商用車等の電動化促進事業とは?対象車両・補助額・申請方法をわかりやすく解説

その他

トラックを電気自動車や燃料電池車に切り替えたいと考えても、車両価格の高さが最初の壁になります。

環境省の予算で動いている商用車等の電動化促進事業は、その価格差を国が肩代わりし、充電設備の設置費までまとめて支えてくれる制度です。

令和7年度補正予算分の受付期間は令和8年4月24日から令和9年1月15日までで、予算規模は約175億円が用意されています。

対象は貨物自動車運送事業者だけでなく、自社の商用車を業務で使っている企業やリース会社、地方公共団体まで広がっています。

ただし審査は申し込み順が原則で、予算の残額が2割程度になると受付の運用が切り替わる仕組みになっています。

この記事では、一般財団法人環境優良車普及機構が公表している公募要領とJグランツの公募情報をもとに、対象者・対象経費・補助額・申請の流れを順を追って整理してお伝えします。

  1. 商用車等の電動化促進事業の基本情報
    1. 補助金・助成金の正式名称
    2. 対象都道府県・市区町村
    3. 実施機関
    4. 対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
    5. 対象業種
    6. 対象経費
    7. その他要件
    8. 補助対象外となるもの
    9. 申請期間
    10. 上限金額・助成額
    11. 補助率
    12. 問い合わせ先
    13. 公式公募ページと確認すべきこと
  2. 商用車等の電動化促進事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
  3. 商用車等の電動化促進事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
    1. 申請すべき人
    2. 見送ったほうが良い人の特徴
  4. その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
    1. 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
    2. ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
    3. 中小企業省力化投資補助金
    4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 商用車等の電動化促進事業の申請に必要なもの
    1. 申請に必要な書類一覧と取得方法
    2. 記載例はどこで確認できるか
  6. 商用車等の電動化促進事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
    1. 市場性を具体的に書く
    2. 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
    3. この制度を利用する必要性・重要性を記載
    4. 実行体制を明記する
  7. 商用車等の電動化促進事業の申請手順
  8. 商用車等の電動化促進事業を自社で申請する際の注意点
  9. 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
    1. 制度選定の精度が上がる
    2. 事業計画の質が上がる
    3. 採択後の実務まで見据えられる
  10. 商用車等の電動化促進事業を不正受給するとどうなるのか
    1. 虚偽の申請が判明した場合に生じる責任
    2. 不適切な事案が表に出る経路
  11. 商用車等の電動化促進事業のまとめ

商用車等の電動化促進事業の基本情報

正式名称 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業(脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金)
対象地域 全国
実施機関 一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)補助事業執行部/環境省
対象者 貨物自動車運送事業者、自家用商用車を業務に使用する者、リース事業者、地方公共団体、コンソーシアム等
対象業種 全業種(運輸業・郵便業が中心。従業員数の制約なし)
対象経費 電動トラック(BEV・PHEV・FCV・水素内燃機関型)の車両購入費、充電設備等の設備費・工事費・業務費・事務費
予算額 約175億円(うち国庫債務負担行為 約20億円)
補助上限額 車両は事前登録された基準額が上限/充電設備等は機器・工事の内容ごとに上限額を設定
補助率 公募要領および補助対象車両一覧の基準額による(値引がある場合は所定の割合で減額)
申請期限 令和9年1月15日(金)まで(受付開始は令和8年4月24日)
申請方法 Jグランツ、電子メール、郵便・信書便、持参
問い合わせ先 一般財団法人環境優良車普及機構(車両 03-5944-0883/充電設備 03-5341-4728)

補助金・助成金の正式名称

この制度の公募名は「令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業」です。

補助金としての正式な制度名は「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金」であり、その中の一事業として商用車等の電動化促進事業が置かれています。

