在宅で人工呼吸器を使用している難病患者さんにとって、停電は命に直結する重大なリスクです。
東京都では、こうした患者さんに非常用電源を無償で貸し出す医療機関に対して、その購入経費を補助する制度を設けています。
それが「在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業補助金」です。
補助率は10分の10で、対象経費の全額が補助される点が大きな特徴です。
自家発電装置は患者1人につき212,000円、無停電電源装置は41,100円、蓄電池は104,000円が上限として設定されています。
本記事では、この制度の対象者や対象経費、申請の流れ、注意点までを一次情報に基づいて整理してお伝えします。
都内で在宅難病患者の人工呼吸療法に携わる医療機関の方は、ぜひ最後までご確認ください。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金の基本情報
| 正式名称 | 在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業補助金 |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 実施機関 | 東京都保健医療局 保健政策部 疾病対策課 在宅難病事業担当 |
| 対象者 | 都内在住の在宅難病患者に人工呼吸療法を実施し、非常用電源を無償貸与する医療機関 |
| 対象業種 | 医療、福祉 |
| 対象経費 | 自家発電装置・無停電電源装置・蓄電池の購入経費 |
| その他要件 | 緊急時に保守管理事業者・訪問看護ステーション・居宅介護事業者等と連携し安全確保の指導等を行うこと |
| 対象外 | 区市町村の日常生活用具給付事業等により非常用電源を取得できる場合 |
| 申請期間 | Jグランツ上の受付終了日時は2026年12月28日23時59分 |
| 上限金額 | 患者1人につき 自家発電装置212,000円/無停電電源装置41,100円/蓄電池104,000円 |
| 補助率 | 10/10 |
| 問い合わせ先 | 東京都保健医療局 保健政策部 疾病対策課 在宅難病事業担当(03-5320-4477) |
補助金・助成金の正式名称
本制度の正式名称は「在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業補助金」です。
名称がやや長いため、現場では「在宅人工呼吸器の非常用電源補助」と略して呼ばれることもあります。
交付申請の際は「在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業補助金交付要綱」が根拠となります。
書類上は必ず正式名称を用いるようにしてください。
対象都道府県・市区町村
本制度の対象地域は東京都内です。
補助の可否を分けるのは医療機関の所在地ではなく、非常用電源を貸与する患者が都内に居住しているかどうかです。
23区・多摩地域・島しょ地域のいずれに居住する患者であっても、都内在住であれば対象となります。
個別の判断に迷う場合は、事前に疾病対策課へご相談ください。
実施機関
実施機関は東京都保健医療局 保健政策部 疾病対策課 在宅難病事業担当です。
難病患者の在宅療養支援を所管する部署が、この補助金の交付事務を直接担当しています。
問い合わせ窓口の電話番号は03-5320-4477です。
申請の可否や書類の書き方に不明点がある場合は、まずこの窓口に確認するのが確実です。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
補助対象者は、都内に居住する在宅難病患者に対して人工呼吸療法を実施する医療機関です。
ただし、睡眠時無呼吸症候群の患者への指導管理はこの人工呼吸療法には含まれません。
補助を受けられるのは患者本人ではなく、患者へ非常用電源を無償貸与する医療機関である点に注意が必要です。
医療機関が購入した設備を患者へ貸し出すという仕組みを前提とした制度設計になっています。
対象業種
Jグランツ上で指定されている対象業種は「医療、福祉」のみです。
制度の性質上、実際に申請できるのは在宅人工呼吸療法を行う病院・診療所に限られます。
医療・福祉分野以外の事業者は対象外であり、他業種からの申請は想定されていません。
従業員数による制約は設けられていないため、小規模な診療所でも申請可能です。
対象経費
対象経費は、患者へ無償貸与する非常用電源設備の購入経費です。
