣深い詩を書けるようになっています。

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定型詩の意味は?口語と文語の違いも解説

定型詞について次の項目を解説します。

  1. 定型詩の意味
  2. 【口語と文語の違いは?】定型詩の種類
  3. 起源

わかりやすいように具体例を挙げていますので、参考にしてくださいね。

定型詩の意味

定型詩の意味は、次のように明記されています。

伝統的に、詩句の数や配列順序に一定の形式をもっている詩。

goo辞書|定型詩(2022年3月14日時点)

具体的に言いますと、以下のようなものが定型詩に分類されます。

【定型詩の種類と音数・配列の形式の例】

定型詩の種類詩句の数と配列順序
短歌・和歌5句31音(5・7・5・7・7)
俳句・川柳3句17音(5・7・5)
漢詩の絶句4句(起・承・転・結)1句が5字の五言絶句と7字の七言絶句がある
漢詩の律詩8句(首聯・頷聯・頸聯・尾聯)1句が5字の五言律詩と7字の七言律詩がある
ソネット14行(4・4・3・3または4・4・4・2)

上記のように各定型詩には一定の音数と配列があります。

一定の形式を持つことによって、詩にはリズムが生まれるのが特徴です。

次に和歌の例文を挙げました。

和歌の例文】
春過ぎて・夏来にけらし・白妙の・衣干すてふ・天の香具山
(持統天皇)

このように和歌は「5・7・5・7・7」の5句31音で構成されていて、リズムがあり読みやすいものとなっています。

ちなみに例文は小倉百人一首※の1つです。

※小倉百人一首とは、飛鳥時代から鎌倉時代初期までの代表的な歌人百人の和歌を一人一首ずつ集めて作られた和歌集。

和歌という形式があることによって多くの人が歌をよみ、その中から優れたものを1つにまとめることができた一例です。

リズムよく覚えやすいことから、かるた遊びとして現代に引き継がれています。

つまり定型詩のもつリズムや調子は慣れ親しんだものであり、耳に入りやすく共感しやすい性質があります。

したがって定型詩のように一定形式があることは、多くの人に親しまれる要因の一つといえるでしょう。

【口語と文語の違いは?】定型詩の種類

定型詩の種類には、口語と文語のものがあります。

【口語定型詩と文語定型詩における各特徴】

定型詩の種類説明文末表現
口語定型詩普段使っている話し言葉や書き言葉で一定の形式を持つ~です
~ます
~だ
~である
文語定型詩昔の書き言葉で一定の形式を持つ~なり
~たり
~し
~けり

このように定型詩における口語と文語の違いは、昔の書き言葉かどうかです。

違いを見分ける際は、文末表現に注目しますと口語と文語どちらの定型詩なのかを知ることができます。

各例文は次のとおりです。

【口語定型詩の例文】
つきよのうみに・いちまいの・てがみをながして・やりました
つきのひかりに・てらされて・てがみはあおく・なるでしょう
ひとがさかなと・よぶものは・みんなだれかの・てがみです
(寺山修司)

【文語定型詩の例文】
からまつの・林を過ぎて、
からまつを・しみじみと見き。
からまつは・さびしかりけり。
たびゆくは・さびしかりけり。
(北原白秋)

上記を見ますと、前者の口語定型詩の場合は、普段使っている話し言葉や書き言葉で書かれています。

一方で後者の文語定型詩の場合、「き」「けり」といった普段使っておらず馴染みのない文末表現となります。

このように現代における口語は話し言葉、文語は書き言葉という区分とは異なりますので注意してください。

ちなみに上記例文のように、5音や7音で区切られている場合は定型詩だと判断しやすいのですが、一文が長くなると判断しづらくなります。

次に文語定型詩の代表例として宮沢賢治の詩を挙げました。

【文語定型詩の例文】
風にとぎるゝ雨脚や、
みだらにかける雲のにぶ。

まくろき枝もうねりつゝ、
さくらの花のすさまじき。

あたふた黄ばみ雨を縫ふ、
もずのかしらのまどけきを。

いよよにどよみなみだちて、
ひかり青らむ花の梢(うれ)。
(宮沢賢治)

