自社の技術やブランドを海外へ広げようとするとき、最初の関門になるのが外国特許庁への出願費用です。
出願手数料に加えて現地代理人への報酬や明細書の翻訳費が積み上がり、一か国だけでも数十万円規模になることは珍しくありません。
鹿児島県では、公益財団法人かごしま産業支援センターが特許庁の事業を活用し、県内中小企業者等の外国出願費用を肩代わりする制度を用意しています。
補助率は補助対象経費の2分の1以内、1企業あたり年度内総額300万円が上限で、募集期間は令和8年5月25日から令和8年11月13日17時必着です。
交付決定より前に外国出願してしまうと対象外になるため、スケジュールの組み立てが結果を左右します。
この記事では、かごしま産業支援センターが公開している令和8年度の募集要領とJグランツの公募情報をもとに、対象要件から申請手順までを順に整理していきます。
鹿児島県海外出願支援事業補助金の基本情報
| 正式名称 | 令和8年度 海外出願支援事業(中小企業等海外展開支援事業費補助金)/Jグランツ掲載名:【鹿児島県】令和8年度_中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業) |
| 対象地域 | 鹿児島県 |
| 実施機関 | 公益財団法人かごしま産業支援センター 産業振興課 |
| 対象者 | 鹿児島県内に主たる事業所を有する中小企業者、又は中小企業者が3分の2以上を占めるグループ(みなし大企業は対象外) |
| 対象業種 | 全業種(Jグランツ上は農業・林業、漁業、鉱業、建設業、製造業から医療・福祉まで全区分が登録。従業員数300名以下) |
| 対象となる出願 | 特許・実用新案・意匠・商標(抜け駆け対策商標を含む)の外国出願。日本国特許庁への出願と同一内容であること |
| 対象経費 | 外国特許庁等への納付手数料、外国出願に係る国内代理人・現地代理人費用、翻訳費用 |
| 上限金額 | 1企業(1グループ)あたり年度内総額300万円。1出願あたり特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、抜け駆け対策商標30万円 |
| 補助率 | 補助対象経費の2分の1以内(千円未満の端数は切捨て、消費税及び地方消費税は対象外) |
| 募集期間 | 令和8年5月25日(月曜日)~令和8年11月13日(金曜日)17時必着 |
| 事業完了期限 | 令和9年2月15日(月曜日)までに外国出願を完了し、実績報告書を提出できる見込みであること |
| 申請方法 | 申請書類一式(原本1部+コピー6部の計7部)を郵送・宅配便・持込で提出し、申請書のWord版を電子メールで送信。Jグランツを併用する場合も郵送が必要 |
| 問い合わせ先 | 公益財団法人かごしま産業支援センター 産業振興課(〒892-0853 鹿児島市城山町1番24号 鹿児島県中小企業会館4階/TEL:099-219-1272/FAX:099-219-1279/E-mail:ikusei@kisc.or.jp) |
| 支払方式 | 原則精算払い(実績報告→額の確定→間接補助金請求書の提出を経て支払い) |
補助金・助成金の正式名称
かごしま産業支援センターが公開している募集要領の表題は「令和8年度 海外出願支援事業 募集要領(中小企業等海外展開支援事業費補助金)」です。
Jグランツ上では「【鹿児島県】令和8年度_中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」という表記で掲載されています。
名称に「中小企業等海外展開支援事業費補助金」とあるとおり、原資は特許庁の補助金で、かごしま産業支援センターが県内向けの窓口として間接補助を行う二段構えの仕組みです。
そのため申請の実務は「間接補助金交付申請書」という名称の様式で行い、経済産業省の実施要領にも従うことになります。
現場では単に「外国出願補助金」と呼ばれることが多く、センターのチラシにもその通称が使われています。
年度ごとに募集要領が改訂されるため、過年度の様式や要件をそのまま流用しないよう気をつけてください。
対象都道府県・市区町村
対象地域は鹿児島県で、市町村による区分けはありません。
鹿児島市はもちろん、霧島市、鹿屋市、薩摩川内市、さらに奄美群島や種子島・屋久島の事業者も同じ条件で申請できます。
判断の基準は「鹿児島県内に主たる事業所を有すること」であり、県外に本社を置いて県内に支店だけを構える企業は要件を満たしません。
