太陽光や風力でつくった電気を水素に変えて貯めておけば、天候に左右されずに使いたいときへ回せます。
この考え方を防災拠点や工場に持ち込む取組を、環境省が費用面から後押ししています。
窓口となるのは公益財団法人北海道環境財団で、令和8年度の公募が現在進んでいます。
公募期間は令和8年6月22日(月曜日)から令和8年10月30日(金曜日)18時までで、補助上限額は3億円です。
補助率は中小企業と指定都市以外の市町村が3分の2、それ以外の民間企業や都道府県が2分の1という二段構えになっています。
この記事では、Jグランツの公募情報と北海道環境財団が公開している公募要領をもとに、対象事業や経費、申請の進め方を順に整理します。
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の基本情報
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の申請に必要なもの
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の申請手順
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を自社で申請する際の注意点
- 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を不正受給するとどうなるのか
- 再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業のまとめ
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の基本情報
| 正式名称 | 【令和8年度】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再エネ等由来水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築等事業) |
| 制度名 | 再エネ等由来水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築等事業(親事業は地域における再エネ等由来水素利活用促進事業) |
| 対象地域 | 全国(設備を日本国内に導入する事業が対象) |
| 実施機関 | 公益財団法人北海道環境財団 補助事業部(環境省の補助事業執行団体) |
| 対象者 | 民間企業(リース・レンタル事業者を含む)、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人、一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人、法律により直接設立された法人 等 |
| 対象業種 | 建設業/製造業/電気・ガス・熱供給・水道業/情報通信業/複合サービス事業/サービス業(他に分類されないもの)/運輸業、郵便業/卸売業、小売業/金融業、保険業(従業員数の制約なし) |
| 事業メニュー | A 水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築事業(略称:自立)/B 水素利活用機器導入促進及び社会実装支援事業(略称:機器支援) |
| 対象経費 | 工事費、設備費、業務費、事務費。設備は蓄電池、水電解装置、給水タンク、水素貯蔵タンク、水素利用機器(燃料電池・水素ボイラー等)、貯湯タンク、エネルギーマネジメントシステム、熱配管 等 |
| 上限金額 | 3億円(自立・機器支援ともに同額。予算により制限される場合あり) |
| 補助率 | 指定都市以外の市町村および中小企業は3分の2、都道府県・指定都市・特別区、中小企業以外の民間企業、その他の者は2分の1 |
| 公募期間 | 令和8年6月22日(月曜日)~令和8年10月30日(金曜日)18時必着 ※Jグランツ上の受付終了日時は2026年10月30日18時00分 |
| 補助事業期間 | 交付決定の日から令和9年2月26日(金曜日)まで。原則単年度、条件を満たせば2年度以内 |
| 申請方法 | 電子申請システムjGrantsまたは電子メール(suiso_oubo@heco-hojo.jp)。Jグランツからの申請にはGビズIDプライムが必要(代理申請は不可) |
| 問い合わせ先 | 公益財団法人北海道環境財団 補助事業部(E-mail:suiso_ask@heco-hojo.jp、TEL:011-206-1573/9時30分~18時) |
補助金・助成金の正式名称
