多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の申請方法と対象を解説

補助金

新しい取り組みを始めたいと思っても、手元の資金が足りずに一歩が踏み出せない事業者は少なくありません。

金融機関からの借入は返済の負担が残り、自己資金だけで賄おうとすれば事業の規模そのものを縮めざるを得なくなります。

東京都多摩市は、こうした資金面の壁を越える手段として、クラウドファンディング型ふるさと納税の仕組みを使った補助金を用意しています。

市が寄附の受け入れ先となって事業者に代わって寄附を募り、集まった寄附金からポータルサイトへの手数料等を差し引いた額が、そのまま補助金として事業者に交付される仕組みです。

この記事では、Jグランツの公募情報と多摩市が公開している案内をもとに、対象となる事業者の条件から補助額の考え方、申請の進め方までを順に整理します。

  1. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の基本情報
    1. 補助金・助成金の正式名称
    2. 対象都道府県・市区町村
    3. 実施機関
    4. 対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
    5. 対象業種
    6. 対象経費
    7. その他要件
    8. 補助対象外となるもの
    9. 申請期間
    10. 上限金額・助成額
    11. 補助率
    12. 問い合わせ先
    13. 公式公募ページと確認すべきこと
  2. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)
  3. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴
    1. 申請すべき人
    2. 見送ったほうが良い人の特徴
  4. その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
    1. 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
    2. ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
    3. 中小企業省力化投資補助金
    4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の申請に必要なもの
    1. 申請に必要な書類一覧と取得方法
    2. 記載例はどこで確認できるか
  6. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方
    1. 市場性を具体的に書く
    2. 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
    3. この制度を利用する必要性・重要性を記載
    4. 実行体制を明記する
  7. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の申請手順
  8. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を自社で申請する際の注意点
  9. 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
    1. 制度選定の精度が上がる
    2. 事業計画の質が上がる
    3. 採択後の実務まで見据えられる
  10. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を不正受給するとどうなるのか
    1. 虚偽の申請が判明したときに待っている交付決定の取消しと返還請求
    2. 寄附者と市の双方から実態が見えるという構造上の抑止力
  11. 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金のまとめ

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の基本情報

制度名 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金
対象地域 東京都多摩市
実施機関 多摩市役所 市民経済部 経済観光課 商工観光担当
対象者 市内に住所を有する個人事業主又は市内に事業所を有する法人(産業振興・地域課題解決に資する事業を行う者)
対象業種 漁業/建設業/製造業/電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/複合サービス事業/サービス業(他に分類されないもの)/公務(他に分類されるものを除く)/分類不能の産業/農業、林業/鉱業、採石業、砂利採取業/運輸業、郵便業/卸売業、小売業/金融業、保険業/不動産業、物品賃貸業/学術研究、専門・技術サービス業/宿泊業、飲食サービス業/生活関連サービス業、娯楽業/教育、学習支援業/医療、福祉(従業員数の制約なし)
対象事業 多摩市の産業振興及び地域課題の解決に資する事業/クラウドファンディング型ふるさと納税を活用して支援する事業として社会通念上適当であると市長が認める事業
対象経費 対象事業の実施に必要な経費のうち、交付決定日からその日の属する年度の3月末日までに支払われるもの
対象外経費 対象事業に直接関わらない経常的な運営費/対象事業に直接関わらない飲食費/領収書がない等、支出の根拠が確認できない経費/国又は他の地方公共団体から補助金等の交付を受けている経費/消費税その他の租税公課
補助額 上限額の記載なし(補助額=集まった寄附金額-ポータルサイト運営事業者等に支払う手数料等)
補助率 集まった寄附金額に応じる(寄附目標額は補助対象経費の3分の2を上限として市長が決定)
最低保証額 市が規定する事業(創業・新市場進出・事業転換・業種転換)かつ期限を設けて実施する事業でない場合、寄附目標額の3割に満たない不足分を市が補助
申請期間 令和8年度実施プロジェクトを募集中(Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日17時00分。予算額に到達次第、受付終了)
申請方法 事前面談のうえ、窓口・郵送・メールのいずれかで書類を提出(押印不要。Jグランツでの申請受付は行っていない)
審査方式 書類到達順に審査。予算額に到達次第、受付終了
問い合わせ先 多摩市役所 市民経済部 経済観光課 商工観光担当(電話 042-338-6867)