出願先となる外国側については地域の制限がなく、パリ条約加盟国のほか台湾のようにWTO協定を通じて優先権主張ができる国も含まれます。
県外に本社がある企業や県内に事業所を持たない事業者は、INPITが全国を対象に実施している外国出願補助金の利用を検討する流れになります。
実施機関
実施機関は公益財団法人かごしま産業支援センターの産業振興課で、募集から審査、交付決定、精算までを担当します。
窓口は鹿児島市城山町1番24号の鹿児島県中小企業会館4階にあり、申請書類の提出先も同じ住所です。
センターは補助金業務のほか、取引あっせん、経営相談、産学官連携の橋渡しなど県内中小企業の支援全般を手がけています。
採択の可否は、センターが設置する審査委員会での審議を経て決定され、結果は文書で申請者に通知されます。
審査の経過や内容についての問い合わせには一切応じない運用になっているため、不採択となった場合も理由の照会はできません。
補助決定を受けると、申請企業名、所在地の市町村名、出願権利種別が公表される点もあらかじめ承知しておく必要があります。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象となるのは、鹿児島県内に主たる事業所を有し、中小企業支援法第2条第1項第1号から第3号の要件に該当する中小企業者です。
中小企業者で構成されるグループも申請でき、その場合は構成員のうち中小企業者が3分の2以上を占めていることが条件になります。
資本金と従業員数の基準は業種ごとに分かれており、製造業・建設業・運輸業・ソフトウェア業・情報処理サービス業その他は3億円以下又は300人以下です。
卸売業は1億円以下又は100人以下、小売業は5,000万円以下又は50人以下、サービス業は5,000万円以下又は100人以下と定められています。
ゴム製造業は3億円以下又は900人以下、旅館業は5,000万円以下又は200人以下という特例枠も設けられています。
大企業が実質的に経営へ参加している「みなし大企業」は対象外で、発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が持つ場合や、直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える場合などが該当します。
加えて、外国特許庁への出願とその基礎になる国内出願の出願人名義が同一であること、暴力団等に該当しないこと、事業完了後5年間のフォローアップ調査に協力できることも要件に含まれます。
なお、Jグランツの公募情報では地域団体商標の外国出願について商工会議所、商工会、NPO法人等も対象になると案内されています。
対象業種
Jグランツの公募情報では、農業・林業から医療・福祉まで日本標準産業分類の全区分が対象業種として登録されています。
業種そのものによる足切りはなく、実質的な線引きは前項の資本金・従業員数の基準と、みなし大企業に当たらないかどうかで行われます。
従業員数の上限はJグランツ上で300名以下と示されていますが、卸売業や小売業のように業種別の基準がより低く設定されている場合はそちらが優先されます。
実際の申請では、特許や実用新案を扱う製造業と、商標を扱う食品・飲料メーカーや焼酎蔵などが中心になりやすい制度です。
サービス業やソフトウェア業であっても、日本国特許庁への出願を済ませていれば同じ土俵で申請できます。
対象経費
補助対象経費は3つの区分に整理されており、いずれも交付決定日以降に発注し、令和9年2月15日までに支出したものに限られます。
1つ目は外国特許庁等への納付手数料で、パリルート等で出願した外国の出願手数料が中心です。
PCT国際出願を各指定国の国内段階へ移行する際の手数料や、ハーグ・マドプロ出願におけるWIPOへの出願手数料も含まれます。
審査請求料、優先権主張料、補正料、出願維持年金についても、出願料と同時に支払える費用であれば対象です。
2つ目は代理人費用で、外国出願に係る国内代理人費用と現地代理人費用の双方が計上できます。
振込手数料や送金手数料、公証人証明書申請費用・委任状作成費用のように出願国の制度上必要と認められる経費も、この区分に入ります。
3つ目は翻訳費用で、請求書等に「1WORDの単価×WORD数」といった内訳を明示することが求められます。