具体的には自家発電装置、無停電電源装置、蓄電池の3種類が対象となります。
自家発電装置と蓄電池はどちらか一方を選んで申請する必要があり、両方を同時に申請することはできません。
無停電電源装置は、自家発電装置または蓄電池と組み合わせて申請することが想定されています。
その他要件
補助を受けるには、人工呼吸療法の実施に加えてもう一つの要件を満たす必要があります。
緊急時において人工呼吸器の保守管理事業者、訪問看護ステーション、居宅介護事業者等と連携し、在宅難病患者の安全確保のための指導等を行う医療機関であることが求められます。
また対象となる患者は、指定難病または東京都難病医療費助成対象疾病に罹患し、原則として常時人工呼吸器を使用している方です。
原則は毎年度4月1日以降に在宅療養を開始した方が対象ですが、これまで本事業を利用したことがない方も申請できます。
補助対象外となるもの
区市町村が実施している日常生活用具給付事業等を利用することで非常用電源を取得できる場合は、本補助金の対象外となります。
申請前に、患者が居住する区市町村の給付制度が利用できないかを必ず確認してください。
制度の重複利用を避けるための規定であり、確認を怠ると申請後に対象外と判断される可能性があります。
なお、耐用年数を経過した設備の買い替えについては担当窓口への相談が必要です。
申請期間
Jグランツ上に掲載されている受付終了日時は2026年12月28日23時59分です。
年度単位で運用される事業のため、実際の申請受付期間は年度ごとの募集要項で必ず確認してください。
募集要項と交付要綱はJグランツの詳細ページからPDFでダウンロードできます。
実績報告の期限も別途定められているため、あわせて確認しておくと安心です。
上限金額・助成額
補助上限額は、人工呼吸療法を実施する在宅難病患者1人あたりで設定されています。
自家発電装置は212,000円、無停電電源装置は41,100円、蓄電池は104,000円が上限です。
Jグランツの「補助上限額」欄は「-」と表示されていますが、これは患者1人単位で単価が定められているためであり、上限が無いという意味ではありません。
複数の患者に貸与する場合は、患者数に応じた金額を積み上げて申請することになります。
補助率
補助率は10分の10です。
上限額の範囲内であれば自己負担なしで設備を整備できるため、医療機関にとって非常に導入しやすい制度といえます。
ただし上限額を超える部分は医療機関の負担となります。
機種選定の段階で、上限額に収まる製品かどうかを確認しておきましょう。
問い合わせ先
問い合わせ先は東京都保健医療局 保健政策部 疾病対策課 在宅難病事業担当です。
電話番号は03-5320-4477で、平日の開庁時間内に対応しています。
対象患者の該当性や前年度以前に在宅療養を開始した方の取扱いなど、判断に迷う論点は事前相談で解消しておくことをおすすめします。
よくある質問をまとめた資料もJグランツ上で配布されています。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の概要や添付書類はJグランツの公募詳細ページで確認できます。
あわせて、東京都が運営する難病ポータルの非常用電源に関する公式ページも必ず確認してください。
確認すべきポイントは、募集要項の対象患者要件、交付申請様式の記載例、そして実績報告の提出期限の3点です。
様式は改正されることがあるため、必ず最新版をダウンロードして使用しましょう。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)
最大のメリットは、患者の生命を守る備えを医療機関の持ち出しなしで整えられることです。
補助率が10分の10であるため、上限額の範囲内であれば実質的な負担ゼロで非常用電源を確保できます。
在宅人工呼吸器は停電時に稼働が止まると直ちに生命の危険につながるため、備えの有無が患者と家族の安心感を大きく左右します。
また、非常用電源を貸与できる体制を整えることは、地域の在宅医療を支える医療機関としての信頼にもつながります。
災害時の対応方針を院内で整理するきっかけとしても有効です。
申請はJグランツからの電子申請に対応しており、代理申請も可能なため、事務負担を抑えて手続きを進められます。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 都内在住の在宅難病患者に人工呼吸療法を実施している医療機関
