東京都内の中小企業にとって、若手人材の採用と定着は年々難しくなっています。
そうした中、公益財団法人東京しごと財団が実施する「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」は、住宅や食事、健康増進といった福利厚生の充実を通じて若手従業員の定着を後押しする制度です。
専門家派遣と経費助成を組み合わせることで、最大300万円の助成を受けられる点が大きな特徴です。
本記事では、この助成金の対象者や申請方法、採択率を高めるポイントまで詳しく解説します。
ES(社員満足度)向上助成金の基本情報
| 正式名称 | ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金 |
| 対象地域 | 東京都(都内) |
| 実施機関 | 公益財団法人東京しごと財団 |
| 対象者 | 都内中小企業等(若手従業員割合等の要件あり) |
| 対象業種 | 建設業、製造業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉業など幅広い業種 |
| 対象経費 | 住宅の借上げ・食事等の提供・健康増進サービスの提供 |
| その他要件 | 取組計画の作成、若手従業員割合30%以下等の要件 |
| 補助対象外 | 1分類のみの実施、過去に同分類の取組を実施済みの場合等 |
| 申請期間 | 前期:令和8年5月12日~8月7日/後期:令和8年8月17日~11月13日 |
| 上限金額 | 300万円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 問い合わせ先 | 東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 採用定着促進支援係(03-5211-0397) |
補助金・助成金の正式名称
本制度の正式名称は「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」です。
通称として「ES助成金」とも呼ばれています。
対象都道府県・市区町村
対象地域は東京都内に限られます。
都内に事業所を置く中小企業等が対象であり、都外のみに拠点を持つ企業は利用できません。
実施機関
本助成金は公益財団法人東京しごと財団が実施しています。
東京しごと財団は東京都の外郭団体であり、雇用環境整備や人材確保支援を専門に行う公的機関です。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象となるのは都内に事業所を置く中小企業等です。
全従業員に占める35歳未満の若手従業員の割合が30%以下であること、入社3年以内の若手従業員数が全従業員数の10%以下であることなどの要件を満たす必要があります。
直近1年間に若手人材を含む求人活動を行っていることも条件のひとつです。
対象業種
対象業種は幅広く設定されています。
建設業、製造業、情報通信業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉業など、ほぼすべての業種が対象に含まれます。
業種による大きな除外規定は設けられていません。
対象経費
助成対象となる経費は3つに分類されます。
1つ目は35歳未満の若手従業員向けに社宅として提供する住宅の借上げ費用です。
2つ目は従業員に継続的に提供する食事等のサービスに係る費用です。
3つ目は従業員の健康増進を目的としたサービス提供や健康器具の購入・レンタルに係る費用で、いずれか2つ以上の取組を実施することが支給の条件です。
その他要件
助成対象事業は取組計画を作成したうえで実施する必要があります。
専門家派遣を受けて計画を練り上げてから取組を開始することが推奨されています。
役員や個人事業主、派遣労働者は従業員の人数に含まれません。
補助対象外となるもの
住宅の借上げ、食事等の提供、健康増進サービスの提供のうち、1つの取組のみでは助成の対象になりません。
過去1年間に同じ分類の取組をすでに行っている場合は「新たな取組」と認められず対象外となります。
申請期間
令和8年度は前期と後期の2回に分けて募集が行われます。
前期は令和8年5月12日から8月7日まで、定員は30社です。
後期は令和8年8月17日から11月13日までで、いずれも受付先着順のため早めの準備が重要です。
上限金額・助成額
助成上限額は合計300万円です。
内訳は住宅の借上げが200万円、食事等の提供が50万円、健康増進サービスの提供が50万円までとなっています。
補助率
補助率は2分の1です。
各分類ごとに算出した助成額は千円未満を切り捨てて支給されます。
問い合わせ先
問い合わせ先は東京しごと財団企業支援部雇用環境整備課採用定着促進支援係です。
電話番号は03-5211-0397で、平日9時から17時まで対応しています(12時から13時、土日祝日、年末年始を除きます)。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の詳細はJグランツの公募詳細ページで確認できます。
より詳しい申請要件や様式については東京しごと財団の公式サイトに掲載されている募集要項を必ず確認してください。
申請前には最新の要綱改正の有無も併せてチェックすることをおすすめします。
ES(社員満足度)向上助成金を対象者が活用すべき理由(メリット)
ES(社員満足度)向上助成金の最大のメリットは、専門家派遣を無料で受けられる点です。
自社だけでは着手しにくい福利厚生の充実に向けた取組を、知見のある専門家と一緒に計画できます。
さらに、住宅・食事・健康増進という3分野にまたがる取組に対して最大300万円の助成を受けられるため、採用コストや離職による損失を抑えながら職場環境を強化できます。
若手人材の確保・定着に課題を感じる都内中小企業にとって、投資対効果の高い制度だといえます。
ES(社員満足度)向上助成金を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 若手従業員(35歳未満)の採用・定着に課題を抱えている都内中小企業
- 住宅・食事・健康増進のいずれか2つ以上に新たに取り組む余力がある企業
- 直近1年間に若手人材を含む求人活動を行っている企業
- 専門家のアドバイスを受けながら計画的に福利厚生を整備したい企業
見送ったほうが良い人の特徴
- 若手従業員の割合や人数要件を満たさない企業
- 都外にしか事業所がない企業