補助金・助成金の正式名称

Jグランツに登録されている正式名称は「多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金」です。

制度名と公募名が同一の表記となっており、年度や回次を示す枝番は付いていません。

名称に「ふるさと納税」と入っていますが、寄附をする側の制度ではなく、寄附を募る側の事業者を支える補助金である点が最も重要な特徴です。

多摩市のホームページでも同じ名称のページが用意されており、そこに令和8年度の募集案内がまとめられています。

検索の際は「多摩市」と「資金調達支援」を組み合わせると、返礼品事業者の募集案内と取り違えずにたどり着けます。

対象都道府県・市区町村

対象地域は東京都多摩市に限定されています。

多摩市は多摩ニュータウンを擁する人口およそ14万人の市で、八王子市、町田市、稲城市、府中市、日野市と接しています。

判定の基準になるのは、クラウドファンディング型ふるさと納税による寄附募集を開始する時点で、市内に住所を有する個人事業主であるか、市内に事業所を有する法人であるかという点です。

したがって本社が市外にある法人でも、多摩市内に事業所を構えていれば申請の対象に入ります。

また、これから市内で創業しようとする個人も対象に含まれており、その場合は市外在住の段階から準備を進めることが想定されています。

実施機関

制度を運用しているのは多摩市役所の市民経済部 経済観光課 商工観光担当です。

窓口は多摩市関戸六丁目12番地1の第二庁舎2階にあり、申請書類の提出先も同じ部署となります。

申請の前には、市の担当者に加えて創業・経営支援事業推進員による面談を受けることが必須とされています。

この面談では事業内容の確認と手続きの案内が行われ、最低保証額の対象になるかどうかもここでの説明と事業計画書の記載をもとに総合的に判断されます。

制度の背景には第6次多摩市総合計画があり、多様な主体が協力してまちづくりを進めるという理念に沿って設計されています。

対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)

補助対象者は、次の要件をすべて満たす個人事業主または法人です。

第一に、寄附募集を開始する時点で市内に住所を有する個人事業主であるか、市内に事業所を有する法人であることが求められます。

第二に、市町村税を滞納していないことが条件です。

第三に、法人であれば多摩市暴力団排除条例に規定する暴力団や暴力団関係者でないこと、個人であれば暴力団関係者でないことが必要です。

さらに、宗教上の組織または団体でないこと、政治団体でないこと、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第4項から第13項までに掲げる営業を行う者でないことも要件に含まれます。

加えて、同一年度にこの補助金の交付を受けていないことが条件となるため、1つの事業者が1年度に使えるのは1回限りです。

最後に、補助金の交付の目的に照らして交付することが適当でないと市長が認める者でないことという包括的な要件も置かれています。

対象業種

Jグランツの公募情報に登録されている業種は、漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、公務(他に分類されるものを除く)、分類不能の産業、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉の20区分です。

日本標準産業分類の大分類をすべて含む構成となっており、業種による絞り込みは行われていません。

従業員数の上限も設定されていないため、規模を理由に申請を諦める必要はありません。

実質的な絞り込みは業種ではなく事業の中身に置かれており、多摩市の産業振興及び地域課題の解決に資する事業であるかどうかが判断の軸になります。

ただし風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に定める営業を行う者は対象者の要件から外れますので、業種区分ではなく営業の実態で確認してください。

