相続で受け継いだ実家や、長く空いたままの分譲マンションの一室が、売りにも貸しにも出せないまま止まっているというお悩みをよく耳にします。
こうした遊休住宅は都市部でも珍しくなく、建物の状態が分からないことが取引をためらわせる大きな理由になっています。
その入口の費用を国が肩代わりし、既存住宅の流通を一気に前へ進めようとするのが既存住宅流通活性化緊急促進事業です。
既存住宅状況調査に5万円、リフォーム設計・提案に3万円、補修工事に上限15万円と、1戸あたり最大23万円が定額で交付されます。
申請できるのは宅地建物取引業者と既存住宅状況調査技術者で、交付申請の受付は2026年11月30日17時までとなっています。
この記事では、対象になる住宅と区域の考え方、3つの補助メニューの組み立て方、申請の流れと提出書類までを順を追ってご説明します。
既存住宅流通活性化緊急促進事業の基本情報
| 正式名称 | 既存住宅流通活性化緊急促進事業 |
| 対象地域 | 首都圏、近畿圏、中部圏、札幌都市圏、仙台都市圏、広島都市圏、福岡都市圏及びその周辺のうち、地価公示等から住宅地の一定の地価上昇が確認できる市区町村 |
| 実施機関 | 既存住宅流通活性化緊急促進事業実施支援室 |
| 対象者 | 宅地建物取引業者、既存住宅状況調査技術者(対象区域の遊休住宅等の流通促進を図る者) |
| 対象業種 | 不動産業、物品賃貸業 |
| 対象経費 | 既存住宅状況調査費、リフォーム設計・提案費、補修工事費 |
| その他要件 | 既存住宅状況調査の実施は必須。売買・賃貸の媒介契約締結、募集の実施、エンディングノートの作成、相続人等による処分方法の合意、家族信託契約の締結など、流通促進の取組を伴うこと |
| 補助対象外 | 対象区域外の住宅、既存住宅状況調査を行わない住宅、構造耐力上主要な部分等以外を対象とする補修工事、他の国庫補助金と重複する経費 |
| 申請期間 | 交付申請(変更申請)は2026年3月23日から2026年11月30日17時必着。完了実績報告の提出期限は2026年12月25日17時必着(Jグランツ上の受付終了日時は2026年12月25日17時) |
| 上限金額 | 1戸あたり5万円から最大23万円(既存住宅状況調査5万円、リフォーム設計・提案3万円、補修工事上限15万円)。事業全体の予算規模は1億5,800万円 |
| 補助率 | 定額(既存住宅状況調査のみ5万円未満の場合は実費で千円未満切り捨て) |
| 申請方法 | メール送信による申請、または電子申請システムJグランツによる申請(JグランツはGビズIDプライムが必要) |
| 問い合わせ先 | 既存住宅流通活性化緊急促進事業実施支援室 メールkizon_hojyo@sumaimachi-center-rengoukai.or.jp |
補助金・助成金の正式名称
制度の正式名称は既存住宅流通活性化緊急促進事業です。
補助金の名称に年度表記が付いていないため、他の住宅系補助制度と取り違えやすい点には注意が必要です。
住宅価格が高騰する大都市圏において既存住宅等の流通を緊急的かつ強力に促し、若年・子育て世帯等にとって手の届く住宅の供給を進めることが、この事業の掲げる目的です。
新築の取得を支援する制度ではなく、すでにある住宅を市場へ戻すことに軸足を置いた枠組みだと理解しておくと、要件の読み方がぶれません。
対象都道府県・市区町村
対象区域は、首都圏、近畿圏、中部圏、札幌都市圏、仙台都市圏、広島都市圏、福岡都市圏及びその周辺です。
ただし該当圏域内であればどこでもよいわけではなく、地価公示等から住宅地の一定の地価上昇が確認できる市区町村に限られます。
どの市区町村が該当するかは交付申請等マニュアルに一覧で示されていますので、物件の所在地が載っているかを最初に確かめてください。
隣接する市であっても該当と非該当が分かれることがありますので、感覚で判断せず必ず一覧に当たる姿勢が求められます。
実施機関
この事業の窓口となるのは既存住宅流通活性化緊急促進事業実施支援室です。
実施支援室は専用のホームページを開設し、交付申請等マニュアルや各種様式、交付要綱・交付規程を公開しています。
同ホームページの更新情報欄には、Jグランツからの電子申請再開やマニュアル改定といった実務に直結する告知が随時掲載されます。