上記の例文では昔の書き言葉が使われています。

短歌に比べれば一文の文字数は多いですが、意図的に改行がされており文語定型詩となります。

このように一文が長くなってきますとわかりづらくなりますが、決まった形式があるのかによく注目して判断するようにしてくださいね。

起源

定型詩の起源は、漢詩の絶句や律詩にあるといわれています。

漢詩の種類は以下のとおりです。

【漢詩の種類】

漢詩の種類字数押韻
五言絶句1句5字4句(起・承・転・結)偶数句
七言絶句1句7字4句(起・承・転・結)1句および偶数句
五言律詩1句5字8句(首聯・頷聯・頸聯・尾聯)偶数句
七言律詩1句7字8句(首聯・頷聯・頸聯・尾聯)1句および偶数句

上記のように漢詩では、厳密に型が定められています。

押韻とは漢詩の特徴の一つであり、同じ音を決まった場所に置くことによって調子を整える効果があります。

さらに音が重視されると同時に、文字そのものや形式美が尊重されているのが漢詩です。

漢詩に対して日本語で読まれているのが和歌です。

和歌とは日本の伝統的な定型詩の一つで、五言絶句・七言律詩の影響を受けて5・7・5・7・7の形式となりました。

古代貴族社会においては漢詩は教養であったことから、和歌にもその形式の影響が残されているものと考えられます。

以下は広く知られている菅原道真の読んだ和歌です。

【和歌の例文】
東風(こち)吹かば ・匂ひおこせよ・梅の花
主(あるじ)なしとて・春を忘るな
(菅原道真)

上記のように、ひらがなを含んだ5・7・5・7・7の形式をとります。

和歌の場合、漢詩のような押韻の難しさがなくひらがなで読まれていることから、漢文の読めない女性や防人(当時の軍人)にも読まれるようになったといわれています。

そもそも詩には風景の描写や作者の感情が表現されているもので、共感する良さがあるものです。

このように日本独特の新たな型が形成されたことは、より多くの人と気持ちを共有する一助になったことでしょう。

【川柳など】定型詩が使われているもの

  1. 川柳
  2. 俳句
  3. 短歌(和歌)
  4. 絶句
  5. 七五調の新体詩
  6. 都々逸

川柳

川柳には、定型詩が使われています。

川柳とは俳諧と呼ばれ、俳諧連歌(はいかいのれんが)から派生した近代文芸で、俳句と同じ五七五の音数律を持ちます。

川柳と俳句はどこに違いがあるのかを下表で見てみましょう。

【川柳と俳句と短歌の違い】

種類音数律季語切れ字題材
川柳五七五不要不要身近な人間関係や社会風刺
俳句五七五必要必要自然や季節の移ろいなど
短歌五七五七七不要不要特に定めがない

このように、音数律は同じですが、季語や切れ字というルールに違いがあると言えるでしょう。

また、俳句は俳諧連歌の最初の句である発句が独立し、次に詠む人が詩を考えやすいように季語が使われています。

川柳は、後ろに付け加えていった句が独立しているもののため、俳句のように明確化されたルールがありません。

前の句であるがなくても充分に面白いということが、川柳が独立した背景とも言われています。

しかし、どちらも定型というリズム感や慣れ親しんだ調子などは、耳に入りやすく、共感しやすいという性質は同じです。

そして表から、川柳は俳句と同じ五七五という音節から成り立っていることがわかりますね。

このような決まった音数律で構成されている詩を定型詩と呼びます。

つまり、川柳は定型詩が使われているということがわかるのです。

俳句

結論から言うと、俳句は定型詩です。

なぜなら、俳句は五七五を主とした定型を基本とした詩であるからです。

例えば、以下のような例文で見てみましょう。

【代表的な俳句】
古池や蛙飛びこむ水の音

上記の俳句は、松尾芭蕉が詠んだ作品です。

音数律は「古池や」で五文字、「蛙飛びこむ」で七文字、そして「水の音」で五文字となります。

このことから、決まった音数律で構成されている定型詩ということがわかりますね。

さらに、俳句には川柳とは違い、季語が入ります。

上記の例文の中では、「蛙」という言葉が季語です。

季節は「春」を表しています。

「蛙」というと梅雨時のイメージがありますが、春の季語となります。

その理由は、蛙は冬の間冬眠し、春になると鳴き声を鳴らして活動を始めるからと言われているからです。

短歌(和歌)