令和6年度補正予算分の同名事業も並行して動いているため、申請の際はどちらの年度の予算に対する公募かを必ず確認してください。

本記事で扱うのは令和7年度補正予算分、すなわちトラックを対象とした公募です。

対象都道府県・市区町村

対象地域は全国で、都道府県や市区町村による限定はありません。

北海道から沖縄まで、どの地域の事業者でも要件を満たせば申請できます。

ただし充電設備等については、設置場所が申請事業者の事業所や営業拠点などの敷地内であることが条件とされています。

また、予算残額が少なくなった局面では、脱炭素先行地域に選定された地域内の事業所に導入する事業者が優先して採択される場合があります。

実施機関

実施機関は一般財団法人環境優良車普及機構、通称LEVOです。

同機構が環境省から交付決定を受け、執行団体として交付申請の受付から審査、交付決定、額の確定までを担っています。

申請先は東京都新宿区四谷2-14-8 YPCビル8階の同機構 補助事業執行部で、車両と充電設備で問い合わせ窓口が分かれています。

車両に関する電話番号は03-5944-0883、充電設備に関する電話番号は03-5341-4728で、いずれも平日9時から12時と13時から16時が受付時間です。

対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)

申請できるのは、国が定める目標に準じる非化石エネルギー自動車の導入計画を設定している事業者です。

具体的には、貨物自動車運送事業者、車両総重量2.5トン超の自家用商用車を業務に使用する者、商用車の貸渡しを業とするリース・レンタル事業者、地方公共団体が挙げられています。

さらに、分社化した子会社にトラックを貸与する親会社、トラックと一体的に導入する充電設備等を所有する者、これらで構成されるコンソーシアムも対象です。

令和4年度のCO2排出量が20万トン以上の多排出者は、令和8年度と令和12年度のScope1・Scope2削減目標の設定と公表などを表明した場合に限り申請できます。

交付申請を行えるのは補助対象車両の自動車検査証上の所有者であり、使用者ではない点にご注意ください。

対象業種

Jグランツの公募情報では、農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、公務、分類不能の産業が対象業種として挙げられています。

従業員数の上限も設けられていないため、中小企業から大企業まで規模を問わず申請が可能です。

業種の区分よりも、トラックを反復・継続して走行させる実態があるかどうかが実質的な判断基準になります。

なお、性風俗関連特殊営業や接客業務受託営業を行う事業者、これに準じると機構が判断した事業者は申請できません。

対象経費

補助の対象は大きく分けて、トラック本体と充電設備等の2つです。

トラックについては、あらかじめ事前登録を受けた電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素内燃機関型自動車の購入費が対象になります。

