【ただの肯定文章】二重否定の意味や日本語表現としてアウトな理由を解説

二重否定

「二重否定って、結局どういう意味?」

「日本語表現のとして正しいのかな?」

文章を読み書きしているときに二重否定を使った文章を見ると、このように疑問に思う人もいるハズ。

結論を言うと、二重否定はただの肯定文です。

二重否定は『前出した文章の否定の否定』を意味する文章表現ですので、結果だけ見るとただの肯定文章になります。

そう考えると「ややこしいな。それなら最初から肯定文を書けよ」と思いますよね。

実はその通りで二重否定を使った文章は、煩わしく遠回りな印象になります。

そのため二重否定を日本語の文章に組み込むのは、あまり好ましくありません。

しかしそれにもかかわらず、二重否定を使った文章は現代に至るまで、なぜか幅広く使われています。

先ほど解説しました証に、二重否定を使った表現は読者を困惑させるにもかかわらずです。

不思議ですよね。

実はこれにも明確な理由があります。

そこでこの記事では二重否定の意味や使ってはダメな理由はもちろん、ついつい使ってしまう理由・肯定文章への書き替え方を解説いたします。

この記事を読み終えるころには、二重否定を使わずに文章を書くべき理由が理解できますよ。

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二重否定の意味|ただの肯定文章です

ココでは二重否定の意味など、基本情報を解説いたします。

  1. 『否定の否定』なので結局は肯定を指す
  2. 修辞法で言うと緩叙法に該当する
  3. 慣用句にも二重否定がある

『否定の否定』なので結局は肯定を指す

二重否定とは『否定の否定』なので、結局は肯定を指します。

コトバンクによると、二重否定は次のように説明されています。

否定の言葉を二度重ねて肯定の意味を強めたり、その肯定を婉曲えんきょくに表したりする語法。

コトバンク|デジタル大辞泉「二重否定」の解説(2022/1/11)

例文を用いて説明しましょう。

【二重否定の例文】
こんな素敵なプレゼントをいただいて、嬉しくないわけがない。

上述の場合、”嬉しくない”を否定することで、”嬉しい”という主張をしています。

つまり”こんな素敵なプレゼントをいただいて、嬉しい”という内容になるわけですね。

このように、否定表現を否定することで肯定の主張をするのが、二重否定の言い回しです。

『否定の否定』なので結局は肯定を指すわけです。

修辞法で言うと二重否定は緩叙法に該当する

二重否定は、修辞法で言うと緩叙法に該当します。

修辞とは、言いまわしや修飾等を用いることで、言葉を効果的に表現することを指します。

そして、修辞法とは、修辞の体系的な法則のことです。

その中でも、緩徐法は肯定語の反対語を否定する方法を指します。

例えば、”賢い”を表現したい場合は”愚かではない”、”暑い”を表現する場合は”寒くない”と表現します。

緩徐法の目的は、主張の意味を強調したり婉曲な表現にしたりすることにあります。

例文を用いて説明しましょう。

【二重否定の例文】
日々の練習せずに試合に勝つことはあり得ない。

【二重否定の例文】
その料理は、口に合わないこともない。

上述の二つの例文を見ると、例文1は強調を、例文2は婉曲を表現しているのが分かります。

例えば、例文1の場合だと”試合に勝つためには、練習が重要である”という内容になります。

しかし、二重否定を用いることによって、そのままの肯定文で表現するよりも”練習すること”の重要性を強調しているのです。

一方で、例文2の場合は、”その料理は口に合う”といった内容となっていますよね。

只、二重否定を用いることで、どこかその料理に満足していないニュアンスも同時に表現しています。

このように二重否定は緩叙法であり、強調や婉曲のニュアンスも持たせたいときに用います。

慣用句にも二重否定がある

慣用句にも二重否定があります。

以下に簡単にまとめました。

【二重否定の慣用句】

慣用句二重否定から言い換えた場合
①なきにしもあらず少しはある
②差し支えない〜しても良い
③否めない〜がある(可能性、傾向が)
④〜といったら嘘になる”〜の反対の内容”である
⑤満更でもない意外といける
⑥禁じ得ないある感情がこみ上げてくる
⑦間違いない当たっている、合っている
⑧他ならないまさしくそうである、
⑨過言ではないそうである、その通りである
⑩厭わない進んでやる、精を出す

上記の表の①〜⑩までを見ていきましょう。

①、③については婉曲の表現、②については断定的な表現、⑤については曖昧な表現になっています。

また、④・⑥〜⑩については強調の表現になっています。

このように、一口に慣用句と言っても、直接的な表現を避ける目的で使われるもの、逆に強調したいときに使われるものなど様々なものがあります。

シチュエーションに応じて効果的に用いましょう。

このように、慣用句にも様々な表現の二重否定があります。

二重否定がダメな理由

二重否定を使ってはダメな理由は3つあります。

  1. 読者に混乱を招くかもしれないから
  2. 情報内容が曖昧で誤解を招くかもしれないから
  3. 遠回しな表現になり相手をイライラさせてしまうかもしれないから