短歌(和歌)も定型詩の1つとなります。

なぜなら、短歌(和歌)も「五七五七七」という決まった音数律で構成されているからです。

例として、以下のようなものがあります。

【柿本人麻呂の短歌作品】
ひむがしの 野にかぎろひの 立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ

このように、五七五七七の音数律で構成されているものが、短歌です。

短歌が最初に作られたのは、飛鳥時代と言われています。

明治時代から「短歌」という呼び名が定着するようになりましたが、それまでは「和歌」と呼ばれていた歴史があります。

また、短歌は俳句や川柳と似ていますが、季語を必要としないところ、音数律が五七五七七であるところに違いがありますね。

このことから、短歌(和歌)は川柳や俳句と同じように、決まった音数律で構成されているため、定型詩となるのです。

絶句

絶句は、起・承・転・結の4句(4行)からなる中国の漢詩の詩体の1つです。

※定型詩とは、五・七・五で表現される「俳句」や、五・七・五・七・七で表現される「短歌」のように一定のリズムをもつ詩のことを指します。

そのうち、1句が5文字からなるものを「五言絶句」、1句が7文字からなるものを「七言絶句」といいます。

例えば、五言絶句は以下のような漢詩を指します。

【五言絶句の例(静夜思・李白)】

五言絶句現代語訳
床前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
寝台の前で月の光を見る
地面に降りた霜のようだ
顔を挙げて山の上の月をながめ
頭を垂れて故郷を思う
引用元:中国語スクリプト『静夜思』李白(2022/3/20)

