東京都「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、2026年8月8日時点で令和8年度の第4回交付申請を受付中です。第4回の締切は令和8年8月31日(月)午後5時、受付社数は130社です。
本奨励金は、配偶者手当の収入要件の見直し、または社会保険に新たに加入した非正規雇用者向け手当の新設に取り組む都内中小企業事業主(個人事業主を含む)に対し、1コース30万円、2コース申請で50万円を交付する制度です。実施しているのは東京都と公益財団法人東京しごと財団です。
ただし、この奨励金は「申請すれば受け取れる」制度ではありません。交付申請日から実績報告日までの全期間を通じて12項目の交付要件を満たし続けること、労使協定の締結と就業規則の改正を定められた順番どおりに行うこと、専門家による個別相談を期限内に2回利用することが必須です。手順を間違えると対象外になります。
この記事では、第4回に間に合うかどうかの判断材料、自社が12要件とコース別要件を満たすかの確認方法、電子申請と郵送申請の選び方、交付決定日から逆算した4か月間のスケジュールを、公式の募集要項・特設サイトの記載にもとづいて整理します。
現在の受付状況|令和8年度は第4回を受付中(8月31日午後5時締切)
第4回の受付期間と受付社数
令和8年度の第4回交付申請受付期間は、令和8年8月1日(土)午前9時から8月31日(月)午後5時までです。受付社数は130社と定められています。
郵送申請の場合は締切日当日の消印有効ですが、来所による提出は一切受け付けられていません。電子申請の場合は締切日の午後5時が期限です。
受付社数の上限に達した場合の取扱いは、特設サイトの奨励金の申請についてのページで最新情報を確認してください。
第5回以降のスケジュール(全10回・令和9年2月28日まで)
今回の締切に間に合わない場合でも、令和8年度は全10回の受付が設定されているため、翌月以降の回に申請できます。第5回以降の受付期間は以下のとおりです。
| 募集回 | 交付申請受付期間 | 受付社数 |
| 第5回 | 令和8年9月1日(火)午前9時~9月30日(水)午後5時 | 130社 |
| 第6回 | 令和8年10月1日(木)午前9時~10月31日(土)午後5時 | 130社 |
| 第7回 | 令和8年11月1日(日)午前9時~11月30日(月)午後5時 | 130社 |
| 第8回 | 令和8年12月1日(火)午前9時~12月31日(木)午後5時 | 130社 |
| 第9回 | 令和9年1月1日(金)午前9時~1月31日(日)午後5時 | 130社 |
| 第10回 | 令和9年2月1日(月)午前9時~2月28日(日)午後5時 | 130社 |
出典:「年収の壁突破」総合対策促進奨励金 奨励金の申請について
ただし、申請は1事業主につき同一年度1回限りです。複数の回に重ねて申請することはできないため、書類が揃った時点の回に申請することになります。
令和7年度からの変更点|事前エントリー(抽選)を経ずに交付申請できる
令和7年度の特設ページは「令和7年度事前エントリー第1回~第10回に当選した事業者(申請者)専用ページです」と明記されており、事前エントリーを行い抽選に当選した事業主だけが交付申請できる仕組みでした(令和7年度申請企業専用ページ)。
これに対して令和8年度の公式サイトでは、募集回ごとに「交付申請受付期間」が示されており、事前エントリーや抽選の手続きは案内されていません。つまり令和8年度は、受付期間内に直接交付申請を行う方式です。
令和7年度に抽選で申請できなかった事業主にとっては、申請機会の見通しが立てやすくなった一方で、各回130社という受付枠の中で書類を揃える必要がある点は変わりません。
「年収の壁突破」総合対策促進奨励金の基本情報
| 項目 | 内容 |
| 正式名称 | 令和8年度「年収の壁突破」総合対策促進奨励金(企業における「年収の壁突破」総合対策促進事業) |
| 実施機関 | 公益財団法人東京しごと財団(東京都事業) |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象者 | 都内に本店登記または支店・営業所等の事業所がある中小企業事業主(個人事業主は事業所地が都内)。都内勤務の常時雇用労働者(雇用保険被保険者)を1名以上、6か月以上継続して雇用していること |