Jグランツに掲載されている公募名は「【令和8年度】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(再エネ等由来水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築等事業)」です。
制度名としては括弧内の「再エネ等由来水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築等事業」が用いられています。
環境省側の事業区分では「地域における再エネ等由来水素利活用促進事業」の一メニューという位置づけです。
名称の末尾が「構築等事業」と「等」で結ばれているのは、AとBという性格の異なる二つの事業がひとつの公募にまとめられているためです。
Aは防災拠点などにエネルギーシステム一式を構築する「自立」、Bは水素の製造・貯蔵・利用にかかわる機器を導入する「機器支援」と呼ばれます。
公募要領は共通の一冊にまとまっていますが、応募様式とチェックリストはメニューごとに分かれて配布されています。
対象都道府県・市区町村
対象地域は全国で、都道府県や市区町村による絞り込みはありません。
窓口が公益財団法人北海道環境財団であるため北海道限定の制度と受け取られることがありますが、そのような制限は設けられていません。
公募要領が求めているのは「日本国内で導入する計画が確実な事業」であることで、設備の設置場所が国内であれば全国どこからでも応募できます。
ただしBの機器支援には、設置場所と同一の都道府県または隣接する場所の再エネ等でつくった水素を使うという地域性の要件があります。
水素の調達先と設備の設置場所の位置関係は、計画づくりの初期に確かめておきたい点です。
実施機関
実施機関は公益財団法人北海道環境財団の補助事業部です。
同財団は環境省から二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域における再エネ等由来水素利活用促進事業)の交付決定を受け、間接補助事業としてこの公募を実施しています。
財源は環境省の国庫補助金であり、財団は公募・審査・交付決定・支払いまでの実務を担う執行団体という立場です。
審査は財団の内部だけで完結するのではなく、外部有識者で構成する審査委員会が承認した審査基準に基づいて行われます。
交付規程は令和8年6月15日制定の北環財第50号として整備され、採択後の手続はこの規程に沿って進みます。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
応募できるのは、民間企業(リース・レンタル事業者を含む)、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人です。
加えて一般社団法人・一般財団法人および公益社団法人・公益財団法人、法律により直接設立された法人も対象に含まれます。
これら以外でも、環境大臣の承認を得て財団が認めた者であれば応募が可能です。
列挙されているのはいずれも法人・団体であり、個人事業主や個人が単独で応募できる制度ではありません。
2者以上で実施する場合は共同申請となり、参画するすべての事業者がこの対象者の区分に当てはまる必要があります。
ファイナンスリースを使うときは、リース事業者を代表事業者、設備を使う事業者を共同事業者として申請する形になります。
対象業種
Jグランツの公募情報では、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業の9区分が登録されています。
農業・林業や医療・福祉といった区分は登録されていないため、全業種が横並びで対象という制度ではありません。
水素ボイラーや産業用燃料電池を熱源として使う製造業と、防災拠点となる施設を持つ電気・ガス・熱供給・水道業が、実務上の中心的な応募者になります。
リースやレンタルで設備を提供する事業者は金融業・保険業の枠から共同申請に加わる形が想定されます。
従業員数の上限は設けられていないため、規模による足切りはありません。
対象経費
補助対象経費は、工事費、設備費、業務費、事務費の四つの区分に整理されています。
工事費には材料費や労務費といった直接工事費のほか、共通仮設費や現場管理費などの間接工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及試験費が含まれます。
Aの自立で導入できる設備は、蓄電池、水電解装置、給水タンク、水素貯蔵タンク、水素利用機器、貯湯タンク、エネルギーマネジメントシステム、熱配管などです。
