東京都の「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」は、令和8年度は前期・後期の2回に分けて募集されています。前期の支援申込受付は令和8年8月7日で終了し、後期の受付は令和8年8月17日から11月13日まで、受付予定企業数は30社です。
この助成金は、住宅の借上げ・食事等の提供・健康増進サービスの提供のうち2つ以上に新たに取り組んだ都内中小企業等に対し、助成対象経費の2分の1を年間最大300万円まで助成する制度です。ただし支給申請の前に専門家派遣を受けて取組計画を作成する必要があり、支援申込から助成金の入金までには複数の期限が設定されています。
本記事では、公益財団法人東京しごと財団が公開している令和8年度の募集要項および公式Q&Aをもとに、対象要件の判定方法、助成額の計算方法、対象経費と対象外経費の境界、後期の締切から逆算した準備スケジュールを整理します。
令和8年度の受付状況|前期は8月7日に終了、後期は8月17日から
令和8年度の支援申込受付期間は、前期と後期の2回に分かれています。いずれも受付先着順で、受付予定企業数は各期30社です。
| 回 | 支援申込受付期間 | 受付予定企業数 |
|---|---|---|
| 前期 | 令和8年5月12日(火)~令和8年8月7日(金) | 30社(受付終了) |
| 後期 | 令和8年8月17日(月)~令和8年11月13日(金) | 30社 |
「受付先着順」は期間内でも締め切られる
募集要項では、各期の支援申込は書類審査が通った順に支援決定を行い、受付予定企業数を上回った場合は受付期間内であっても受付を終了すると明記されています。後期の締切日である令和8年11月13日まで必ず申し込めるとは限らないため、書類の準備は受付開始前から進めておく必要があります。
郵送の場合は各回の支援申込締切日の消印有効、電子申請(Jグランツ)の場合は締切日の23時59分までにJグランツで申請されたものが有効です。来所による持参提出は一切受け付けられません。
出典:公益財団法人東京しごと財団「令和8年度 ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」
東京都ES(社員満足度)向上助成金の基本情報
| 正式名称 | ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金 |
| 対象地域 | 東京都(都内に本社または事業所があり営業実態があること) |
| 実施機関 | 公益財団法人東京しごと財団 |
| 対象者 | 都内中小企業等(若手従業員の割合30%以下等の要件あり) |
| 助成対象事業 | ①住宅の借上げ ②食事等の提供 ③健康増進サービスの提供 のうち2つ以上 |
| 助成率 | 2分の1(助成対象事業ごとに千円未満切り捨て) |
| 助成限度額(年) | 住宅の借上げ200万円/食事等の提供50万円/健康増進サービスの提供50万円 |
| 助成対象期間 | 1年目の支給決定日から起算して最長3年間 |
| 支援申込受付期間 | 前期:令和8年5月12日~8月7日(終了)/後期:令和8年8月17日~11月13日(各30社・受付先着順) |
| 申請方法 | 郵送(簡易書留等)または電子申請(Jグランツ・GビズIDプライムが必要)/持参不可 |
| 専門家派遣 | 1社あたり最大3回・無料(支給申請の前に受ける必要あり) |
| 問い合わせ先 | 東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 採用定着促進支援係(03-5211-0397/平日9時~17時、12時~13時を除く) |
対象事業者になるかを判定する|若手比率30%以下・過去3年の若手採用10%以下
この助成金は「若手人材の確保が困難な状況にある」都内中小企業等を支援する制度のため、若手従業員が少ないことが要件になっています。若手を順調に採用できている企業は対象外になる点が、他の人材関連の助成金と異なります。主な要件は次の3つです。
- 支援申込日時点で、常時使用する従業員の総数に占める35歳未満の若手従業員の割合が30%以下であること
- 支援申込日時点で、常時使用する若手(35歳未満)従業員のうち過去3年以内に採用した総数が、常時使用する従業員の総数の10%以下であること
