「なかなか上手く伝えられないな」
あなたが自分の言葉で伝えるとき、このように感じたことはありませんか?
発信する以上は、世の中に理解してもらいたいですよね。
できることなら、人の心を動かすことができる発信力を身につけたいと思う人もいるでしょう。
そうなりたいなら、主語を上手く使い分けられるようになるのがおすすめ!
主語の使い方によって、わかりやすい文章になるかが決まるからです。
実際に、主語は辞書で『文の成分の一つ』と定義されています。
さらに、文部科学省のホームページでは、主語は『文章の柱』であると明記されています。
つまり、主語は文章の組み立てに必要な要素であるといえるのです。
このことから、わかりやすい文章で発信したいなら、主語を上手く使い分けることがおすすめですよ。
そこでこの記事では、主語の見分け方から意味、使い方などをご紹介します。
理解される文章の組み立て方を知りたいという方は、この記事をチェックしてくださいね。
【問題です】文章から主語を見つける方法は?
文中から主語を見つけるには、次の手順で行います。
- 文章を文節ごとに区切る
- 述語を見つける
- 述語と結び付けても意味がわかる文節を探す
文章を文節ごとに区切る
主語を見つけるには、まず文章を文節※ごとに区切りましょう。
※文節とは、意味のわかる部分で区切った文の最小単位のこと。
文章を文節ごとに区切ることで、主語を含めた文の成分※が見つけやすくなります。
※文の成分とは文中における機能で分けた文節のこと。
実際に、以下の例文を文節ごとに区切ってみましょう。
『私は毎朝食パンを食べる』
文節ごとに区切る際は、語尾に『ね』をつけるとわかりやすくなります。
語尾に『ね』をつけて区切ってみましょう。
『私はね/毎朝ね/食パンをね/食べるね』
区切ることができたら、語尾につけていた『ね』を外します。
『ね』を外したらこのようになります。
『私は/毎朝/食パンを/食べる』
これで文節ごとに区切ることができました。
文節ごとに区切ると、それぞれどのような働きをするのかが明確になりますね。
つまり、文節は文の成分で区切った言葉といえます。
そのため、文章を文節ごとに区切れば、文の成分も見つけやすいというわけです。
したがって、文章を文節ごとに区切ることから始めましょう。
なお、文章を文節ごとに区切る手順は次の通りです。
- 語尾に『ね』をつけて文節ごとに文章を区切る
- 語尾につけた『ね』をはずす
これで、文章を文節ごとに区切ることができますね。
文の成分を見つけるには、先に文節ごとに区切ってから探しましょう。
述語を見つける
文章を文節ごとに区切れたら、主語の前に述語※を見つけます。
※述語とは、文の成分の一つ。『どうする、どんなだ、何だ』にあたる文節のこと。
そうすることで、主語が探しやすくなるからです。
では、先ほどの文節ごとに区切った例文から述語を見つけてみましょう。
『私は/毎朝/ごはんを/食べる』
述語は原則、文の末尾に位置します。
この例文の末尾にある文節は『食べる』ですね。
さらに、『どうする』という動詞※に当てはまります。
※動詞とは、動作や状態をあらわす言葉のこと。述語となる言葉の一つ。
このことから、この例文の述語は『食べる』となります。
このように、述語は主語が行う動作や状態をあらわします。
そのため、先に述語を見つけることで『動作や状態を行うのは誰なのか』が探しやすくなるわけです。
よって、先に述語を見つけるようにしましょう。
述語を見つけるまでの手順は以下の通りです。
- 文章を文節ごとに区切る
- 文の末尾にある文節に注目する
- 『どうする、どんなだ、何だ』にあたるかを確認する
これで、述語を見つけることができます。
文の成分を見分けるには、述語から先に見つけることを覚えておきましょう。
述語と結び付けても意味がわかる文節を探す
述語が見つかれば、最後に探すのは主語です。
述語と結び付けても意味のわかる文節が主語となります。
なぜなら、主語は述語である動作や状態を行う主体であるからです。
こちらも、先ほど文節ごとに区切った例文から主語を探してみましょう。
『私は/毎朝/クロワッサンを/食べる』
述語は『食べる』でした。
では、食パンを食べるのは『誰』でしょうか。
『私は』ですね。
この『私は』と『食べる』を組み合わせて文を作ってみます。
『私は食べる』
この文だけでも『誰が何をしている』のかがわかりますね。
つまり、この例文の主語は『私が』となります。
このことから、文章は主語と述語で組み合わせても意味が通るものであるのがわかりますね。
ゆえに、主語を見つけるには、述語と結び付けても意味のわかる文節を探しましょう。
主語を見つける手順は次の通りです。
- 文章を文節ごとに区切る
- 述語を見つける
- 述語の動作や状態をしている人や物を探す
- 探した文節と述語と合わせて文を作る
- 意味のわかる文になっているか確認する
これで、主語を見つけることができます。
主語は述語を見つけた後で探しましょうね。
そもそも主語の意味って何?