交付申請マニュアルは2026年6月29日に第3版へ改定されていますので、以前にダウンロードした版を手元で使っている場合は差し替えておきましょう。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
申請対象事業者は、宅地建物取引業者と既存住宅状況調査技術者の2者です。
住宅の所有者が直接申請する制度ではなく、取引や調査に関わる事業者が手続の主体となる点が、一般的な住宅リフォーム補助とは大きく異なります。
補助金の交付先は経費の区分ごとに分かれており、既存住宅状況調査は住宅所有者または調査技術者、リフォーム設計・提案は宅建業者、補修工事は住宅所有者が受け取ります。
買取再販事業者が自ら既存住宅状況調査を実施した場合は、交付申請の方法がメール提出に限定される取り扱いになっています。
対象業種
Jグランツの公募詳細ページで対象業種として示されているのは、不動産業、物品賃貸業です。
従業員数の上限は設けられていませんので、小規模な地場の宅建業者から全国展開する事業者まで、規模を問わず申請の土俵に立てます。
既存住宅状況調査技術者は建築士の資格を前提とする登録制度ですので、実務上は建築設計や住宅検査を担う事業者も申請の当事者になり得ます。
宅建業者と調査技術者が別会社になる案件では、どちらが申請者となりどちらが共同事業者となるかを早い段階で決めておくと手続が滞りません。
対象経費
補助の対象になるのは、既存住宅状況調査費、リフォーム設計・提案費、補修工事費の3区分です。
このうち既存住宅状況調査は必須で、残る2つは任意のメニューという位置づけになっています。
既存住宅状況調査は既存住宅状況調査方法基準に基づき既存住宅状況調査技術者が実施するもので、住宅瑕疵担保責任保険法人による既存住宅売買瑕疵保険の検査も含まれます。
補修工事は調査によって判明した劣化事象等を直すための工事に限られますので、調査を先に済ませてから工事の範囲を決めるという順序が制度上も自然です。
その他要件
対象となるのは、空き家、および所有者の高齢化や相続等により今後遊休化することが見込まれる戸建住宅または共同住宅です。
加えて、その住宅について流通促進を図る取組が行われていることが条件になります。
具体的には、売買または賃貸に係る媒介契約の締結、空き家バンク登録等の募集の実施、国土交通省の様式によるエンディングノートの作成、相続人等による将来の処分方法への合意、家族信託契約の締結などが該当します。
物件募集チラシの作成といった取組も対象に含まれますので、どの取組を根拠に申請するかを整理してから書類づくりに入ってください。
補助対象外となるもの
対象区域に含まれない市区町村の住宅は、いかに要件を満たしていても対象になりません。
既存住宅状況調査を実施しない案件も、リフォーム設計や補修だけを取り出して申請することはできない仕組みです。
補修工事の対象は構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分と、それらの補修のために撤去等を要する台所・便所・洗面・浴室等に限られており、美観目的の内装工事などは含まれません。
国の他の補助金と同一の経費を重ねて受けることも認められませんので、既存のリフォーム支援策と併願する場合は経費の切り分けが欠かせません。
申請期間
交付申請および変更申請の受付は、2026年3月23日に始まり、2026年11月30日17時必着で締め切られます。
完了実績報告の提出期限はこれより約1か月遅い2026年12月25日17時必着で、Jグランツの公募詳細ページ上で管理されている受付終了日時もこの日時に合わせられています。
受付期間内であれば随時受付が行われますが、期限前に予算が上限に達した場合はその時点で受付が終了する点に注意が必要です。
年度途中に補助事業が完了する場合は、上記スケジュールにかかわらず事業完了後1か月以内の完了実績報告が求められますので、早く終わった案件ほど早めの手続が必要になります。
上限金額・助成額
補助額は1戸あたり5万円から最大23万円です。
内訳は既存住宅状況調査が5万円、リフォーム設計・提案が3万円、補修工事が1箇所あたり5万円かつ1戸あたり上限15万円という組み立てになっています。
