「お世話になります」は正しい使い方!間違った用法も例文で解説

になります

「1,000円になりますっていう敬語は使い方として正しいのかな? 1,000円ですの方がふさわしい?」

このように疑問に思うことはありませんか?

結論を言うと、この使い方は間違っています。

詳しくは後述しますが、何かを断定するときに『になります』を使うのは間違いです。

ここでは『です』を使うのが正解。

しかしその一方で、『になります』を使う方が正しいケースも存在します。

『お世話になります』がその典型的な例。

この使い方は正しいのですが『1,000円になります』との違いが、正直わかりにくいですよね。

そこでこの記事では『になります』を使うのが正しい・間違いであるケースを解説します。

そのほかにも言い換え方や使い分け方も紹介しますので、参考にしてくださいね。

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「になります」の意味と言い換え方

「になります」の正しい意味を以下の3つに分けて説明します。

  1. 「になります」の意味
  2. 実は敬語ではない
  3. 言い換え方

「になります」の意味

『になります』は、状態変化を表す動詞『なる』の丁寧語です。

『デジタル大辞泉』によると『なる』には、以下のような意味があります。

・今までと違った状態・形に変わる。
・物事ができ上がる。実現する。成就する。
・ある時分・時期などに至る。ある数値に達する
・ある働きをする。作用する。
・許すことができる。許して、よいとする。
・その人によってつくられる。
・全体がそれによって構成される。
・他からその恩恵を受ける。

goo辞書 | なる【成る/為る】の解説(最終閲覧日2021年9月16日)

このように、動詞の『なる』は多くの意味を持っています。

多くの意味を持っているということは、多くの使い方ができるということですね。

使い方の違いをしっかり覚えましょう。

例えば以下のような使い方があります。

「雨天のため、運動会は中止になります」

雨によって今まで予定していた運動会は、中止という状態に変化しました。

これは、『今までと違った状態に変わる』に当てはまります。

もう1つ例文を見てみましょう。

「彼はあと1本で、日本人初のホームラン王になります」

彼が1本のホームランを打ちます。

その結果、始めて日本人のホームラン王が実現する、という意味です。

これは、『実現する』という意味に当てはまりますね。

このように『なる』という動詞には、様々な意味があります。

実は敬語ではない

『になります』は、『なる』を丁寧にした言葉です。

『ます』は助動詞になります。

助動詞とは、前の言葉にくっ付いて意味をそえる働きをするのです。

例えば『飛びます』という文章があったとします。

この文末の『ます』が助動詞です。

動詞である『飛ぶ』にくっ付いていますね。

そして、動詞の意味を『飛ぶ』より丁寧に表現しています。

『になります』も同様です。

動詞『なる』に、助動詞『ます』がくっ付いています。

そして、動詞の意味を丁寧に表しているのです。

したがって、『になります』は敬語ではありません。

言い換え方

『になります』を言い換える場合は『です』または『でございます』を使います。

です

『です』は、助動詞『だ』の丁寧語です。

断定の意味を表します。

以下の例文を見てみましょう。

「今日はくもりです」

今日の天気をはっきり『くもり』と言っていますね。

このように、物事をはっきり判断することを断定と言います。
 
それに付け加えて、『です』は文章を丁寧なイメージに変換します。

体言に付けることで、丁寧な断定を表現しています。

体言とは、名詞や代名詞のことをいいます。

【ですに言い換えた例題】

例題『です』に言い換えた場合
来年20歳になります。来年20歳です。
グラフ化したものがコチラになります。グラフ化したものがコチラです。
台風のため中止となります。台風のため中止です。

このように、『になります』は『です』に言い換えることができます。

でございます

『でございます』は、補助動詞『である』の丁寧語です。

物の存在や状態を説明している言葉です。

『物がある』ので、人に対しては本来使用しません。

以下のように使います。

「こちらは〇〇売り場でございます」

『売り場』があることを丁寧に表していますね。

そして、「ございます」という表現は、フォーマルな印象になります。

そのためビジネスにおいても、多く使われるのです。

しかし、例外もあります。

例えば、以下のような例文です。

「私が〇〇でございます」

『私』は物ではありません。

しかし、この使い方は間違ってはいないのです。

なぜなら、物に使う言葉を自分自身にあえて使っているからです。

自分がへりくだることで、相手への敬意を示しています。

『でございます』は、『です』よりもっと丁寧な言い方をしたい時に使われます。

【でございますに言い換えた例題】

例題『でございます』に言い換えた場合
合計金額15,000円になります。合計金額15,000円でございます。
一部変更になります。一部変更でございます。
冬になります。冬でございます。

このように『ございます』は、非常に丁寧な印象を与えます。

取引先などのビジネスでの使用も多いですね。

正しく使用しましょう。

正しい使い方(変化)