なお、源泉所得税については補助対象経費として問題ないことが募集要領で明記されています。
その他要件
補助対象となるのは、交付申請書の提出時点で既に日本国特許庁へ出願済みの案件と同一内容で行う外国出願です。
出願の方法は4つ用意されており、パリ条約等に基づく優先権主張を伴う出願、特許協力条約に基づくPCT出願の国内段階移行、ハーグ協定に基づく意匠出願、マドリッド協定議定書に基づく商標出願が該当します。
商標登録出願については優先権主張が必須ではなく、基礎となる国内出願と一定の関係があれば認められます。
その関係は募集要領の別紙で5つに整理されており、フォントや縦横の変更、英語や現地語への翻訳、指定商品・指定役務の一部削除などが具体的に列挙されています。
出願業務を依頼する国内の選任弁理士等の協力が得られることも要件で、選任弁理士に依頼しない場合は同等の経理関係書類を自らの責任で提出できる旨を申請書に記載する必要があります。
申請書類の作成を報酬を得て代理できるのは行政書士又は行政書士法人に限られる点も、行政書士法第19条との関係で注意が必要です。
審査では加点措置が設けられており、地域未来牽引企業であること、賃上げを実施すること、ワーク・ライフ・バランスを推進する企業であることの3項目が対象になります。
賃上げの加点を申告する場合は、給与総額又は一人あたり平均受給額を前年度比2.5%以上引き上げる旨の表明書を提出し、期間終了後に実績を証明する書類を出すことになります。
補助対象外となるもの
先行技術調査に係る費用は、申請の添付書類として調査結果の提出が必要であるにもかかわらず補助対象にはなりません。
本補助金の申請書作成に関わる代理人費用も対象から外れます。
国内消費税、海外での付加価値税やサービス税といった税相当分も計上できません。
一度外国特許庁に出願料を支払った後に追加で発生した費用、たとえば出願後の自発の補正や中間手続きの経費、出願と同日の手続きではない審査請求料・登録料・維持年金なども対象外です。
PCT国際出願のうち国際段階の手数料は、国際出願手数料、取扱手数料、調査手数料、送付手数料、予備審査手数料のいずれも認められません。
日本国特許庁に支払う印紙代と、権利設定に係る費用(設定登録料など)も補助の対象外であり、あくまで「出願まで」を支える制度だと理解しておくことが大切です。
交付決定前に外国出願した案件そのものが対象にならない点も、経費区分と並んで最も注意すべき除外事由です。
申請期間
令和8年度の受付期間は、令和8年5月25日(月曜日)から令和8年11月13日(金曜日)17時必着です。
Jグランツ上の受付終了日時も2026年11月13日17時00分として登録されており、公式サイトの記載と一致しています。
「必着」であるため、郵送の場合は消印ではなく到着の時刻が基準になります。
募集要領には「申請をご検討の場合は、早めにその旨のご連絡・ご相談ください」と明記されており、締切直前の駆け込みを想定していない運用です。
採択後は令和9年2月15日(月曜日)までに外国特許庁への出願を完了させ、実績報告書を提出できる見込みであることが条件になります。
実績報告は事業完了後30日以内か令和9年2月15日のいずれか早い日までに提出する決まりです。
審査期間と、交付決定後に代理人が出願手続を進める期間を逆算すると、実質的な申請の適期は秋口までと考えておくのが現実的です。
上限金額・助成額
補助限度額は1企業(1グループ)あたり総額300万円で、複数案件を申請した場合の年度内合計額として設定されています。
1出願あたりの上限は権利の種類ごとに分かれており、特許出願は150万円です。
実用新案・意匠・商標の登録出願はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標の登録出願は30万円が上限になります。
これらの金額はいずれも消費税及び地方消費税を除いた額です。
上限額は年度ごとの枠として扱われ、過去に採択された案件の補助額と合算されない仕組みになっています。
申請額がそのまま通るわけではなく、審査結果等により減額して交付決定されることがあります。
他の事業者と共同で外国出願する場合は、自社の持ち分比率に応じた額が補助対象経費となり、その範囲も自社が実際に負担した額までに限られます。
補助率
補助率は補助対象経費の2分の1以内で、企業規模や権利の種類による差はありません。
算定にあたっては千円未満の端数を切り捨てて処理されます。