上記の「静夜思」は、寝台の前にある月の光を眺めながら故郷を懐かしんでいる様子を、起承転結の4句で表現した五言絶句です。

3句の顔を上げて山の奥にある月を眺めているところから、4句のだんだんと頭が垂れて故郷のことを思いふけっている間には、長い時間経過があると読み解くことが出来ます。

つまり、3句と4句の間の時間経過をはぶいて書くことで、読者に対してそのシーンを想像させているわけです。

4句(4行)からなる短い詩ですから、筆者の思いを全て表現することはできません。

むしろ全てを語ることなく、余韻でストーリーを響かせることが絶句のポイントになります。

このような点から、絶句は日本の俳句の源流であると言われています。

七五調の新体詩

定型詩が使われている日本の詩体の1つに、七五調の新体詩があります。

新体詩は、明治時代に西洋詩の影響を受けてできた新しい詩形で、多くが七五調で書かれています。

西洋の韻律を日本の詩形に盛り込むために、七五調が多く採用されたと言われています。

例えば、以下のような詩が七五調の新体詩です。

上野の山に風あれて、時雨降りしく動物園、北海道の羆(ひぐま)さへ……

青空文庫「新詩發生時代の思ひ出・土井晩翠」

上記を見てみますと、「上野の山に(七音)・風あれて(五音)」のように、七五調のリズムが強調されて書かれていることがわかります。

このように七五調の新体詩では、七五調のリズムを繰り返して書かれていることが特徴です。

新体詩の大まかなルールは七五調であることのみのため、短歌や俳句などと比較すると、表現の幅が広いと言えるでしょう。

つまり、新体詩と言う新しい詩形によって、日本語詩はさらに表現の自由度の高いものとなっていくわけです。

新体詩は後に発展し、口語自由詩である現代詩の源となる定型詩と言われています。

都々逸

都々逸は男女の情愛を歌った俗曲※の一種です。

※酒宴や寄席などの席で歌われる短くて軽い曲

七・七・七・五調で構成された短文詩を三味線の音色に乗せて唄う芸能で、どのような節回しで歌っても良いという特徴があります。

例えば、都々逸には以下のようなものがあります。

【都々逸の例】
恋に焦がれて鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす

上記の例をみてみますと、「恋に焦がれて(七)・鳴く蝉よりも(七)・鳴かぬ蛍が(七)・身を焦がす(五)」と七・七・七・五調で構成されています。

また、「鳴く蝉よりも、鳴かぬ蛍が身を焦がす」はことわざの1つで、以下のような意味があります。

あれこれ口に出す者より、何も言わない者のほうが情が深いというたとえ。

goo辞書

このことから、口に出して色々言う人より、口に出さない人の方がより愛情深く思っている男女のことを歌っていることがわかります。

つまり、男女の情愛を七・七・七・五調で歌っていることから、都々逸だと言うことがわかりますね。

このように、たった26文字ですが、男女の情景や気持ちが伝わることが都々逸の魅力と言えるでしょう。

定型詩・自由詩・散文詩・韻文詩の違い

  1. 定型詩と自由詩の違い
  2. 定型詩と散文詩の違い
  3. 定型詩と韻文詩の違い
  4. 定型詩と叙情詩の違い

定型詩と自由詩の違い

結論から言いますと、定型詩と自由詩の違いは、音数の形式に従って作られているかどうかです。

定型詩と自由詩の違いを下記の表で見てみましょう。

【定型詩と自由詩の違い】

形式名称意味特徴
定型詩音数に一定の形式を持つ詩古風で伝統的な雰囲気を出せる
自由詩音数に一定の形式を持たない詩自由に書くことができるので、自由な言葉や表現が可能

このように、音数に一定の形式を持つか持たないかが大きな違いと呼べます。

詩を大きく分けると、定型詩と自由詩の2種類だと言えるでしょう。

なぜなら、字数や区の数、配列などが一定のものは定型詩であり、形式から外れると自由詩となるからです。

例えば、次の文章で見てみましょう。

【定型詩の例文】
ふるいけや かわずとびこむ みずのおと

【自由詩の例文】
昔からある池に、蛙が水に飛び込む音が聞こえる

このように、音数が一定で五・七・五の俳句や短歌などは、定型詩の仲間となります。

そして、この音数のルールから外れると定型詩ではなくなり、自由詩となるのです。

テーマなどは自由ですが、音数については厳しい制約が設けられていることが、定型詩の特徴ですね。

それに対し、自由詩はその名の通り、自由な音数で作られた詩で、内容も音数も一切の制約がなく自由な発想やスタイルで作られます。

つまり、大きく分けるとすべての詩は、定型詩か自由詩となります。

このことから、定型詩と自由詩の違いは、音数の形式が異なることと言えるのです。

しかし、音数の違いのみであり、上下や良し悪しの違いはありません。

それぞれに魅力も難しさもありますので、詩を書こうと思ったなら、どちらも挑戦してみるのが良いでしょう。

定型詩と散文詩の違い

定型詩と散文詩の違いは、音数による行分けと言えます。

【定型詩と散文詩の違い】

形式名称意味特徴行分けの有無
定型詩音数に一定の形式を持つ詩古風で伝統的な雰囲気が出せる有り
散文詩普通の文章のように書かれた詩見かけ上は普通の文章と変わらない無し

このように、定型詩は音数が一定となり、リズム良く行分けがされますが、散文詩は行分けが少ないことが特徴です。

また、散文詩は自由詩ととても似ていますが、自由詩の中の1つのカテゴリーとも言えます。

自由詩よりももっと自由で現代的に書かれた詩が散文詩と言えるでしょう。

例えば、宮沢賢治の詩を見てみましょう。

【定型詩の例文】
風にとぎるる雨脚や、
みだらにかける雲のにぶ。
まくろき枝もうねりつつ、
さくらの花のすさまじき。
あたふた黄ばみ雨を縫ふ、
もずのかしらのまどけきを。
いよよにどよみなみだちて、
ひかり青らむ花の梢うれ。

【散文詩の例文】
霧がじめじめ降っていた。
諒安は、その霧の底をひとり、
険しい山谷の、刻みを渉って
行きました。
沓の底を半分踏み抜いてしまい
ながらそのいちばん高い処から
いちばん暗い深いところへまた
その谷の底から霧に吸い込まれた
次の峯へと一生けんめい伝って
行きました。