そもそも『主語』とはいったいどのようなものなのでしょうか。
次の3つの視点から、主語について解説します。
- 主語の意味
- 主語の定義
- 主語の有無の例文
主語の意味
主語を辞書で調べると、次のように定義されています。
文の成分の一。文において、述語の示す動作・作用・属性などの主体を表す部分。「鳥が鳴く」「山が高い」「彼は学生だ」という文で、「何が」に当たる部分をいう。
goo国語辞書|主語(しゅご)の意味(最終閲覧日2021年8月26日)
要するに、主語には次の3つの条件にあてはまるものといえます。
- 動作や状態を行う人や物
- 『誰が(何が)』や『誰は(何は)』にあたる部分
- 名詞や代名詞※を含む文節
※名詞とは、人や物の名前のこと。代名詞とは、名詞に代わりに人や場所を示す言葉のこと。
例えば、『母親が子供におもちゃをあげる』という文があったとします。
この文の述語は『あげる』です。
では、『あげる』という動作をおこなっているのは誰でしょうか。
『母親が』ですね。
『母親が』おもちゃをあげています。
そのため、この文の主語は『母親が』となります。
このように、主語は『動作や状態を行う人や物』であることがわかります。
さらに、主語である『母親が』には『母親』という名詞が含まれていますね。
また、『母親が』は『誰が』の形にあてはまります。
つまり、主語が成り立つ3つの条件をすべて満たしているというわけ。
したがって、3つの条件に当てはまる部分が主語であるといえます。
主語に対する定義は4つある
主語を分類すると、次の4つの定義に分かれます。
- 心理的主語
- 文法的主語
- 論理的主語
- 統語論の主語
心理的主語
心理的主語とは、文章の始まりとなる部分のことです。
文章のスタートが主語になることで、情報を受け取る側は『発信者がどんなことを伝えたいのか』が明確になります。
仮に、次の2つの文章があったとしましょう。
【例文1】
『彼女は料理を作っている』
【例文2】
『料理を作っているのは彼女だ』
この2つの例文は同じ意味を持つ文章です。
しかし、心理的主語は異なります。
心理的主語は、文章の始まりとなる部分のことでしたね。
つまり、心理的主語はそれぞれ『彼女は』と『料理を作っているのは』となります。
さらに、心理的主語から、それぞれ次のような内容を伝える文であることがわかります。
【例文の心理的主語によって伝えたい内容】
心理的主語 | 伝えたい内容 | |
---|---|---|
例文1 | 彼女は | 彼女のことについて |
例文2 | 料理を作っているのは | 料理を作っていることについて |
つまり、文章の始まりとなる部分は、情報を受け取る側へ発信内容を先に提示する役割があるのです。
そのため、情報を受け取る側は「こんなことを伝えたいのか」と心の準備ができますよね。
心の準備ができることから『心理的』主語と呼ばれるのです。
よって、心理的主語は文章の始まりとなる部分のことなのです。
文法的主語
文法的主語とは、『誰が(何が)』や『誰は(何は)』にあたる部分をいいます。
『誰が(何が)』や『誰は(何は)』が主語になることで、誰の(何の)視点で伝えているのかが明確になります。
こちらも2つの例文で確認しましょう。
【例文1】
『彼女は彼にクリスマスプレゼントを渡した』
【例文2】
『彼は彼女からクリスマスプレゼントを渡された』
どちらの例文も同じ意味ですね。
『渡す』という動作をしているのは、どちらも『彼女』です。
そのため、主語の意味から考えるとどちらも『彼女』を含んだ文節になります。
しかし、文法的主語はこういった意味は含みません。
したがって、文法的主語はそれぞれ『彼女は』と『彼は』となります。
このように、『誰が(何が)』の部分のみを主語にすることで、文法的主語は誰の(何の)視点で伝えているのかが明確になりますね。
ゆえに、文法的主語は『誰が(何が)』や『誰は(何は)』にあたる部分のことをいうのです。
論理的主語
論理的主語とは、動作や状態をおこなう主体を指す部分をいいます。
論理的主語によって『誰が動作や状態を行っているのか』が明確になります。
実際に、3つの例文で確認してみましょう。
【例文1】
『私は上司に書類を提出した』
【例文2】
『上司は私から書類を提出された』
【例文3】
『この書類は私から上司に提出した』
すべて同じ意味となる文章です。
この3つの例文にある論理的主語はどれでしょうか。
すべて『私』となります。
