倒置法を豊富な例文で解説|国語的な意味合いや効果を理解し短歌や俳句に活用しよう

倒置法

「倒置法って何だろう?使う意味はあるんだろうか」

「聞いたことはあるけれど、よくわからないから例文を知りたい」

ひょっとすると、このように悩んでいる人もいるかもしれません。

詳しくは後述しますが、倒置法とは通常の文章とは異なる順序で言葉を並べる文章を指します。

具体的には以下のような例文を倒置法と言います。

【通常】
俺はそんな話を聞いてないよ。

【倒置法の例文】
そんな話聞いてないよ、俺は。

『俺は』という単語をあえて文章の最後に持ってくることで、強調される単語が変化していますよね。

それだけでなく文章のリズムが独特になりますので、文章が単調になりがちなコラム記事
や小説などで倒置法は頻繁に使われます。

しかしそうなると「倒置法で得られる他の効果・正しい使い方・注意点も知りたいな」と思う人がいるかもしれません。

そこでこの記事では倒置法の効果・正しい使い方・注意点はもちろん、使うべき場面・倒置法と組み合わせられる他の表現技法を解説します。

現役のSEOライティング講師が豊富な例文を用いて解説していますので、初心者の方でも内容をすぐに理解できるようになっています。

この記事を読み終えるころには、倒置法を使った文章を上手に作れるようになりますよ。

倒置法は修辞法の一種|意味を例文で解説

倒置法は数多くある修辞技法※の1つのこと。

※文章表現を豊かにする表現テクニックのこと。別名【レトリック】。倒置法の他にも体言止めや擬人法、直喩、隠喩など非常に多くの種類がある。詳しくは記事後半にて記載。

倒置法は文節の順序を通常と異なる形にすることで、より印象的な文章にできる表現方法になります。

具体的に言いますと、以下の通り。

【通常】
私は京都に行く。

【倒置法の例文】
私は行く、京都に。

その他にも、goo辞書によると以下のような文章も倒置法に分類されます。

「どこに行くのか、君は」「起きろよ、早く」など。

goo辞書|倒置法の意味(最終閲覧日2021年8月9日)

このように倒置法では本来なら述語の前に来るはずの目的語を、文末に入れ替えます。

そのためここまでをまとめますと、通常の文章と倒置法の構成には以下のような違いがあるとわかります。

【通常の文章の並び】
主語+目的語+述語

【倒置法を用いた文章の並び】
主語+述語+目的語
目的語+述語+主語
述語+形容詞(主語は省略)