充電設備等では、普通充電器、急速充電器、バッテリー交換式充電設備、V2H・外部給電器、高圧受電設備とその設置工事費が対象です。

充電設備側の補助対象経費は、本工事費・付帯工事費・機械器具費・測量及試験費といった工事費に加えて、設備費、業務費、事務費までが含まれます。

急速充電器、普通充電器、V2H・外部給電器については、経済産業省の充電・充てんインフラ等導入促進補助金の交付対象機器であることが条件です。

その他要件

充電設備等を申請する場合、導入する車両台数が充電設備の設置口数以上であることが必要です。

車両総重量2.5トン超のトラックは事業用・自家用ともに対象ですが、2.5トン以下の車両は事業用のみが対象となります。

申請者が使用するトラック等について、2030年度における非化石エネルギー自動車の使用割合が5パーセント以上であることも審査で確認されます。

充電設備等と第三者改造による改造車については、交付決定の通知前に発注した経費は補助対象になりませんので、着手のタイミングを厳格に管理してください。

補助事業に係る資料は、事業完了日の属する年度の終了後5年間、充電設備等を導入した場合は6年間の保存が求められます。

補助対象外となるもの

短期間の実証運行など、反復・継続した走行が見込まれない用途のトラックは補助対象外とされています。

割賦やローンによって購入した車両・充電設備等、および完了実績申請日までに決済されない手形による購入も対象になりません。

充電設備側では、既存施設の撤去費、廃材の運搬費と処分費、CO2排出削減に寄与しない周辺機器やオプション品の経費が補助対象外の代表例として明示されています。

国の他の補助金と重複して本補助金を受けることもできません。

また、補助対象事業者が自社製品を調達する場合は、自社の利益が補助対象経費に含まれないよう原価で計上する必要があります。

申請期間

令和7年度補正予算分の受付期間は、令和8年4月24日(金)から令和9年1月15日(金)までです。

Jグランツ上でも受付終了日時は2027年1月15日23時59分と表示されており、公募要領の記載と整合しています。

審査は原則として申し込み順に行われますが、予算の残額が2割程度に達すると運用が切り替わります。

残額2割の到達が機構のホームページで公表された日以降は、申し込み順の審査ではなく、公表日から30日後までに申し込まれた全申請をまとめて審査する方式に変わります。

トラックのみを申請する場合、車両は令和8年2月2日(月)から令和9年1月15日(金)までに新車新規登録を受けたものが対象です。

上限金額・助成額

Jグランツの公募情報では補助上限額が17,500,000,000円と表示されていますが、これは事業全体の予算額である約175億円に対応する数字です。

1社あたりの補助額は、トラックについては機構のホームページで公表された補助対象車両一覧の基準額が上限になります。

車両購入費が値引される場合は、電気自動車なら値引額の3分の2、プラグインハイブリッド自動車なら2分の1、燃料電池自動車と水素内燃機関型自動車なら4分の3が基準額から差し引かれます。

充電設備等の補助額は機器の価格と工事費の合計となりますが、機器の機能や工事内容ごとに個別の上限が設けられています。

具体的な上限額は「令和7年度補正 補助対象充電設備型式一覧表」に型式ごとに掲載されていますので、機器選定の前に確認しておくと安心です。

補助率

この制度は「経費の何分の1」という一律の補助率ではなく、車両ごとに定められた基準額を上限とする方式を採っています。

そのためJグランツの補助率欄も「公募要領を参照」という表記になっています。

実際の交付額を知るには、導入したい車種が補助対象車両一覧に登録されているかを確認し、その基準額を見るのが最短の方法です。

なお、令和5年度または令和6年度補正予算の同種事業を活用して令和7年3月末時点で保有台数の5パーセント以上を電動車にしている事業者は、GX市場創造への取組計画等を提出した場合に限り、個別に交付額が決定される扱いになります。

問い合わせ先

問い合わせ先は一般財団法人環境優良車普及機構です。

車両に関する問い合わせは電話03-5944-0883、ファックス03-5944-0878、メールはevhojo宛のアドレスが案内されています。

充電設備に関する問い合わせは電話03-5341-4728、ファックス03-5341-4729、メールはjuhojo宛のアドレスです。

機構は聞き違いや認識の相違を防ぐため、件名を「【質問】事業者名」としたうえで電子メールでの問い合わせに協力してほしいと案内しています。

電話の受付時間は平日の9時から12時と13時から16時です。

公式公募ページと確認すべきこと

制度の概要と申請区分はJグランツの公募詳細ページで確認できます。

受付状況や様式の最新版は環境優良車普及機構の公式ページに掲載されています。

申請前に必ず目を通しておきたいのが令和7年度補正予算分の公募要領と交付規程で、この2点を読まないまま様式を書き始めると手戻りが生じます。

公式ページでは補助金申請額と残額が随時更新されているため、申請時期を判断する材料としても役立ちます。

商用車等の電動化促進事業を対象者が活用すべき理由(メリット)

電動トラックは同クラスのディーゼル車と比べて車両価格が大きく上回るため、導入判断で足踏みする企業が少なくありません。

この制度は、その価格差そのものを埋めることを狙って設計されています。

車両だけでなく、充電器の機器代金と設置工事費まで一体で補助されるため、拠点側の電源整備という見落とされがちな費用も同じ枠で手当てできます。

採択率を競うコンペ型ではなく、要件を満たす申請を申し込み順に審査する方式である点も、社内稟議を進めやすい理由の一つです。

加えて、単年度で完結しない事業のために複数年度申請と国庫債務負担行為という2つの仕組みが用意されており、納車待ちが長い車種でも計画を立てられます。

燃料費の削減とCO2排出量の削減が同時に進むため、荷主から求められるサプライチェーン全体の脱炭素対応への回答にもなります。

商用車等の電動化促進事業を申請すべき人とそうでない人の特徴

  • 申請すべき人
  • 見送ったほうが良い人の特徴

申請すべき人

  • 貨物自動車運送事業を営んでおり、配送車両の入れ替え時期を迎えている事業者
  • 車両総重量2.5トン超の商用車を自社業務で日常的に使用している企業
  • トラックのリース・レンタルを業として営み、顧客に電動車を提供したい事業者
  • 公用車や清掃車の電動化を進めたい地方公共団体および公営企業体
  • 営業所や車庫の敷地内に充電器を設置できる場所を確保できる事業者
  • 2030年度に向けた非化石エネルギー自動車の導入計画を社内で描いている企業
  • 納車まで時間のかかる燃料電池車や特装車の導入を計画している事業者