たとえば特許出願で対象経費が400万円かかった場合、2分の1は200万円ですが、1出願あたりの上限150万円が適用されて交付額は150万円になります。
特許1件で上限の150万円を満額受け取るには消費税を除いた対象経費が300万円以上必要になる計算で、実務上は複数国への出願をまとめて申請するケースが多くなります。
残りの2分の1は自己負担であり、募集要領でも外国出願に必要な資金能力と資金計画を有していることが選定基準に挙げられています。
支払いは精算払いであるため、代理人への報酬や現地手数料はいったん全額を自社で立て替える前提で資金繰りを組む必要があります。
問い合わせ先
問い合わせと申請書類の提出先は、公益財団法人かごしま産業支援センターの産業振興課です。
所在地は〒892-0853 鹿児島市城山町1番24号、鹿児島県中小企業会館の4階にあります。
電話番号は099-219-1272、FAX番号は099-219-1279、電子メールアドレスはikusei@kisc.or.jpです。
Jグランツの公募情報には担当者名として小村氏の記載があり、申請前の相談先が明確になっています。
出願計画が要件に合うかどうかは自己判断が難しい領域なので、国内出願を済ませた段階で一度センターへ連絡しておくと、書類づくりの手戻りを大きく減らせます。
なお、全国を対象とした同種の制度についてはINPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)が窓口となり、電話番号は03-3581-1101です。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の概要、募集要領、様式、よくある質問はかごしま産業支援センターの令和8年度海外出願支援事業の募集ページにまとめられています。
受付期間、補助対象企業の6要件、対象経費一覧、加点項目、採択後の流れまでを収めているのが令和8年度の募集要領(PDF)です。
公募の受付状況や電子申請の入口はJグランツの公募詳細ページから確認できます。
最初に確認したいのは、自社の国内出願がどの出願ルートに乗るのかという点で、パリルート、PCT、ハーグ、マドプロのいずれを選ぶかによって必要書類も費用構成も変わります。
募集要領と同じページで配布されている「よくある質問」には、みなし大企業の判定や対象出願の可否がQ1からQ24まで具体例つきで整理されています。
経済産業省の実施要領も同ページからダウンロードできるので、県の要領と国の要領を突き合わせて確認しておくと安心です。
鹿児島県海外出願支援事業補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)
外国出願の費用は、国内出願とは桁が変わります。
明細書の英訳だけで数十万円、現地代理人への報酬と各国特許庁への納付料を合わせれば、一か国につき100万円前後に達することも珍しくありません。
この制度は、その半額を県内中小企業が負担せずに済む設計になっています。
しかも上限は年度内総額300万円と幅があり、複数国・複数権利をまとめて出願する計画にも対応できます。
とりわけ効果が大きいのは、海外で自社ブランドを第三者に先取り出願されるリスクへの備えで、抜け駆け対策商標という独立した枠が設けられている点は見逃せません。
県産の焼酎や食品、農水産加工品のように海外での模倣が起こりやすい分野では、権利化の遅れがそのまま販路の喪失につながります。
また、賃上げやワーク・ライフ・バランス推進の取組が加点として評価されるため、日ごろの人事施策を採択に結びつけられる点も実利があります。
県内窓口が審査から精算まで一貫して担当するので、国の大型補助金に比べて相談のハードルが低いことも中小企業には働きやすい条件です。
鹿児島県海外出願支援事業補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 鹿児島県内に主たる事業所を構え、日本国特許庁への特許・実用新案・意匠・商標の出願を既に済ませている中小企業者
- 優先権の期限が近づいており、年度内に複数国へ外国出願する計画が固まっている事業者
- 海外で自社ブランドの模倣や第三者による先取り出願の兆候をつかみ、抜け駆け対策商標の出願を急ぎたい事業者
- 県産品の輸出や海外での製造委託を計画しており、権利を押さえたうえで交渉に臨みたい事業者