読者に混乱を招くかもしれないから

二重否定がダメな理由は、読者に混乱を招くです。

理由としては、表現の曖昧さに混乱する可能性があるからです。

二重否定とは、1つの文章に否定する言葉を2回重ねて使用する表現のことを言います。

否定する言葉を重ねることで、肯定を意味する文章にする表現です。

例えば、以下の例文で見てみましょう。

【二重否定の例文】
記事を書くことは難しくないこともない。

普通の肯定であれば、記事を書くことは難しいという文章になります。

ですが、読者の受け止め方次第では、以下のような解釈になってしまいます。

  • 記事を書くことは難しい
  • 記事を書くことはそこそこ難しい
  • 記事を書くことは少しだけ難しい

このように、幾通りもの解釈が存在するのです。

この例文の場合、二重否定を使用してしまうと、そもそも難しいのかどうかもわからなくなってしまいます。

このことから、二重否定がダメな理由は読者に混乱を招く可能性があるためと言えるのです。

読者に混乱を招き、負担をかけてしまうような表現は使わないようにしましょう。

情報内容が曖昧で誤解を招くかもしれないから

二重否定がダメな理由としては、情報内容が曖昧で誤解を招くことも挙げられます。

なぜなら、正しく伝えなくてはならない情報が誤解を招き、大変な事態に発展してしまうからです。

例えば、以下の例文で見てみましょう。

【二重否定の例文】
本日乗車予定の新幹線が運休にならないとも限らない

この文章は、新幹線が運休になるかもしれないという意味です。

ですが、この例文を見ると以下のような受け止め方をしてしまう可能性があります。

  • 新幹線が運休になる
  • 新幹線が運休にはならない

もし、大事な取引のため新幹線で向かう予定であったのに、このような伝え方をされた場合、どうでしょう。

別な移動手段を考えなくてはいけないのか、このまま予定通りに新幹線に乗車するのか迷ってしまいます。

仮に取引先の方が、到着駅で出迎えてくれる状況であったとします。

もし、この情報を誤解して別な移動方法をとったとしたら、取引先の方は駅で待ちぼうけになってしまいます。

取引先との関係に影響したり、最悪取引が破綻してしまうかもしれません。

このことから、二重否定がダメな理由は情報内容が曖昧で誤解を招いてしまうかもしれないと言えます。

正しく伝えなければならない情報は、このような二重否定を使用することは避けましょう。

遠回しな表現になり相手をイライラさせてしまうかもしれないから

二重否定は、遠回しな表現になり相手をイライラさせてしまうかもしれません。

なぜかと言うと、二重否定を使用した文章は、まわりくどい印象となるからです。

例文で例えてみましょう。

【二重否定の例文】
その契約書で手続きができないとは言い切れない

文章の意味としては、手続きができると肯定しています。

ですが、契約書に誤りがあるのかないのかを、もっとはっきりと伝えてほしいと感じるでしょう。

  • その契約書なら手続きができる
  • その契約書は大丈夫

このように伝えてほしいですよね。

まわりくどく、遠回しな表現をされると、歯切れが悪く感じます。

責任を負いたくないから、曖昧にしたいという印象さえ持てますよね。

例えば、取引先との契約のために色々と努力して、ようやく契約書にサインを戴くまで進んだとします。

取引先からの印象を悪くさせないためにも、上司に最終チェックをしてもらう際に上記の例文のように言われたらどうでしょう。

まわりくどい遠回しな表現をされると、はっきりと伝えてほしいと思いますよね。

答えを求めているのに、正しいのか誤っているのかわからなくなり、イライラしてしまいます。

このように、二重否定がダメな理由は、遠回しな表現になり、相手をイライラさせてしまうかもしれないことです。

相手がスラスラと理解できるように、このような二重否定の表現は使用しないほうがいいですね。

それでも二重否定を使ってしまう理由

ここまでを読むと二重否定を使った文章が、以下に分かりにくいのかがよくわかります。

しかしそれでも二重否定を使ってしまう理由が、実は4つあります。

  1. 強い肯定を示したいから
  2. 直接的な言及を避けたいから
  3. 可能性を完全否定できないから
  4. 相手への配慮を示したいから

強い肯定を示したいから

肯定の度合いを強く表現したい場合に使うことが多いです。

日常で使われる肯定文よりも否定を否定する二重否定を使う事で、強い肯定を出す表現になります。

例文を使って解説します。

【二重否定の例文】
走りださずにはいられない草原

【肯定の例文】
走りだしたい草原

例文のように、「走りだしたい草原」と「走りださずにはいられない草原」ですと、二重否定を使用している「走りださずにはいられない草原」の方が肯定感が強いです。

二重否定を用いることで、走りだしたい気持ちが強くでていることがわかります。

例文のようにより強く肯定感を出したい場合にこのような二重否定を使用します。

直接的な言及を避けたいから

直接的に言うと強い言及になってしまう場合に使うことが多いです。