- 支援申込日から過去1年以内に若手人材を含む求人活動を行っていること
若手比率と採用比率の数え方
ここでいう「従業員」は、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」にあたる常時使用する従業員を指します。要件を満たせばパート・アルバイトも含まれますが、会社役員・個人事業主・派遣労働者は含みません。
- 役員は原則として従業員に含めませんが、ハローワークで「兼務役員」として認められている場合は従業員とみなされます。この場合は兼務役員実態証明書等の写しの提出が必要です(公式Q&A4)。
- 過去3年以内に採用した若手のうち、すでに退職している従業員は合計採用数に含めません。支援申込日時点で在籍する常時使用の若手従業員で算出します(公式Q&A5)。
- 若手かどうかは採用日時点の年齢で判断します(公式Q&A6)。
- 提出する従業員年代別構成比等一覧(様式第1-4号)には、都外事業所も含めた企業全体の従業員数を記入します。
求人活動の要件は「ハローワークまたは民間職業紹介事業者での掲載」
募集要項では、求人活動を行っているとは、ハローワークまたは民間職業紹介事業者において求人を掲載していることをいうと定義されています。支援申込時には、支援申込日から過去1年以内の求人票の写し等を提出します。提出資料は掲載媒体がわかるもので、かつ35歳未満の若手人材を含む求人であることがわかるものである必要があります。
見落としやすい要件
- 都内に本店登記があるか、支店・営業所等の事業所が都内にあること。都内で営業実態がなく法人都民税が免除されている場合は申請できません。都外に所在する事業所のみは対象外です。
- 都内に勤務する常時使用する従業員で、かつ雇用保険の被保険者である者を1人以上、6カ月以上継続して雇用していること。この従業員が休業中であっても申請は可能です(公式Q&A3)。
- 法人都民税・法人事業税(個人事業主は個人事業税・個人都民税)の未納がないこと。
- 最低賃金、固定残業代の割増賃金、36協定、時間外労働の上限規制、年5日の年次有給休暇取得義務、ハラスメント防止措置など、労働関係法令7項目を満たしていること。
- 風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業およびこれに類する事業を行っていないこと。
- 支援申込日・支給申請日の前日から起算して過去5年間、東京都の助成事業で不正受給による不支給決定または支給決定の取消しを受けていないこと。
- 本助成金、または助成内容が同一と認められる助成金等を利用・受給したことがないこと。同一内容の他制度と重ねて受給することはできません。
対象事業者の要件は全部で16項目あり、上記以外にも暴力団排除、宗教・政治活動を主目的としないこと、東京都への債務支払の滞りがないこと、民事再生・会社更生・破産の手続中でないことなどが含まれます。詳細は令和8年度の募集要項(郵送の手引き・PDF)の「助成対象事業者の要件(表2)」で確認してください。
助成額の計算方法|住宅の借上げは1戸あたり月41,000円が上限
助成率は2分の1で、助成限度額は助成対象事業ごとに年単位で設定されています。
| 助成対象事業 | 助成率 | 助成限度額(年) |
|---|---|---|
| 住宅の借上げ | 2分の1 | 200万円 |
| 食事等の提供 | 2分の1 | 50万円 |
| 健康増進サービスの提供 | 2分の1 | 50万円 |
計算にあたっては、次の3点が前提になります。
- 助成対象経費は助成対象事業者が支出する経費に限られ、従業員負担分は助成対象外です。
- 各取組について、助成対象経費の50%以上を事業者が負担する必要があります。事業主の負担割合が50%未満の費用は助成対象外です。
- 助成対象事業ごとに算出した助成金の額に千円未満の端数がある場合は切り捨てられます。
住宅の借上げの計算例
家賃(管理費・共益費を含む)の助成対象経費は1戸あたり月82,000円が上限で、助成限度額は1戸あたり月41,000円です。礼金・更新料・仲介手数料は、それぞれ1戸につき1回限り82,000円が上限(助成限度額は41,000円)となります。以下は公式の上限額をもとにした計算例です。