| コース | 社会保険加入促進コース/配偶者手当見直しコース |
| 奨励金額 | 1コース30万円、2コース申請で50万円(定額支給) |
| 現在の受付回 | 第4回(令和8年8月1日午前9時~8月31日午後5時/130社) |
| 年度全体の受付 | 令和8年5月18日~令和9年2月28日午後5時(全10回・各回130社) |
| 申請回数 | 1事業主につき同一年度1回限り |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ/GビズIDが必要)または郵送(締切日当日消印有効) |
| 取組期間 | 交付決定日から3か月以内 |
| 実績報告期限 | 交付決定日から4か月以内 |
| 問い合わせ先 | 「年収の壁突破」総合対策促進奨励金事務局(東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課内)TEL 03-5211-2315(平日9時~17時、正午~13時を除く) |
出典:「年収の壁突破」総合対策促進奨励金 募集要項/東京しごと財団 令和8年度事業ページ
自社が対象になるか確認する|12の交付要件とコース別要件
本奨励金の交付要件は、全コース共通の12項目と、コースごとの追加要件に分かれています。12項目は交付申請日から実績報告日までの全期間を通じて満たし続ける必要があり、途中で要件を満たさなくなったことが判明した時点で対象外になります。
全コース共通|交付申請日から実績報告日まで満たし続ける12要件
- 都内で事業を営んでいること(法人は都内に本店登記または支店・営業所等、個人事業主は事業所地が都内。都内で営業実態がなく都税が免除されている場合は対象外)
- 都内勤務の常時雇用労働者(雇用保険被保険者)を1名以上雇用し、そのうち1名は6か月以上継続して雇用していること
- 就業規則を作成し、交付申請日までに所轄労働基準監督署に届け出ていること(常時雇用労働者10人未満の事業者も必須)
- 東京都政策連携団体、事業協力団体、東京都が設立した法人でないこと
- 交付申請日の前日から起算して過去5年間に重大な法令違反等がないこと
- 過去5年間に国・都道府県・区市町村・東京しごと財団等の助成事業で、不正受給による不支給決定または支給決定の取消しを受けていないこと
- 労働関係法令を満たしていること(最低賃金以上の賃金、固定残業代の割増賃金、36協定と時間外労働の上限規制、年5日の年次有給休暇取得、ハラスメント防止措置など)
- 社会保険関係法令(健康保険法・厚生年金保険法・介護保険法)を遵守していること
- 法人都民税・法人事業税(個人事業主は個人都民税・個人事業税)の未納がないこと
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する風俗営業等を行っていないこと
- 暴力団員等に該当しないこと
- 過去に本奨励金の同一のコースを受給(受給予定を含む)していないこと
これらをすべて満たした場合でも、財団の理事長が適当でないと判断した場合は交付申請の対象とならないことがあると、募集要項に明記されています。要件の詳細は公式の募集要項ページを確認してください。
なお公式サイトには、「はい・いいえ」を選ぶだけで交付要件とコース別要件を確認できる取組ガイド(要件チェックツール)が用意されています。交付要件が全3問、コース別要件が全4問です。判断に迷う場合は事務局(03-5211-2315)に電話で確認することもできます。
社会保険加入促進コースの追加要件
社会保険加入促進コースは、就業規則に「新たに社会保険の対象とする非正規雇用者が負担する社会保険料に関する手当等」の規定がまだないことが前提です。すでに同種の手当がある場合や、この奨励金を受けるために手当制度を改廃した場合は対象になりません。
あわせて、交付申請日以降に新たに社会保険の加入対象となる可能性のある非正規雇用者がいることが必要です。これは、そうした非正規雇用者を現に雇用しているか、交付申請日以降から取組期間中(交付決定日から3か月以内)に雇い入れる予定があることを指します。雇い入れ予定で申請する場合は、採用日(入社日)が取組期間内であり、内定通知書等を交付している必要があります。
また募集要項の留意事項では、対象となる非正規雇用者は原則として取組期間終了日から6か月以内に社会保険に加入することとされています。交付申請日より前にすでに社会保険の加入要件を満たしていた人の遡及適用は含まれません。