通常の文章、つまり国語の文法を順守するような文章であれば規則正しく『主語』からスタートさせています。

そしてその後は『目的語・述語』とまさに教科書通りの並びになっていますよね。

こうすることで文章の内容を滞りなくスムーズに理解できるというメリットがあります。

この順序で書かれた文章であれば、読者から「わかりにくいな」と思われることは基本的にないでしょう。

その一方で倒置法はこの順序をあえて崩すことで、最後に記載された単語を印象的にする効果があります。

例えば冒頭の例文であれば文章の最後をあえて『京都』にすることで、京都に対する印象が通常の文章に比べて強く残りますよね。

このように倒置法を使うことで、最後の言葉を印象的にする効果があります。

それだけでなく倒置法には文章に異なるリズムをもたらしますので、単調な流れを打破することも可能。

倒置法に関するメリットは後述しますね。

倒置法には動詞・形容詞・形容動詞の3種類がある

倒置法のメリットについて言及する前に大事な話をしますね。

先ほどチラッと紹介しましたが、実は倒置法には種類が3つあります。

動詞・形容詞・形容動詞を使った場合の倒置法です。

  1. 動詞を使った倒置法の例文
  2. 形容詞を使った倒置法の例文
  3. 形容動詞を使った倒置法の例文

動詞を使った倒置法の例文

動詞を使った倒置法、つまり文章の最後に動詞以外の単語を持ってくることを『動詞の倒置法』と言います。

具体的には以下のような文章が動詞の倒置になります。

  • 動詞における倒置の例文
  • 走りました、猫が。
  • 踊りました、上手に。

動詞を最初に持ってくることで、動作ではなく対象や状態が強調されていますよね。

動詞以外を注目させたいときは、動詞の倒置を使うとよいでしょう。

形容詞を使った倒置法の例文

形容詞を使った倒置、簡単に言うと形容詞以外の言葉を文章の最後に持ってくることを『形容詞の倒置法』と言います。

  • 形容詞における当地の例文
  • 美しいね、彼女の踊りは。
  • コレは手厳しいね、なかなか。

状態や状況などといった形容詞が表現する単語以外を強調させたいのであれば、このテクニックを使いましょう。

そうすることで動作や具合などを読者に投げかけやすくなります。

その結果、文章が表す場面を正確に想像してもらえるかもしれません。

形容動詞を使った倒置法の例文

形容動詞を使った例文、つまり形容動詞以外を最後に持ってくる手法を『形容動詞の倒置法』と言います。

  • 最高だな、このビールは
  • 彼は親切だな、なかなかどうして。

形容動詞で表現した対象を強調したいのであれば、この手法を使ってくださいね。

文章の強調に!倒置法がもたらすメリット

倒置法を活用すると文章を作成するうえで次のようなメリットがあります。

1つずつ解説していきましょう。

  1. 倒置された語句を強調する
  2. 文章に意外性が出る
  3. 文章が情緒的になる
  4. 語気が強くなる
  5. 文章にリズムが生まれる

倒置された語句を強調する

倒置法を使うと倒置された語句が強調されます。

その理由として倒置法を使うとその文章における結末や結論が先にくるので1番言いたいことが伝わりやすくなるからです。

実際に倒置法を使って言いたいことを強調している例をご紹介します。

  • 私は負けない、なにがあっても
  • 絶対に登りきる、富士山を
  • そんなの信じない、なんと言われようとも

上記の例文をみてもわかりますが言いたいことが真っ先にくるので、とても力強く感じますよね。

このように倒置法を使うことで文章が強調されて主張が伝わりやすくなります。

文章が情緒的になる

倒置法を使うと文章が情緒的*になり読者の感情を揺さぶる表現ができるようになります。

*情緒的とは人の感情の変化を表すような雰囲気のこと

なぜなら、倒置法を使うと普通の文よりも文末にきた言葉が印象的になり読者に想像する余地を残せるからです。

こちらも例文をみて確認しましょう。

  • 私はどうしても伝えたかった、あなたに
  • ゆっくりと踏みしめた、降り積もった雪を
  • 涙が止まらない、いつまでも

上記の1つめの例文でも『あなたに』と最後に書かれており、あなたがとても重要な人物であると推測できます。

それと同時に、そこで文章が終わっているので2人になにがあったのかすごく気になりますよね。

このように倒置法を使うと文末に来た言葉に様々な解釈ができるので、ない場合と比べより情緒的な表現になりますよ。

語気が強くなる

倒置法を使うことで語気が強くなります。

その理由として、勢いを強める単語が文末に来ると読者にとってその言葉のインパクトが強まるからです。

下記の例文で確認してみましょう。

  • これ片づけてくださいね、さっさと
  • 帰ってくれよ、とっとと
  • このプロジェクト成功させましょう、絶対に

倒置された文だと、文末の言葉がとても強く感じますよね。

たとえば、最初の文は倒置しないと『さっさとこれ片づけてくださいね』となり、少し言い方が優しくなったような気がします。

このように語気を強めたいときにも倒置法は有効ですよ。

文章にリズムが生まれる

倒置法を使うと文章にリズムが生まれます。

なぜかというと、倒置法を使うと文末が『です・ます・でした』以外になるので文章が単調になりにくいからです。

たとえば、次の例文をみていましょう。

(倒置法を使わない例文)
今日はとても気温が高く汗が止まりません。
10分ごとに冷たい麦茶を飲みましたがいつの間にか熱中症になってしまいました。
視界がくらくらして本当につらかったです。

これを一部、倒置した文にします。

(倒置法を使った例文)
今日はとても気温が高く汗が止まりません。
10分ごとに冷たい麦茶を飲みましたがいつの間にか熱中症になってしまいました。
視界がくらくらしてつらかったです、本当に…。