見送ったほうが良い人の特徴

  • 短期間の実証運行のみを予定しており、反復・継続した走行が見込まれない場合
  • 割賦やローンでの購入を前提としており、支払方法を変更できない場合
  • 自動車検査証上の所有者になれず、使用者の立場でしか申請できない場合
  • 導入予定の車種が機構の事前登録を受けた補助対象車両一覧に載っていない場合
  • すでに充電設備の工事を発注済みで、交付決定前の着手にあたる場合
  • 同じ車両や設備に国の他の補助金を充てることが決まっている場合
  • 処分制限期間内に車両や設備を売却・譲渡する予定がある場合

その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例

  • 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
  • ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
  • 中小企業省力化投資補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)

これまでとは異なる市場や製品分野へ踏み出す企業を、設備投資の側面から支援する国の制度です。

運送業であれば、車両の電動化を足がかりに脱炭素物流サービスという新しい商材を立ち上げるといった構想と相性があります。

付加価値額や給与支給総額の伸びについて数値目標の達成が求められるため、実現できる水準の計画に落とし込むことが欠かせません。

枠組みや要件は年度ごとに更新されますので、申請前に最新の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)

革新的な製品やサービスを生み出すための設備投資を支える、中小企業向けの定番制度です。

車両整備業や架装メーカーであれば、電動車に対応した整備機器やライン設備の導入をこちらで検討するという道があります。

審査では技術面の新しさに加えて、それが収益にどう結びつくのかという道筋が問われます。

交付決定より前に発注すると対象外になる点は、本記事の制度における充電設備の扱いと同じ考え方です。

中小企業省力化投資補助金

深刻化する人手不足を、設備やシステムの力で補うための投資に焦点を当てた制度です。

物流現場であれば、荷役の自動化機器や在庫管理システムの導入が候補になります。

登録済みのカタログ製品から選ぶ方式が用意されており、準備期間を短く抑えられることが実務上の利点です。

導入後は労働生産性の向上を報告する必要があるため、効果を測る指標を先に決めておいてください。

小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない事業者が、販路開拓や業務効率化に取り組む際に使いやすい制度です。

電動車を導入したことを訴求する自社サイトの改修や、荷主向けの提案資料の制作といった用途が想定できます。

申請には商工会または商工会議所の確認が必要になるため、地域の支援機関とのつながりを作る機会にもなります。

補助額の規模は小さいものの手続の負担が軽く、補助金に慣れていない事業者にとって入口として適しています。

商用車等の電動化促進事業の申請に必要なもの

  • 申請に必要な書類一覧と取得方法
  • 記載例はどこで確認できるか

申請に必要な書類一覧と取得方法

  • 交付申請書(交付規程様式第1)/機構の公式ページから様式をダウンロード
  • 提出資料総括表/機構の公式ページに掲載されている一覧を参照して作成
  • 非化石エネルギー転換目標および区分別導入台数計画書/自社の導入計画をもとに作成
  • 車両の見積書の写し/販売店またはメーカーから入手
  • 充電設備等の見積書の写しと競争見積書(2社以上)/設備事業者から入手
  • 工事図面(工事概略図、全体図、部分詳細図)/設置工事の施工業者から入手
  • 充電設備等の安全性に関する認証書等/機器メーカーから入手
  • 充電設備等の設置位置と車庫の関係を説明した書面/自社で作成
  • 複数年度事業実施計画(交付規程様式第1その7の1)/複数年度で実施する場合のみ作成
  • 【完了実績報告時】完了実績報告書(様式第11)、自動車検査証記録事項の写し、請求書・領収書の写し、リース契約書の写し、精算払請求書

記載例はどこで確認できるか

申請様式とExcelのデータシートは、機構の令和7年度補正予算 申請書類等のページにまとめて掲載されています。

同じページには提出資料総括表が置かれており、どの書類を何部そろえるかを一覧で把握できます。

電子メールで申請する場合の具体的な手順を説明した資料も公式ページに用意されているため、初めての申請ではこの資料に沿って進めるのが確実です。

よくある疑問については機構のQ&Aページに回答が整理されていますので、窓口に問い合わせる前に一読することをおすすめします。

商用車等の電動化促進事業の採択率を上げる事業計画書の作り方

  • 市場性を具体的に書く
  • 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
  • この制度を利用する必要性・重要性を記載
  • 実行体制を明記する