Bの機器支援では、水電解装置、給水タンク、水素貯蔵タンク、水素充填ユニット、水素を供給・輸送する装置、産業用燃料電池、水素ボイラーや水素発電機などが対象になります。
事務費には上限率が定められており、工事費・設備費・業務費の合計のうち5,000万円以下の部分は6.5%、5,000万円超1億円以下の部分は5.5%、1億円超の部分は4.5%を乗じた額の範囲内とされています。
既設設備の増設や改造も対象になりますが、中古品の設備導入は認められません。
その他要件
基本的要件として、事業を行う実績と能力があり、実施体制が整い、利害関係者との調整が済んでいることが求められます。
事業内容や事業効果、経費明細、資金計画が明確な根拠に基づいて示されていることも条件です。
Aの自立では、補助事業を実施する施設が地域防災計画または協定等により防災拠点等として位置付けられていることが要件になります。
また、補助対象設備から出力される電力や熱は自家消費するものとされ、一般送配電事業者の送電線・配電線への電力供給は認められません。
IP通信機能を持つ機器については、原則として情報処理推進機構のJC-STARで★1以上の適合ラベルを取得した製品であることが補助の条件になります。
応募申請では二酸化炭素排出削減量について算出過程を含む根拠の提示が必要で、事業完了後の一定期間は削減実績の報告も続きます。
補助対象外となるもの
Aの自立では、システムの外から購入するなどして入手した水素を使う場合、システム全体が補助対象外となります。
太陽光発電や風力発電などの再エネ設備と蓄電池は、水電解装置への専用給電が目的の場合にかぎって対象になります。
Bの機器支援では、水素の運搬に使うトレーラー等の自動車本体が対象から外れます。
供給する水素の利用先が燃料電池自動車など車両のみという計画は、そもそも応募することができません。
水素と既存燃料を混ぜて燃やす混焼設備については、一般的な既存燃料の設備との差額分だけが補助対象経費として扱われます。
他の法令や国の予算に基づく補助金等の交付を受けて行う事業も、この補助金の交付対象にはなりません。
申請期間
公募期間は令和8年6月22日(月曜日)から令和8年10月30日(金曜日)18時までで、締切は必着です。
Jグランツ上の受付終了日時も2026年10月30日18時00分と登録されており、両者は一致しています。
審査は原則として月単位で応募案件を取りまとめて行われるため、締切ぎりぎりを待たずに早い月の締めに間に合わせるほど採択の機会が増えます。
補助金予算の上限額に達することが判明した場合は、公募期間の途中でも受付が終了することがあります。
同一の公募期間中、つまり毎月の締めごとに応募できるのは1事業者1事業につき1件までです。
令和8年度の補助事業期間は交付決定の日から令和9年2月26日(金曜日)までとされており、事業完了までの日数も逆算しておく必要があります。
上限金額・助成額
補助上限額はAの自立とBの機器支援のいずれも3億円です。
補助額は原則として補助対象経費に補助率を乗じた金額で、1,000円未満は切り捨てて算定されます。
公募要領には上限額に続けて「予算により制限される場合があります」と明記されているため、3億円が必ず確保されるわけではない点に留意が必要です。
補助下限額は設定されていないため、水電解装置のみといった単独の設備導入でも応募すること自体は可能です。
2年度にわたる事業とする場合でも、補助金の交付は年度ごとに行われ、初年度に支払いが発生しない計画は認められません。
補助率
補助率は補助事業者の区分によって3分の2と2分の1に分かれています。
3分の2が適用されるのは、地方自治法第252条の19第1項の指定都市以外の市町村と、中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業です。
2分の1が適用されるのは、都道府県、指定都市、特別区、中小企業以外の民間企業、そしてこれら以外の者になります。
補助率の異なる事業者が共同で申請した場合は、低いほうの補助率が全体に適用されるという扱いになります。
この規定があるため、中小企業が大企業やリース事業者と組む際には、補助額がどう変わるかを事前に試算しておくことが欠かせません。
補助率はAの自立とBの機器支援で共通の設計になっています。
問い合わせ先
問い合わせ先は公益財団法人北海道環境財団の補助事業部です。
照会用のメールアドレスはsuiso_ask@heco-hojo.jpで、電話番号は011-206-1573、受付時間は9時30分から18時までとなっています。