倒置法を使った文は『本当に』の位置を入れ替えていますが、こうすることで『です・ます』調が続くのを防ぎ、文章にリズムが生まれます。

『です・ます』調が続くと文章が幼稚な雰囲気になってしまうので、それを崩せるのも倒置法のメリットですね。

以上、倒置法のメリットを5つご紹介しました。

倒置法は上手に使うことで文章のアクセントになってくれるとわかりますね。

文章に意外性が出る

倒置法を使うと意外性が出ます。

どうしてかというと、倒置法を使うと文章の目的語が文末に来るので読者の予想をくつがえせるからです。

こちらも実際に例文で解説します。

  • 僕は彼女に送った、声援を
  • ぜひ私にやらせてください、黒子を

上記の例文では、前文だけみると読者がある程度結末を想像できます。

たとえば、1つめの例文なら送ったと書いてあるので物を届けたのかと予想されがちですが、実際には『声援』という形のないものでした。

また、2つめの例文は前半だけみると大役を任せてほしいのかと思いますが、黒子だったというオチです。

このように倒置法で文章の順番を入れ替えると、予想と違ったことを述べられるので読者を驚かすことができます。

倒置法を使うと予定調和を崩して読者に意外性を与えられますよ。

【国語の復習】倒置法の作り方はとても簡単

倒置法は以下2つの手法で簡単に作れます。

  1. 語句を逆にする
  2. 二文に分ける

語句を逆にする

日本語の文章は基本的に『主語、目的語、述語』の順で書かれていることが多いです。

そのため、ステップ1として倒置法をおこなうために『述語』を『目的語』※の前に移動させます。

※目的語とは文章の中で『なにを・だれを』にあたる言葉です。

・私はコップに水を酌んだ

この文章では『水を』が目的語にあたります。

・私は彼を一生懸命追いかけた

この文章では『彼を』が目的語になります。

このように文章の中で目的となる言葉のことを『目的語』と呼ぶので覚えておきましょう。

その一方で述語とは、主語がどのような動作をしているか、どんな状態であるかを表したものです。

たとえば、先ほどの文をみてみましょう

・私はコップに水を酌んだ

この文章では主語である『私』がおこなった『酌んだ』という動作が述語になります。

・私は彼を一生懸命追いかけた

こちらも私がおこなう『追いかけた』が述語になります。

倒置法ではこの『目的語』と『述語』の順番を入れ替えることで倒置がされることを覚えておきましょう。

こうすることで倒置法の原型ができ上がります。

それでは、先ほどまでの文章を倒置法に変換してみましょう。

【倒置した例文
・私はコップに酌んだ、水を
・私は一生懸命追いかけた、彼を

倒置法を使うと、もとの文よりも目的語が強調されているのがわかりますよね。

同じ意味・単語を使っている文章にもかかわらず、このような変化を簡単に加えられるのが日本語の不思議なところです。

こういったビフォーアフターを比較すると、日本語の表現の幅広さや奥行きの深さを感じられますよね。

もしも人のセリフを情熱的にしたり印象的な発言を読者の中に刻み付けたりしたいのであれば、このように句点を使って倒置を試みるとよいでしょう。

そうすれば表現の幅と奥行きが増します。

その結果、味のある文章を自然に書けるようになるでしょう。

二文に分ける

1つにまとまっている文章を2文に分けることで、意図的に倒置法を使うことができます。

具体的に言いますと、通常の文章を以下のように表現できます。

【通常の文章】
帽子をかぶった背の高い男性

【二文に分けて作った倒置法の例文】
帽子をかぶった背の高い男性がいる、背が高いな。
背の高い男性がいる、帽子をかぶっているな。

このように倒置させることができます。

このパターンで面白いのは同じ倒置法という名の表現でも、最後に置く単語で印象がやはり変わるということ。

二文に分けた例文の前者であれば、通常の文章に比べて『背が高い』が強調されていますよね。

その一方で後者であれば、『帽子をかぶっている』ことが印象的になります。

このように同じ文章、強いては同じ倒置法と言っても最後に置く単語で印象が変化するのです。

したがって二文に分ける際は、どの単語を分離させ文章の最後に置くのかをよく考えましょう。

ちょっとしたことですが例文で提示しましたように、文章が読者に与える影響の大きさを考えますと大事な作業と言えます。

「何を最優先して読者に伝えたいのか?」を考えてくださいね。

倒置法を使うべき場面は4種類ある

実際に倒置法を取り入れやすい文章についてお伝えします。

  1. ブログなどのコラム記事
  2. 小説
  3. 俳句
  4. 短歌

ブログなどのコラム記事

倒置法が向いている文章の1つめは『ブログなどのコラム記事』です。

その理由として、コラム記事などはビジネス文書と異なり執筆する人間の伝えたいものを自由に書ける形式だからです。

そのため文章全体の中でもとくに強調したい部分に倒置法を使えば、より読者に届きやすくなりますよ。

実際に次の文章では倒置法を使うことで、書いた側の気持ちが強く表れています。

  • 私は声を大にして伝えたい、これを読んでくれているあなたに
  • 自分自身の経験からタバコは止めた方がいい、絶対に
  • 心から感謝しています、ファンのみんなに