既存住宅状況調査だけを行う最小構成なら5万円、3つのメニューをすべて使い補修を3箇所行った場合が上限の23万円という計算です。
Jグランツの公募詳細ページに表示されている1億5,800万円という数字は1件あたりの上限ではなく事業全体の予算規模ですので、読み違えないようにしてください。
補助率
補助率という形ではなく、区分ごとの定額で交付されるのがこの制度の特徴です。
実際にかかった費用が定額を上回っても、下回っても、原則として決められた額が交付されます。
唯一の例外が既存住宅状況調査で、費用が5万円未満だった場合は実際にかかった額の千円未満を切り捨てた金額が補助額になります。
定額方式は補助額の見通しが立てやすい反面、費用が定額を大きく超える案件では自己負担が膨らみますので、見積の段階で採算を確認しておきましょう。
問い合わせ先
問い合わせは既存住宅流通活性化緊急促進事業実施支援室が受け付けています。
連絡用のメールアドレスはkizon_hojyo@sumaimachi-center-rengoukai.or.jpです。
実施支援室のホームページにはお問合せ専用のページも設けられていますので、様式の記入方法や対象区域の判断に迷ったときは早めに相談してください。
GビズIDの取得についてはデジタル庁のGビズIDサイトが窓口となり、Jグランツの操作方法はJグランツ側の窓口が受け持つという役割分担も押さえておくと迷いません。
公式公募ページと確認すべきこと
マニュアル、様式、交付要綱・交付規程、Q&Aは実施支援室の公式ホームページに集約されています。
補助上限額や対象業種といった制度の骨格はJグランツの公募詳細ページからも確認できます。
最初に開くべきは補助金交付申請等手続きマニュアルで、対象区域の市区町村一覧と提出書類の全体像がここにまとまっています。
あわせて補助事業説明資料と補助事業チラシにも目を通しておくと、住宅所有者へ制度を説明する際の言葉が整理できます。
既存住宅流通活性化緊急促進事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
この制度を使う最大の利点は、取引の入口で発生する費用の負担を軽くできることにあります。
既存住宅状況調査は買主に安心材料を提供する一方、その費用を誰が持つのかが交渉の障害になりがちでした。
調査費に5万円の定額補助が付けば、売主にも買主にも負担を求めずに調査を組み込める余地が生まれます。
補修工事まで補助を使えば、劣化事象を直したうえで市場に出せるため、値引き交渉に押し込まれるリスクを抑えながら成約までの期間を短くできます。
宅建業者にとっては、リフォーム設計・提案の3万円が自社への交付分となり、提案型の営業を仕掛ける原資として使える点も見逃せません。
相続で動かせずにいた物件の所有者に対し、公的な補助があるという事実そのものが、話を前に進めるきっかけとして機能します。
既存住宅流通活性化緊急促進事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 対象区域内で空き家や相続物件の媒介を数多く扱っている宅地建物取引業者
- 既存住宅状況調査技術者として登録済みで、調査案件を安定して受注したい建築士
- 調査費や補修費の負担が理由で、売却の相談が成約まで進まなかった経験のある事業者
- 買取再販を手がけており、仕入れた住宅の状況調査と補修を計画的に進めたい事業者
- 空き家バンクへの登録や物件募集を通じて、遊休住宅の掘り起こしに取り組んでいる事業者
- 2026年12月25日17時までに完了実績報告まで終えられる工程を組める事業者
見送ったほうが良い人の特徴
- 物件の所在地が対象区域の市区町村一覧に含まれていない事業者
- 既存住宅状況調査を実施する予定がなく、補修工事だけを補助対象にしたい事業者
- 宅地建物取引業の免許も既存住宅状況調査技術者の登録も持たない個人や団体
- 媒介契約や募集の実施など、流通促進の取組を裏づける事実が用意できない案件
- 同一の経費について他の国庫補助金への申請をすでに予定している事業者
- 補修の内容が内装の刷新など、構造耐力上主要な部分等に該当しない工事に限られる案件
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
