たりの用法を豊富な例文で解説|意味によって使い方が変わるので注意!

たり 用法

日常会話では頻繁に飛び交う『~たり』という言葉。

ですが文字にすると正確ではないかもしれません。

あなたの『たり』の使い方、本当にあってますか?

文章で用いる『たり』は正しいものでなければなりません。

形として残る文字は正確な使い方であるべきで、誤解を招くものであってはならないからです。

基本的に『たり』は話し言葉として使います。

日常の雰囲気を表現したい場合、例えば雑誌のインタビューや小説の会話の一コマで使用するのは問題ありませんが、論文や履歴書ではngなのです。

会話のなかでは気にならない間違いでも、文章では正確な使い方をする必要があるということですね。

この記事では、『たり』の応用や場面ごとの使い分けを解説していきます。

正しい使い方を覚えて、正確な情報を伝えましょう。

たりの用法|5つの意味と正しい使い方を解説

状況や相手によって意味合いが変わるのが『~たり』という用法です。

文章で使う『たり』の正しい使い方を5つのパターンで解説します。

  1. 並列助詞:~をしたり~をしたり
  2. 可能性:ひょっとして~したりして
  3. 存続:~したりしている
  4. 完了:~したりした
  5. 例示:~したりしたいけれど

並列助詞:~をしたり~をしたり

『したり』とは、動詞(動作)を意味しています。

『食べる』『話す』というような動詞の語尾を『たり』に置き換えることで、『食べたり』『話したり』と変化するのです。

『したり』を2回並べる場合、関連する2つの動作を同時に表現したいときに用いられますが、その動作の関係性にはいくつかのパターンがあります。

  • 歌ったり、踊ったり
  • 降ったり、止んだり
  • 走ったり、転んだり

歌ったり、踊ったり

同じような動作を並べることで一つの動作をより強調しています。

降ったり、止んだり

対局の物事を並べることで目まぐるしい状況の変化を表しています。

走ったり、転んだり

他にも違う動作がありその中で2つの動作を選んで象徴的にしています。

注意点としては、この2つの動作があまりに密接な関係にある場合、『したり』は適した表現ではないこと。

たとえば、『先生の授業を見たり聞いたりした』といわれると、『見る』と『聞く』はいうまでもなく同時に行われており、取り立てて表現する必要はないですよね。

また、こういった並列助詞は基本的に2回使用されることが多いですが、強調したい動作がもうひとつあれば3回使用しても文法上は問題ありません。

しかし、繰り返しの表現は聞き手、読み手にくどさや稚拙な印象を与えることがあるため、2回にとどまることが多いようです。

可能性:ひょっとして~したりして

『ひょっとして』とは、いわゆる『もしかして』という予想を示しています。

可能性としてゼロではないものの、確実とはいえない物事に対してうかがいをたてるような疑問形の表現です。

「ひょっとして間違ったりしてないかな」というように、予想に対する答えを探るような場面で使いましょう。

継続:今は~したりしている

『今は』ということは現在進行形で起こっている事柄です。

その後に動詞をつなげることで人や物事の現状の変化を報告するために使います。

また、その動詞が『したり』になることで、プラスアルファで他の動作が隠れているというニュアンスを含んでいます。

「今は海外で暮らしたりしている」というと、様々な状況が変わったが、中でも海外で暮らしていることを代表的に伝えていることになります。

完了:昨日は~したりした

『したりした』ということは、すでに起こった出来事のことですよね。

さらにこの場合の『したり』も、他にもなにかがあったこと意味しています。

「昨日は散歩をしたりした」というように、昨日の行動の一部始終を伝えるために用いましょう。

例示:たとえば~したりしたいけれど

『たとえば』を用いることで、いくつかの候補がある行動、事柄を提案として相手に投げかける表現になります。

「たとえばイスをこっちにもってきたりしたいけれど」というと、必然的に「どうでしょう?」や「どう思う?」といった疑問文がつながることが想像できますよね。

なんらかの提案を、代表案を用いて問いかける場合に使いましょう。

5つのパターンでそれぞれ用途は違いますが、共通していえるのは『たり』という言葉には他の動作が含まれる場合が多いということです。

シーンによって『たり』に含まれる要素を理解して、会話や文章の流れの中で自然に組み込むことを心がけましょう。

5種類の意味を表現できるたりの用法を例文で紹介

5つの『たり』の正しい使い方はわかりましたね。

次はそれぞれの例文を見ていきましょう。

  1. 並列助詞:~をしたり~をしたり
  2. 可能性:ひょっとして~したりして
  3. 存続:~したりしている
  4. 完了:~したりした
  5. 例示:~したりしたいけれど