対象経費

補助の対象となるのは、対象事業の実施に必要な経費のうち、交付決定日からその日の属する年度の3月末日までに支払われるものです。

対象事業は、多摩市の産業振興及び地域課題の解決に資する事業で、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用して支援する事業として社会通念上適当であると市長が認めるものとされています。

経費の区分が細かく列挙される他の補助金とは異なり、対象経費は支払時期と事業との関連性で切られているため、どこまでを計上できるかは事前面談で確認しておくことが欠かせません。

収支予算書は第3号様式として提出することになりますので、経費の内訳はこの段階で整理しておいてください。

なお、寄附目標額は補助対象経費の3分の2を上限として市長が決定するため、計上した経費の総額がそのまま募集できる寄附額の天井を左右します。

その他要件

申請にあたっては、市の担当者及び創業・経営支援事業推進員による事前面談を受けることが必要です。

面談を経たうえで申請書類を提出し、審査を通過すると交付決定通知が送付され、ふるさと納税ポータルサイトでの寄附募集が始まります。

寄附募集は寄附目標額に達した段階で終了し、100円未満の端数がある場合は切り捨てとなります。

寄附の募集を開始した後は、集まった金額にかかわらず必ず事業を実施しなければならない点が、この制度で最も重い約束事です。

事業の実施後は実施報告書を提出し、補助金額の確定と請求手続きを経て、おおむね2週間以内を目安に補助金が交付されます。

概算払いを希望する場合は、その理由書を申請時に添える必要があります。

補助対象外となるもの

対象事業の実施に直接関わらない経常的な運営費は、補助の対象から除かれます。

同様に、対象事業の実施に直接関わらない飲食費も対象外です。

領収書がないなど、支出の根拠が確認できない経費も認められません。

国または他の地方公共団体から補助金等の交付を受けている経費についても、重複して補助を受けることはできません。

消費税その他の租税公課(印紙税、自動車税、各種登録税等)も対象外とされていますので、収支予算書では税抜きの考え方で経費を積み上げてください。

また、同一年度に既にこの補助金の交付を受けている場合は、事業者そのものが対象から外れます。

申請期間

多摩市のホームページでは、令和8年度の実施プロジェクトを募集中である旨が案内されています。

Jグランツの公募詳細ページには公募期間の表示がありませんが、Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日17時00分として登録されています。

これは令和8年度の年度末にあたる日付であり、年度単位で運用される制度であることを示しています。

ただし審査は書類の到達順に行われ、予算額に到達した時点で受付が終了しますので、年度末まで枠が残っている保証はありません。

寄附募集そのものにも一定の期間が必要になるうえ、経費の支払いは交付決定日からその年度の3月末日までに終える必要があります。

実際の締切は表示された日付よりもかなり手前にあると考え、事前面談の申し込みを早めに済ませてください。

上限金額・助成額

この制度には、金額として明示された補助上限額が設定されていません。

補助額は、クラウドファンディング型ふるさと納税により集まった寄附金の合計額から、ふるさと納税のポータルサイトの運営事業者等に支払う手数料等を除いた額となります。

実際に募集できる金額の天井は、寄附目標額として市長が決定する額であり、これは補助対象経費の3分の2を上限として設定されます。

過去に実施されたプロジェクトの寄附目標額は100万円から200万円の範囲に収まっており、この規模がひとつの目安になります。

令和7年度に実施された医療的ケア児者に関するプロジェクトでは、目標金額150万円に対して1,505,000円の寄附が集まりました。

一方で同じ年度の多摩ランタンフェスティバル2025は、目標金額150万円に対して寄附額が540,000円にとどまっており、目標額がそのまま交付額になるわけではないことがうかがえます。

