岡崎市内で製造業を営む事業者が、大学や試験研究機関と共同で研究に取り組むときの費用を補助するのが、岡崎ものづくり支援補助金(共同研究事業)です。
令和8年度は、大学又は試験研究機関へ支払う研究費・相談料の2分の1以内が補助され、補助限度額は共同研究事業と依頼試験事業の合計で1社あたり同一年度最大50万円です。
令和8年度の申請書類は、メールで岡崎ものづくり推進協議会事務局へ提出します。Jグランツには制度情報が掲載されていますが、Jグランツからの電子申請は受け付けていません。
この記事では、令和8年度の募集要領と案内チラシをもとに、自社が対象になるかどうかの判定、補助額と自己負担額の計算、締切から逆算した準備、交付決定後に必要な手続きまでを整理します。
岡崎ものづくり支援補助金(共同研究事業)の基本情報【令和8年度】
| 制度名 | 岡崎ものづくり支援補助金(共同研究事業) |
| 実施年度 | 令和8年度(2026年度) |
| 実施機関 | 岡崎ものづくり推進協議会(岡崎市・岡崎商工会議所)/事務局:岡崎商工会議所内 |
| 対象地域 | 愛知県岡崎市 |
| 対象者 | 日本標準産業分類の大分類Eに分類される製造業を営む法人、又は「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出した個人事業主 |
| 対象経費 | 大学又は試験研究機関へ支払う研究費、相談料(振込手数料は除く) |
| 補助率 | 補助対象経費の2分の1以内 |
| 補助限度額 | 共同研究事業・依頼試験事業の合計で1社あたり同一年度 最大50万円(補助額の1,000円未満は切り捨て) |
| 交付申請書提出期間 | 中小企業者:令和8年4月1日〜令和9年1月31日/中小企業者以外:令和8年12月1日〜令和9年1月31日(予算がなくなり次第終了) |
| 補助対象事業の実施期間 | 令和8年4月1日〜令和9年3月31日 |
| 申請方法 | 事務局の事前確認(事前相談)を受けたうえで、申請書類をメールで提出 |
| 実績報告書の提出期限 | 事業完了から1か月以内、又は令和9年2月28日のいずれか早い方 |
| 問い合わせ先 | 岡崎ものづくり推進協議会 事務局(岡崎商工会議所内)/電話0564-53-6191(土日祝日を除く午前10時〜午後5時) |
出典:令和8年度 岡崎ものづくり支援補助金 募集要領(PDF)、案内チラシ(PDF)、岡崎ものづくり推進協議会 岡崎ものづくり支援補助金
【30秒判定】岡崎ものづくり支援補助金(共同研究事業)の対象になるか
満たすべき3つの申請資格
募集要領では、次の3つをすべて満たしていることが申請の基準とされています。
- 日本標準産業分類の大分類Eに分類される製造業を営む法人、又は「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出した個人事業主であること
- 岡崎市内に本社機能又は製造を行う工場を6か月以上引き続き有していること
- 市税を完納していること
「6か月以上引き続き」という条件があるため、岡崎市内に工場を新設した直後の事業者は、設置から6か月が経過するまで申請できません。本社が市外にあっても、市内に製造工場があれば要件を満たします。
市税については、交付申請時に完納証明書の原本(すべての市税において滞納がないことの証明)を提出します。写しではなく原本が必要なため、書類作成と並行して取得手続きを進めることになります。
事業そのものが対象外になる条件
募集要領の「申請資格・要件」には、次の場合は申請できないと明記されています。
- 国又は県の補助金を活用する事業(同じ事業について岡崎ものづくり支援補助金を申請することはできません)
- 暴力団である事業所、暴力団員が役員となっている事業所、暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する事業所
- 風俗関連業、ギャンブル業、賭博、金融・貸金業等、公的資金の交付先として社会通念上適正を欠くもの
とくに1つ目は、共同研究の資金計画そのものに関わります。国の補助金で同じ共同研究を進める計画がある場合は、どちらの制度を使うかを事前確認の段階で整理しておく必要があります。
中小企業者かどうかで申請できる時期が変わる
交付申請書の提出期間は、中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条に規定する中小企業者であるかどうかで異なります。