配偶者手当見直しコースの追加要件
配偶者手当見直しコースは、逆に就業規則に「配偶者の収入要件がある配偶者手当」の規定がすでにあることが前提です。手当の名称は扶養手当や家族手当でも構いませんが、「配偶者の年収が103万円以下の場合に支給する」のように、支給にあたって収入に関する要件を設けている場合に限り対象になります。
さらに、交付申請日から過去5年以内に当該手当の支給実績があることが必要です。支給実績のある日付以降に就業規則から手当の記載を削除している場合や、この奨励金を受けるために手当制度を改廃している場合は対象外です。支給実績は交付申請時に賃金台帳の写しで確認されます。
取組として認められる見直しは、(ア)配偶者手当の収入要件を撤廃する、(イ)配偶者手当を廃止し他の手当に振り替える、(ウ)配偶者手当を廃止し基本給に繰り入れる、のいずれかです。配偶者手当の新設だけ、あるいは廃止だけを行う場合は対象となる見直しになりません。
申請しても対象外になる主な条件(公式に明記されているもの)
- 就業規則の改正を労使協定の締結より先に行った場合(手順相違は対象外と明記されています。労使協定の締結日と就業規則の改正日の前後関係が確認されます)
- 就業規則に押された労働基準監督署の受付印の日付が、交付申請日より後になっている場合
- 取組期間(交付決定日から3か月以内)内に取組が完了しなかった場合、または実績報告を交付決定日から4か月以内に提出しなかった場合
- 専門家による個別相談の1回目を、交付決定日から1か月以内に利用しなかった場合
- 配偶者手当の廃止のみを行い、収入要件の撤廃・他手当への振替・基本給への繰入れのいずれも行わない場合
- 社会保険加入促進コースで、対象とする非正規雇用者にすでに同様の手当がある場合
- 都税(法人都民税・法人事業税、個人事業主は個人都民税・個人事業税)に未納がある場合。申告延長や納税猶予の手続きを行っていても未納額があれば申請できません
- 過去に本奨励金の同一コースを受給している場合
これらはいずれも公式の募集要項に記載されている条件です。ここに挙げていない「採択されやすい/されにくい傾向」については、公式に公表されている情報がないため本記事では扱いません。
30万円と50万円のどちらを目指すか|2コース申請は交付申請時に決める
本奨励金は経費の実費精算ではなく定額支給です。実際にかかった費用にかかわらず、要件を満たせば1コース30万円が交付され、2コースに取り組んだ場合は合計50万円になります(30万円×2=60万円ではありません)。
ここで判断が必要になるのが、2コース申請にするかどうかです。交付申請後にコースを追加することはできません。2コースの取組を希望する場合は、必ず交付申請時に2コースで申請する必要があります。
2コースに取り組む場合でも、専門家による個別相談の利用は合計2回、社内研修の実施は1回で足り、2コースまとめて行うものとされています。事務手続きの負担が2倍になるわけではない点は、判断材料になります。
また、対象外になるのは「同一のコース」を過去に受給している場合です。たとえば配偶者手当見直しコースを過去に受給していても、社会保険加入促進コースは要件を満たせば申請できます。
申請書類でつまずかないために|納税証明書・印鑑証明書・就業規則
交付申請時に提出する書類
- 交付申請書(様式第1-1号)
- 事業所一覧(様式第1-2号)
- 就業規則見直し計画書(様式第1-3号)
- 誓約書(様式第2号)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書1名分(事業主通知用)の写し
- 雇用保険適用事業所設置届(事業主控)の写し
- 印鑑(登録)証明書(原本/発行日から3か月以内。電子申請の場合は不要)
- 納税証明書(原本/交付申請日時点で納期が確定した直近のもの)
- 会社概要がわかるもの(法人は履歴事項全部証明書等の原本で発行日から3か月以内、個人は開業廃業等届出書の写し)
- 交付申請日時点で直近の就業規則一式(別規程を含む/労働基準監督署の受付印が押されたもの)
- 賃金台帳の写し(配偶者手当見直しコースのみ)
- 内定通知書の写し(社会保険加入促進コースのみ)
様式と記入例は特設サイトの提出書類・資料ダウンロードページから入手できます。同ページには交付申請時用のセルフチェックリストも用意されています。