令和8年度の第1弾として動き出した多摩ランタンフェスティバル2026では、令和8年7月21日から10月18日までの期間で100万円を目標に寄附が募られています。

補助率

補助率は固定の割合ではなく、集まった寄附金額に応じて交付額が決まる仕組みです。

その上限を画すのが、補助対象経費の3分の2という寄附目標額の設定基準です。

つまり寄附が目標額まで集まった場合でも、補助対象経費の3分の1程度は自己資金や他の財源で賄う前提になっています。

寄附が目標額に届かなかった場合は交付額もそれだけ減りますので、当初の予定より多くの自己資金を投入して事業を行う可能性があることを織り込んでおく必要があります。

この不確実性を和らげる仕組みが最低保証額で、市が規定する事業に該当し、かつ補助対象事業が期限を設けて実施する事業でない場合に適用されます。

市が規定する事業とは、創業、新市場進出、事業転換、業種転換の4つを指し、この場合は集まった寄附金額が寄附目標額の3割に満たなければ、不足分を市が補助します。

問い合わせ先

問い合わせ先および申請先は、多摩市役所 市民経済部 経済観光課 商工観光担当です。

所在地は〒206-8666 東京都多摩市関戸六丁目12番地1(第二庁舎2階)、電話番号は042-338-6867、ファクシミリ番号は042-337-7659です。

メールでの申請も受け付けられており、送付先のアドレスは多摩市の公式案内ページに記載されています。

最初の接点は必ず事前面談になりますので、事業の構想が固まった段階で電話またはメールで面談を申し込むところから始めてください。

市のホームページには問い合わせ専用フォームも用意されており、書面で記録を残したい照会に向いています。

なお、この補助金についてJグランツ上での申請受付は行われていませんので、手続きの窓口はすべて多摩市になります。

公式公募ページと確認すべきこと

対象地域や対象業種、対象者の要件といった制度の骨格はJグランツの公募詳細ページで確認できます。

募集要項、チラシ、Q&A集、第1号様式から第4号様式までの申請書類は多摩市の公式案内ページからダウンロードできます。

最低保証額の対象となる4つの事業区分の定義や、対象外となる経費の一覧はチラシに図解で整理されていますので、事前面談の前に目を通しておくと話が早く進みます。

同じページには現在募集中のプロジェクトや過去に実施されたプロジェクトの実績も掲載されています。

目標金額に対して実際にいくら集まったかが公開されていますので、自社の寄附目標額を考えるうえで参考になります。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)

この制度の最大の利点は、返済義務のない資金を、市の信用を背景にして集められる点にあります。

通常のクラウドファンディングでは事業者が自らプラットフォームと契約し、支援者を一から集める必要があります。

一方この制度では多摩市が寄附の受け入れ先となるため、ふるさとチョイスなどの大手ポータルサイトに市のプロジェクトとして掲載されます。

寄附者にとっては住民税等の控除を受けられるふるさと納税として扱われるため、通常の寄附よりも支援のハードルが下がるという構造的な強みがあります。

また、創業や新市場進出、事業転換、業種転換に該当する事業であれば、寄附が目標額の3割に届かなかった場合に市が不足分を補う最低保証額の仕組みが働きます。

これは資金調達の下振れリスクを抑える仕掛けであり、実績のない新規事業に踏み出す際の安心材料になります。

さらに、プロジェクトページを通じて事業の理念や地域への貢献を発信できるため、資金だけでなく認知度や共感してくれる仲間を得る機会にもなります。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴

  • 申請すべき人
  • 見送ったほうが良い人の特徴

申請すべき人

  • 多摩市内に住所を有する個人事業主、または市内に事業所を有する法人で、地域に根ざした新しい取り組みを計画している事業者
  • 多摩市内で創業を予定しており、開業資金の一部を返済不要の形で調達したい個人
  • 既存の事業を維持したまま、新しい市場や新しい商品・サービスへ広げていきたい事業者
  • 主たる業種そのものを変えるような業種転換を検討しており、下振れリスクを抑えたい事業者
  • 地域課題の解決に取り組む内容で、共感を得やすいストーリーを持っている事業者
  • イベントの開催や施設の立ち上げなど、資金の使い道を具体的に説明できる事業者
  • 市町村税の滞納がなく、申請時点で納税状況に問題がない事業者
  • 寄附募集から事業実施、実績報告までを同一年度内に完結させる工程を組める事業者