このように、定型詩は同じ長さで行分けが行われています。

それに対して、散文詩はほとんど行分けがされておらず、普通の文章のように書かれていることが特徴です。

このことから、全体的に音数を一定にしているものが定型詩で、普通の文のように書かれているものが散文詩と言えます。

つまり、音数による行分けが一定かどうかが、定型詩と散文詩の違いと言えるのです。

定型詩と韻文詩の違い

定型詩と韻文詩の違いは、定型詩をより規則を厳しくしたものが、韻文詩と言えます。

【定型詩と韻文詩比較表】

形式名称意味形式の分類方法
定型詩音数に一定の形式を持つ詩形式による分類
韻文詩短いフレーズで韻を踏む形式の詩形式による分類

上記の表で見てみると、定型詩は韻文詩とほぼ同様と言えるでしょう。

しかし、定型詩は音数は一定という形式であり、韻文詩は音数を固定した俳句や短歌などに限定されます。

例えば、定型詩は俳句や短歌だけではなく、一定の音数というルールを守れば、俳句などに固定することはありません。

しかし、韻文詩とは以下のようなものに限定されます。

  • 俳句
  • 和歌
  • 漢詩
  • 連歌
  • 連句

他にもありますが、上記のような音数のルールが固定されたものが、韻文詩となります。

このことから、韻文詩とは定型詩よりもより厳しいルールがあるものと言えるでしょう。

定型詩と叙情詩の違い

定型詩と叙情詩の違いは、種類が違うと言えます。

【定型詩と叙情詩の違い】

名称種類特徴
定型詩詩の形式古風で伝統的な雰囲気が出せる
叙情詩詩の内容作者の気持ちが込められた詩

表でわかるとおり、定型詩は詩の形式上の種類のことで、叙情詩は詩の内容上の種類です。

定型詩とは、音数に一定の形式を持つ詩のことで、言わばその詩のスタイルとも呼べます。

叙情詩とは、作者の感情や心情などの気持ちが込められた詩のことです。

そのため、定型詩という音数の形式といったものとは種類が異なると言えます。

例えば、以下の金子みすゞさんの詩を見てみましょう。

【叙情詩を使った定型詩】
私が両手をひろげても、
おそらはちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