『になります』は、状態変化を表す動詞『なる』の丁寧語です。

正しい使い方を4つの意味に分けて説明します。

  1. とある恩恵を受ける
  2. とある状態に達する
  3. とある時期に到達する
  4. とある状態に変化する

とある恩恵を受ける

これまで解説してきましたように『になります』は、基本的にとある状態から別の状態へ変わることを意味します。

しかし『誰かからの恩恵を受ける』場合でも使えます。

例えば以下のような例文です。

  • お世話になります
  • ご馳走になります
  • ご厄介になります

お世話、ご馳走、ご厄介は、どれも何かに変化しません。

しかし、正しい表現となります。

これは、私が『お世話』『ご馳走』『厄介』になったことで、恩恵を受けた状態に変化したと解釈できるからです。

したがって、『なる』の本来の意味である変化を伴う使い方ですので正しいといえます。

とある状態に達する

『になります』は、何かの状態に達するという意味での使い方も正しいです。

例えば、『水を沸騰させるとお湯になります』という文章があります。

水である状態から、別の状態であるお湯に変化していますね。

したがって、正しい表現といえます。

とある時期に到達する

『になります』は、時間が到達することで変化する状態も表すのです。

例えば、以下のような例文があります。

『私は、来月20歳になります』

これは来月のある時期に、19歳から20歳に変化するということ。

時間が原因で、状態が変化しています。

とある状態に変化する

『になります』は、ごく一般的な流れの結果、ある状態に変化したことも表します。

以下の例文が、当てはまります。

  • さなぎが蝶になります
  • 冬になります

さなぎは成長すれば、自然に蝶に変化しますよね。

冬も同じです。

夏が終わり、段々と涼しくなって、自然に冬に変化します。

このように、状態変化を表現する使い方は正しいのです。

間違った使い方(断定)の例文

間違った使い方を4つの例文を使って説明します。 

  1. 指定場所はコチラになります
  2. コチラが例のものになります
  3. ~になりますでしょうか?
  4. お代は10,000円になります

指定場所はコチラになります

「指定場所はコチラになります」は間違った使い方です。

指定場所をより丁寧な言い方にしようと『になります』を使っているからです。

例えば、以下のような例文です。

「東京ドームはコチラになります」

東京ドームは、単なる場所ですね。

『になります』は、基本的に何かが変化するときに使います。

変化のない場所に使うには、不自然になりますね。

したがって、「指定場所はコチラになります」は間違った使い方なのです。

相手にとって意外性のあるものではない

『になります』は、変化しないものに対して使うことは間違いです。

単なる物の説明は正しい使い方とは言えません。

例えば、接客業でこのような会話があったとします。

お客様「洗剤はどこにありますか?」
店員「洗剤売り場はこちらになります」

洗剤売り場は、単なる説明です。

お客様によって、意外な結果でもありません。

したがって、この使い方は間違いなのです。

お客様「洗剤売り場はこちらです」
店員「洗剤売り場はこちらでございます」

『です』または『でございます』を使った言い方が、正しいのです。

コチラが例のものになります

物事の説明や事実を表すときに『になります』は使いません。

主語『コチラ』のものは、実際に『例のも』のがここにあるという意味です。

つまり変化はしていないので、間違った使い方となります。

正しい使い方は以下の通りです。

  • コチラが例のものです
  • コチラが例のものでございます

~になりますでしょうか?

「~になりますでしょうか?」は間違った表現です。

なぜなら、『ます』と『です』の2つの敬語が2つ使われているからです。

これを二重敬語といいます。

例えば、以下のような例文があります。

『いつ頃出発になりますでしょうか?』

これは間違いです。

丁寧に伝えようとするあまり、二重敬語になっています。

正しい表現は『いつ頃出発になりますか?』になります。

お代は10,000円になります

「です」という表現をもっと丁寧したいときに「なります」を使うのは間違いです。

「なります」は物や場所を丁寧に表現するだけの言葉ではありません。

以下のような文章を聞いたことがある方は多いと思います。

「お代は10,000円になります」

お店やレストランでよく使われていますね。

しかし、これは間違いです。

お代が、10,000円であることを丁寧に表現しているだけだからです。

『です』より更に丁寧な表現を使い方ときは、「になります」ではありません。

丁寧に言いたいのであれば、「お代は10,000円でございます」を使うと良いでしょう。

例外もある|合計料金だと正しい

『お代は、10,000円になります』には、正しい使い方もあります。

それは、Aという商品とBという商品の合計金額を表すときです。

『お代(2つの商品の合計)は、10,000円になります』であれば正しい表現になります。

『になります』は、状態が変化するときに使うのが正しいのです。

商品料金が不明

合計を計算する

結果、合計金額が確定した

このように、料金が変化したため合計金額の場合は、正しい使い方であるといえます。

「になります」と「となります」の使い分け方

『になります』と似た表現に『となります』があります。

この2つの表現の使い方について説明します。

  1. 2つの違いは?
  2. 使い分け方

2つの違いは?

『になります』と『となります』の違いは状態変化に意外性があるか無いかです。

『になります』は日常生活を流れとして、自然な状態変化を表します。

自然な状態変化の例文は以下のとおりです。

「おたまじゃくしはカエルになります」

おたまじゃくしがカエルに変化することは、当然ですよね。

意外性がないため、『になります』が正しい表現となります。

一方で、『となります』は何かが起こった結果、意外性のある状態変化を表します。

以下の例文を見てみましょう。

「台風のため休校となります」

台風という意外な災害が起こった結果、休校になりました。

このように『となります』は、何かが起こったときに意外性のある状態変化が生じるときに使われます。

使い分け方

『になります』と『となります』の使い分け方を説明します。

【になります・となりますの使い分け例題】

になりますの例文となりますの例文
商品の発送は週明けになります夏風邪が流行っているため、学級閉鎖となります
息子は三ヶ月後に1歳になります本日の受付は終了となります

『になります』は、自然な状態変化を表します。

どちらも意外性やトラブルが無い状態変化です。

『商品の発送は週明けになります』→商品の発送は移動という変化が起きています。

『息子は三ヶ月後に1歳になります』→息子は、時間の経過という変化が起きていますね。

『となります』は、意外性のある状態変化を表しています。

『夏風邪が流行っているため、学級閉鎖となります』→学校は、夏風邪というトラブルにより閉鎖という変化が起きました。

『本日の受付は終了となります』→本日の受付については、詳細が書かれていないため不明です。

しかし『となります』と記載されているので、何かトラブルがあったのだと推測できます。

このように、意味を知ることで正しく使い分けることができます。

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