- 計算例1:家賃10万円の住宅を借り上げ、事業者が6万円、従業員が4万円を負担する場合。助成対象経費は事業者負担分の6万円で、1戸あたりの上限82,000円の範囲内です。助成額は6万円×2分の1=3万円(月額)。
- 計算例2:家賃18万円の住宅を借り上げ、事業者が10万円を負担する場合。事業者負担分は10万円ですが、1戸あたりの助成対象経費は月82,000円が上限のため、助成額は82,000円×2分の1=41,000円(月額)となります。
1戸あたりの助成限度額が月41,000円ということは、1戸あたり年間で最大492,000円です。住宅の借上げの年間助成限度額200万円に近づけるには、要件を満たす借上げ住宅がおおむね4戸以上必要になる計算になります。1戸だけの借上げで200万円を受け取れる制度ではない点に注意してください。
入居できるのは、都内事業所に勤務し、月16日以上勤務し、代表者の3親等以内の親族でない35歳未満の従業員に限られます。入居後に35歳の誕生日を迎える場合、助成対象は35歳の誕生日の前々日までで、誕生日の前日以降は助成対象外です(公式Q&A17)。家族が同居する場合も対象になりますが、家賃の助成対象経費は1戸あたり月82,000円が上限です(公式Q&A18)。
食事等の提供・健康増進サービスの提供の計算例
- 計算例3:置き型コンビニ(設置型社食サービス)の利用料が月4万円で、事業者が全額を負担する場合。年間48万円×2分の1=24万円で、食事等の提供の年間助成限度額50万円の範囲内です。
- 計算例4:都内事業所に設置するランニングマシンのレンタル料が月2万円の場合。年間24万円×2分の1=12万円で、健康増進サービスの提供の年間助成限度額50万円の範囲内です。
助成限度額は助成対象事業ごとに適用されるため、食事等の提供で50万円の枠が余っていても、健康増進サービスの提供に振り替えることはできません。
年間300万円になるのはどのような場合か
年間最大300万円という金額は、住宅の借上げ200万円・食事等の提供50万円・健康増進サービスの提供50万円をすべて満額受けた場合の合計です。取り組むのは2つ以上でよいため、食事等の提供と健康増進サービスの提供の2つだけを選んだ場合、年間の助成限度額は合計100万円になります。300万円を前提に資金計画を立てる前に、自社がどの取組をいくらの規模で実施できるかを確認してください。
対象経費と対象外経費の境界|「新たな取組」かどうかで判定される
この助成金でつまずきやすいのが「新たな取組」の判定です。支援申込日から起算して1年前の日から支給申請日まで継続して同じ分類の取組を行っていた場合、その分類は助成対象になりません。すでに社宅やウォーターサーバーを導入している企業は、その分野では申請できない可能性があります。
住宅の借上げで対象外になるケース
- 支援申込日の1年前から支給申請日まで継続して、事業者が借り上げる従業員用の住宅がある(あった)場合。借上げ社宅が都外にあり都内にない場合でも対象外です(公式Q&A16)。
- 助成対象事業者以外の名義で借り上げている住宅。
- 助成対象事業者およびその関連企業が所有する不動産。
- 新幹線等の特別急行列車を利用せずに、通常の通勤経路・方法で片道1時間半以内に通勤できない場所にある住宅。
- 社宅規程を設けておらず、利用対象従業員の要件および費用負担が明記されていない場合。
- 経費のうち、敷金・保証金、引っ越し費用、入居時・退去時の清掃代や鍵交換代、駐車場代・駐輪場代、洗濯機や冷蔵庫など生活備品のレンタル費用、住宅の購入・建設費用、既存住宅の改修費用。
食事等の提供で対象外になるケース
- 単発・散発的な契約や購入。小売店で弁当を購入する形は、契約に基づく継続的かつ定期的な利用ではないため対象外です(公式Q&A20)。
- 食事手当、食事バウチャー、ランチクーポンなどの金券類の提供。
- 都内事業所(屋内)以外で提供・消費される食事(飲食店でのテイクアウト、小売店での購入等)。
- 来客や会議で提供する飲食物、宴会・懇親会など娯楽性の強い食事費用、酒類・たばこ、サプリメント。
- 配線設備や給排水設備の新設・撤去等、建築工事にかかる経費(公式Q&A22)。