市場性を具体的に書く

この制度で問われるのは新商品の売れ行きではなく、導入した車両がどれだけ走り、どれだけCO2を減らすかという実績の見通しです。

主要な配送ルートの距離、1日あたりの稼働時間、年間の走行距離見込みを、既存車両の実績データから積み上げて示してください。

事業完了後は月別の走行距離と稼働日数を報告する義務があるため、計画段階の数字と後の報告値が整合するように組み立てることが重要です。

荷主から脱炭素対応を求められている場合は、その要請内容を具体的に記載すると導入の必然性が伝わります。

差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載

同業他社と横並びの内容では、限られた予算のなかで自社を選ぶ理由が伝わりません。

保有車両の構成、既存の充電インフラ、エコドライブの取組実績など、自社ならではの土台を具体名と数字で挙げてください。

審査では非化石エネルギー自動車の導入台数計画が意欲的かどうかが確認されますので、国が示す目安を上回る目標を掲げられるなら、その根拠まで書き添えると評価につながります。

脱炭素先行地域に該当する拠点へ導入するのであれば、その点も明記しておく価値があります。

この制度を利用する必要性・重要性を記載

補助がなければ電動車への切り替えがどれだけ後ろ倒しになるのかを、率直に書くことが説得力を生みます。

同クラスのディーゼル車との価格差、充電設備の初期費用、それらが自社のキャッシュフローに与える影響を数字で並べてください。

本事業の目的は普及初期の導入加速による価格低減と脱炭素社会の構築にあるため、自社の導入が同業他社の追随を促すという波及効果まで書けると趣旨に沿います。

単に費用が浮くという説明ではなく、浮いた原資を次の車両更新にどう回すのかまで踏み込むと計画に厚みが出ます。

実行体制を明記する

誰がいつ何を担当するのかが曖昧なままでは、計画の実現性に疑いが残ります。

車両の発注担当、充電設備の工事管理担当、完了実績報告を取りまとめる担当を分けて記載し、社内の意思決定の流れが見えるようにしてください。

充電設備の工事は交付決定後でなければ発注できないため、交付決定から設置完了、実績報告までの日程を月単位で明示しておくと、実行力の裏づけになります。

納車遅延が起きた場合の代替案や変更申請の想定まで添えておくと、リスク管理の姿勢を示せます。

商用車等の電動化促進事業の申請手順

  1. 機構の公式ページから公募要領と交付規程をダウンロードし、内容を確認します。
  2. 導入したい車種が補助対象車両一覧に事前登録されているか、また充電設備が補助対象充電設備型式一覧表に掲載されているかを確かめます。
  3. 提出資料総括表に沿って、交付申請書、非化石エネルギー転換目標、見積書、工事図面などの書類をそろえます。
  4. 複数年度事業や国庫債務負担行為を利用する場合は、事前に機構へ相談します。
  5. Jグランツ、電子メール、郵便・信書便、持参のいずれかの方法で交付申請を行います。
  6. 機構の審査を経て、交付決定通知書を受け取ります。
  7. 交付決定後に充電設備等を発注し、車両の新車新規登録と設備の設置・検収を進めます。
  8. 事業完了日から30日を経過した日か、完了日の属する年度の2月12日のいずれか早い日までに、完了実績報告書と精算払請求書を提出します。
  9. 機構の審査を経て交付額が確定し、補助金が支払われます。
  10. 新車新規登録日以降、四半期ごと(翌年度は半期ごと)に走行距離と稼働日数を報告し、年度終了後30日以内に事業報告書を提出します。