- 外国出願業務を依頼できる国内の選任弁理士等と、すでに協力関係を築いている事業者
- 県税の納税証明書と直近2期分の決算書、先行技術調査結果をすぐに用意できる事業者
- 地域未来牽引企業の認定、えるぼし・くるみん等の認定、2.5%以上の賃上げ計画のいずれかを持つ事業者
- 交付決定を待ってから出願し、令和9年2月15日までに実績報告まで終えられる工程を組める事業者
見送ったほうが良い人の特徴
- 県外に主たる事業所があり、鹿児島県内には支店や営業所しか持たない企業(全国版のINPIT外国出願補助金が選択肢になります)
- 発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が保有しているなど、みなし大企業に該当する事業者
- 日本国特許庁への出願をまだ行っておらず、基礎となる国内出願が存在しない事業者
- 交付決定を待たずに外国出願を済ませてしまった、あるいは年内すぐに出願する必要がある事業者
- 外国特許庁への出願と国内出願の出願人名義が異なっている事業者
- 権利設定登録料や中間手続きの費用など、出願後に発生する経費だけを補助してほしいと考えている事業者
- 先行技術調査の結果から、外国での権利取得の可能性が明らかに否定される案件しか持っていない事業者
- 外国出願に必要な資金を立て替える余力がなく、精算払いに耐えられない事業者
- 事業完了後5年間のフォローアップ調査への協力が難しい事業者
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
これまで手がけてこなかった市場や製品分野へ本格的に軸足を移す企業を、まとまった金額で支える枠組みです。
国内向けの受託加工に徹してきたメーカーが、自社ブランド品を開発して海外市場へ打って出るといった転換が典型例にあたります。
付加価値額や給与支給総額の伸び率について事業計画で目標を掲げる必要があり、達成できなかった場合には補助金の返還を求められることがあります。
公募回ごとに要件が細かく変わる制度なので、着手を決めた段階で最新の公募要領に当たり直してください。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
新しい製品やサービスを世に出すために必要な機械装置、システム構築費を対象とする制度です。
海外出願支援事業が権利化の費用を賄うのに対し、こちらは権利のもとになる製品そのものを作る設備に手が届きます。
こちらも交付決定前の発注は認められない仕組みなので、両制度を並行して使う場合は決定通知の時期を軸に発注順序を組み立てる必要があります。
補助率と上限額は従業員規模や賃上げの取組状況によって段階が分かれています。
中小企業省力化投資補助金
人手をかけていた工程を機械やソフトウェアに置き換える投資を後押しする制度です。
輸出向けの生産体制を整える場面では、検査工程の自動化や在庫管理システムの刷新などが検討対象になります。
カタログ掲載製品から選ぶ方式は申請書類が軽く済む一方、導入後は労働生産性の向上状況を定期的に報告し続ける義務が伴います。
申請前の作業時間と人員配置を数値で記録しておけば、その後の報告作業がかなり楽になります。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際の、幅広く使える定番の制度です。
海外の展示会への出展、多言語対応のウェブサイト制作、輸出向けパッケージのリニューアルなどに充てられます。
申請には商工会又は商工会議所が発行する事業支援計画書が欠かせず、発行まで日数を要するので締切から逆算した早めの相談が必要です。
補助額は大きくありませんが、権利を押さえた製品を実際に売り込む段階と相性のよい制度といえます。
鹿児島県海外出願支援事業補助金の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
- 間接補助金交付申請書【様式第1-1】(特許・実用新案・意匠・商標用)又は【様式第1-2】(抜け駆け対策商標用)/かごしま産業支援センターのページからダウンロード
- 協力承諾書【様式第1-1の別紙】又は【様式第1-2の別紙】/国内代理人から申請者へ提出されたものの写しをセンターへ提出。選任代理人に依頼しない場合は不要
- 特許出願非公開制度に関する自己確認書/特許出願の場合に必要
- 登記簿謄本等の写し/法務局で取得。最新情報が記載されたもの