- 過去1年間に同じ分類の取組をすでに実施しており「新たな取組」と認められない企業
- 3年間にわたる取組の継続や書類対応に手間をかけられない企業
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金
新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新分野への進出を後押しする制度です。
大胆な事業転換を計画している企業にとって、設備投資や販路開拓の費用を幅広くカバーできる点が魅力です。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
ものづくり補助金は、中小企業の革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を支援する制度です。
設備投資を伴う試作開発やサービス提供方法の改善に取り組む企業に適しています。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に対応するための省力化機器の導入を支援します。
カタログに掲載された汎用製品を選ぶだけで比較的簡易に申請できる点が特徴です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化に取り組む小規模事業者を支援する制度です。
商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成する点が申請の特徴です。
ES(社員満足度)向上助成金の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
申請には支援申込書のほか、会社概要や従業員名簿、若手従業員の在籍状況が分かる資料などが必要です。
これらの様式は東京しごと財団の公式サイトからダウンロードできます。
取組内容によっては見積書や契約書の写しなど追加書類の提出も求められます。
記載例はどこで確認できるか
申請様式の記載例や募集要項は、東京しごと財団の公式サイトで公開されています。
不明点がある場合は、事前に問い合わせ窓口に確認しておくと申請がスムーズです。
ES(社員満足度)向上助成金の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
若手人材の採用競争が激化している中で、自社がどのような層をターゲットにしているのかを具体的に示すことが重要です。
地域の求人動向や離職率のデータを添えることで、説得力のある計画書になります。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
同業他社と比べてどのような福利厚生を導入しようとしているのかを明確にすることが求められます。
住宅・食事・健康増進のどの組み合わせを選ぶのかを、自社の課題に即して具体的に説明しましょう。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ自己資金だけでなく本助成金を活用する必要があるのかを説明することが大切です。
専門家派遣を受けることで取組の実効性が高まる点を計画書に盛り込むと評価されやすくなります。
実行体制を明記する
取組を誰がどのように推進するのか、社内の実行体制を明確にしておく必要があります。
担当部署や責任者を明記し、3年間の取組を継続できる体制であることを示しましょう。
ES(社員満足度)向上助成金の申請手順
- 募集要項を確認し、対象要件を満たしているか確認する
- 支援申込書類を準備し、東京しごと財団へ郵送または電子申請(Jグランツ)で提出する
- 専門家派遣を受けて取組計画を作成する
- 取組計画に基づき、住宅の借上げ・食事等の提供・健康増進サービスの提供のうち2つ以上を実施する
- 実施後、支給申請書類を提出し、審査を経て助成金が支給される
ES(社員満足度)向上助成金を自社で申請する際の注意点
申請要件は毎年度見直される可能性があるため、必ず最新の募集要項を確認してから準備を始めることが重要です。
受付は先着順であり、定員に達し次第終了するため、早めの申込みが望ましいといえます。
「新たな取組」と認められるかどうかの判断が細かく規定されているため、過去の福利厚生施策との重複がないか事前に整理しておく必要があります。
書類不備があると審査が長引くことがあるため、提出前に募集要項と照らし合わせたダブルチェックをおすすめします。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
数多くある補助金・助成金の中から自社に最適な制度を選ぶには専門知識が必要です。
専門家に相談することで、ES助成金以外にも活用できる制度を含めて比較検討できます。
事業計画の質が上がる
採択されやすい事業計画書には一定の型があります。
専門家の支援を受けることで、市場性や実行体制の記載を客観的な視点で磨き上げることができます。
採択後の実務まで見据えられる
助成金は採択されて終わりではなく、実施後の支給申請や実績報告まで対応する必要があります。
専門家に依頼しておけば、3年間にわたる取組の管理や報告書作成まで見据えたサポートを受けられます。
ES(社員満足度)向上助成金を不正受給するとどうなるのか
- 助成金の返還と事業者名の公表というリスク
- 通報や調査によって不正が発覚する仕組み
助成金の返還と事業者名の公表というリスク
虚偽の申請や不正な手段で助成金を受給したことが判明した場合、東京しごと財団により助成金の返還が求められます。
悪質なケースでは、事業者名が公表される可能性もあります。
通報や調査によって不正が発覚する仕組み
不正受給は内部告発や実地調査などをきっかけに発覚することが少なくありません。
東京しごと財団や関係機関への情報提供窓口が設けられており、疑わしい事案は調査の対象となります。
ES(社員満足度)向上助成金のまとめ
ES(社員満足度)向上助成金は、住宅・食事・健康増進という3分野の福利厚生整備を通じて、若手人材の確保・定着を後押しする東京都内中小企業向けの助成金です。
専門家派遣と合わせて最大300万円の助成を受けられる点は、他の福利厚生関連の支援制度と比べても手厚い内容といえます。
申請を検討する際は、Jグランツの公募詳細ページと東京しごと財団の公式サイトで最新の募集要項を確認したうえで、早めに準備を進めましょう。
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