見送ったほうが良い人の特徴

  • 多摩市内に住所も事業所も持たず、市内で創業する予定もない事業者
  • 調達する金額を確定させたうえで発注や契約を進めたい事業者(寄附額に応じて交付額が変動します)
  • 寄附が集まらなかった場合に事業を取りやめたいと考えている事業者(寄附開始後は必ず事業を実施する義務が生じます)
  • 市町村税の滞納があり、申請までに解消できる見込みが立たない事業者
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第4項から第13項までに掲げる営業を行っている事業者
  • 宗教上の組織・団体、または政治団体に該当する事業者
  • 同一年度に既にこの補助金の交付を受けている事業者
  • 経費の支払いが年度をまたぎ、その年度の3月末日までに支払いを終えられない計画の事業者

その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例

  • 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
  • ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
  • 中小企業省力化投資補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)

これまで手がけてこなかった分野へ本格的に軸足を移す企業に向けて設けられた、規模の大きい支援制度です。

多摩市の制度が地域からの共感を資金に変える仕組みであるのに対し、こちらは設備や建物への投資そのものを支える性格を持ちます。

申請にあたっては付加価値額や給与支給総額の伸びについて目標を掲げる必要があり、達成できない場合には補助金の返還を求められることがあります。

公募のたびに要件が見直されていく制度ですので、検討に入る段階で必ずその回の公募要領を取り寄せてください。

ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)

革新的な製品やサービスを世に出すための機械装置費やシステム構築費を支える、長年運用されてきた定番の制度です。

試作品づくりや生産工程の刷新など、目に見える設備投資を伴う計画と相性がよい枠組みだと言えます。

交付決定より前に発注した経費は補助の対象外になりますので、多摩市の制度と同じく契約日の管理が成否を分けます。

補助率や上限額は企業規模や賃上げの取組状況によって変わりますので、自社がどの区分に当たるかを先に確かめておくと計画が組みやすくなります。

中小企業省力化投資補助金

働き手の確保が難しくなっている現場で、人の手による作業を機械やソフトウェアへ置き換える投資を支える制度です。

受発注の管理や在庫の把握を自動化するといった、日々の業務に直結する取り組みが検討の対象になります。

あらかじめ登録された製品から選ぶカタログ型は書類の負担が軽い代わりに、導入後は労働生産性の向上を継続的に報告する義務が伴います。

導入前の作業時間や人員配置を数字で残しておけば、その記録がそのまま報告の材料として使えます。

小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない事業者が販路の開拓や業務の効率化に取り組む際、最初の選択肢として挙がることの多い制度です。

多摩市内で店舗や小規模な事業所を営む方であれば、チラシやウェブサイトの制作、店舗の改装などに使えます。

申請には商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が必要ですので、発行までに要する日数を締切から逆算して動くことが欠かせません。

補助額は控えめですが手続きの軽さとの釣り合いが取れており、少人数の組織でも無理なく扱える制度です。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の申請に必要なもの