- 会社の事業概要/会社パンフレット等で代用可能
- 役員等名簿【様式第1-1の別添】又は【様式第1-2の別添】/登記簿謄本記載の役職名を転記して作成
- 直近2期分の決算書(貸借対照表及び損益計算書)の写し/個人事業主は確定申告書の控え。創業2年未満は預金残高証明書等で代替
- 基礎となる国内出願にかかる出願書類/願書、明細書、請求の範囲、図面、要約、受領書など出願日・出願番号・内容が確認できるもの
- 見積書の写し/国別・費目別(外国特許庁費用、現地代理人費用、国内代理人費用、翻訳代)に金額を明記し、翻訳は受注者と単価も記載
- 資金計画書/自己資金・借入金等の内訳を記載
- 先行・類似技術調査の結果/J-PlatPatやTM-viewの検索結果の写しで代用可能。国際調査報告書がある場合はそれで代替可
- 共同出願の場合の持分割合・費用負担割合が分かる契約書等の写し
- 県税の納税証明書(県税の未納がない証明)/応募日から起算して3か月以内に発行されたもの
- 加点項目の申告書/地域未来牽引企業の認定証、賃金引上げ計画の表明書、えるぼし・くるみん等の認定書の写しを添付
- 実績報告書【実施要領様式第6】/事業完了後30日以内又は令和9年2月15日のいずれか早い日までに提出
- 間接補助金請求書【実施要領様式第7】/額の確定通知を受けた後に提出
記載例はどこで確認できるか
申請書の記載例は、様式と同じくかごしま産業支援センターのページで配布されています。
【様式第1-1】については特許の記載例、【様式第1-2】については商標の記載例が用意され、権利の種類に応じて参照先を選べるようになっています。
資金計画書についても【様式第1-1、2の添付書類7】の記載例が別途公開されています。
記入で最もつまずきやすいのは申請書の「9.間接補助金交付申請額(内訳)」で、経費区分ごと・出願国ごとに計算過程と補助対象の可否が分かるように書き込む必要があります。
見積書の側もこの内訳と対応する形で作ってもらわないと、審査の段階で照合ができません。
為替レートは確定した申請額を超える支払いができない前提で、変動を織り込んで設定しておくことが実務上の要点になります。
判断に迷う論点は、募集要領と同時に配布されている「よくある質問」のQ7からQ24あたりに集約されているので、様式に手をつける前に一読しておくと効率的です。
鹿児島県海外出願支援事業補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
選定基準には「外国で権利が成立した場合等に当該権利を活用した事業展開を計画していること」が挙げられており、出願そのものより出願後の絵が問われます。
出願先の国を選んだ理由を、その国での需要規模や既存の取引実績と結びつけて説明すると、選定の妥当性が伝わります。
現地の代理店候補やバイヤーとの商談履歴、展示会での引き合い件数といった事実を添えると、計画が構想段階を抜けていることを示せます。
権利成立後の売上見込みを年度別に置いておけば、審査項目の事業性についても答えたことになります。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
審査では、新規性・進歩性・創作性等の観点から出願案件が優位性を持つかどうかが見られます。
先行技術調査の結果を単に添付するのではなく、ヒットした近い技術と自社の出願がどこで分かれるのかを本文で説明しておきましょう。
商標の場合は、J-PlatPatやTM-viewの検索結果をもとに、出願予定国で識別力が認められる見込みがある根拠を示すことが説得材料になります。
申請書にはアピールポイントをできるだけ具体的に記載するよう募集要領が求めているので、遠慮せず書き込むほうが有利に働きます。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
補助を求める理由は、翻訳費と現地代理人費用が先に出ていくのに、権利化の効果が売上に現れるのは数年後だという時間差にあります。
補助がある場合とない場合で、出願できる国の数や権利の種類がどう変わるかを書き分けると、必要性の輪郭がはっきりします。
制度の目的が「中小企業の戦略的な外国出願を促進すること」にある以上、場当たり的な出願ではなく知財戦略の一環であることを示すのが最も効きます。
商標であれば、現地での模倣品や類似表示の実例を挙げて、先取り出願を防ぐ緊急性を語ることもできます。