並列助詞:~をしたり~をしたり

ここでは3つの例文を使って、『並列助詞:~をしたり~をしたり』を解説していきますね。

  • 健康のために、早起きしたり運動したりするのはとてもいいことだ
  • 晴れたり曇ったり、不安定な一日になりそうです
  • 泣いたり笑ったりと、つかみどころのない人だ

健康のために、早起きしたり運動したりするのはとてもいいことだ

『健康にいい行動』という同じカテゴリにある代表例を2つ並べることで、その動作の利点がより強調されています。

晴れたり曇ったり、不安定な一日になりそうです

『晴れる』『曇る』という、より対照的な状況を並べることで気候の変化を顕著に表現することができます。

泣いたり笑ったりと、つかみどころのない人だ

感情表現の2つを用いてその人物の性格を表現しています。

この場合も、対照的な言葉を用いることで『つかみどころのなさ』をわかりやすく伝えることができるでしょう。

可能性:ひょっとして~したりして

次は可能性を示す『ひょっとして~したりして』の例文をみてみましょう。

基本的には、その人物のなかの想像や予想を具体化する表現です。

それをふまえて以下の3つの例文を読んでみてください。

  • ひょっとしてあの子に嫌われていたりしていないかな
  • ひょっとしてしばらく見ない間に株価が下がったりしているのではないか
  • ひょっとして今から走ってももう間に合わなかったりして

ひょっとしてあの子に嫌われていたりしていないかな

その人物のなかにある懸念に対して自問自答する場合、または誰かに問いかけるシーンで使われます。

ひょっとしてしばらく見ない間に株価が下がったりしているのではないか

うっかりしていて、もしかしたら悪い結果になっているのでは?という不安を表しています。

言葉に発するよりは心のなかで思っていることを表す場合に使うことが多いでしょう。

ひょっとして今から走ってももう間に合わなかったりして

『走れば間に合うかもしれないけれど可能性は低いのではないか』とう疑問を表現しています。

『たりして』で区切ることで、よりカジュアルな印象も与えています。

継続:今は~したりしている

継続を意味する『今は~したりしている』は、現状報告の意味をかねていると述べましたね。

つまり、それを伝える『誰か』がいるということです。

その『誰か』を想定しながら例文をみていきましょう。

  • 過去には営業職をしていました。今は海外で慈善事業をしたりしています
  • 今は家と職場を行ったり来たりしています
  • 今はただ将来のために勉強したりと、四苦八苦しています

過去には営業職をしていました。今は海外で慈善事業をしたりしています

その人物の過去と現在の状況の変化を表しています。

『したり』がつくことで、その他にも事業をしていることもうかがえますね。

今は家と職場を行ったり来たりしています

多忙な仕事状況を伝えるシチュエーションです。

『行ったり来たり』という類似表現をつかうことで現状の忙しさをより強調しています。

いまはただ将来のために勉強したりと、四苦八苦しています

将来の不安や焦りを暗示しています。

『したり』と『しています』の間に『四苦八苦』という四字熟語をはさむことで困難な状況が具体化されています。

完了:昨日は~したりした

続いて完了を示す『昨日は~したり』の例文をみていきましょう。

すでに起こった物事を伝えるものなので、動作を具体的に表すのがポイントです。

  • 昨日は家で本を読んだり映画を観たりして、ゆっくり過ごした
  • 夏休みは家族で海にいったりキャンプをしたりと、夏を満喫した
  • 去年は様々な国を旅して、いろんな人と出会ったりした

昨日は家で本を読んだり映画を観たりして、ゆっくり過ごした

休日をどう過ごしたかを説明しています。

『読む』『見る』という類似表現で、いかにゆっくりとした休日だったかが分かります。

夏休みは家族で海にいったりキャンプをしたりと、夏を満喫した

固有名詞を使って具体的な場所や行動を表しています。

『したりと』が他の思い出も連想させていますね。

去年は様々な国を旅して、いろんな人と出会ったりした

一年をという期間のなかで最も印象的な行動を伝えています。

『たりした』のなかに、出会い以外にもいろいろな出来事があったこともうかがえます。

例示:たとえば~したりしたいけれど

自分の意見を他の誰かに投げかけるのが『たとえば~したり』でしたね。

それをふまえたうえで以下の3つの例文を解説していきます。

  • たとえばオフィスの印象をよくするために、レイアウトを変えたりしたいけれど、どう思う?
  • たとえば横に花を添えたりしたいけれど、被写体の邪魔になるかな?
  • この記事地味だね。たとえば挿し絵を入れたりしたいけれど、できるかな?

たとえばオフィスの印象をよくするためにレイアウトを変えたりしたいけれど、どう思う?

職場の雰囲気改善のために上司が部下へ具体案を提案しています。

『変えたり』という言い回しに「レイアウト以外になにかいい案はありますか?」という問いかけも含まれていることが分かります。

たとえば横に花をそえたりしたいけれど、被写体の邪魔になるかな?