このように比較的自由が許されるブログのようなコラム記事では、倒置法を使うと効果的に強弱を付けられますよ。

小説

倒置法が向いている文章の2つめは『小説』です。

前述でお伝えしたとおり倒置法のメリットとして、文章を情緒的にできるというものがあります。

倒置法を使うと登場人物の心情を表すのにとても役立つので、小説との相性がいいですよ。

実際に有名な小説や詩には倒置法が上手に使われており、人々の印象に残るものが多いです。

  • 山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい(夏目漱石|小説『草枕』の冒頭)
  • ふるさとは遠きにありて思ふもの、そして悲しくうたふもの(室生犀星|詩句『小景異情』)
  • 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。(川端康成|小説『雪国』の冒頭)

このように、1文にできるものでもあえて2文にして倒置をすることで、より情景が思い浮かび、読者の感情に訴えかけるものになっていますよね。

2つめの室生犀星の詩句は『ふるさとは遠きにありて思ふもの』とあるので、普通はふるさとを大事に思うポジティブな内容が続くと想像してしまいます。

しかし『そして悲しくうたふもの』と想像を裏切る言葉が倒置されているため、読者に強いインパクトを与えられますよね。

さらに倒置がされている『悲しくうたふもの』が余韻として、より心に残るようになります。

読み手の感情を揺さぶる必要がある小説では倒置法を使うことで、物語の世界観にグッと引き寄せることができますね。

俳句

倒置法が向いている文章の3つめは『俳句や短歌』といった文字数の限られた表現方法です。

その理由として、俳句や短歌は文字数に制限がありますが、倒置法を使うことで少ない文字でもインパクトや情緒を感じさせることができるからです。

実際に小林一茶の俳句にも倒置法が使われていますのでご紹介します。

  • すずめの子 そこのけそこのけ お馬が通る(俳句|小林一茶)
  • やせ蛙 負けるな一茶 これにあり(俳句|小林一茶)

どれも誰もが聞いたことのある有名な俳句ですよね。

多くの人の印象に残るのは倒置法が効果的に使われて文章の強弱やリズムが、非常に印象的だからです。

このように文字数制限のある俳句や短歌は倒置法が活きる表現方法だとわかりますよね。

短歌

実は短歌にも倒置法が使われています。

有名どころでいえば、晩秋を美しく表現した与謝野晶子の短歌が倒置法を使っています。

【倒置法を使った場合】
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の岡に
(黄金色の幼い鳥がまるで空を舞うかのように、銀杏の葉が散っています。夕日に照らされながら丘へと)

短歌文を見るとわかりにくいかもしれませんが、訳すと倒置法が使われていることがわかりますよね。

もしも倒置法を使わないのであれば、以下のような短歌および訳になります。

【倒置法を使わない場合】
金色のちひさき鳥のかたちして夕日の岡に銀杏散るなり
(黄金色の幼い鳥がまるで空を舞うかのように、夕日に照らされながら丘へ銀杏の葉が散っています)