実行体制を明記する
選定基準には資金能力と資金計画を有していることが明記されており、体制の説明はここに直結します。
国内の選任弁理士、現地代理人、翻訳会社のそれぞれについて、担当範囲と見積根拠を一覧にしておくと分かりやすくなります。
令和9年2月15日という事業完了期限から逆算し、交付決定、出願手続、請求書の受領、支払い、実績報告までを月単位で並べた工程表を添えると実現性が伝わります。
社内で知財を担当する人員と、代理人とのやり取りを誰が受け持つのかまで書いておけば、採択後の進行に不安がないことを示せます。
鹿児島県海外出願支援事業補助金の申請手順
- 日本国特許庁への出願(特許・実用新案・意匠・商標)を済ませ、出願日と出願番号を確認します。
- 出願先の国と、パリルート・PCT・ハーグ・マドプロのいずれのルートで進めるかを決めます。
- かごしま産業支援センターの募集ページから令和8年度の募集要領、よくある質問、実施要領をダウンロードして目を通します。
- 主たる事業所が県内にあるか、みなし大企業に当たらないかなど、補助対象企業の要件を確認します。
- 産業振興課へ電話又はメールで事前に連絡・相談します(募集要領でも早めの相談が推奨されています)。
- 国内の選任弁理士等に協力を依頼し、協力承諾書を発行してもらいます。
- 国別・費目別の内訳を明記した見積書を代理人等から取得します。
- J-PlatPat等で先行・類似技術調査を実施し、結果を書面にまとめます。
- 間接補助金交付申請書【様式第1-1】又は【様式第1-2】と、資金計画書、役員等名簿を作成します。
- 県税の納税証明書(応募日から3か月以内発行)、登記簿謄本等の写し、直近2期分の決算書を用意します。
- 加点項目を申告する場合は、認定証の写しや賃金引上げ計画の表明書を添えます。
- 書類をA4サイズにそろえ、原本1部とコピー6部の計7部をクリップ留めにします(ホチキス止め・インデックスは不可)。
- かごしま産業支援センター産業振興課へ郵送、宅配便、又は持込で提出します(令和8年11月13日17時必着)。
- 申請書のWord版をikusei@kisc.or.jp宛てに電子メールで送信します。
- 審査委員会の審議を経て、審査結果が文書で通知されます。
- 交付決定後に外国出願の手続を代理人へ依頼します(決定前の出願は対象外です)。
- 代理人からの請求に基づき外国出願経費を支払い、令和9年2月15日までに出願を完了させます。
- 事業完了後30日以内又は令和9年2月15日のいずれか早い日までに実績報告書【様式第6】等を提出します。
- センターによる確認を経て、補助金の額が確定します。
- 額の確定後に間接補助金請求書【様式第7】を提出し、補助金の支払いを受けます。
鹿児島県海外出願支援事業補助金を自社で申請する際の注意点
最も避けたいのは、交付決定を待たずに外国出願を済ませてしまうことです。
優先権の期限が迫っているとどうしても先に手続を進めたくなりますが、決定前に出願した案件は要件を満たしていても対象外になります。
次に気をつけたいのが提出部数と綴じ方で、原本1部とコピー6部の計7部をA4サイズでそろえ、クリップ留めにするという指定があります。
ホチキス止めやインデックス付けは避け、出願書類の写しが多い場合は両面コピーにするよう求められています。
Jグランツから電子申請しただけでは受付とならず、機密内容を含む書類は郵送のみの受付となるため、必ず郵送と併用しなければなりません。
県税の納税証明書は応募日から3か月以内に発行されたものが必要で、取得が遅れると期限に間に合わなくなる恐れがあります。
為替の変動も見落としがちな要素で、確定した補助金申請額を超える分は支払われないため、見積時のレートには余裕を持たせておくのが安全です。
出願国を変更するような計画変更は事前に承認申請が必要で、提出した申請書類は採択の可否にかかわらず返却されない点もあわせて覚えておいてください。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
外国出願を支える公的支援は、県の窓口を通すものと全国版のINPIT外国出願補助金が並存しています。
要件も上限額も締切も異なるため、自社の出願計画がどちらに乗るかで受け取れる額が変わってきます。
弁理士や中小企業診断士に相談すれば、出願は県の制度、製造設備は国の制度といった役割分担まで含めて設計してもらえます。