商用車等の電動化促進事業を自社で申請する際の注意点

最も注意すべきは、充電設備等と第三者改造による改造車について、交付決定通知の前に発注した経費は補助対象にならないという原則です。

車両本体の購入は交付決定の前後を問わないという例外があるため、この違いを混同したまま工事を先行させてしまう事例が起きやすい点にご留意ください。

次に、申請できるのは自動車検査証上の所有者であり、リース車両の場合はリース事業者が代表事業者となる共同申請の形をとる必要があります。

交付を受けた車両や設備には処分制限期間があり、トラックは3年から5年、充電設備等は設置完了日から6年の保有義務が生じます。

この期間内に売却や合併で所有者を変更すると、原則として補助金の返還が必要になります。

充電設備の見積では原則として2社以上の競争見積書が求められるため、業者選定の段階から証跡を残しておいてください。

鉛筆や消えるペンでの記入、修正液による訂正、金額を訂正した申請書は受け付けられませんので、書類作成の作法にも気を配る必要があります。

自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ

  • 制度選定の精度が上がる
  • 事業計画の質が上がる
  • 採択後の実務まで見据えられる

制度選定の精度が上がる

商用車の電動化をめぐる支援策は、本事業のほかにも国土交通省や自治体の制度が並行して走っています。

どの制度に乗せるかで補助額も手続の重さも変わるうえ、国の補助金どうしは重複して受けられないという制約もあります。

複数の制度を横断して比べられる専門家に相談すれば、車両と充電設備をどの制度に振り分けるのが最も有利かを短時間で判断できます。

令和6年度補正予算分と令和7年度補正予算分のどちらで申請すべきかという判断も、経験のある相手なら即答できる領域です。

事業計画の質が上がる

日々の配車業務をこなしながら、導入計画と転換目標を筋の通った書面にまとめるのは相当な負担です。

多くの申請を扱ってきた専門家は、審査でどの項目が重く見られるかを経験として知っています。

社内では当然と思っている運行データや整備体制が、外部の目を通すと強力な裏づけ資料に変わることも珍しくありません。

出来上がった計画書は、金融機関に車両購入資金を相談する際の説明資料としても流用できます。

採択後の実務まで見据えられる

この制度は交付決定で終わりではなく、完了実績報告に加えて四半期ごとの走行距離報告と年度ごとの事業報告書の提出が続きます。

資料の保存義務も5年から6年に及ぶため、申請時に整理した書類をそのまま管理できる仕組みを作っておく必要があります。

走行距離や稼働日数を記録する運用を導入初期に決めておけば、四半期ごとの報告作業が数分で終わる体制になります。

長く伴走してくれる相手を選ぶことが、結果として補助金を最後まで受け切ることにつながります。

商用車等の電動化促進事業を不正受給するとどうなるのか

  • 虚偽の申請が判明した場合に生じる責任
  • 不適切な事案が表に出る経路

虚偽の申請が判明した場合に生じる責任

公募要領では、補助事業に関し不正行為が認められたときは交付決定を取り消すと明記されています。

その場合、支払済みの補助金のうち取消対象となった額に、年10.95パーセントの利率による加算金を加えた額を返還しなければなりません。

さらに補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の第29条から第32条までには刑事罰を科す旨が規定されており、金銭の返還だけでは済まない可能性があります。

新たな申請が受理されなくなる場合もあると公募要領に記されており、将来の車両更新にも影響が及びます。

不適切な事案が表に出る経路

機構は補助事業の実施中または完了後に、必要に応じて現地調査等を行うと公募要領で明らかにしています。

取得財産等の管理状況についても調査が入ることがあり、車両や充電設備が申請どおりに使われているかは実地で確認され得ます。

四半期ごとに走行距離と稼働日数を報告する仕組みそのものが、実態と乖離した申請を洗い出す装置として働いています。

記載の誤りに気づいたときは、隠さずに変更申請や機構への連絡という正規の手続で申し出ることが、最も損失の小さい選択になります。

商用車等の電動化促進事業のまとめ

令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業は、電動トラックの車両購入費と充電設備等の導入費を国が支援する、環境省予算の全国向け制度です。

予算規模は約175億円で、うち約20億円が国庫債務負担行為として確保されています。

対象は貨物自動車運送事業者、自家用商用車を業務に使う企業、リース事業者、地方公共団体などで、業種や従業員数による制限はありません。

受付期間は令和8年4月24日から令和9年1月15日までですが、審査は申し込み順が原則であり、予算の消化状況によって早期に運用が切り替わる点が最大の注意事項です。

充電設備等は交付決定前に発注すると補助対象外になるため、着手の順番だけは絶対に間違えないようにしてください。

制度の概要はJグランツの公募詳細ページで、様式と受付状況は環境優良車普及機構の公式ページで確認できます。

車両の入れ替え時期が近いのであれば、まずは導入候補の車種が補助対象車両一覧に載っているかを確かめるところから始めてみてください。