  • 申請に必要な書類一覧と取得方法
  • 記載例はどこで確認できるか

申請に必要な書類一覧と取得方法

  • 多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金交付申請書(第1号様式)/多摩市の公式案内ページからWordファイルをダウンロード
  • 事業計画書(第2号様式)/同ページからダウンロード。最低保証額の判断材料にもなる重要書類です
  • 収支予算書(第3号様式)/同ページからダウンロード。補助対象経費の内訳を記載します
  • 誓約書兼同意書(第4号様式)/同ページからダウンロード
  • 定款及び履歴事項全部証明書の写し(直近3か月以内のもの。法人又は団体のみ必要)/法務局で取得
  • 直近1か年の決算書の写し(個人事業主の場合は確定申告書の写し)/自社で保管しているものを準備
  • 開業届の写し(創業間もない個人事業主で、決算書や確定申告書の写しが提出できない場合)/税務署へ提出した控えを準備
  • 市町村税に滞納がないことを証明する書類(申請時点で市外在住の個人事業主又は創業しようとする者のみ必要)/居住する市区町村の窓口で取得
  • 概算払を必要とする理由書(概算払を受けようとする場合のみ必要)/任意様式で作成
  • その他市長が必要と認める書類/事前面談時に確認

記載例はどこで確認できるか

各様式の書き方や添付書類の考え方は、多摩市の公式案内ページで配布されている募集要項とQ&A集で確認できます。

同じページに掲載されているチラシには、補助金交付までの5つのステップと対象外経費の一覧が1枚にまとまっています。

最低保証額の対象となるかどうかは事業計画書への記載と事前面談をもって総合的に判断されますので、創業や事業転換に当たる根拠は計画書のなかで明確に書き切ってください。

書類への押印は不要とされており、提出は窓口、郵送、メールのいずれの方法でも受け付けられます。

過去に実施されたプロジェクトのページも公開されていますので、寄附を募る際の見せ方を考える参考になります。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方

  • 市場性を具体的に書く
  • 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
  • この制度を利用する必要性・重要性を記載
  • 実行体制を明記する

市場性を具体的に書く

この制度では、審査を通ることと寄附が集まることの2つを同時に満たさなければ資金は手元に残りません。

そのため事業計画書では、市場としての多摩市を意識した記述が効きます。

誰のどのような困りごとを解決するのか、その困りごとを抱えている人が市内におよそ何人いるのかを、公開されている統計や自社の顧客データを使って数字で示してください。

寄附者は事業の将来性そのものよりも、地域にどんな変化が生まれるかに反応しますので、市場性の説明もその視点で組み立てると寄附募集のページにそのまま活かせます。

差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載

似たようなサービスが既に市内にある場合、なぜ自社が取り組む意味があるのかを説明できなければ、審査でも寄附募集でも印象が薄くなります。

これまでの活動実績、地域とのつながり、独自に持っている技術や場所といった要素を具体的に書き出してください。

過去に実施されたプロジェクトを見ると、多摩ランタンフェスティバルのように地域の団体や企業を巻き込んだ体制を持つ企画が繰り返し採用されています。

自社だけで完結する計画よりも、地域の誰と組むのかが見える計画のほうが、この制度の趣旨と噛み合うと考えてよいでしょう。

この制度を利用する必要性・重要性を記載

なぜ融資や自己資金ではなく、クラウドファンディング型ふるさと納税という手段を選ぶのかという問いに、正面から答える必要があります。

この制度は多摩市の産業振興及び地域課題の解決に資する事業を支えることを目的としていますので、その目的と自社の計画が重なる部分を明確に示してください。

資金が足りないという事情だけを述べるのではなく、多くの人に関わってもらうこと自体が事業の成功に必要だという説明ができると、制度を使う必然性が伝わります。

創業や新市場進出などに当たる場合は、その該当理由を最低保証額の定義に沿って丁寧に書き添えておいてください。

実行体制を明記する

寄附の募集を開始した後は、集まった金額にかかわらず事業を実施する義務が生じます。

したがって計画書では、寄附が目標額に届かなかった場合でも事業を完遂できる体制であることを示しておくことが要になります。

誰が事業の責任者となり、寄附募集期間中の情報発信を誰が担い、経費の支払いと領収書の管理を誰が行うのかを、名前と役割の対応がわかる形で書いてください。

経費の支払いは交付決定日からその年度の3月末日までに終える必要がありますので、支払時期を含めた工程表を添えると計画の実現性が伝わりやすくなります。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金の申請手順