倒置法を使っている短歌の方が『夕日』を強調でき、読者に夕焼けの場面、つまりは『夕暮れ時の力強い光』を連想させやすくなっています。

実際に前者の例の方が夕焼けを連想しやすいですよね。

コレは完全に倒置法の効果によるものです。

倒置法を使うことでこのように、その短歌で最もイメージしてほしい場面を強調させることができます。

なかなか使えるテクニックですので、ぜひ単価にも倒置法を使ってみてください

倒置法の使い方における3つの注意点

文章作成で役立つ倒置法ですが、いくつか注意点もあります。

注意点まで理解していると、効果的に使えるようになりますよ。

  1. 倒置法を連続で使わない
  2. ビジネス文書には使わない
  3. 読み手に取って違和感があるかもしれない

倒置法を連続で使わない

倒置法は連続で使用しないようにしましょう。

その理由として倒置法は文中でとくに強調したいときや印象付けたい場合に使う表現方法であり、連続して利用すると効果が薄れるからです。

実際に倒置法を連続で使用すると次のような文章になります。

私はなんとしても止めたかった、彼を。
そして勝ちたかったこの勝負には。
しかし私は思い知った、実力の差を。

このように倒置法が連続していると、せっかくメリットである強調や情緒といった効果がわかりにくくなってしまいます。

そればかりか、日本語を習いたての方が書いた文章のようにどこか不自然ですよね。

倒置法は連続して使わずに、とくに強調したい1文に限定して利用するようにしましょう。

ビジネス文書には使わない

ビジネス文書に倒置法を使わないようにしましょう。

なぜなら、倒置法は文章に情緒を与え読者の感情に訴えかけられますが、客観的な事実が求められるビジネス文書には合わないからです。

たとえば、ビジネス文書が次のような倒置法で書かれていたらどうでしょうか。

  • 平素よりありがとうございます、格別のお引き立てを。
  • お手数をおかけしますが、お知らせいただけますと幸いです。○○さまのご都合の良い日を。
  • お手数ですがお願いいたします、ご確認を。

このように取引先から返信がきたら、文章が不可解なのでビジネスの相手として不安になりますよね。

倒置法は読み手にインパクトを与えますが、ビジネス文書で重要なのは正確な日本語とわかりやすい文章です。

倒置法はあくまで文学的に自由度が高いものにだけ使用するようにしましょう。

読み手に取って違和感があるかもしれない

倒置法があることで読み手が違和感を持つ場合があります。

なぜなら前述したとおり通常の文章は『主語、目的語、述語』の順番で進みますが、倒置法ではそれをあえて崩したスタイルにするからです。

たとえば、一直線だと思っていた道にいきなり一時停止の標識が出てきたらびっくりして車の流れが止まりますよね。

それと同じで「こう続くはずだ」と読み手は思っていても倒置法でリズムを変えられると、逆に違和感をもってしまう場合があります。

実際にYAHOOJAPAN!知恵袋でも下記のように質問している方がいたのでご紹介します。

名探偵コナンのセリフについて質問です
倒置法表現が連続して使われていることがよくあります。その事に非常に違和感、気持ち悪さを感じるのですが、私の感覚がおかしいのでしょうか?
また、私自身、何故気持ち悪く感じるのか分かりません。語学的に説明できる方がいましたら、お願い致します

YAHOOJAPAN!知恵袋|日本語(最終閲覧日2021年8月11日)

このように少数派かもしれませんが倒置法が文章で複数回使われると違和感を持つ人もいるので注意しましょう。

倒置法だけじゃない!その他修辞技法を例文で解説

レトリック(修辞法)には倒置法以外にも様々な手法があります。

中には倒置法と組み合わせることで文章をより印象的にできるテクニックもありますので、ぜひチェックしてみてください。

  1. 体言止め
  2. 誇張法
  3. 反語法
  4. 感嘆法
  5. 擬人法
  6. 隠喩
  7. 直喩

体言止め

体言止めとは文章を名詞もしくは代名詞で締めくくる手法を指します。

明日の体育は水泳。
無言だね、彼。

文章を名詞および代名詞で締めくくっていることで、それぞれに対する印象をつい強められていますよね。

体言止めを使うことで、倒置法と同じ効果を得られるわけです。

しかしそうなると「倒置法と同じでは?」と思うかもしれません。

うわべだけ見ますと確かにそうなのですが、詳しく考察しますと倒置法と体言止めには明確な違いがあります。

倒置法と体言止めは別の手法である

ややこしいですが、倒置法と体言止めは同じではありません!

体言止めは倒置法と似ていますが、止める表現方法が異なります。

体言止めを使った文章は次のようになります。

  • 私たちの目の前をあっという間に過ぎ去った、新しい新幹線
  • 僕は今年のうちにチャレンジしたい、日本一周
  • 今日はずっと受験勉強を頑張った、10時間

その一方で倒置法を使った文章は以下のようになります。

  • 私たちの目の前をあっという間に過ぎ去った、新しい新幹線は。
  • 僕は今年のうちにチャレンジしたい、日本一周を。
  • 今日はずっと受験勉強を頑張った、10時間も。