はっきり言ってしまうと、相手にとってはきつい言葉になってしまうと感じる場合は、わざと濁すことで肯定は出来るだけしたくない気持ちを表します。

例文を使って解説します。

【二重否定の例文】
この料理は不味くないとはいえない

【肯定の例文】
この料理は不味い

【否定の例文】
この料理は不味くない

「不味い」とはっきり肯定するのはきつい言葉になってしまい、「不味くない」とは言えない気持ちがある時に「不味くないとはいえない」と表現します。

不味いけど、直接的な言及を避けている心境です。

直接的な言及を避けたい場合はこのような二重否定を使用します。

可能性を完全否定できないから

否定をしきれない場合に使うことが多いです。

否定をするまではいかないが、完全に肯定も出来ないという場合に使います。

例文を使って解説します。

【二重否定の例文】
野球は出来ないわけではない

【肯定の例文】
野球は出来る

【否定の例文】
野球は出来ない

「野球は出来ない」とは言い切れないけど、「野球は出来る」と自信もって言えない場合は「野球は出来ないわけではない」と歯切れの悪い表現を使います。

野球は出来ないと完全否定はしたくない心境です。

例文のように、出来ないと完全に否定は出来ない場合にこのような二重否定を使用します。

相手への配慮を示したいから

相手への配慮の為に否定をしきれない場合に使うことが多いです。

肯定はしたくないけど、相手への配慮で否定もしきれない場面で使います。

例文を使って解説します。

【二重否定の例文】
その話しにのらないこともない

【肯定の例文】
その話しにのる

【否定の例文】
その話しにのらない

「その話しにのる」とは言い切れないが、相手への配慮や条件面によっては「その話にのらないこともない」にとれます。

その話しにはあまり進んでのりたくないけど、配慮している心境です。

本当は否定をしたいが、相手への配慮で否定をしきれない場合にこのような二重否定を使用します。

二重否定の書き換え方

二重否定は肯定の中に何らかのニュアンスが含まれており、回りくどい文章になってしまうことが多いです。

そのため、二重否定の文章をわかりやすい文章にする、下記の3つの方法を紹介します。

  1. 肯定文にする
  2. 句点と接続詞で文章を2つに分ける
  3. 読点と接続詞で文章を2つに分ける

肯定文にする

二重否定の文章をわかりやすくするには、まず肯定文にしましょう。

例えば、下記の二重否定の文を肯定文にしてみました。

【二重否定の例文】
仕事終わりには、ビールを飲まずにはいられない。

【肯定文章の例文】
仕事終わりには、絶対にビールを飲む。

上記の、「仕事終わりには、ビールを飲まずにはいられない。」という文には、強い肯定のニュアンスが含まれています。

そのため、二重否定の文章の意味を余すことなく書き換えるには、強い肯定を含んだ文章にしなければなりません。

今回は、肯定文に「絶対~する。」という強い表現を用いることで、二重否定の原文のニュアンスを含めました。

他にも、「どうしても~する。」といった形も考えられます。

句点と接続詞で文章を2つに分ける

最初に提示した単純に肯定文にできる文章もあれば、2つの文に分けて、肯定文に書き換えられる文章もあります。

今回は、句点と接続詞を使って文章を書き換えてみます。

【二重否定の例文】
これは解釈が難しい抽象画だが、私には理解できないこともない。

【肯定文章の例文】
これは解釈が難しい抽象画だ。しかし、私には理解できそうだ。

上記の二重否定の文章は、接続詞のが「~だが」で繋げているだけで、肯定文に書き換えるときには1文づつに分けることができます。

なぜなら、前半と後半の文章で主語と述語がそれぞれあるためです。

前半の文
主語…これは
述語…抽象画だ。

後半の文
主語…私には
述語…理解できそうだ。

このため、長く文章を繋げるより、短く切ってわかりやすい文章にしましょう。

その方が相手に伝わりやすい文章になり、書き手も自分の文章で混乱することがなくなります。

読点で文章を2つに分ける

二重否定の文章を、句点と接続詞で文章を分けることと同様に、読点と接続詞で文章を2つに分ける事もできます。

下記に例文を記載しました。

【二重否定の例文】
早起きできないこともないが、私は朝が苦手だ。

【肯定文章の例文】
努力すれば早起きできる、とはいうものの私は朝が苦手だ。

この場合は、二重否定の文の「~が」という部分が、逆説の意味で使われています。

そこで、「~が」を肯定の文では、逆説の意味の「~、とはいうものの」に置き換えています。 

また、主語が「私は」、述語が「苦手だ」しかなく文を分割できません。

二重否定の文章では、回りくどい表現になっており、意味が分かりにくいです。

しかし、肯定文に書き換えることによって、よりはっきりした意味で捉えることができます。

このことから、二重否定は回りくどい表現になりやすく、できるだけ使わない方がいいということがわかります。

もし、二重否定を使った部分を書き換えるならば、肯定文に直すことを基準に考えましょう。

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