なお誓約書(様式第2号)は、電子申請の場合でも氏名欄に印鑑(登録)証明書と同じ代表者印の押印(または自署)が必要です。電子申請だからすべて印鑑不要、というわけではありません。
納税証明書は都税事務所(東京都)発行のもの|税務署では発行されない
提出書類のなかでも取り違えが起きやすいのが納税証明書です。法人の場合に必要なのは法人都民税と法人事業税の納税証明書で、いずれも都税事務所(東京都)が発行するものです。税務署(国)が発行する納税証明書では要件を満たしません。
個人事業主の場合は、個人都民税(居住地分)の納税証明書を居住している区市町村の役所で、個人事業税の納税証明書を都税事務所で取得します。代表者が都外在住の場合は、居住地分の代わりに事業所地(都内)の区市町村で発行を受けた納税証明書を提出します。納税証明書を提出できない場合は申請できません。
注意したいのが納付方法との関係です。募集要項には、クレジットカード利用納付の場合は納税済みの納税証明書が発行されるまで1か月程度かかるため、この間は本奨励金に申請することができないと明記されています。都税をクレジットカードで納付している場合は、この1か月を織り込んで申請回を選ぶ必要があります。
就業規則は交付申請日までに労働基準監督署へ届出済みであること
提出する就業規則には、労働基準監督署の届出済印(受付印)が押されている必要があります。そして受付印の日付が交付申請日より後のものは受け付けられません。
この要件は、常時雇用する労働者数が10人未満の事業者にも適用されます。労働基準法上は就業規則の作成・届出義務がない規模であっても、本奨励金では作成と届出が交付要件になっています。就業規則をまだ届け出ていない場合は、交付申請より前に労働基準監督署への届出を済ませておく必要があります。
なお、取組期間中に行う改正後の就業規則の届出とは別物です。交付申請時に必要なのは「改正前の、現に届出済みの就業規則」です。
実績報告時・奨励金請求時に提出する書類
実績報告(交付決定日から4か月以内)では、実績報告書(様式第8-1号)、事業所一覧(様式第8-2号)、就業規則見直し報告書(様式第8-3号)に加えて、労使協定の写し(記名押印または署名のあるもの)と改定後の就業規則の全文および関連する別規程一式を提出します。
その後、額の確定通知を受けてから奨励金請求書兼支払口座振替依頼書(様式第10号)と受取口座の通帳またはキャッシュカード等の写しを提出し、指定口座に振り込まれます。電子申請の場合は、Jグランツの所定フォームに入力すれば様式第10号の提出は不要です。
提出した書類はいかなる場合も返却されないため、郵送申請の場合は必ず手元に写しを保管してください。
電子申請(Jグランツ)と郵送申請の選び方
本奨励金は電子申請と郵送申請のどちらでも受け付けられていますが、必要書類と制約が一部異なります。どちらを選ぶかは、GビズIDを持っているか、社外の専門家に提出を代行してもらうか、で決まります。
電子申請|GビズIDが必要・印鑑証明書は不要・代理申請は不可
電子申請は補助金・助成金システム「Jグランツ」を使用します。Jグランツから申請するにはGビズIDの取得が必要で、公式サイトには「GビズIDの発行には時間がかかるため、余裕をもってご準備ください」と案内されています。取得に何日かかるかは公式に明示されていないため、申請準備の初期段階でGビズIDの手続きを始めておくのが安全です。
電子申請のメリットは、印鑑(登録)証明書の提出が不要になることです。一方で、電子申請では代理申請ができません。社会保険労務士等に提出まで任せたい場合は、この方式は選べません。また、交付申請日および実績報告日の時点でGビズIDアカウントの情報が最新であることを確認しておく必要があります。
郵送申請|締切日当日消印有効・追跡可能な方法・来所やFAXは不可
郵送申請は、書類一式を東京しごと財団(〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル11階)へ送付します。封筒の余白に「交付申請書類 在中」と記入し、奨励金名を明記します。
郵送特有の注意点は次のとおりです。締切日当日の消印は有効ですが、来所による提出は一切受け付けられません。FAXでの申請受付や追加書類の提出も受け付けられていません。配達状況が追跡可能な方法で送付する必要があり、料金不足の場合は受理されません。到着確認や審査進捗の問い合わせにも対応していません。