倒置法は文学的な雰囲気でしたが、それと比べると体言止めは歌詞や和歌のようになりますよね。

このように倒置法と体言止めは同じものだと混同されがちですが、読み手に与える印象が若干異なるので使う場合には注意しましょう。

誇張法

誇張とは物事を大げさに表現する手法のこと。

具体的には以下のような手法を誇張法と言います。

今の彼の勢いは天を衝かんばかりだね。

通常であれば『彼の勢いはすごいね』と記載するところですが、『天を衝く』と表現することで、該当者の勢いの良さを生き生きと表現しています。

もしもこの誇張法と倒置法を組み合わせると、以下のようにかなり印象的になります。

【倒置法と組み合わせた例】
天を衝かんばかりの勢いだね、彼は。

『彼』を最後に記載することで、該当者が際立った存在であることを印象付けることに成功しています。

文章中に登場する人物をより印象的にしたいときは、誇張法と倒置法を組み合わせてみてください。

反語法

反語法とは相手の言動を使い、皮肉を言う手法のことです。

簡単に言いますと、以下のような文章を反語法と言います。

(音痴な歌声を聞いて)君の歌声は実に美しいね。

本来であれば「歌うのが苦手だったんだね」や「もっと頑張ろう」などが適切な投げかけなのですが、あえてほめることで嫌味になっていることがわかります。

そしてこの反語法と倒置法を組み合わせると、以下のように強烈な表現になります。

【倒置法と組み合わせた例】
(音痴な歌声を聞いて)実に美しいね、君の歌声は。

皮肉が伝わるのはもちろんなのですが、どこか攻撃的になっていますよね。

先ほどはサラッと皮肉めいている印象なのですが、この例文では歌声を徹底的に貶めているかのように聞こえます。

まるで歌声を全否定しているかのようです。

「この2人は仲が悪いのかな?」と疑ってしまうほど、歌声に対してかなり強烈な皮肉と言えるでしょう。

このように反語法と倒置法を組み合わせることで、2人の中が険悪であることを強調させられます。

ぜひ使ってみてください。

感嘆法

感嘆法とは以下の例文のように『!』を使う手法のことです。

今日のご飯は美味しい!

『!』を使うことで「今日のご飯は思わず感嘆(感心)するほどの美味しさなんだろうな」と直感的にわかりますよね。

感嘆符はその人物が受けた衝撃の大きさを簡単に表現できますので、便利な表現手法になります。

そしてその感嘆符と倒置法を組み合わせると、以下のようになります。

【倒置法と組み合わせた例】
美味しい、今日のご飯は!

先ほどの文章だと美味しさに目が行きましたが、倒置法を使うことでご飯に注目しやすくなりますよね。

しかも最後に『は』がついていますので、「いつものご飯は美味しくないのかな?」という疑問がわきます。

このように倒置法を使うことで、同じ感嘆符の文章でも印象がまるで異なります。

かなり面白い表現方法ですので、ぜひ使ってみてください。

擬人法

擬人法とは人間に対して使う表現をあえて物などに使う手法を指します。

具体的には以下の通り。

きっと君のパソコンも喜んでいるよ。

『喜んでいる』という言葉は人間の感情を表現する際に使うものなのですが、上記のように物質に使うこともできます。

こうすることで「パソコンがもしも人だったら、喜ぶようなことをしているのだろうな=大切に使っているんだろうな」という印象になります。

そしてこの擬人法と倒置法を組み合わせると、以下のような印象になります。

【倒置法と組み合わせた例】
きっと喜んでいるよ、君のパソコンも。

『喜ぶ』という感情よりも『パソコン』に注目が行きますよね。

その結果パソコンだけでなく、パソコンが喜ぶようなことをしている対象者も今喜んでいることが読み取れます。

このように物質を通して対象者の心情を表現したいときに、擬人法と倒置法の組み合わせが威力を発揮します。

使ってみてくださいね。

隠喩

隠喩とは抽象的な概念を共通点もしくは類似点に基づいて、実態がある概念に見立てて表現する手法を指します。

簡単に言うと「~を簡単に例えると~のようだ」と言い換えられる文章を隠喩と言います。

彼の存在感はゼウスのようだ。
(彼の存在感を簡単に例えるとゼウスのようだ)