既存の事業領域を離れ、新しい市場へ本格的に踏み出す際の投資を支える制度です。
仲介を主軸としてきた宅建業者が、買取再販や空き家管理サービスへ業容を広げるといった場面と噛み合います。
申請には付加価値額や給与支給総額の伸び率といった数値目標の設定が求められ、交付後もその進捗を報告し続ける義務が伴います。
遊休住宅の流通で積み上げた実績データは、新事業の需要を裏づける材料として計画書に活かせます。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
革新的な製品やサービスを世に出すための機械装置費やシステム構築費を対象とする、国を代表する制度のひとつです。
住宅の劣化診断を効率化する機器や、物件情報を扱う独自システムの開発を検討している事業者に向きます。
公募回ごとに枠の構成や加点項目が組み替えられますので、検討に入った時点で最新の公募要領を取り直す習慣をつけてください。
同じ経費を複数の国庫補助金に重ねて申請することはできませんので、どの投資をどの制度に割り当てるかを先に決めておく必要があります。
中小企業省力化投資補助金
人手が足りない現場で、機械やソフトウェアに作業を担わせる投資を後押しする制度です。
物件写真の整理や契約書類の作成といった、不動産業に付きものの事務負荷を軽くしたい場合に検討の余地があります。
カタログ掲載製品から選ぶ方式は手続の負担が軽い一方で、導入後は労働生産性の向上度合いを定期的に報告する必要が生じます。
従業員数の少ない事業所ほど省力化の効果が数字に現れやすく、報告の面でも説明しやすくなります。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際に、無理のない規模で使える制度です。
空き家所有者へ向けたチラシの作成やホームページの刷新など、集客の入口を整える取組と相性があります。
申請の過程で商工会議所または商工会の確認を受けながら経営計画を作成する手順が組み込まれていますので、締切から逆算して窓口を訪ねる段取りが要ります。
補助額は大きくありませんが、公的補助金の書類作成に慣れるという意味でも取り組む価値があります。
既存住宅流通活性化緊急促進事業の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
- 交付申請等様式:実施支援室のマニュアル・様式ページからダウンロードして必要事項を入力します
- 提出書類一覧:メール申請とJグランツ申請で構成が異なるため、該当する方の一覧を確認します
- 共同事業実施規約及び誓約書(様式4):買取再販住宅を除く案件で提出します
- 誓約書(様式5):買取再販住宅の場合に提出します
- 対象住宅の補修前後の全景写真(様式14):補修工事を申請する場合に必要です
- 補修箇所の補修前後の写真(様式15):補修箇所ごとに撮影して整理します
- 既存住宅状況調査の結果を示す書類:既存住宅状況調査技術者が作成したものを添付します
- 流通促進の取組を裏づける書類:媒介契約書、募集の実施が分かる資料、エンディングノート、家族信託契約書などが該当します
- 交付変更申請様式・完了実績報告様式:申請内容の変更時と事業完了時にそれぞれ使用します
- 補助金申請に係る調査アンケート:申請にあわせて提出を求められます
記載例はどこで確認できるか
記入方法を確かめる際に最も頼りになるのが、補助金交付申請等手続きマニュアルです。
様式一式とあわせて実施支援室の公式ホームページのマニュアル・様式ページから入手できます。
メール申請の詳しい提出方法や提出先アドレスはマニュアルの14ページに記載されていますので、送信前に必ず該当箇所を開いて確認してください。
同ホームページにはQ&Aも掲載されており、判断に迷いやすい論点は先にここで解消しておくと申請がスムーズです。
既存住宅流通活性化緊急促進事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
この事業で求められるのは壮大な事業構想ではなく、対象住宅が実際に流通する見込みを具体的に示すことです。
周辺の成約事例や賃料相場、想定する買主・借主の層を数字で添えると、住宅が市場に戻る道筋が伝わります。