| 区分 | 交付申請書提出期間 |
| 中小企業者 | 令和8年4月1日〜令和9年1月31日 |
| 中小企業者以外 | 令和8年12月1日〜令和9年1月31日 |
いずれの区分でも、予算の上限に達した時点で受付は終了します。中小企業者以外は申請できる期間が実質2か月しかないため、令和8年12月1日の受付開始時点で予算が残っているかどうかを事務局に確認するところから始めることになります。
補助対象になる経費とならない経費
対象経費は大学又は試験研究機関へ支払う研究費・相談料
案内チラシでは、共同研究事業の対象経費は「大学又は試験研究機関へ支払う研究費、相談料(振込手数料は除く)」と示されています。対象となる事業は、新製品・新技術の開発、既存製品の高付加価値化を目的に行う共同研究です。
補助されるのは外部機関へ支払う費用であり、社内で発生する費用を積み上げる制度ではありません。研究費の内訳を共同研究契約書や見積書でどう表現するかによって、対象として認められる範囲が変わります。契約金額を確定させる前に事務局へ相談しておくと、経費区分の手戻りを防げます。
振込手数料は補助対象経費に含まれない
募集要領には「振込手数料については、補助対象経費に含まれません」と明記されています。研究費を大学へ振り込む際の手数料は、金額が小さくても補助対象経費から除いて経費明細表を作成します。
依頼試験事業と迷ったときの判断材料
岡崎ものづくり支援補助金には、共同研究事業とよく似た「依頼試験事業」があります。依頼試験事業の対象経費は「大学又は試験研究機関へ支払う試験費、相談料」で、募集要領では通常の商慣習に伴う品質保全・確認のための検査ではないものに限る、という要件が付いています。
どちらで申請するかによって提出する様式が変わります(共同研究事業は「経費明細表」、依頼試験事業は「依頼試験明細表」)。補助限度額は両事業の合計で管理されるため、取り組みの内容がどちらに当たるかを事前確認の場で確定させてから様式をダウンロードするのが確実です。
補助額と自己負担額の計算方法(上限50万円・1,000円未満切り捨て)
計算式と計算例
補助額は「補助対象経費 × 2分の1以内」で計算し、1,000円未満の端数は切り捨てます。補助限度額は共同研究事業と依頼試験事業の合計で1社あたり同一年度最大50万円です。
以下は制度の条件にあてはめた計算例です。実際に交付された事例ではありません。
| 補助対象経費 | 補助額 | 自己負担額 |
| 60万円 | 30万円 | 30万円 |
| 80万5,000円 | 40万2,000円(40万2,500円の1,000円未満を切り捨て) | 40万3,000円 |
| 120万円 | 50万円(補助限度額を適用) | 70万円 |
対象経費が100万円を超えると補助額は50万円で頭打ちになるため、そこから先は増えた費用がそのまま自己負担になります。研究規模を決める段階で、この分岐点を押さえておくと予算配分を判断しやすくなります。
なお、消費税の取り扱いについては募集要領・案内チラシに明記がありません。対象経費を税込と税抜のどちらで積算するかは、事前確認の際に事務局へ確認してください。
共同研究事業と依頼試験事業の合計で年度50万円
案内チラシには「共同研究事業、依頼試験事業の合計が、1社あたり同一年度 最大50万円」と記載されています。共同研究事業で40万円の交付を受けた場合、同じ年度に依頼試験事業で使えるのは残りの10万円まで、という考え方になります。
一方で、予算の範囲内であれば補助限度額に達するまで何回でも申請できます。複数のテーマを並行して進める場合は、年度内にどのテーマへ枠を配分するかを先に決めておくと、2件目以降の申請の判断が早くなります。
交付決定額を超えた分は補助されない
募集要領には「実績報告書に記載した金額が交付決定額を超えた場合は、交付決定額を補助上限額とします」と定められています。研究の途中で費用が増えても、増えた分が補助額に反映されるわけではありません。費用が膨らむ可能性がある場合は、交付申請時の金額をどう設定するかを事前確認の場で相談しておくことになります。
令和9年1月31日から逆算する申請スケジュールと提出方法
交付申請書の提出期限は令和9年1月31日ですが、予算がなくなり次第終了するため、締切日を目標に動く制度ではありません。次の順序で進みます。
ステップ1:事務局の事前確認(事前相談)を受ける