物や人物の撮影現場ですね。

花を『そえたり』に、もっと作品の質を上げるアイデアを求めていることが分かります。

この記事地味だね。たとえば挿し絵を入れたりしたいけれど、どうかな?

先輩記者が後輩にアドバイスをしているシーンです。

『挿絵を入れる』という代表例を挙げて、記事の品質を上げる工夫を提案しています。

具体例を用いて『たり』の使いかたをより深掘りしてみました。

例文をいくつか作って、間違った使いかたをしていないか確認してみましょう。

たりでよくある間違った使い方

会話の中では聞き流されがちですが、『たり』の間違った使い方は頻繁に見かけられます。

よくある間違い方を大きく4つ見ていきましょう。

  1. たりの種類
  2. たりの省略
  3. たりを使うタイミング
  4. たりは話し言葉なので履歴書や面接には使えない

たりの種類

5つの正しい使い方でご紹介しましたが、パターンによって『たり』の種類は使い分けが必要です。

動作の種類を間違うと文章に違和感を与えてしまうからです。

並列助詞の例文で「朝起きたら、歯を磨いたり服を着替えたりします。」という文章があったとします。

なにかしっくりこないのではないでしょうか。

これは、『歯を磨く』ことと『服を着る』ことが朝にとる行動として近い関係性にないために生じるものです。

「歯を磨いて、そのあと服を着る」の方が自然なのではないでしょうか。

したがってこの場合、「朝起きたら、歯を磨いたり顔を洗ったりします。」というより密接な関係性にある動詞を使用することで解消されます。

書いた文章を読み直すなどして、不自然な動詞の並べ方をしていないかよく確認しておきましょう。

たりの省略

これも並列助詞の場合にいえることですが、『たり』は基本的に2回繰り返して使います。

しかし、ニュース番組や雑誌の記事ですら2回目の動詞のたりを省略してあることが非常に多いです。

よく見かける表現のため不自然に感じないことはないにしても、文法上は正しい表現ではありません。

たとえば、「休憩時間にお菓子を食べたりスマホを見ていました」という文章は厳密にいえば間違った使い方になるというわけです。

正しくは、「休憩時間にお菓子を食べたりスマホを見たりしていました。」となります。

この程度の『たり』の省略は日常会話など、カジュアルなシーンで気にする必要はありません。

しかし正確な情報を伝えるべき文章では正しい使い方をするべきだといえるでしょう。

たりを使うタイミング

『たり』を使うタイミングは並列した動詞の後でなければなりません。

並列した動詞の後につけることでその動作を対等に表現しているからです。

たとえば、「先週の日曜日はおいしいものを食べたり、エステにいって優雅に過ごしたりした」というたり使い方は間違っています。

ここで対等に並べるべき動詞は、『おいしい物を食べた』ことと『エステにいった』の2つだからです。

とはいえこの間違いは、なんとなく会話の流れを執筆してしまうと気づかない内に起こってしまいます。

そのため記事を執筆した後はしっかりと見直しをおこない、『たり』の位置関係を確認しましょう。

たりは話し言葉なので履歴書や面接には使えない

就職活動などの際に『たり』という言葉は使えません。

『たり』は代表的な一つの動作プラス他のなにか暗示しているため、あいまいな印象を与えかねません。

そのため、過去の経歴を明確に伝えなければならない履歴書や面接の場面で使用するのはngなのです。

たとえば面接で「前職は営業をしたりしていました」なんていいませんよね。

『営業したり』ということは、他にもなにかたずさわっていたことを示唆しているので、面接などでは『営業をしていた』ことを明確に伝える必要があります。

あいまいな表現になりかねない『たり』は、こういった場面で使わないようにしましょう。

たりの用法を敬語表現バージョンで解説

目上の人や上司と話すときは敬語を使いますよね?