このように、定型詩でもあり、叙情詩でもありますね。

つまり、定型詩と叙情詩は、同じ詩の形式ですが、種類が違うということです。

外国語にも定型詩はある

海外には以下のように多くの定型詩が存在します。

  1. 漢詩
  2. ソネット
  3. ロンド
  4. オード

漢詩

8世紀から日本で漢詩が詠まれています。

平安時代の物語の詩は漢詩を意味するためです。

元来は紀元前12世紀ごろに中国で漢詩が生まれたとされています。

それが、狭義には後漢時代の中国で確立したようです。

この漢詩が中華文明のアジア諸国への伝来により広く使われるようになりました。

日本のみならず、韓国やベトナムにも漢詩が広まったようです。

具体的に漢詩は以下のような文章となります。

【漢詩の例】

漢詩
月夜見梅華月夜に梅華を見る

これは菅原道真の漢詩です。

通常の文章と異なり、漢字だけで構成されていることが特徴となります。

上表の漢詩のように、漢字5字で構成されるため、5言詩と呼ばれています。

漢詩の基本形はこの5言詩と7言詩です。

漢詩は聴覚に一定の姿や形態、イメージを感覚させるリズムを楽しむものです。

日本での漢詩は20世紀以降に急速な衰退をしたものの、漢学教育を受けた人々は漢詩をたしなんだようです。

有名な文化人は以下のとおりです。

  • 大正天皇
  • 夏目漱石
  • 森鴎外
  • 中島敦

中でも夏目漱石の漢詩は中国語で矜じ(きょうじ)られており、美しいとされています。

韓国やベトナムでも漢詩は使われていましたが、近代では一般人への浸透は弱まったようです。

漢字の廃止がおこなわれたためです。

これらのことから、漢詩は中国の伝統文化であると同時に、アジア諸国で親しまれた詩だといえます。

ソネット

14行詩と呼ばれる、4-4-3-3や4-4-4-2で構成されたヨーロッパの代表的な詩形です。

【3大ソネットの特徴と押韻構成】

種類特徴押韻構成
イタリア風前半の8行連(2つの4行連)は問いの提起。
後半の6行連で答えを与える。
9行目はターン(詩の口調、雰囲気、立場の移行)を用いることが多い。
a-b-b-a,a-b-b-a(8行連)
c-d-e-c-d-e(6行連)
c-d-c-c-d-c(6行連)
c-d-c-d-c-d(6行連)
スペンサー風3つの4行連と1つの2行連で構成(シェイクスピア風)
4行連では主張や論点の後に結論が来る(ペトラルカ風)
a-b-a-b(4行連)
b-c-b-c(4行連)
c-d-c-d(4行連)
e-e(2行連)
シェイクスピア風3つの4行連と1つの2行連で構成。
3番目の4行連では予想できない急激なテーマのターンを用いる。
2行連は普通詩の簡潔なテーマか、新鮮な見方を提示。
a-b-a-b(4行連)
c-d-c-d(4行連)
e-f-e-f(4行連)
g-g(2行連)

上表から有名な14行詩である3つのうち、2つは4-4-4-2の構成が用いられるようです。

ルネサンス期のイタリアでジャコモ・ダ・レンティーニとエッタにより、ソネットが生まれました。

しかし、シェイクスピアやスペンサーの名前があることからわかるように、イギリスでも多くの詩人がさまざまな工夫をこらし、詩に打ち込んだことが伺えます。

したがって、当時のヨーロッパで多くの詩人が、ソネットは定型詩の基本形として活用したといえます。

ロンド

詩を読んだ時に、2つの押韻と15行詩を組み合わせた詩をフランスの詩人が書いていたら、ロンドだと思ってください。

それらの特徴はロンドと一致するためです。

13世紀〜15世紀のフランスで流行した詩やそれをもとにした中世やルネサス初期の楽式にはロンドが使われています。

また、この韻文の形式は英国詩でも使われています。

以下はロンドの特徴です。

  • 2つのリズム(押韻)と響きの心地よさや美しさ
  • 8音節の13行とリフレインの2行(各4音節の半行)で構成される
  • 押韻の構成はa-a-b-b-a a-a-b-c a-a-b-b-a-c(cはリフレイン)

リフレインとは主旋律の前にそれと同じか、それよりも長い前語りがある楽曲形式をいいます。

また、ルールがあり、リフレインの言葉は最初の行の出だしと全て同じでなければならないとされています。

ロンドの最大の特徴は、このリフレインをどのように配置するかに重点を置いていることです。

できる限り簡潔に、それでいて感動的な方法で詩の目的を損なわないことが大切とされています。

これらのことから、15行詩であり、2つの押韻やリフレインが含まれている場合はロンドだといえます。

オード

オード(頌歌)はヨーロッパや南米で使用された形式で、詩を作る本人の感情や思想を読者に伝える詩です。

【オードと各国の特徴】

代表特徴
ギリシアメロス意識して作り込まれた韻律。   各々の創意工夫で、形式の完全な一貫性はない。
イギリスエドマンド・スペンサー正規の形式としては、2つの4歩格行の後に2つの3歩格行を置く詩がある。
不規則な形式としては、行の長さと押韻構成が不規則な短長格の詩がある。
スペインと南米パブロ・ネルーダ概念、物体、果実、野菜、生き物など、これまで詩が対象にしたことのないテーマを手がけた。

上表より、ソネットやロンドと比べると、詩の自由さが目立ちます。

また、パブロ・ネルーダの詩のように、これまでは触れられることのなかったものがテーマになっていることもオードの特徴です。

詩の世界が以前よりさらに幅広くなったと考えられます。

これらのことにより、オードは世界に広がり、詩の新しい世界をつくりあげてきたものだといえます。

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