  1. クラウドファンディング型ふるさと納税による寄附募集の開始時点で、市内に住所を有する個人事業主または市内に事業所を有する法人に該当するかを確認します。
  2. 市町村税の滞納がないこと、暴力団関係者・宗教上の組織・政治団体・風俗営業を行う者のいずれにも当たらないことを確かめます。
  3. 同一年度にこの補助金の交付を受けていないことを確認します。
  4. 多摩市の公式案内ページから募集要項、チラシ、Q&A集、第1号様式から第4号様式までをダウンロードします。
  5. 実施したい事業の内容と必要経費を整理し、補助対象経費の3分の2を上限とする寄附目標額の見当をつけます。
  6. 経済観光課へ連絡し、市の担当者及び創業・経営支援事業推進員による事前面談を申し込みます。
  7. 事前面談で事業内容の確認と手続きの案内を受け、最低保証額の対象になるかどうかについても相談します。
  8. 交付申請書(第1号様式)、事業計画書(第2号様式)、収支予算書(第3号様式)、誓約書兼同意書(第4号様式)を作成します。
  9. 法人・団体は定款及び履歴事項全部証明書の写し(直近3か月以内)を法務局で取得します。
  10. 直近1か年の決算書(個人事業主は確定申告書)の写しを準備し、創業間もない場合は開業届の写しで代替します。
  11. 市外在住の個人事業主または創業しようとする者は、市町村税に滞納がないことを証明する書類を取得します。
  12. 概算払を希望する場合は、その理由書を併せて作成します。
  13. 書類一式を経済観光課へ窓口、郵送、メールのいずれかの方法で提出します(押印は不要です)。
  14. 書類到達順に審査が行われ、交付決定通知または不交付決定通知が送付されます。
  15. 交付決定後、ふるさと納税ポータルサイトでクラウドファンディング型ふるさと納税による寄附募集が始まります。
  16. 寄附募集期間中はSNSや自社サイトで情報を発信し、寄附目標額の達成に向けて働きかけます。
  17. 寄附目標額に達した段階で寄附募集が終了します。
  18. 計画に沿って事業を実施し、その年度の3月末日までに補助対象経費の支払いを完了させます。
  19. 補助対象事業の実施報告書を提出し、補助金額の確定を受けます。
  20. 請求手続きを行い、おおむね2週間以内を目安に補助金が交付されます。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を自社で申請する際の注意点