- 患者へ非常用電源を無償で貸与する体制を整えたい医療機関
- 緊急時に訪問看護ステーションや居宅介護事業者等と連携できる体制がある医療機関
- 今年度から新たに在宅療養を開始した患者を受け持っている医療機関
- 耐用年数を迎えた貸与設備の更新を検討している医療機関
見送ったほうが良い人の特徴
- 対象患者が都外に居住している場合
- 睡眠時無呼吸症候群の指導管理のみを行っている場合
- 区市町村の日常生活用具給付事業等で非常用電源を取得できる場合
- 非常用電源を患者へ無償貸与する予定がない場合
- 緊急時の連携体制を構築できていない場合
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
既存事業とは異なる市場や製品分野へ踏み出す取り組みを後押しする枠組みです。
医療法人が介護分野や予防医療分野へ事業領域を広げる際にも検討する余地があります。
事業計画には新分野での売上見込みと実現手段を具体的に落とし込む必要があります。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
革新的な製品やサービスを生み出すための設備投資を支える制度です。
医療機器の開発や新しい検査サービスの立ち上げを狙う事業者に向いています。
技術面の新規性をどこまで説明できるかが評価を左右します。
中小企業省力化投資補助金
人手不足の解消につながる機器やシステムの導入費用を補助する制度です。
医療・介護の現場でも、記録業務や搬送業務の省力化に活用できる余地があります。
カタログ掲載製品から選ぶ方式であれば、手続きの負担も比較的軽くなります。
小規模事業者持続化補助金
小規模な事業者が販路を広げたり業務を効率化したりする取り組みを支援します。
補助額は他制度より控えめですが、対象経費の幅が広く使い勝手のよい制度です。
申請には商工会・商工会議所の確認書が必要になるため、早めの相談が欠かせません。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
主な提出書類は交付申請書、事業計画に関する様式、対象患者に関する書類、そして設備の見積書です。
交付申請様式はExcel形式で用意されており、Jグランツの詳細ページからダウンロードできます。
様式は改正されることがあるため、申請直前に必ず最新版を取得してください。
事業完了後には実績報告様式の提出も必要になります。
記載例はどこで確認できるか
交付申請と実績報告のそれぞれについて、記入例のPDFが公式に配布されています。
これらはJグランツの詳細ページの申請様式欄からダウンロードできます。
制度全体の考え方については、東京都の公式サイトにも案内が掲載されています。
よくある質問をまとめた資料も配布されているため、記入前に目を通しておくと迷いが減ります。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
この制度では一般的な事業計画書というより、地域における必要性の説明が中心になります。
自院が担当している在宅人工呼吸器使用患者の人数や地域分布を数字で示すと、必要性が伝わりやすくなります。
今後の受け入れ見込みまで触れておくと、単年度で終わらない取り組みであることが示せます。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
自院が地域の在宅医療でどのような役割を担っているかを言語化しましょう。
24時間の連絡体制や、訪問看護ステーションとの日常的な情報共有の仕組みは、実効性を裏づける有力な材料になります。
抽象的な表現ではなく、実際の運用実績に基づいて書くことが大切です。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ非常用電源の貸与が必要なのかを、患者の状態に即して説明します。
常時人工呼吸器を使用している患者にとって停電が直接的な生命リスクとなることを、具体的な想定シナリオとともに記載してください。
区市町村の給付制度で代替できない理由も添えておくと、審査側の確認がスムーズになります。
実行体制を明記する
設備の購入から患者への貸与、その後の管理までを誰が担うのかを整理します。
貸与記録の管理方法や、緊急時の連絡フローを明文化しておくと、実績報告の段階でも役立ちます。