募集要領には「本申請前には、申請可否及び申請内容等について、岡崎ものづくり推進協議会事務局による事前確認を受けてください」と記載されています。事業スキーム図でも、すべての事業について必ず事前相談をするよう示されており、事務局からは予算の状況や申請方法についての説明を受けます。
予算の残り状況は事務局しか把握していません。共同研究の相手先との交渉と並行して、早い段階で予算状況を確認しておくことが、この制度では実質的な出発点になります。
ステップ2:交付申請の書類をそろえる
共同研究事業の交付申請時に必要な書類は次のとおりです。
共同研究事業の個別書類
- 交付申請書(共同研究事業)
- 経費明細表(共同研究事業)
- 事業計画書(共同研究事業)
全事業共通の書類
- 補助対象経費に係る金額が分かる書類の写し(見積書、依頼書、契約書、請求書など)
- 完納証明書の原本(すべての市税において滞納がないことの証明)
- 申請者の会社案内の写し
様式は岡崎ものづくり推進協議会の公式サイトからダウンロードできます(共同研究事業 交付申請・実績報告の様式/記載例)。
なお、交付決定前に共同研究契約を締結してよいかどうかは、募集要領には明示されていません。契約の締結時期と発注のタイミングは、事前確認の場で確認してください。
ステップ3:メールで提出する(Jグランツの電子申請ではありません)
令和8年度の提出方法はメールです。募集要領と案内チラシのいずれにも、提出先として okamono@okazakicci.or.jp が示されています。案内チラシには、受信の連絡は3営業日以内に行われ、返信がない場合は問い合わせるよう記載されています。
Jグランツにも本補助金の情報は掲載されていますが、掲載されているのは制度情報と公募要領・交付要綱・申請様式へのリンクです。Jグランツ上での電子申請は行われないため、GビズIDの取得も申請の前提にはなっていません。
また、募集要領には「提出締め切り日が、土日祝日の場合は、事前に提出してください」と記載されています。令和9年1月31日は日曜日にあたるため、実務上は前週の金曜日である令和9年1月29日までに提出を終える前提で準備することになります。
ステップ4:交付決定を受けてから実績報告までを進める
実績報告書の提出期限は、原則として事業が完了してから1か月以内、又は令和9年2月28日のどちらか早い方です。募集要領には「実績報告書提出の際に、支払いの証明書類が必要なため、交付対象事業の補助対象経費の支払いについては、実績報告書提出期限前に終えてください」と記載されています。
実績報告時に必要な書類は次のとおりです。
- 実績報告書(共同研究事業)、収支精算書(共同研究事業)、補助事業実績表(共同研究事業)
- 補助対象経費に係る確定した金額が分かる書類(請求書など)
- 経費の支払いを証明する書類の写し(領収書、通帳の送金履歴など)
- 補助金交付のための請求書(岡崎ものづくり推進協議会宛)
補助対象事業の実施期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までですが、実績報告の期限が令和9年2月28日(日曜日)であることを踏まえると、研究の完了と大学への支払いは2月末より前に済ませておく必要があります。土日祝日の扱いを考えると、令和9年2月26日までに提出できる日程で逆算するのが安全です。
審査の進み方と交付決定までに起きること
採択方法は書類審査、申請書提出時にヒアリングがある
募集要領では、採択方法は書類審査と定められています。あわせて「補助金交付申請書を提出する際、申請内容等に関するヒアリングを実施します」と記載されており、書類を出して終わりではありません。
書類の修正・追加提出・現地調査を求められることがある
「書類審査中に、必要に応じて書類の修正、追加書類の提出、現地調査を求める場合がございますので、ご対応ください。ご対応いただけない場合は、審査を進めることができません」と募集要領に明記されています。審査期間中に連絡を受け取れる担当者を決め、現地調査にも対応できる体制にしておくことが前提になります。
審査結果はメールで通知される
審査の結果はメールで通知されます。募集要領には、審査内容に関する問い合わせには応じられないとも記載されています。申請内容について確認したいことは、審査後ではなく事前確認の段階で解消しておく必要があります。
交付決定後に必要な手続きと補助対象事業者の責務