論理的主語は、動作や状態を行う主体を指す部分であるからです。
このように、仮に『誰が(何が)』や『誰は(何は)』にあてはまらなくても、論理的主語になります。
したがって、論理的主語は動作や状態を行う主体にあたる部分をいうのです。
統語論の主語
統語論の主語とは、文中に以下3つの定義のどれかの主語が複数存在することをいいます。
- 心理的主語
- 文法的主語
- 論理的主語
要するに、視点を変えれば、文中に主語はいくつも存在するというわけ。
統語論の主語によって、あらゆる視点を持つことができます。
そうなることで、情報を受け取る側に沿った伝え方ができるようになるでしょう。
例えば、あなたは「この新プロジェクト、同僚Aが取引先に提案していたよ」と同僚Bに伝えたとします。
この文の始まりは、『この新プロジェクト』ですよね。
つまり、心理的主語は『この新プロジェクト』となります。
このことから、同僚Bはあなたが『新プロジェクトのこと』について伝えたいのがわかりますね。
続いて、この文の述語はどこにあるでしょうか。
動作や状態をあらわす部分なので『提案していた』ですね。
さらに付け加えると、提案していたのは『同僚が』です。
よって、論理的主語は『同僚が』となります。
この新プロジェクトを取引先に提案していたのは『同僚』であることが理解できますね。
ちなみに、文法的主語も『同僚が』にあたります。
なぜなら、『誰が』に該当するからです。
ここまでの内容をわかりやすくするために、下の表にまとめてみました。
【例文にある主語の定義対応表】
主語の定義 | 該当部分 |
---|---|
心理的主語 | この新プロジェクト |
文法的主語 | 同僚が |
論理的主語 | 同僚が |
ゆえに、あらゆる視点から考えると、主語の役割をもつ部分は文中に複数存在するのです。
主語の有無の例文
主語がある文章とない文で、主語の役割を確認しましょう。
2つの例文を比較して解説します。
【主語のある例文】
『弟はお盆に実家へ帰ります』
述語は『帰ります』です。
では、帰るのは誰でしょうか。
『弟が』ですね。
主語があることで、お盆に実家へ帰るのが『弟』であることがわかります。
【主語がない例文】
『お盆に実家へ帰ります』
述語は先ほどと同じで『帰ります』ですね。
ただ、この文では帰るのが『誰』なのかが明記されていません。
そのため、お盆に実家へ帰るのが『誰』であるかがわからないですね。
このように、主語は述語の動作や状態を行うものをあらわす役割を持っているのです。
主語と述語の関係を解説
主語と述語は、次のような関係といえます。
- 文の骨組みとなる
- お互いに結びつく
文の骨組みとなる
主語と述語は、文の骨組みとなるものです。
例えば、次のような文章はわかりやすいですよね。
- 『海は青い』
- 『犬が走る』
- 『日差しが強い』
どの文も主語と述語がしっかり組み合わさっています。
そのため、主語と述語がしっかりと組み合わさっていれば、わかりやすい文章となるわけです。
しかし、文章は主語と述語だけで構成されているわけではありません。
実際はもっと長い文章で表現されます。
そのときに基本となる構成が、主語と述語なのです。
実際に、文部科学省のホームページにも、主語と述語が文章の基本であると明記されています。
主語‐述語(花が‐咲いた)を柱とし、主語を詳しく説明する。
文部科学省|10 作文(最終閲覧日2021年8月26日)
したがって、主語と述語は文章の骨組みとなるものなのです。
お互いに結びつく
主語と述語は、意味の結びつきがあります。
要するに、主語と述語はお互いのことを説明し合う関係であるのです。
では、『車が走る』という文で確認します。
主語は『車が』で、述語は『走る』ですね。
主語である『車が』は、走るのは何かを説明しています。
対して、述語である『走る』は、車がどうしているのかを説明していますね。
このことから、主語と述語はお互いに説明し合う関係であることがわかります。
よって、主語と述語は意味によってお互いに結びつく関係なのです。
ちなみに、主語と述語のように、意味のうえで文節どうしが結びつくことを『係り受けの関係』といいます。
省略はしない!主語の上手な使い方
主語の上手に使うには、次の3つのコツを徹底しましょう。
- 主語はできる限り省略しない
- 主語と述語を組み合わせる
- 一文一意にする
主語はできる限り省略しない
主語はできる限り省略しないようにします。
なぜなら、情報を受け取る側が内容を正しく解釈できないためです。