問い合わせ用のアドレスと応募書類の提出用アドレス(suiso_oubo@heco-hojo.jp)は別に設けられているため、送り先の取り違えに注意してください。
問い合わせは原則として電子メールで行うこととされています。
メールの件名には、法人名と応募予定の事業名を記入するよう求められています。
事業全般や自立・機器支援それぞれのQ&Aが公募情報のページでPDFとして公開されているため、先に目を通すと照会の手間を減らせます。
公式公募ページと確認すべきこと
補助上限額や補助率、対象業種といった概要はJグランツの公募詳細ページにまとめられています。
公募要領、交付規程、実施要領、応募様式一式は北海道環境財団の公募情報ページから入手できます。
最初に確かめたいのは自社の計画がAの自立とBの機器支援のどちらに当たるかという点で、ここで応募様式もチェックリストも分かれます。
応募書類のうち様式1から様式3および添付1-12-1のハード対策事業計算ファイルは、必ず財団のページからダウンロードしたものを使う決まりです。
説明会の開催情報や過去の採択者情報も同じサイト内で公開されているため、あわせて確認しておくと計画の方向性を定めやすくなります。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
水電解装置や産業用燃料電池は導入実績がまだ限られており、価格が量産効果で下がりきっていない設備です。
そのため自己資金だけで導入しようとすると、投資回収の見通しが立たずに検討が止まってしまうことが起こりがちです。
この補助金は、その初期投資の2分の1から3分の2を国庫補助で賄えるようにする仕組みになっています。
中小企業であれば補助率が3分の2に上がり、上限額も3億円と大きいため、システム一式をまとめて構築する計画にも対応できます。
Aの自立を使えば、平時は再エネの貯蔵手段として働き、停電時には防災拠点へ電気と熱を供給する設備を同時に手に入れられます。
Bの機器支援では、水電解装置のみといった単独の機器でも要件を満たせば対象になるため、段階的な導入がしやすい設計です。
補助金は法人税法第42条の国庫補助金等に該当し、固定資産の取得に充てた部分は圧縮記帳の適用を受けられる点も実務上の利点になります。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 自治体の地域防災計画や協定で防災拠点に位置付けられた施設を保有し、非常時のエネルギー確保を検討している事業者・地方公共団体
- 敷地内の太陽光や風力の電気を水素に変えて貯め、電気と熱として自家消費する仕組みを構築したい事業者
- 工場のボイラーやバーナーを水素専焼・混焼へ切り替え、燃料由来のCO2を減らしたい製造業
- 水電解装置や水素貯蔵タンクを導入し、地域の水素サプライチェーンに加わろうとしている事業者
- 中小企業基本法上の中小企業や指定都市以外の市町村で、3分の2の補助率を活かせる立場にある応募者
- 二酸化炭素排出削減量を算定過程まで含めて説明できる技術的な裏付けを持っている事業者
- 令和9年2月26日までに設備の導入と支払いを完了できる工程を組める事業者
見送ったほうが良い人の特徴
- 個人事業主や個人として応募しようとしている方(対象は法人・団体に限られます)
- 外部から購入した水素を使う計画で、システム内での水素製造を予定していない事業者(Aの自立では全体が対象外になります)
- 導入する水素の利用先が燃料電池自動車などの車両のみという計画の事業者
- 発電した電力を系統へ売電することを前提にしている事業者(自家消費が原則です)
- 農業・林業や医療・福祉など、Jグランツに登録された9業種に該当しない事業者
- 同一の経費について国の他の補助金の交付をすでに受けている、または受ける予定の事業者
- 交付決定を待たずに設備を発注する予定で、事業開始時期を調整できない事業者
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
これまで手がけてこなかった分野へ事業の軸足を移す企業に向けて用意された、比較的規模の大きい支援です。
たとえば化学プラントの技術を持つ企業が水素の製造・供給事業へ乗り出すような場面が該当します。
応募にあたっては付加価値額や給与支給総額の伸び率を目標として掲げる必要があり、達成できなければ補助金の返還を求められることがあります。
要件は公募回ごとに見直されるため、検討を始めた時点で最新の公募要領を取り寄せることをおすすめします。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