一方、機器自体が助成対象と認められている場合は、その送料・設置費用・保守管理費も助成対象になります(公式Q&A21)。また、食事等の提供は35歳以上の従業員が利用した分も助成対象です(公式Q&A23)。
健康増進サービスの提供で対象外になるケース
- 定期健康診断など、法令等で事業者に義務付けられている取組。
- ボウリング大会やゴルフなど娯楽目的のもの、美容目的のもの。
- 従業員個人に支給・貸与する衣類等の有形物。
- 医療行為、医業類似行為、施術。
- 健康管理に資する資格の取得支援費用。
- 汎用性があり他の用途にも使用可能なもの。社内セミナーのオンライン配信用に購入するカメラ・マイク・PC等は対象外です(公式Q&A28)。
健康管理アプリを導入する場合は要件が具体的に定められています。公式Q&A29では、アプリが原則「健康」「ヘルスケア」「フィットネス」に分類され従業員の食生活管理・運動増進等の健康管理ができることが対外的にも認められるものであること、かつダウンロード数が1万件以上であることの2点を満たす必要があるとされています。
なお、都内事業所に十分な広さがなく実技講座を実施できない場合は、都内の貸会議室を借りて実施することも認められる余地があります。公式Q&A25では、貸会議室等が都内に所在することが支払関係書類等から確認でき、かつ本事業の実技講座であることが看板・表示板等で明示された会場で自社従業員が参加していることがわかる画像を提出できる場合に限り、貸会議室のレンタル費用も助成対象になりえるとされています。
支払方法によって対象外になるケース
- 現金・口座振込・口座振替以外の方法で支払われた経費。他の取引と相殺して支払った経費は対象外です(公式Q&A13)。
- ポイントを使用して支払った分。現金等での支払時に一部ポイントを使用した場合は、使用したポイント分が確認できる明細の提出が必要です(公式Q&A15)。
- クレジットカード払いは、売主側の事情により現金・口座振込・口座振替が選択できない場合の法人名義カードに限り対象です。個人名義カードは不可で、実績報告日までに引落しが完了していない場合も対象外になります(公式Q&A14)。
- 中古品の購入費、消耗品、直接人件費、電気・ガス・水道代、通信回線費、各種保険料、解約手数料・違約加算金。
- 親会社・子会社・グループ企業等の関連会社、および代表者の3親等以内の親族が経営する会社との取引。
後期の受付期間から逆算する申請準備|必要書類とスケジュール
後期の支援申込受付期間は令和8年8月17日から11月13日までですが、先着順で受付が終了する可能性があるため、受付開始前に書類を揃えておくことが実質的な準備の目安になります。支援申込に必要な主な書類と取得先は次のとおりです。
支援申込に必要な書類と取得先
| 書類 | 取得先・注意点 |
|---|---|
| 支援申込書(様式第1-1号)、事業所一覧(様式第1-2号)、誓約書(様式第1-3号)、従業員年代別構成比等一覧(様式第1-4号) | 東京しごと財団の申請様式ページからダウンロード。誓約書は全項目にチェックのうえ自署 |
| 商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 法務局。支援申込日時点で発行日から3カ月以内のもの(原本) |
| 法人都民税および法人事業税の納税証明書 | 都税事務所。支援申込日時点で納期が到来している直近の決算期分(原本)。法人事業税が0円でも納税証明書の提出が必要(公式Q&A8) |
| 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用) | 都内勤務で6カ月以上雇用されている従業員1人分の写し |
| 若手人材を含む求人活動を行っていたことがわかるもの | 支援申込日から過去1年以内の求人票の写し等 |
| 会社案内または会社概要 | 名称・代表者・所在地・従業員数・事業内容が確認できるもの |
| 水道光熱費の請求書・領収書、賃貸借契約書等 | 登記上の本店所在地と本社機能を持つ事業所が異なる場合、または登記上の本店所在地が都外の場合に必要。前月または前々月分(公式Q&A2) |
| 個人事業主の場合:個人事業の開業・廃業等届出書、住民票記載事項証明書 | 開業届を紛失した場合は、都税事務所に提出した「事業開始等申告書」の写しで代替(公式Q&A7) |