補助金は事業完了後の精算払い
募集要領の事業スキームでは、交付決定 → 事業実施 → 事業完了 → 実績報告・補助金請求 → 完了検査・交付金額確定通知 → 補助金の支払い、という順序が示されています。研究費は先に自社から大学へ支払い、後から補助金を受け取る流れになるため、支払時期と入金時期のずれを資金計画に織り込んでおく必要があります。
証拠書類は補助事業完了年度の終了後5年間保存する
「補助金に係る経理については、収支を明確にした証拠の書類を整備し、かつ、これらの書類を補助事業が完了した日の属する会計年度の終了後5年間保存してください」と定められています。あわせて、補助事業の適正を期すために必要があるときは、事業所への立入検査や関係者への質問が行われる場合があります。
事業所名や事業成果が公表される場合がある
募集要領には「採択された事業については、事業所名、事業名、事業概要、事業成果を公表させていただく場合があります」と記載されています。また、補助事業終了後に事業成果に関する調査に応じることも求められます。共同研究の内容に公表を避けたい情報が含まれる場合は、大学側との秘密保持の取り決めとあわせて事前に整理しておく論点です。
補助金の返還を求められるケース
次の場合は補助金交付決定が取り消され、既に交付を受けている補助金の全部又は一部の返還を求められることがあります。
- 不正又は虚偽の申請により補助金の交付を受けたとき
- 正当な理由がなく、規定する報告又は調査を拒んだとき
- 補助金の交付の決定の内容又はこれに付された条件に違反したとき
- 補助金を補助事業以外の用途に使用したとき
- 補助対象事業にて他の特許権を侵害していることが明らかになったとき
- 偽りその他不正の行為があったとき
また、何らかの理由で補助事業の遂行が困難となったときは、速やかに岡崎ものづくり推進協議会へ報告して指示を受けることとされています。研究が計画どおりに進まない場合も、放置せず事務局へ連絡するのが所定の手続きです。
岡崎ものづくり支援補助金のほかのメニューとの違い
岡崎ものづくり支援補助金には、共同研究事業を含めて6つのメニューがあります。申請資格・申請期間・提出方法は共通で、いずれも事前確認が必要です。
| 事業名 | 主な対象経費 | 補助限度額(1社あたり同一年度) |
| 共同研究事業 | 大学又は試験研究機関へ支払う研究費、相談料 | 依頼試験事業との合計で50万円 |
| 依頼試験事業 | 大学又は試験研究機関へ支払う試験費、相談料 | 共同研究事業との合計で50万円 |
| 見本市等出展事業 | 見本市等出展費(小間料)、会場設営費 | 30万円 |
| 知的財産権取得事業 | 特許出願・特許出願審査請求に係る手数料の相当額、弁理士の報酬及び経費 | 30万円 |
| プラットフォーム活用事業 | マッチングサービスの登録費用、運営機能費用、伴走支援費用 | 50万円 |
| 新製品共創事業 | 市内外の事業者と協同で試作品を開発する際の原材料費用 | 30万円 |
いずれの事業も補助率は補助対象経費の2分の1以内で、振込手数料は対象外です。共同研究の成果を展示会で発表する計画があるなら見本市等出展事業、成果を特許化するなら知的財産権取得事業というように、同じ年度内で組み合わせる余地があります。出典:令和8年度 岡崎ものづくり支援補助金 案内チラシ(PDF)
岡崎ものづくり支援補助金(共同研究事業)のまとめ
令和8年度の岡崎ものづくり支援補助金(共同研究事業)は、岡崎市内の製造業者が大学又は試験研究機関へ支払う研究費・相談料の2分の1以内を補助する制度です。補助限度額は依頼試験事業との合計で1社あたり同一年度最大50万円、補助額の1,000円未満は切り捨てとなります。
申請にあたって押さえるべき点は3つです。1つ目は、事務局による事前確認を受けなければ本申請に進めないこと。2つ目は、提出方法がメールであり、Jグランツからの電子申請ではないこと。3つ目は、予算がなくなり次第受付が終了するため、令和9年1月31日という締切日よりも予算の残り状況が実質的な期限になることです。
制度の内容は年度ごとに変わります。申請前には必ず岡崎ものづくり推進協議会の公式ページで最新の募集要領と申請様式を確認し、岡崎ものづくり推進協議会事務局(電話0564-53-6191)へ事前確認を申し込んでください。
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