『たり』にもそのための敬語表現があります。

フォーマルな場面で最低限おさえておきたい『たり』の敬語表現を3つご紹介します。

  1. なさったり
  2. されたり
  3. させていただいたり

なさったり

『なさったり』とは対象となる相手をうやまう尊敬語に位置します。

『~する』を『~なさる』にいいかえることで敬語表現になるように、『したり』を『なさったり』に変換することで成り立ちます。

『なさったり』の特徴は、その前にくる言葉が名詞であることと『様』を付けるような、かなり上の立場にある人に対して使うということです。

たとえば「〇〇様は、午後からテニスをなさったり読書をなさったりして過ごされました」

このように『なさったり』は基本的にうやまう相手の具体的な動作を表す場合に使います。

されたり

『されたり』も『なさったり』と同様に尊敬語になりますが、『なさる』よりも少しだけ敬意の低い表現になります。

そのため、職場などのビジネスシーンに向いているといえるでしょう。

『されたり』も『なさったり』と同じく、直前に名詞を置くことで自然に使用できます。

たとえば、「今日の社長は、会議に出席されたり出張されたり、大変お忙しそうでした」

というように『する』という動詞を『される』にかえるだけで良いのです。

また、『走る』や『転ぶ』といった、それ自体で完結している動詞の場合は語尾の母音を『あ』に変換することで応用できます。

この場合「走られたり、転ばれたり」というように変化します。

動詞と名詞で、それぞれ正しい使い分けをしましょう。

させていただいたり

『させていただいたり』とは謙譲語になります。

丁寧語という大きなカテゴリの中では『なさったり』『されたり』と共通している表現です。

ですが『させていただいたり』には、この2つにはない『相手の許可を得たうえで行動をとる」という性質をもっています。

例文をみてみましょう

「本日はお庭を拝見させていただいたりいろんなお話をさせていただいたりと、大変お世話になりました」

このように、『お庭を拝見する』ことと『お話をする』ことに対して相手に了承を得たうで行動をとっています。

目上の相手に対して伺いをたてる必要がある行動をとる場合に使う言葉づかいであるということを覚えておきましょう。

敬語表現は時として堅苦しい印象を与えてしまいます。

相手との距離感を確認して使い分けてくださいね。

たりの用法を言いかえる方法を紹介

話し言葉である『たり』は、別の言い方にした方がよい場面が頻繁に訪れます。

多用することでくどさや稚拙な印象を与えてしまうので、上手な言いかえかたも身に付けておく必要があります。

『たり』の言いかえ方を3つご紹介します。

  1. などを使う
  2. ~やを使う
  3. 文章を2つにわける

などを使う

『など』は『たり』と同様に、その動作以外にも複数の物事を連想させる性質があります。

たとえば、ひとつの代表的な動作が『笑う』だったとすると、『笑うなど』にすることで他にも似たような行動をとっていたことがわかります。

また、『たり』よりもフォーマルな表現のため文章や講義などの場面に適しているといえます。

では『たり』を『など』に言いかえる例文をみてみましょう。

「午後は天気が良かったので散歩をしたりして気分転換した」

これを『など』に言いかえるとこうなります。

「午後は天気が良かったので散歩などをして気分転換した」

このように、『散歩をする』という動詞を『散歩』という名詞に置きかえて使います。

よりかしこまった印象も与えるので、『たり』よりも多様性のある表現といえます。

~やを使う

『~や』もまた有効な言いかえ方です。

『~や』は『~と』同じように2つの物事を並列にする並列助詞になります。

ですが、『拍手と声援が飛び交った』というと『拍手』と『声援』という2つの物事に断定してしまいます。

『拍手や声援が飛び交った』というように、『~や』と用いることでその他の行為も含まれることを連想させます。

たとえば「主婦の午後は掃除をしたり洗濯をしたりと、大忙しだ」を『~や』に言いかえると「主婦の午後は掃除や洗濯にと、大忙しだ」となります。

『~や』を使うことで文章がコンパクトになって読みやすくなりましたね。

また、『掃除』『選択』以外にも忙しい事情があることがうかがえます。

『~や』を使えばすっきりとした文章になることをふまえて、上手に活用しましょう。

文章を2つにわける

たりを使うことで文章が長くなると、あいまいな印象を与えてしまいます。

そんなときは、『たり』を使わず文章を2つにわけてしまいましょう。

「今日は友達と会ってランチをしたり、人気のカフェに行ったりして休日を満喫しました」

「今日は友達と会って一緒にランチを食べました。その後人気のカフェでお茶をしながら世間ばなしをして、休日を満喫しました」

2つの物事を一つの文章で区切ることで、それぞれの行動がより印象強く表現されます。

伝えたい物事を鮮明にしたい場合は、こういった言いかえ方をしましょう。

『たり』の言いかえ方は他にも様々な方法があります。

ここでご紹介した3つの方法を活用して、その場面にあった使い方をしてくださいね。

まとめ|たりの用法は意味と使い方に注意!

この記事では、普段よく耳にする『たり』の正しい用法、適した場面について解説しました。

あなたの『たり』の使い方は、あっていましたか?

結論として、『たり』は友人や家族などと交わす日常会話に用いるカジュアルな表現であって、職場などのフォーマルな場には向いていないということ。

この記事でもご紹介したように、目上の相手には『なさったり』や『されたり』というような正しい言いかえ方があるのです。

実際にそういった場面で『したり』という言葉を使えば、あなた自身も違和感に気づくでしょう。

困ったときはこの記事を読み返して、周囲に「おっ」と一目置かれる存在になってくださいね。