登記簿謄本と納税証明書は法務局・都税事務所での取得手続が必要で、登記簿謄本には「発行日から3カ月以内」という期限があります。また募集要項では、原則として提出後の書類の追加提出はできないとされています。書類が揃わないまま送付するのではなく、一覧表と突き合わせて全部揃えてから提出してください。
Jグランツで申請する場合はGビズIDプライムの取得日数を見込む
電子申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。公式Q&A9では、GビズIDプライムのアカウント取得にはデジタル庁のGビズID運用センターによる審査があり、オンライン申請では最短で即日、書類郵送申請では1週間程度かかるとされています。ID発行が間に合わないことを理由に申込期日が延長されることはないため、間に合わない場合は郵送で申し込みます。
また、支援申込を郵送で行った場合は支給申請・実績報告・助成金請求もすべて郵送となり、途中で郵送から電子申請へ、電子申請から郵送へ変更することはできません。最初に選ぶ手続方法が3年間続く可能性がある点を踏まえて選択してください。
支援決定後にも期限がある|専門家派遣4カ月・支給申請2カ月
支援申込が受理されて支援決定を受けた後も、次の期限が設定されています。
- 支援決定日から起算して4カ月以内に、専門家との相談(最大3回)を完了する。4カ月以内に完了しない場合は専門家派遣を中止したものとみなされ、再度の支援申込および支給申請はできません。
- 専門家派遣の最終回終了後1週間以内に、取組計画書の最終版を事務局へ提出する。事務局の確認には原則2週間程度かかります。
- 専門家派遣の最終回終了日から2カ月以内に、1年目の支給申請を行う(郵送の場合は消印有効)。
- 支給決定を受けた後に、助成対象事業の取組を開始する。
専門家との相談は1回あたり1時間程度で、原則として取組対象となる都内事業所への現地訪問により実施され、オンラインでは実施できません。相談の前には、事業者向け・従業員向けの事前アンケート、決算書の提出、原則オンラインで30分程度の事前ヒアリングがあります。2回目の相談の前までに取組計画を作成して事務局へ提出する必要があるため、社内での検討期間も見込んでおく必要があります。
支給決定前に契約・発注すると助成対象外になる
募集要項では、支給決定される前に助成対象事業を開始した場合は助成金の支給対象外になると明記されています。社宅の賃貸借契約や置き型社食サービスの契約は、支給決定通知を受け取ってから締結してください。
一方で、支給申請時には助成対象経費に係る見積書等の添付が必要です。住宅の借上げでは不動産業者の物件概要資料、食事等の提供・健康増進サービスの提供ではサービスの概要がわかるパンフレット等と、利用頻度・数量・単価がわかる見積書を提出します。契約は支給決定後、見積書の取得は支給申請前、という順序になります。
あわせて、サービス提供事業者を選ぶ段階で、希望する契約条件(利用個数や利用頻度等)で契約できるか、実績報告時に必要となる契約書・領収書等が発行されるかを事業者自身で確認しておく必要があります。財団の審査ではここまでは確認されず、実績報告時に必要書類を提出できない場合は助成金を受給できません。
支給決定後に必要な手続|実績報告・変更申請・2年目以降の申請
実績報告の期限と提出物
次のいずれかに該当したときは、先に到来した日から1カ月以内に実績報告を行う必要があります。
- 支給決定の日から起算して1年を経過するとき
- 助成対象期間が終了したとき
- 助成対象事業が完了したとき
実績報告では、実績報告書(様式第10-1号)、経費明細(精算書)、取組結果報告書のほか、請求書・領収書等の証ひょう書類が必要です。設置型社食サービスや健康器具、実技・座学講座については取組内容がわかる写真の提出も求められます。備品を複数購入・レンタルした場合は同じ商品でも個数がわかるように撮影し、講座を複数回実施した場合は各回すべての写真が必要です(公式Q&A34)。
実績報告後は、審査を経て助成額の確定通知が届き、助成金請求書兼口座振替依頼書(様式第12号)を提出してから指定口座に振り込まれます。助成金が支給されるまでの期間について、財団は必要書類がすべて揃い不備がないことを確認してから審査に入るため期間は答えられないとしています(公式Q&A37)。福利厚生の費用は先に支出することになるため、入金までの資金繰りを見込んで取組規模を決める必要があります。