新しい製品やサービスを世に出すための機械装置やシステム構築費を支える、実績の長い制度です。
今回の補助金が自社で使うエネルギー設備を対象とするのに対し、こちらは外へ売り出す製品づくりの側を支援します。
交付決定より前に発注した経費は対象外になるため、見積りを集める時期と正式発注の時期を分けて記録に残しておくことが大切です。
補助率と上限額は、企業の規模や賃上げへの取組状況によって変わる設計になっています。
中小企業省力化投資補助金
人手が足りない現場へ、作業を肩代わりする機器やソフトウェアを導入するための制度です。
プラント設備の遠隔監視や点検記録の自動化など、エネルギー設備を運用する現場とも接点があります。
登録された製品から選ぶカタログ型は計画書づくりの負担が軽い一方で、導入後は労働生産性の向上を継続して報告する義務が伴います。
導入前の作業時間や人員配置を記録に残しておけば、その後の報告がそのまま組み立てられます。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が販路開拓や業務効率化に取り組むとき、最初の選択肢になることの多い制度です。
水素関連設備の施工やメンテナンスを担う小規模な事業者であれば、営業資料の制作や受注管理の整備に使えます。
申請には商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が必要になるため、発行までの日数を逆算して動くことが締切対策の鍵になります。
補助額は控えめですが、手続きの重さと支援の規模のつり合いが取れた制度といえます。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
- 【様式1】応募申請書/北海道環境財団の公募情報ページからExcelでダウンロード(共同申請の場合は共同事業者も提出)
- 【別紙1】暴力団排除に関する誓約事項/公募要領の別紙。地方公共団体は提出不要
- 【様式2】実施計画書、【様式3】経費内訳/自立と機器支援で様式が異なるため応募メニューに合わせて取得
- 事業概要書/PDFまたはPowerPointで作成
- 設計図書、導入設備システム図、システム仕様書、EMS仕様書などの添付資料/設備メーカーや設計事業者から取得
- ハード対策事業計算ファイル(F.省エネ設備用)/環境省地球環境局が公開する令和8年3月改訂版を財団ページから取得
- 設備のサイバーセキュリティ対応に関する確認書/財団ページからExcelでダウンロード
- 見積書または積算書、見積内訳書/原則として3者以上の見積合わせを想定して施工業者等から取得
- 登記事項証明(3か月以内発行の履歴事項証明書の写し)、定款、経理状況説明書(直近2か年分)等の申請者情報
- 応募申請書 提出書類チェックリスト/自立・機器支援それぞれのExcelを財団ページから取得
- GビズIDプライム/Jグランツから電子申請する場合に必要(発行までおおむね2週間程度)
記載例はどこで確認できるか
記入方法の考え方は公募要領のPDFにまとめられており、応募書類の一覧表と対応させながら読み進める構成になっています。
応募様式のExcelには欄外に説明が書き込まれているため、各項目の意図はそこで確認できます。
様式1から様式3およびハード対策事業計算ファイルは、必ず財団のホームページからダウンロードしたものを使うよう公募要領で指定されています。
ファイル名は「03【様式2】実施計画書」のように書類番号と様式名を組み合わせて付けるルールが示されています。
判断に迷う論点は、事業全般・共通・自立・機器支援の4種類のQ&AがPDFで公開されているので、そちらを先に確認すると解決が早まります。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
この制度でいう市場性は、売上の見込みよりも「同じ仕組みが他の場所へ広がるか」という観点で評価されます。
審査項目にモデル性・実証性が明記されているため、自社の条件が特殊すぎて再現できない計画は評価を得にくくなります。
施設の年間エネルギー使用量、水素の製造見込み量、削減できるCO2排出量を数値で並べ、同規模の施設が国内にどれだけあるかを添えると説得力が増します。
Bの機器支援では、水素の調達先から利用機器までのサプライチェーン全体の合理性が問われる点も意識しておきたいところです。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