はじめに意識しておきたいのは、交付額が申請時に確定しないという、この制度ならではの性質です。

申請した金額の全額が補助されるとは限らず、寄附の集まり方によっては当初の予定より多くの自己資金を投入することになります。

2つ目は事業実施の義務で、寄附募集を開始した後は集まった金額にかかわらず必ず事業を行わなければなりません。

寄附が想定を下回った場合にどこまで事業規模を縮められるのか、その下限を申請前に自社で決めておくことが、資金繰りを守るうえで最も実務的な備えになります。

3つ目は事前面談の必須化で、面談を経ずに書類だけを送っても手続きは進みません。

4つ目は経費の支払時期で、交付決定日からその日の属する年度の3月末日までに支払われたものでなければ対象になりません。

5つ目は受付終了の時期で、書類到達順に審査が行われ予算額に到達次第受付が終了しますので、年度末まで待つという判断は避けてください。

自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ

  • 制度選定の精度が上がる
  • 事業計画の質が上がる
  • 採択後の実務まで見据えられる

制度選定の精度が上がる

創業や新規事業を支える制度は、国、東京都、多摩市のそれぞれに用意されています。

この制度は交付額が寄附の集まり方に左右されるという特徴があるため、確実に金額を固めたい部分は他の制度で押さえるという組み立て方も考えられます。

国又は他の地方公共団体から補助金等の交付を受けている経費はこの制度の対象外になりますので、複数の制度を併用する場合は経費の切り分けを設計する必要があります。

補助金に詳しい行政書士や中小企業診断士に相談すれば、どの経費をどの制度に載せるかという配分まで含めて整理してもらえます。

事業計画の質が上がる

この制度で作成に骨が折れるのは、事業計画書と収支予算書の2つです。

とりわけ収支予算書は、寄附目標額の上限を左右する補助対象経費の総額に直結しますので、積み上げ方ひとつで調達できる金額が変わります。

外部の専門家が入ることで、対象外となる経常的な運営費や租税公課を確実に除いたうえで、計上できる経費を漏れなく拾い上げた予算書に仕上がります。

整理された事業計画書は、寄附を募るプロジェクトページの原稿としてもそのまま活かせます。

採択後の実務まで見据えられる

交付決定を受けた後には、寄附募集期間中の情報発信、事業の実施、実績報告、請求手続きという流れが待っています。

寄附募集は数か月に及ぶことが多く、その間の発信を続けられるかどうかが集まる金額を大きく左右します。

実績報告では領収書によって支出の根拠を示す必要がありますので、経費の証憑をどう保管し誰が整理するかを事業開始の前に決めておくべきです。

補助金の収益計上時期は決算に影響しますので、顧問税理士とも早い段階で情報を共有しておくと安心です。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金を不正受給するとどうなるのか

  • 虚偽の申請が判明したときに待っている交付決定の取消しと返還請求
  • 寄附者と市の双方から実態が見えるという構造上の抑止力

虚偽の申請が判明したときに待っている交付決定の取消しと返還請求

この補助金の原資は、多摩市に寄せられたふるさと納税の寄附金です。

事業の内容や経費の金額を偽って申請し交付を受けた場合、多摩市の交付要綱に基づいて交付決定が取り消され、補助金の返還を求められます。

自治体の補助金であっても、悪質な事案では詐欺罪に問われる可能性があることは国の補助金と変わりません。

交付申請の際には誓約書兼同意書(第4号様式)を提出しますので、そこに記した内容と実態が食い違えば責任は申請者が負うことになります。

寄附者と市の双方から実態が見えるという構造上の抑止力

この制度では、寄附を寄せた人たちがプロジェクトの行方を見守っているという点が、他の補助金と大きく異なります。

実施報告書は市に提出されますが、事業の成果はプロジェクトページや地域の場で寄附者の目に触れることになります。

領収書によって支出の根拠が確認できない経費は補助の対象外とされていますので、実態のない支出を計上しても実績報告の段階で必ず表面化します。

計画の変更が必要になったときや記載の誤りに気づいたときは、隠さず経済観光課へ速やかに連絡して相談することが、結果として自社の信用を守ることにつながります。

多摩市ふるさと納税を活用した資金調達支援事業補助金のまとめ

この制度は、多摩市が寄附の受け入れ先となってクラウドファンディング型ふるさと納税で資金を募り、集まった寄附金から手数料等を除いた額を事業者へ交付する仕組みです。

対象となるのは、市内に住所を有する個人事業主または市内に事業所を有する法人で、多摩市の産業振興及び地域課題の解決に資する事業を行う方です。

補助上限額は金額として定められておらず、寄附目標額が補助対象経費の3分の2を上限として市長により決定されます。

創業、新市場進出、事業転換、業種転換に当たり、かつ期限を設けて実施する事業でない場合は、寄附額が目標の3割に満たなければ不足分を市が補う最低保証額が適用されます。

申請の前には市の担当者及び創業・経営支援事業推進員による事前面談が必須で、書類は窓口、郵送、メールのいずれでも提出できます。

審査は書類到達順で行われ、予算額に到達次第受付が終了しますので、早めの相談が有利に働きます。

制度の概要はJグランツの公募詳細ページで、募集要項や申請様式は多摩市の公式案内ページで確認できます。

まずは実施したい事業の内容と必要経費を整理し、経済観光課へ事前面談を申し込むところから始めてみてください。