2年目・3年目の支給申請は「終了日の3カ月前から2カ月前」
助成対象期間は1年目の支給決定日から起算して最長3年間ですが、自動で継続されるわけではありません。助成対象期間が1年を超えるときは、1年目の取組期間終了日から起算して3カ月前から2カ月前までの間に2年目の支給申請を行う必要があります。3年目も同様に、2年目の取組期間終了日の3カ月前から2カ月前までが申請期間です。
2年目・3年目の支給決定は、前年度の実績報告が適正に行われ、助成金の額の確定がなされることを停止条件とした支給決定です。財団の審査や現地調査により前年度の実績報告の内容が適合すると認められない場合、その支給決定は無効となり、再度の支給申請もできません。
また、1年目に①住宅の借上げ②食事等の提供③健康増進サービスの提供のいずれにも取り組めなかった場合、2年目の申請はできません(公式Q&A12)。ただし住宅の借上げについては、社宅規程を設けて利用対象従業員の要件および費用負担を明記し、若手人材の採用活動でのPRや社内周知を行っていれば、入居を希望する若手従業員がおらず借上げが発生しなかった場合でも助成対象事業として取り組んだものとして扱われます(この場合の精算額はゼロです。公式Q&A32)。
若手従業員の入退去に伴う空室期間についても、社宅規程の整備と採用活動でのPR・社内周知を行っている場合に限り、入居前・退去後それぞれ最大3カ月分まで助成対象になります(公式Q&A33)。
変更申請が必要になる場面
支給申請した内容を変更する場合は、事前に財団へ連絡したうえで変更申請書(様式第8-1号)等を提出し、承認を得る必要があります。変更承認の効力は変更承認日以降に生じるため、承認日より前に契約等を行うと助成対象外になります。
- 取組項目(住宅・食事・健康増進)の変更や追加を希望する場合は、変更申請の後に原則として再度専門家派遣を受ける必要があります。
- 支給決定金額の増額を伴う変更申請は、支給決定日から起算して1年間につき1回限りです。対象となるのは、住宅の借上げでは契約更新時等の家賃の値上げまたは入居希望の若手従業員数の増加、食事等の提供・健康増進サービスの提供ではサービス料金等の単価の値上げに限られ、数量増加に伴う増額は認められません。
- 支給申請時に提出した物件と違う物件を借り上げる場合でも、変更後の物件から都内事業所まで片道1時間半以内で通勤できるのであれば変更申請は不要です。ただし助成額は住宅の借上げの支給決定額が上限となります(公式Q&A19)。
- 事業所の名称・所在地・代表者の変更は、変更届出書(様式第8-4号)を提出します。
なお、事業主が従業員の食事代や借上げ社宅の家賃の一部を負担すると、従業員の負担割合等によっては給与とみなされ課税等の対象になることがあります。財団は税務署または顧問税理士等に相談するよう案内しています(公式Q&A40)。社宅規程を作成する段階で、税務上の取扱いもあわせて確認しておくと後の処理が整理しやすくなります。
まとめ|支援申込の前に確認する項目
- 令和8年度後期の支援申込受付期間は令和8年8月17日から11月13日まで、受付予定企業数は30社(受付先着順・期間内でも終了する場合あり)
- 若手従業員の割合30%以下、過去3年以内に採用した若手が全従業員の10%以下、過去1年以内に若手を含む求人活動、という3要件を満たしているか
- 住宅の借上げ・食事等の提供・健康増進サービスの提供のうち、支援申込日の1年前から同じ分類の取組を行っていない分野を2つ以上選べるか
- 助成対象経費の50%以上を自社で負担できるか。住宅は1戸あたり月41,000円が助成の上限
- 登記簿謄本(発行日から3カ月以内)と都税の納税証明書を支援申込までに取得できるか
- 電子申請を選ぶ場合、GビズIDプライムの取得が受付期間内に間に合うか
- 支援決定から4カ月以内に専門家派遣を完了できる社内体制があるか
- 支給決定を受けるまで契約・発注しない運用になっているか
助成額・要件・期限は年度ごとに改正される可能性があります。支援申込の前に、必ず下記の公式情報で最新の内容を確認してください。
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