審査項目には導入技術の特徴・優位性が挙げられており、災害時の自立性やピークシフト効果が具体的に例示されています。
つまり、既製品を並べただけの構成ではなく、自社の立地や負荷特性に合わせた設計であることを示す必要があります。
燃料電池からの電力が蓄電池より優先して使われるようEMSで制御するという要件をどう実装したかは、技術力の差が最も表れる部分です。
副生水素を暫定的に使う計画であれば、将来どの時点で再エネ由来へ移行するかの道筋まで書き込むと違いが際立ちます。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
補助を求める理由は、水素関連設備の価格が普及初期ゆえに高く、自己資金だけでは導入判断に至らないという点に尽きます。
補助がない場合と受けた場合の投資回収年数を並べて示せば、必要性を数字で語ることができます。
審査項目にカーボンニュートラルに向けた取組が含まれているため、2050年の目標に対する自社の削減計画とこの事業の位置づけを結びつけて説明することが効果的です。
Aの自立では、災害時に地域のエネルギー供給拠点として機能するという公益性の説明が、必要性を裏づける材料になります。
実行体制を明記する
審査項目には事業の実施体制と、施設・設備の維持管理体制の両方が並んでいます。
水素設備は高圧ガス関係の法令が関わるため、必要な資格を持つ担当者を体制図のどこに置くかまで示すと説得力が出ます。
共同申請では代表事業者が全体の責を負う建て付けになっているため、誰がどの設備を取得し、誰が運転と保守を担うのかを曖昧にしないことが重要です。
2年度にわたる計画なら、年度ごとの工程表と担当を分けて記載しておくと審査側にも実現性が伝わります。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業の申請手順
- 自社の計画がAの自立とBの機器支援のどちらに当たるかを切り分けます。
- 北海道環境財団の公募情報ページから、公募要領・交付規程・実施要領のPDFをダウンロードして読み込みます。
- 自社が補助事業者の区分(民間企業、地方公共団体、独立行政法人、一般社団法人等)に該当するかを確認します。
- Aの自立を選ぶ場合は、施設が地域防災計画や協定で防災拠点等に位置付けられているかを自治体に確認します。
- 導入する設備を選定し、IP通信機能を持つ機器についてはJC-STARの適合ラベル取得状況を確かめます。
- 原則3者以上の見積合わせを想定して、施工業者等から見積書と見積内訳書を取得します。
- ハード対策事業計算ファイルを使って二酸化炭素排出削減量を算定し、その根拠資料を整えます。
- 応募メニューに対応した様式1から様式3をダウンロードし、事業概要書と各種添付資料を作成します。
- 提出書類チェックリストで書類の抜けがないかを点検します。
- Jグランツから申請する場合はGビズIDプライムを取得し、電子メールで申請する場合は提出先アドレスへ送付します。
- 令和8年10月30日18時までに応募を完了させます(原則として月単位で取りまとめて審査されます)。
- 一次審査(要件確認)と二次審査(審査基準に基づく審査)を経て、採択結果の通知を受け取ります。
- 採択後に交付申請書を提出し、交付決定を受けてから設備の発注・契約に着手します。
- 令和9年2月26日までに事業を完了させ、完了後30日以内または令和9年3月10日のいずれか早い日までに完了実績報告書を提出します。
- 交付額の確定通知を受けた後、精算払請求書を提出して補助金の支払いを受けます。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を自社で申請する際の注意点
最初に気をつけたいのは、補助事業の開始が交付決定日以降に限られるという原則です。
交付決定より前に発注や契約を済ませてしまうと、その経費は原則として補助の対象から外れてしまいます。
二つ目は、審査が月単位で取りまとめられ、予算の上限に達した時点で受付が終わる可能性があるという運用です。
締切である令和8年10月30日まで待つのではなく、書類が整った月にできるだけ早く応募するほうが採択の可能性は高まります。
三つ目は、Aの自立で系統への逆潮流が認められていない点で、売電を前提にした設計にすると要件そのものを満たさなくなります。
四つ目は、令和9年2月26日という事業完了期限で、設備の納期が長い場合は支払いまで終えられるかを工程表で確かめておく必要があります。
補助金で取得した設備は処分制限期間中の管理義務が続き、完了後3年間は二酸化炭素排出削減効果の事業報告書も求められます。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