一方で、郵送の場合は委任状(様式第11号)を添付すれば社外の担当者による提出代行が可能です。ただし内容については原則として事業主の担当者(従業員)に直接確認が行われます。記載内容の軽微な修正は、印鑑証明書の印鑑による捨印で対応できます。
交付申請から口座振替依頼書の提出まで同じ方法で行う
公式サイトには「交付申請から、支払口座振替依頼書の提出までの全ての手続きを、交付申請提出時と同じ申請方法で行っていただきます」と記載されています。途中で電子申請から郵送に切り替えることはできません。
交付申請の撤回(様式第6号)、事業計画の中止(様式第7号)、申請事業主に係る事項の変更(様式第5号)といったその他の手続きも、交付申請時と同じ提出方法で行います。最初にどちらの方式を選ぶかは、実績報告や請求まで含めた判断になります。
交付決定日から逆算する4か月のスケジュール
この奨励金でつまずきやすいのは、申請そのものよりも交付決定後の期限管理です。起点になるのは申請日でも締切日でもなく、交付決定日です。交付決定日から1か月・3か月・4か月という3つの期限が同時に走ります。
| 期限 | やること |
| 交付決定日から1か月以内 | 専門家(社会保険労務士)による個別相談の1回目を利用する |
| 交付決定日から3か月以内(取組期間) | 労使協定の締結 → 就業規則の改正 → 労働基準監督署への届出 → 社内周知・社内研修 → 個別相談の2回目 |
| 交付決定日から4か月以内 | 実績報告書と労使協定の写し、改定後の就業規則を提出 |
| 額の確定通知後 | 奨励金請求書兼支払口座振替依頼書を提出 → 指定口座へ振込 |
出典:「年収の壁突破」総合対策促進奨励金 手続きの流れ/募集要項
交付決定日から1か月以内|専門家による個別相談の1回目
個別相談は取組期間中に合計2回(各回1時間)利用することが必須要件で、1回目は必ず交付決定日から1か月以内に利用しなければなりません。2コースに取り組む場合でも合計2回です。
東京しごと財団の事業ページによれば、個別相談はオンライン(Zoom)で実施され、2回目は交付決定から3か月以内に実施します。交付決定通知が届いてから相談枠を探すのでは1か月の期限に間に合わない可能性があるため、申請後の待ち時間に就業規則の改正案を準備しておくと相談の密度が上がります。
交付決定日から3か月以内|労使協定→就業規則改正→労基署届出の順番を守る
取組期間内に実施する内容は、コース共通で次の順番です。この順番が本奨励金でもっとも重要なルールで、就業規則の改正を労使協定の締結より先に行った場合は手順相違として対象外になります。労使協定の締結日と就業規則の改正日の日付が確認されます。
- 手当の新設内容(または配偶者手当の見直し内容)について、使用者と労働者代表との間で労使協定を締結する。協定書には締結日を必ず記載し、使用者と労働者代表の記名捺印または署名を行う
- 労使協定の締結後に就業規則を改正し、所轄の労働基準監督署に届け出る(常時雇用労働者10人未満の事業者も含む)
- 制度内容について社内周知と社内研修を行う(配偶者手当見直しコースでは、制度の適用対象者だけでなく全従業員に周知する)
- 個別相談の2回目を利用する
労働者代表の選び方にも要件があります。パート・アルバイトを含む労働者の過半数で組織される労働組合がある場合はその代表、労働組合がない場合は投票などで決められた労働者の過半数代表者です。部長や工場長などの管理監督者、会社の指名で選ばれた従業員は労働者代表になれません。複数の事業所がある場合は、事業所一覧に記載したすべての事業所で労使協定を締結する必要があります(管理機能がなく独立性のない小規模事業場を除く)。
社内研修に使う資料は、特設サイトの提出書類・資料ダウンロードページからPowerPoint形式でダウンロードできます。社会保険加入促進コースは「従業員51人以上または任意特定適用事業所向け」と「従業員51人未満向け」の2種類が用意されています。
交付決定日から4か月以内|実績報告を提出する
取組期間が終わってから実績報告の期限までは1か月しかありません。取組期間の3か月をぎりぎりまで使うと、改定後の就業規則の全文や労使協定の写しを揃える時間が足りなくなります。労働基準監督署への届出は取組期間の終盤ではなく、余裕をもって済ませておくほうが安全です。
