後継者の不在やM&Aの不成立に直面し、事業の継続に頭を悩ませる中小企業の経営者は年々増えています。
こうした場面で頼りになるのが、中小企業庁が所管する「事業承継・M&A補助金」の廃業・再チャレンジ枠です。
この枠は、M&A(事業の譲り渡し)に着手したものの成約に至らなかった中小企業者等が、円滑に会社をたたみ、次の挑戦へ踏み出すための費用を後押しする制度です。
補助上限額は300万円、補助率は2/3以内で、廃業に伴うさまざまな経費が補助の対象となります。
本記事では、対象となる方や対象経費、申請の手順から採択率を高めるコツまでを、はじめての方にもわかりやすく整理してお伝えします。
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の基本情報
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を対象者が活用すべき理由(メリット)
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を申請すべき人とそうでない人の特徴
- その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の申請に必要なもの
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の申請手順
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を自社で申請する際の注意点
- 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を不正受給するとどうなるのか
- 事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠のまとめ
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の基本情報
| 制度名 | 中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(15次公募)廃業・再チャレンジ枠 |
| 実施機関 | 事業承継・M&A補助金事務局(所管:中小企業庁) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象者 | M&Aに着手したが成約に至らなかった中小企業者等 |
| 対象業種 | 原則すべての業種 |
| 対象経費 | 廃業・再チャレンジに係る事業経費 |
| 補助上限額 | 300万円 |
| 補助率 | 2/3以内 |
| 申請期間 | 15次公募は2026年7月24日17時30分まで |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ) |
| 代理申請 | 可 |
| 公式サイト | 事業承継・M&A補助金 公式サイト |
補助金・助成金の正式名称
正式名称は「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(15次公募)廃業・再チャレンジ枠」です。
事業承継やM&Aを契機とした中小企業者等の新たな取り組みを支援する大きな枠組みの中に位置づけられており、廃業・再チャレンジ枠は「一度挑戦したが成約に至らなかった方」を対象とする点が特徴です。
対象都道府県・市区町村
対象地域は全国で、地理的な条件は設けられていません。
日本国内に拠点または居住地を置き、国内で事業を営んでいる中小企業者等であれば、地域を問わず申請できます。
実施機関
実施機関は事業承継・M&A補助金事務局で、制度全体は中小企業庁が所管しています。
申請の受付や審査、採択後の手続きは、この事務局を通じて一元的に行われます。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象となるのは、2020年以降にM&A(事業の譲り渡し)へ着手したものの、成約に至らなかった中小企業者等です。
廃業を予定している対象会社と、その議決権の過半数を持つ支配株主等が共同で申請する形が基本で、個人事業主の場合はその本人が単独で申請します。
対象業種
対象業種は幅広く、製造業や建設業、卸売業・小売業、サービス業など、原則としてほぼすべての業種が含まれます。
業種によって中小企業者等の資本金や従業員数の基準が異なるため、自社がどの区分に該当するかを公募要領で確認しておくことが大切です。
対象経費
対象経費は、廃業・再チャレンジに係る事業経費です。
具体的には、在庫処分費や解体・原状回復費、リース解約費、専門家への相談費用など、廃業に伴って生じる費用が想定されます。
その他要件
応募にあたっては、地域経済への貢献や法令遵守、事業化状況報告への対応など、公募要領に定められた複数の要件を満たす必要があります。
廃業・再チャレンジ枠を単独で申請する場合は、認定支援機関による再チャレンジ計画の確認を受けていることが要件となります。
補助対象外となるもの
反社会的勢力との関係がある事業者や、補助金交付等の停止措置を受けている事業者などは対象外となります。
また、申請者が自力でM&Aに着手したケースは対象外とされるため、支援機関を介した着手であることが求められます。
申請期間
15次公募の申請期限は2026年7月24日17時30分までです。
申請の集中による不備対応の遅れを避けるため、事務局は申請期日の5営業日前までの提出を推奨しています。
上限金額・助成額
廃業・再チャレンジ枠の補助上限額は300万円です。
廃業に伴う費用は想定以上にかさむこともあるため、上限300万円の支援は再スタートの資金負担を大きく軽くしてくれます。
補助率
補助率は2/3以内です。
たとえば対象経費が450万円かかった場合、最大で300万円まで補助を受けられる計算になります。
問い合わせ先
問い合わせ先は事業承継・M&A補助金事務局(専門家活用/廃業・再チャレンジ)で、電話番号は050-3145-3812です。
受付時間は平日9時30分から12時、13時から17時までで、土日祝日は対応していない点に注意が必要です。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の詳細や申請要件は、Jグランツの公募詳細ページで最新の情報を確認できます。
公募要領や交付規程などの一次資料は事業承継・M&A補助金の公式サイトに掲載されているため、申請前に必ず最新版の公募要領に目を通しておくことが重要です。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を対象者が活用すべき理由(メリット)
最大のメリットは、廃業に伴う費用の負担を大きく抑えられる点です。
会社をたたむ際には在庫処分や設備の撤去、原状回復などで思わぬ出費が重なりますが、その一部を補助でまかなえます。
さらに、この枠は単なる廃業支援ではなく、経営者が次の事業へ再挑戦することを後押しする制度である点も見逃せません。
負担を軽くしながら円滑に事業を整理できれば、精神的な余裕を持って次のステップへ進みやすくなります。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 支援機関を介してM&Aに着手したが、成約に至らず廃業を検討している中小企業者等