実際に、次のような文があったとします。
『この夏、私は家族で旅行に出掛けました。しかし、旅行中に熱を出してしまいました』
この例文では、誰が熱を出したのかがわかりませんね。
このような場合、情報を受け取る側は次の3つのパターンで主語を考えます。
- 『誰』が熱を出したのかわからない
- 『私』が熱を出した
- 『家族』が熱を出した
つまり、誰かわからないだけでなく、省略された主語を想像で補ってしまう可能性があるのです。
その結果、発信者が伝えたい内容とは別の解釈がされてしまうというわけ。
仮に、熱を出したのが『家族』なのであれば、省略せずに次のように伝えます。
『この夏、私は家族で旅行に出掛けました。しかし、家族が旅行中に熱を出してしまいました。』
これで、熱を出したのが『家族』であるのがわかりますね。
ゆえに、主語はできる限り省略しないようにしましょう。
主語と述語を組み合わせる
主語と述語はしっかり組み合わせましょう。
主語と述語がかみ合わないと、意味のわからない文章となってしまうからです。
実際に、主語と述語がかみ合っている文章とそうでない文を見比べてみると、以下のようにわかりやすさに大きな差が出ます。
【例文1】
『私の目標は体重を45kgまで落とすことです』
【例文2】
『私の目標は体重を45kgまで落としたいです』
例文1の方がわかりやすいですよね。
したがって、文章を書くときは主語と述語をしっかり組み合わせましょう。
主語と述語がかみ合わないことを『文章のねじれ』という
先ほどの例文2の文のように、主語と述語がかみ合わないことを『文章のねじれ』といいます。
文章のねじれが発生しますと、途端に意味のわからない文となってしまいます。
例えば、先ほどの例文2では『目標は』という主語に対して、述語は『落としたいです』といった願望になっています。
この主語と述語を合わせてみると『目標は落としたいです』となりますね。
これでは、主語と述語がかみ合っていません。
そのため、意味のわからない文章となるわけです。
よって、主語と述語はかみ合わせて文章を表現しましょう。
一文一意にする
一文一意とは、1つの文に複数の意味を含めないことをいいます。
主語を上手く使うには、一文一意を徹底しましょう。
なぜなら、内容がシンプルに伝わり、わかりやすい文章となるためです。
例えば、次のような文章があったとします。
『私はダイエットのため食事管理に気を付けているが、体重がなかなか減らず、めげそうになっている』
この文章には、1文に複数の意味が存在しています。
つまり、主語と述語の組み合わせとなる文が複数あるというわけ。
そのため、内容が複雑で何を伝えたいのかがわかりにくいのです。
では、このわかりにくい文章を一文一意でわかりやすくしてみましょう。
まず、この文章を意味ごとにわけてみます。
- 『私はダイエットのため食事管理に気を付けている』
- 『体重がなかなか減らない』
- 『私はめげそうになっている』
このように、3つに分けることができますね。
意味ごとに分けることができれば、一文一意で直します。
『私はダイエットのため食事管理に気を付けている。しかし、体重がなかなか減らない。そのため、私はめげそうになっている』
先ほどの文章より、とてもわかりやすくなりましたね。
このように、一文一意で表現することで、1文の内容がとてもシンプルになります。
そのため、わかりやすい文章となるのです。
したがって、一文一意を徹底しましょう。
主語を省略できる条件は決まっている
主語は次の3つの条件をすべて満たすことで省略することが可能です。
- 前文が存在する
- 前文と同じ主語である
- 前文の主語と同じ意味を持つ
前文が存在する
主語は『前文が存在するとき』に省略することができます。
なぜなら、前文は省略した主語を先に説明してくれる役割を持つからです。
ここで、前文が存在し、かつ2つ目の文にある主語を省略した例文をご紹介します。
『僕は毎朝1時間、通勤で電車に乗ります。その間に、資格の勉強をします』
この文章は2つの文に分けることができますね。
- 『僕は毎朝1時間、通勤で電車に乗ります』
- 『その間に、資格の勉強をします』
本来であれば、2つ目の文章には『僕は』という主語が入ります。
しかし、前文で『僕は』と説明してくれていますね。
つまり、2つ目の文の主語を省略しても、意味がわかる文章となるわけです。
ゆえに、前文が存在するときには主語は省略することができるのです。
前文と同じ主語である