実績報告の期限を過ぎた場合は受け付けられないと明記されています。提出書類のセルフチェックリスト(実績報告時)も公式サイトからダウンロードできます。
公式サイトで公開されている活用事例(企業インタビュー)
本奨励金については、交付決定を受けた事業者名の一覧などの採択結果は公表されていません。一方で、特設サイトのインタビューページでは、実際に申請し取組を実施した企業へのインタビューが公開されています。ここでは公表されている内容の範囲で紹介します。
配偶者手当見直しコース|東信化学工業株式会社(社員52名・パート4名)
FRP(強化プラスチック)製品の製造・販売を行う同社は、社会保険の扶養を条件としていた「家族手当」を廃止し、子どもの教育支援に特化した「子育て支援手当」を新設しました。支給額は小・中・高の成長段階に応じて設定し、対象は18歳までとしています。
公開されているインタビューによると、手当の振替にあたっては毎年11月の給与改定のタイミングに合わせて新制度を導入し、影響を調査したうえで必要に応じて基本給で調整し、手取りが減る従業員が出ないよう設計したとされています。個別相談では、1回目に手当の金額設定や対象範囲の仮案を提示して妥当性を確認し、2回目に他社事例や運用面の助言を受けたと述べられています。
社会保険加入促進コース|株式会社NISHISATO(社員21名・パート13名)
自動認識システムの提案・販売を行う同社は、社会保険加入促進手当を新設しました。インタビューでは、従業員間で不公平感が生まれないよう手当の上限金額を先に決め、支給対象者が広がりすぎないように支給条件を設定したうえで、就業規則に条文として明記したと説明されています。
また、1回1時間×2回という限られた相談時間を活かすため、事前に質問リストを作成して専門家と共有し、募集要項を読み込んだうえで臨んだと述べられています。個別相談を「取組の順序や提出期限を間違えずに申請できる」確認の場として使った例です。
いずれも公式サイトに掲載されているインタビューの内容です。これらの企業がどのような理由で交付決定を受けたか、審査でどこが評価されたかは公表されていないため、ここでは触れません。
申請前に確認しておきたい公式情報の入手先
金額・要件・締切は年度や募集回によって変わります。申請前には必ず以下の公式ページで最新の内容を確認してください。
- 令和8年度「年収の壁突破」総合対策促進奨励金 特設サイト(新着情報・受付状況)
- 募集要項(申請の手引き)・交付要綱・交付要領(12の交付要件とコース別の交付条件)
- 提出書類・資料ダウンロード(様式・記入例・セルフチェックリスト・研修資料)
- 手続きの流れ(交付申請から振込までの期限)
- 取組ガイド(要件チェックツール・取組内容の例)
- 東京しごと財団 令和8年度「年収の壁突破」総合対策促進奨励金(事業リーフレット・説明会情報)
- Jグランツ 公募詳細ページ(電子申請)
要件の判断に迷う場合は、「年収の壁突破」総合対策促進奨励金事務局(TEL 03-5211-2315/平日午前9時~午後5時、正午~午後1時・土日祝・年末年始を除く)へ問い合わせることができます。公式サイトにも「お電話でも事業者等の要件についてご案内できます」と案内されています。
まとめ
東京都「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、2026年8月8日時点で第4回(令和8年8月31日午後5時締切・130社)を受付中です。第5回以降も令和9年2月28日まで毎月受付が予定されていますが、申請は1事業主につき同一年度1回限りです。
申請前に確認すべきポイントは3つです。1つ目は、就業規則を交付申請日までに労働基準監督署へ届け出ているか(10人未満の事業者も必須)。2つ目は、都税の納税証明書を都税事務所で取得できる状態か(クレジットカード納付直後は1か月程度申請できません)。3つ目は、2コースで申請するかどうか(交付申請後の追加は不可)です。
交付決定後は、1か月以内に個別相談の1回目、3か月以内に労使協定の締結から社内研修までを順番どおりに完了、4か月以内に実績報告という3つの期限が同時に走ります。とくに「労使協定の締結 → 就業規則の改正 → 労働基準監督署への届出」の順番は、入れ替わると対象外になります。
金額・要件・締切は今後の募集回や年度で変わる可能性があります。申請にあたっては、必ず最新の募集要項(申請の手引き)を確認してください。
-1200-x-400-px-3.png)