媒介契約の締結日や募集の開始時期を明記し、補助を受けた調査や補修がどの段階に組み込まれるのかを時系列で示すと説得力が増します。
若年・子育て世帯にとって手の届く価格帯になるという事業目的との接続にも、一文触れておくと文脈が整います。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
定額補助の制度であっても、案件の質を伝える努力が無駄になることはありません。
自社が持つ空き家所有者とのネットワーク、相続案件への対応実績、調査から補修までを一貫して手配できる体制などは具体的に書き出してください。
既存住宅状況調査技術者を社内に抱えているか、外部と連携するのかという違いも、事業を確実に進められる根拠として説明の材料になります。
他社では手が回らない築古物件や共同住宅の一室にも対応できるといった強みがあれば、それを前面に出す価値があります。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ補助がなければこの住宅が動かなかったのか、という事情を率直に書くことが出発点です。
調査費や補修費を誰が負担するかで交渉が止まっていた、といった実務の詰まりは審査側にも伝わりやすい論点です。
所有者の高齢化や相続の発生といった背景を具体的に記し、放置すれば遊休化が進んでいた住宅であることを示してください。
補助を使うことで市場に戻る住宅が1戸増えるという事実を、事業目的の言葉に重ねて説明すると筋が通ります。
実行体制を明記する
誰が何を担当するのかが曖昧なままでは、書類の整合性がすぐに崩れてしまいます。
申請者、住宅所有者、既存住宅状況調査技術者、補修工事の施工業者を一枚の図に整理し、補助金の交付先まで書き込んでおきましょう。
完了実績報告の提出期限である2026年12月25日17時から逆算した工程表を添えれば、期間内に確実に終えられることの裏づけになります。
補修前後の写真を誰がいつ撮影するのかまで決めておくと、報告段階で証憑が足りないという事故を防げます。
既存住宅流通活性化緊急促進事業の申請手順
- 実施支援室のホームページで補助金交付申請等手続きマニュアル(第3版)をダウンロードし、対象区域の市区町村一覧に物件所在地が含まれるかを確認します
- 対象住宅が空き家または今後遊休化が見込まれる住宅に該当するか、流通促進の取組の裏づけがあるかを整理します
- 既存住宅状況調査技術者を手配し、既存住宅状況調査方法基準に基づく調査を計画します
- リフォーム設計・提案や補修工事を行う場合は、その範囲と費用の見通しを立てます
- 申請方法をメール送信とJグランツのどちらにするかを決めます(買取再販住宅で調査を自社実施した場合はメール提出に限られます)
- Jグランツを使う場合は、GビズIDプライムのアカウントを取得します(新規登録は発行までに約2週間かかることがあります)
- マニュアル・様式ページから必要な様式をダウンロードし、必要事項を入力して提出書類一式を整えます
- 2026年11月30日17時必着で交付申請を提出します(受付期間内は随時受付ですが、予算上限に達すると終了します)
- 交付決定の通知を受けたのち、調査、リフォーム設計・提案、補修工事を実施し、補修前後の写真等の証憑をそろえます
- 2026年12月25日17時必着で完了実績報告を提出し、補助金の額の確定を受けます(年度途中で事業が完了した場合は完了後1か月以内に報告します)
既存住宅流通活性化緊急促進事業を自社で申請する際の注意点
最初につまずきやすいのが、対象区域の判断です。
首都圏や近畿圏といった圏域名だけを見て該当すると思い込むと、地価上昇の要件で外れていたという事態になりかねませんので、必ずマニュアルの市区町村一覧に当たってください。
次に見落とされがちなのが期限の二段構えで、交付申請は2026年11月30日17時必着、完了実績報告は2026年12月25日17時必着と別々に設定されています。
申請が受理されても、報告が期限に間に合わなければ補助金は確定しませんので、工事の発注時点で12月の工程まで押さえておく必要があります。
Jグランツで申請する場合はGビズIDプライムの発行に日数がかかりますので、申請を決めた段階で真っ先に手続を始めておくと安全です。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