主語は『前文と同じ主語である』場合に省略することができます。
仮に、同じ主語でない場合に省略をしてしまうとします。
そうしますと、情報を受け取る側が内容を正しく解釈できなくなるわけです。
では、次の例文を使って確認してみましょう。
【例文】
『私は今晩、彼と外でご飯を食べる予定でした。しかし、仕事が長引いてしまい待ち合わせ時間に遅れてしまったのです。そのため、遅れたお詫びに食事代をご馳走することになりました』
まずは、この文章をわかりやすくするために、1文ずつに分けてみます。
- 『私は今晩、彼と外でご飯を食べる予定でした』
- 『しかし、仕事が長引いてしまい待ち合わせ時間に遅れてしまったのです』
- 『そのため、遅れたお詫びに食事代をご馳走することになりました』
このように3つの文に分けられますね。
ここで、2、3番目の文に入る主語は最初の文章から『私は』と推測できます。
例文に『私は』を入れるとこのような文となります。
『私は今晩、彼と外でご飯を食べる予定でした。しかし、私は仕事が長引いてしまい待ち合わせ時間に遅れてしまったのです。そのため、私は遅れたお詫びに食事代をご馳走することになりました』
つまり、前文と同じ主語となるため、省略することが可能です。
しかし、この文章にはもう1つ主語になりうるものが存在します。
それが『彼』です。
例えば、待ち合わせ時間に遅れてきたのが『彼』だったとしたらどうなるでしょうか。
主語を省略してしまうと、違う意味の文章と捉えられる可能性がありますね。
そのため、この例文の場合は、2番目の文にある主語は必要であることがわかります。
ちなみに、待ち合わせ時間に遅れてきたのが『彼』だった場合の文章は次のようになります。
『私は今晩、彼と外でご飯を食べる予定でした。しかし、彼は仕事が長引いてしまい待ち合わせ時間に遅れてしまったのです。そのため、遅れたお詫びに食事代をご馳走することになりました』
これで、彼が待ち合わせ時間に遅れて、お詫びに食事代をご馳走することになったことがわかりますね。
よって、前文と同じ主語であれば、省略することが可能なのです。
前文の主語と同じ意味を持つ
『前文の主語と同じ意味を持つ』ものは、省略することができます。
もし、同じ意味を持たない主語なのに省略するとしましょう。
そうしますと、途端に意味のわからない文章となってしまいます。
つまり、情報を受け取る側は文章の内容を理解できなくなるわけです。
例えば、次のような文章があるとします。
【例文】
『太郎は週1回、パソコン講師として複業を始めました。彼は過去にパソコンの資格を数多く取得しています。その経験を活かして収入を得たいと考えたのです』
この文章を1文ずつで分けてみましょう。
- 『太郎は週1回、パソコン講師として複業を始めました』
- 『彼は過去にパソコンの資格を数多く取得しています』
- 『その経験を活かして収入を得たいと考えたのです』
このように3つの文に分かれます。
この文章で出てきている『太郎』と『彼』は同一人物です。
しかし、最初の文章と2番目の文では表現する時間が違います。
最初の文章は現在のことを伝えています。
対して、2番目の文章は過去について伝えていますね。
つまり、それぞれの主語のいる時間が違うというわけ。
2番目の主語は前文とは違う意味を持つのです。
では、2番目の主語である『彼』を抜いた文章も確認してみましょう。
『太郎は週1回、パソコン講師として複業を始めた。過去にパソコンの資格を数多く取得している。その経験を活かして収入を得たいと考えたのだ』
この文章では誰が過去にパソコンの資格を取得したのかわかりませんね。
したがって、主語は前文と同じ意味を持つ場合は省略することができます。
まとめ|主語は述語との関係が文章において重要
この記事を読んで、主語は文章の柱となる要素の一つであることがわかりましたね。
もしも、文章を使って世の中に理解される発信をしていきたいのであれば、主語を上手に使い分けるのがおすすめですよ。
記事で解説したように、主語の使い方1つで、わかりやすい文章になるのかが決まるからです。
実際に、主語の4つの定義を使い分けることで、伝え方に違いがあることが、例文によって理解できましたよね。
主語を上手に使うには、3つのコツが必要なこともわかりました。
さらに、主語は条件を満たせば省略できるのも理解しましたよね。
このことから、文章を使って理解される発信をしたいなら、あらゆる視点から主語を使い分けるのがおすすめです。
参考にしてくださいね。