通常であれば「とてつもなく大きい」と表現するところなのですが、『ゼウス』という唯一無二の絶対神の名を使うことで彼の存在感がとんでもなく大きいと読み取れますよね。

それだけでなく『代えが利かない・影響力が絶大』といったことも読み取れます。

これは間違いなく『ゼウス』という言葉が影響を及ぼしたものです。

同じ意味を指しているのに、それ以外の印象も与えるなんて面白いですよね。

そしてそんな隠喩法と倒置法を組み合わせると以下のようになります。

【倒置法と組み合わせた例】
ゼウスのようだ、彼の存在感は。

倒置法の効果によって、ゼウスというよりも彼に対して注目が行きます。

影響力よりも人物に注目させたいときは、倒置法を組み合わせてください。

なお隠喩法は誇張法に似ている表現ですが、隠喩法は大げさにしなくても使える手法です。

例えば以下の文章は誇張法ではありませんが、隠喩法に該当します。

人生は旅のようなものだ。
植物にとって日光浴は食事のようなものだ

このように、表現を大げさにしなくても利用できるものが隠喩法になります。

覚えておきましょう。

直喩

直喩法は隠喩法とは異なり、共通点もしくは類似点をもとに直接的に結び付ける表現手法を指します。

簡単に言うと「~はまるで~のようだ」と言い換えられる文章を直喩と言います。

彼の目つきは猛禽類のようだ

猛禽類という単語を使うことで、彼の目つきの鋭さをイメージしやすくなっていますよね。

これは猛禽類の眼光の鋭さを彼の目つきに直接的に結び付けることに成功しているからです。

つまり先ほどの隠喩は『イメージ』で結び付けていましたが、直喩は『実態』で結び付けることに特徴があるということです。

コレが両者の違いになります。

そしてこの直喩法と倒置法を組み合わせると以下のようになります。

【倒置法と組み合わせた例】
猛禽類のようだ、彼の目つきは。

倒置法によって、彼の目つきが印象的になっています。

対象物を印象的かつ直感的にイメージさせたいときは、直喩法と倒置法を同時に使うとよいでしょう。

【例文で簡単解説】英語にも倒置法がある

英語の倒置法表現ではS(主語)とV(動詞、助動詞)の位置を入れ替えます。

通常の英文ではS(主語)V(動詞、助動詞)の順番で文章は作成されますが、この語順を入れ替えることで日本語と同様に倒置できます。

しかしそうなると「では、具体的にどういったときに英文は倒置法になるのか?」と気になる人もいるハズ。

そこでここでは英文で倒置法が発生するパターンを例文で解説します。

これを理解しておけば英文と言えども、強調させたいときやリズムに変化を加えられるようになります。

ぜひ参考にしてください。

  1. 疑問文
  2. 接続詞省略
  3. 直接話法での倒置
  4. 副詞修飾語

疑問文

英語の疑問文には倒置法が使われています。

He is a police
(彼は警官です)

Is he a police ?
(彼は警官ですか?)

日本語であれば『~か?』のように尋ねる意味合いの言葉を付けるだけなのですが、英語だと倒置法で疑問を表現します。

接続詞省略

英語だと接続詞を使うことでも倒置します。

His four daughters and his father agree.
His four daughters agree, as does his father.
(彼の4人の娘と父親も同意しています)

通常分は《and》を使うことで教科書に出てくるような並びになっています。

その一方で倒置文は《as》を挟むことによって単語の位置が逆転していますよね。

その結果《his father》という単語を強調できています。

直接話法での倒置

直接話法を用いることで、倒置法になります。

Kim asked “Where is here? ”
(キムは「ここはどこだ?」と尋ねた)
“Where is here? ” asked Kim
(「ここはどこだ?」とキムは尋ねた)

倒置していることで『誰が発言したのか?』が強調されています。

副詞修飾語

副詞的な意味合いを持つ修飾語を文頭に持ってくると、倒置法になります。

She knows the man well
Well does she know the man
(彼女はその男をよく知っている)

意味は同じなのですが、文章のリズムを変えたいときによく使われる手法です。

ココで紹介した手法を使って、面白味のある英文を作ってくださいね。

まとめ|例文で倒置法の意味・使い方を覚えよう

今回の記事を読んで『倒置法』の意味や使用した場合のメリットがわかりましたね。

倒置法を使うと文章に、よりインパクトや情緒を与えられます。

その理由として、記事でもお伝えしましたが倒置法は語順を入れ替えることで言いたいことが前にくるので結論がはっきりするからですよね。

さらに倒置された言葉に余韻がうまれるので、読者が想像する余地も生まれます。

この記事ではあわせて倒置法の注意点もお伝えしました。

とくに倒置法は小説やブログ記事のような自由度の高いもので使う場合には有効ですが、ビジネス文書には向かないので気を付けましょう。

倒置法は文全体でとくに強調したい部分に使えば、インパクトがあり読み手を楽しませる効果があるので上手に取り入れましょうね。