相談に行く前に、国内出願の出願番号と出願先候補の国、概算費用をメモにまとめておくと初回から具体的な話ができます。
事業計画の質が上がる
この制度の審査は、権利の優位性、事業性、資金力という3つの軸で行われます。
自社だけで書くと技術説明に紙幅を使いすぎ、海外での事業展開や資金計画の記述が手薄になりがちです。
第三者が入ると3つの軸に過不足なく配分でき、出来上がった書類はそのまま海外パートナーへの提案資料としても使えます。
弁理士に依頼していれば、先行技術調査の読み解きや優位性の言語化についても専門的な支援を受けられます。
採択後の実務まで見据えられる
交付決定の後には、出願手続、経費の支払い、実績報告、額の確定、請求という一連の流れが待っています。
現地代理人からの請求書は外貨建てで届くことが多く、証拠書類として整えるには一定の慣れが要ります。
出願国の変更のような計画変更は着手前に計画変更承認申請書を出して承認を得る必要があり、この順序を外すと精算の段階で経費が認められなくなります。
事業完了の翌年度から5年間は関係資料の保管義務があるため、書類の管理方法も早めに決めておくと後が楽になります。
鹿児島県海外出願支援事業補助金を不正受給するとどうなるのか
- 虚偽申請が判明したときに待っている措置
- 誓約事項に反した場合の取扱いと、気づいたときの動き方
虚偽申請が判明したときに待っている措置
この補助金の原資は特許庁の中小企業等海外展開支援事業費補助金で、運用は経済産業省の実施要領とかごしま産業支援センターの募集要領に基づいています。
募集要領の留意事項には、交付決定の条件不履行、補助金の目的外使用、虚偽申請等の不正事由が発覚した場合、交付決定を取り消すことがあると記されています。
すでに補助金が支払われていれば返還義務が生じます。
見積額を水増しして請求する、実際には発生していない翻訳費を計上する、対象外である権利設定登録料を紛れ込ませるといった行為は、いずれもこの不正事由に当たります。
国費を原資とする以上、金額の多寡にかかわらず厳格に扱われるという前提で臨む必要があります。
誓約事項に反した場合の取扱いと、気づいたときの動き方
実施要領には暴力団排除に関する誓約事項が定められており、これに違反した場合も交付決定の取消し対象になります。
加点項目として賃上げを表明しながら実行されていなかった場合も、実施要領の規定に基づき交付決定の取消しと補助金の返還につながる可能性があります。
申請時や報告時に提供した情報は、審査・管理・確定・精算の各段階で照合されるほか、政策の効果検証のために経済産業省や委託先へ提供されることがあります。
記載の誤りや計画のずれに気づいたときは、隠さずセンターへ連絡し、計画変更承認申請や取下げの手続を取ることが結果的に自社を守る対応になります。
事業が期間内に完了しない見込みになった場合も、速やかに報告して指示を受けるよう募集要領で求められています。
鹿児島県海外出願支援事業補助金のまとめ
令和8年度の海外出願支援事業は、鹿児島県内の中小企業者等が行う特許・実用新案・意匠・商標の外国出願費用を、公益財団法人かごしま産業支援センターが半額まで支える制度です。
補助率は補助対象経費の2分の1以内、上限は1企業あたり年度内総額300万円で、1出願あたりは特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、抜け駆け対策商標30万円と定められています。
対象経費は外国特許庁等への納付手数料、国内・現地代理人費用、翻訳費用の3区分で、先行技術調査費用や権利設定登録料は含まれません。
募集期間は令和8年5月25日(月曜日)から令和8年11月13日(金曜日)17時必着で、Jグランツから申請する場合も郵送との併用が必要です。
交付決定より前に外国出願した案件は対象にならないため、優先権の期限と審査期間を見比べた工程管理が採否を分けます。
要件、様式、よくある質問はかごしま産業支援センターの募集ページから、経費区分や加点項目を含む全文は令和8年度の募集要領(PDF)から確認できます。
受付状況や電子申請の入口はJグランツの公募詳細ページで確かめられます。
まずは国内出願の状況を整理し、産業振興課へ早めに相談したうえで、代理人からの見積取得と県税納税証明書の手配から動き出すのが確実な進め方です。
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