水素やエネルギー設備を支える公的支援は、環境省だけでなく経済産業省やNEDOにも分かれて存在しています。
同じ設備でも、どの制度に載せるかで補助率や上限額、求められる書類がまったく変わってきます。
脱炭素分野の補助金を扱う中小企業診断士やエネルギーコンサルタントに相談すれば、複数の制度を並べて条件を比べたうえで応募先を決められます。
相談の前に、導入したい設備の一覧と概算費用だけでも手元にまとめておくと話が早く進みます。
事業計画の質が上がる
この事業の計画づくりでは、二酸化炭素排出削減量の算定と、システム機能要件を満たす設計の説明が中心になります。
削減量は運転条件や設備仕様の前提で数字が動くため、技術的な裏付けを持つ相手と組むと数値の信頼度が変わります。
外部の視点が入ると、補助金を取ることだけでなく設備を長く動かし続ける前提での計画になり、社内の投資判断にも使える資料が残ります。
できあがった計画書は、金融機関への説明や取引先へのカーボンニュートラル報告にもそのまま転用できます。
採択後の実務まで見据えられる
採択されたあとには、交付申請、交付決定、完了実績報告、交付額の確定、精算払請求という手続が順に控えています。
補助事業の経費は他の経理と明確に区分して管理し、帳簿と証拠書類を5年間保存する義務も生じます。
2年度にわたる事業では年度ごとに交付申請と報告が発生し、初年度の完了から次年度の交付決定までの期間は事業に着手できないという制約もあります。
消費税の仕入控除税額の扱いは報告義務が伴うため、顧問税理士と早めに情報を共有しておくと安心です。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業を不正受給するとどうなるのか
- 交付決定の取消しと返還、そして刑事罰にまで及ぶ範囲
- 書類審査と現地調査が食い違いを浮かび上がらせる理由
交付決定の取消しと返還、そして刑事罰にまで及ぶ範囲
この補助金は環境省の国庫補助金を財源としており、北海道環境財団が交付規程に沿って執行しています。
公募要領は冒頭で、補助事業に不正行為が認められたときは交付決定を取り消し、支払済みの補助金のうち取消し対象となった額の返還を求めると明記しています。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の第6章罰則では、不正行為に対して刑事罰等を科す旨が定められています。
応募書類に虚偽の内容や事実と異なる記載があった場合には、不採択、採択の取消し、交付決定の取消しといった措置が取られることもあります。
書類審査と現地調査が食い違いを浮かび上がらせる理由
申請時の見積書は施工業者が発行し、完了実績報告では契約書や領収書といった第三者が関わる書類が必要になります。
補助事業の実施中または完了後には、必要に応じて現地調査等が行われることが公募要領に示されています。
さらに事業完了の翌年度から3年間は二酸化炭素排出削減効果の事業報告書を提出し続けるため、申請時に過大な数値を書けば後の報告で説明がつかなくなります。
記載の誤りに気づいたときは、そのままにせず財団の担当者へ連絡し、変更や訂正の手続を取ることが結果として自社を守ります。
再エネ等由来水素の自立・分散型エネルギーシステム構築等事業のまとめ
この補助金は、再エネ等に由来する水素を使った自立・分散型エネルギーシステムの構築と、水素利活用機器の導入を環境省の国庫補助で支援する制度です。
補助上限額はAの自立とBの機器支援のいずれも3億円で、補助率は中小企業と指定都市以外の市町村が3分の2、それ以外は2分の1となっています。
公募期間は令和8年6月22日(月曜日)から令和8年10月30日(金曜日)18時までですが、月単位で審査され予算上限に達すると早期に締め切られることがあります。
対象は全国の民間企業や地方公共団体などの法人・団体で、個人事業主は応募できません。
令和8年度の補助事業期間は交付決定の日から令和9年2月26日(金曜日)までで、事業の完了と支払いまでを終える必要があります。
補助上限額や対象業種の概要はJグランツの公募詳細ページで、公募要領と応募様式は北海道環境財団の公募情報ページで確認できます。
まずは自社の計画がAとBのどちらに当たるかを切り分け、CO2削減量の算定と見積りの取得を並行して進めることが、早い月の審査に間に合わせる近道になります。
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