院内の担当者と外部連携先を一覧にまとめておくと、体制の全体像が伝わりやすくなります。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金の申請手順
- 募集要項と交付要綱をダウンロードし、対象患者と対象経費の要件を確認する
- 貸与予定の患者を特定し、区市町村の給付制度で代替できないかを確認する
- 導入する非常用電源の機種を選定し、見積書を取得する
- 交付申請様式に必要事項を記入し、添付書類を揃える
- Jグランツから電子申請を行う(代理申請も可能)
- 交付決定通知を受けてから設備を購入する
- 患者へ非常用電源を無償で貸与し、貸与記録を残す
- 事業完了後、実績報告様式を提出して補助金の交付を受ける
在宅人工呼吸器非常用電源補助金を自社で申請する際の注意点
交付決定前に設備を購入してしまうと補助の対象外となるおそれがあるため、購入のタイミングには細心の注意を払ってください。
自家発電装置と蓄電池はいずれか一方しか選べないため、患者の生活環境や設置スペースを踏まえて事前に方針を固めておく必要があります。
区市町村の日常生活用具給付事業等が利用できる場合は対象外となるため、患者ごとに居住自治体の制度を必ず確認しましょう。
また、貸与した設備は医療機関の資産として管理する必要があり、貸与先や貸与期間の記録を残しておかないと実績報告で困ることになります。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
医療機関が使える公的支援は都・区市町村・国とで階層が分かれており、全体像を把握するだけでも手間がかかります。
制度に詳しい専門家に相談すれば、重複を避けつつ最も有利な制度を選び分けられます。
結果として、対象外と判断されて申請が無駄になるリスクを減らせます。
事業計画の質が上がる
審査側が何を確認したいのかを踏まえた書き方は、経験の差が出やすい部分です。
必要性の根拠づけや体制の説明を第三者の視点で整理してもらうことで、伝わりやすい書類に仕上がります。
日常業務の合間に書類を作る負担そのものを軽くできる点も見逃せません。
採択後の実務まで見据えられる
補助金は交付決定を受けて終わりではなく、実績報告まで完了して初めて入金されます。
証拠書類の残し方や報告様式の作り方まで見通して助言を受けられれば、事後の手戻りを防げます。
継続的に制度を活用していきたい医療機関ほど、初回に体制を整えておく価値があります。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金を不正受給するとどうなるのか
- 交付決定の取消しと返還請求が行われる
- 調査への協力と自主的な申し出が求められる
交付決定の取消しと返還請求が行われる
虚偽の申請や補助金の目的外使用が判明した場合、交付決定は取り消されます。
すでに受け取った補助金は加算金を含めて返還を求められ、内容によっては機関名が公表されることもあります。
悪質と判断されれば、東京都の他の補助事業への申請が制限される可能性もあります。
在宅医療を支える立場として、社会的な信用を損なう影響は決して小さくありません。
調査への協力と自主的な申し出が求められる
東京都は必要に応じて書類の確認や実地の調査を行うことがあります。
誤りに気づいた時点で疾病対策課へ自主的に申し出れば、事態が深刻化する前に修正できるケースが多くあります。
貸与記録や領収書などの証拠書類は、要綱で定められた期間きちんと保管しておきましょう。
意図的でない記載ミスであっても、放置すれば不正とみなされるおそれがあります。
在宅人工呼吸器非常用電源補助金のまとめ
在宅人工呼吸器使用難病患者非常用電源設備整備事業補助金は、都内在住の在宅難病患者へ非常用電源を無償貸与する医療機関を対象とした東京都の補助制度です。
補助率は10分の10で、患者1人につき自家発電装置212,000円、無停電電源装置41,100円、蓄電池104,000円が上限として設定されています。
Jグランツ上の受付終了日時は2026年12月28日23時59分となっています。
申請にあたっては、対象患者の要件、区市町村の給付制度との重複、そして交付決定前の購入を避けることの3点を特に意識してください。
詳細な要件や様式はJグランツの公募詳細ページと東京都の難病ポータル公式ページで必ず最新情報をご確認ください。
停電への備えは、患者と家族が安心して在宅療養を続けるための土台となります。
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