- 廃業後に新たな事業へ再挑戦する計画があり、認定支援機関の確認を受けられる方
- 在庫処分費や原状回復費など、廃業に伴う具体的な費用の見込みがある方
- 共同申請や必要書類の準備を、期限に余裕を持って進められる方
見送ったほうが良い人の特徴
- M&Aに着手しておらず、単に廃業だけを検討している方
- 自力でM&Aに着手し、支援機関を介していない方
- 再チャレンジの計画がなく、認定支援機関の確認を得られない方
- 申請期日直前で、書類準備や不備対応の時間を確保できない方
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金
- ものづくり補助金
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
廃業後の再チャレンジで新分野へ踏み出すなら、新市場や高付加価値事業への挑戦を支える新事業進出補助金が心強い選択肢になります。
設備投資を中心に比較的大きな金額の支援が想定されており、再スタートの事業計画と組み合わせやすい制度です。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
革新的な製品やサービスの開発に取り組む場合は、ものづくり補助金が有力です。
試作開発や生産プロセスの改善に必要な機械装置などが対象となり、技術力を武器に再起を図る経営者に向いています。
中小企業省力化投資補助金
人手不足に悩みながら事業を立て直したいときは、中小企業省力化投資補助金が役立ちます。
省力化につながる設備の導入を支援し、少人数でも回る体制づくりを後押ししてくれます。
小規模事業者持続化補助金
小規模な体制で再出発する場合は、小規模事業者持続化補助金が使いやすい制度です。
販路開拓や広報の取り組みを比較的少額から支援してくれるため、まず一歩を踏み出したい方に適しています。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
- gBizIDプライムのアカウント(Jグランツでの電子申請に必須)
- 事業計画書・再チャレンジに関する計画書
- 認定支援機関による確認書類
- 決算書や確定申告書など、事業者の実態を示す書類
- 個人事業主の場合は青色申告決算書の写しなど
- M&Aへの着手を示す契約書や相談記録
記載例はどこで確認できるか
記載例や申請様式は、公募要領や申請の手引きとあわせて事業承継・M&A補助金の公式サイトで公開されています。
公募回によって様式が更新されることがあるため、必ず最新の公募要領に付属する様式を使うようにしましょう。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
再チャレンジで狙う市場について、規模や成長性を数字を交えて描くと説得力が増します。
誰に、どのような価値を届けるのかを具体的に示すことで、計画の実現性が審査員に伝わりやすくなります。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
過去の経験や培った技術など、他社にはない自社の強みを整理して書き出しましょう。
競合と何が違うのかを明確にすることが、埋もれない計画書に仕上げる鍵になります。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜこの補助金が必要なのかを、廃業と再挑戦の文脈に沿って丁寧に説明します。
補助を受けることで円滑な廃業と次の挑戦が両立できるという筋道を示すと、支援の意義が伝わります。
実行体制を明記する
計画を誰がどのように進めるのか、支援機関との連携も含めて体制を明記します。
役割分担とスケジュールを具体化することで、絵に描いた餅ではないと判断してもらいやすくなります。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠の申請手順
- gBizIDプライムのアカウントを取得する
- 公募要領を読み込み、対象要件を満たすか確認する
- 支援機関と連携しながら事業計画書・再チャレンジ計画を作成する
- 認定支援機関の確認を受け、必要書類をそろえる
- Jグランツから電子申請を行う
- 事務局からの不備指摘があれば期限内に修正・対応する
- 審査を経て採択結果の通知を受け取る
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を自社で申請する際の注意点
まず気をつけたいのは、申請期日の直前に手続きが集中しやすい点です。
期日間際の申請では事務局による不備指摘や差戻しに対応しきれず、不採択になる恐れがあるため、5営業日前までの提出を心がけましょう。
次に、廃業・再チャレンジ枠は共同申請や認定支援機関の確認など、独自の要件がある点にも注意が必要です。
要件を一つでも満たさないと受け付けられないため、公募要領を読み合わせながら漏れなく準備することが大切です。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
補助金には数多くの種類があり、自社に最も合う制度を見極めるのは簡単ではありません。
専門家に相談すれば、廃業と再挑戦の状況に合った制度を的確に選んでもらえます。
事業計画の質が上がる
採択の可否は事業計画書の完成度に大きく左右されます。
審査の視点を熟知した専門家の助言を得ることで、説得力のある計画書に仕上げやすくなります。
採択後の実務まで見据えられる
補助金は採択されて終わりではなく、その後の実績報告や経費精算まで続きます。
採択後の手続きまで見据えて伴走してもらえると、事務負担を抑えながら着実に補助金を受け取れます。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠を不正受給するとどうなるのか
- 事業者名などが公表される可能性
- 不正を見つけたときの情報提供窓口
事業者名などが公表される可能性
虚偽の申請や経費の水増しなど不正が発覚した場合、補助金の返還に加えて加算金が求められることがあります。
中小企業庁や事務局のホームページで法人名や代表者名などが公表される場合もあるため、正確な申請を徹底しましょう。
不正を見つけたときの情報提供窓口
補助金の不正に関する情報は、事務局や所管する行政機関の窓口へ寄せることができます。
第三者からの情報提供をきっかけに調査が始まることもあるため、制度の趣旨に沿った適切な利用が欠かせません。
事業承継・M&A補助金 廃業・再チャレンジ枠のまとめ
事業承継・M&A補助金の廃業・再チャレンジ枠は、M&Aの不成立から円滑な廃業と再挑戦を目指す中小企業者等を支える制度です。
補助上限額は300万円、補助率は2/3以内で、15次公募の申請期限は2026年7月24日17時30分までとなっています。
要件や必要書類は細かく定められているため、Jグランツの公募詳細ページと事業承継・M&A補助金の公式サイトで最新の情報を確認しながら、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。
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