住宅に関わる支援策は、国の事業と自治体の事業が層のように重なっています。
空き家の除却や改修に対する市区町村の補助と、この事業のような国の枠組みでは、対象も交付先も異なります。
国庫補助金どうしの重複が認められない以上、どの経費をどの制度に割り当てるかという最初の設計が受給額を大きく左右します。
複数制度を日常的に扱う専門家であれば、この振り分けを短時間で組み立てられます。
事業計画の質が上がる
現場に近い担当者ほど、物件の説明に紙面を割きすぎて制度の趣旨との接続が薄くなりがちです。
読み手が知りたいのは物件の詳細より、その住宅が確かに市場へ戻るという道筋のほうです。
外部の書き手が入ると、社内では説明不要だった前提が言葉になり、交付要綱の要件と噛み合った記述へ整えられます。
様式間で日付や金額が食い違っていないかという確認も、第三者の目が入ると取りこぼしが減ります。
採択後の実務まで見据えられる
この事業は交付申請で終わりではなく、交付決定、事業の実施、完了実績報告、額の確定と手続が続きます。
補修前後の写真のように、撮り直しがきかない証憑を工事の進行に合わせて残す必要がある点が特に厄介です。
補助事業に関する帳簿や証拠書類は交付規程に基づき一定期間の保存が義務づけられますので、最初から保管の仕組みを設計しておく価値があります。
変更申請が必要になる場面を先読みできる相手であれば、交付決定後の想定外にも落ち着いて対応できます。
既存住宅流通活性化緊急促進事業を不正受給するとどうなるのか
- 事実と異なる申請が招く交付決定の取消と返還
- 疑いを持たれないための証憑管理
事実と異なる申請が招く交付決定の取消と返還
この補助金は国費を財源としており、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の適用を受けます。
実施していない調査を実施したことにする、補修していない箇所を申請に含めるといった行為は、いずれも不正受給に当たります。
不正が認められた場合には交付決定が取り消され、受領済みの補助金は加算金を付して返還を求められることになります。
加えて、一定期間にわたり国の補助金を受けられなくなるほか、事業者名や不正の内容が公表される可能性もあり、宅地建物取引業者としての信用に長く影を落とします。
疑いを持たれないための証憑管理
意図的な不正でなくても、記録が薄ければ説明に窮するのが補助事業の難しいところです。
既存住宅状況調査の結果報告書、媒介契約書や募集の実施が分かる資料、補修前後の写真、工事の見積書と請求書、支払いの記録を一式そろえて保管してください。
写真は補修箇所ごとに、着工前と完了後を同じ画角で撮っておくことが、後から状況を説明するうえで最も確実な備えになります。
住宅所有者や施工業者とやり取りした経緯も日付とともに残しておくと、照会を受けた際に落ち着いて対応できます。
既存住宅流通活性化緊急促進事業のまとめ
既存住宅流通活性化緊急促進事業は、住宅価格が高騰する大都市圏で遊休住宅の流通を促すために、調査・設計・補修の費用を定額で支援する制度です。
補助額は既存住宅状況調査が5万円、リフォーム設計・提案が3万円、補修工事が1箇所5万円かつ1戸あたり上限15万円で、合計すると1戸あたり最大23万円になります。
申請できるのは宅地建物取引業者と既存住宅状況調査技術者で、対象区域は首都圏、近畿圏、中部圏、札幌・仙台・広島・福岡の各都市圏及びその周辺のうち、住宅地の一定の地価上昇が確認できる市区町村に限られます。
交付申請の受付は2026年3月23日に始まり、2026年11月30日17時必着で締め切られます。
完了実績報告の提出期限は2026年12月25日17時必着で、期限前に予算が上限に達した場合は受付が終了しますので、案件が固まった段階で早めに動くことが何よりの対策です。
様式とマニュアルは実施支援室の公式ホームページから、制度の要点はJグランツの公募詳細ページからそれぞれ確認できます。
動かせずに抱えている物件に心当たりがあるなら、調査から手を付けるという選択肢を所有者に示してみてはいかがでしょうか。
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