工場や本社の新設は、建物と設備にまとまった資金を投じたあと、毎年の固定資産税という形で負担が続いていきます。
京都府京都市は、その税負担そのものを補助金として企業に戻すという珍しい仕組みを用意しています。
それが京都市企業立地促進制度補助金[本社・工場等新増設等支援制度]です。
家屋と償却資産に課される固定資産税・都市計画税相当額の100%から150%を、中小企業者なら最長3年間、上限1億円まで受け取れます。
対象となるのは製造業、ソフトウェア業、情報処理サービス業を営む企業で、市内での本社機能を有する事業所、工場、開発拠点、研究所の新増設等が支援の対象です。
この記事では、事業要件と設備投資額のライン、企業区分ごとの補助率と交付年数、そして着工前に済ませなければならない申請の段取りを、Jグランツの公募情報と京都市の交付要綱に沿って整理します。
京都市企業立地促進制度補助金の基本情報
| 正式名称 | 京都市企業立地促進制度補助金[本社・工場等新増設等支援制度] |
| 対象地域 | 京都府京都市 |
| 実施機関 | 京都市 産業観光局 企業誘致推進室 |
| 対象者 | 主たる事業として製造業、ソフトウェア業または情報処理サービス業を営み、あるいは営もうとしている中小企業者、大企業者または海外企業(会社) |
| 対象業種 | 製造業、情報通信業(ソフトウェア業・情報処理サービス業) |
| 従業員数の上限 | 制約なし |
| 対象経費 | 本社・工場等の新増設等に伴い取得した家屋および償却資産(土地を除く)に係る固定資産税・都市計画税相当額、埋蔵文化財発掘調査に要した経費、要件を満たす常時雇用者・役員に係る市内居住者支援 |
| 対象事業の要件 | 市内で本社機能を有する事業所、工場、開発拠点または研究所の新増設等(賃借を含む)を行い継続して操業・営業すること、生産等設備取得額が中小企業者1,000万円以上・大企業者2,500万円以上、対象事業所の常時雇用者が5人以上、市内の常時雇用者総数が指定申請日から増加しているか生産性向上に資する投資と1人以上の新規雇用を行うこと |
| 対象外 | 暴力団員等・暴力団密接関係者、性風俗関連特殊営業およびそれらに類似する業種を営む者、営業に必要な認可等を取得していない者、市町村税を滞納している者、本市の信頼性・公平性を損なうおそれがある者。経費では土地に係る税額、設備更新のみの投資、試掘調査費および消費税等 |
| 申請期間 | 本社・工場等の新増設等の工事に着手する日まで(Jグランツの公募情報では着工日の30日前までに指定申請書の提出が必要と案内。Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日23時59分) |
| 上限金額 | 固定資産税・都市計画税相当額の補助が最大1億円(大企業者は常時雇用者の増加数に応じて500万円から1億円)、埋蔵文化財発掘調査費の補助が最大2,500万円、市内居住者支援が最大2,500万円 |
| 補助率 | 中小企業者は固定資産税・都市計画税相当額の100%~150%、大企業者は50%~75%。埋蔵文化財発掘調査費は調査に要した経費の50% |
| 交付年数 | 中小企業者Aが3年間、中小企業者Bが2年間、大企業者が1年間 |
| 申請方法 | 補助対象事業指定申請書(第1号様式)等を京都市産業観光局企業誘致推進室へ提出(Jグランツでの電子申請受付は行っていない) |
| 問い合わせ先 | 京都市 産業観光局 企業誘致推進室(電話075-222-4239/ファックス075-222-3331/メールkigyoyc@city.kyoto.lg.jp) |
補助金・助成金の正式名称
正式な名称は「京都市企業立地促進制度補助金[本社・工場等新増設等支援制度]」です。
京都市企業立地促進制度補助金という枠組みは、本社・工場等新増設等支援制度、市内初進出支援制度、お試し立地支援制度の3つで構成されています。
本社・工場等新増設等支援制度は交付要綱の第2章(第4条から第6条)に置かれており、3つの中で最も投資規模が大きく、補助額も最も大きい中心的な制度です。
京都市の公式サイトでは、同じ固定資産税・都市計画税相当額を補助する京都型グローバル・ニッチ・トップ企業育成補助金と1つのページで案内されています。
適用される交付要綱は令和8年4月1日施行のもので、同日以後の指定申請から適用されます。
対象都道府県・市区町村
対象地域は京都府京都市です。
補助の対象になるのは京都市内に設置する本社・工場等ですので、事業所の所在地が市内であることが大前提になります。
さらに市内の一部は「特定地域」として補助率が上乗せされ、桂イノベーションパーク地区、らくなん進都、横大路地区、向日町駅周辺特定工業地区、京都駅南部地区が該当します。
このうち京都駅南部地区とらくなん進都の鴨川以北は「オフィス・ラボ誘導地区」と位置付けられ、本社機能を有する事業所、開発拠点、研究所を新増設する場合の補助率が最も高くなります。
事業所の敷地が特定地域の内外にまたがる場合は、その敷地全体が特定地域内にあるものとみなされます。
実施機関
制度を運営しているのは京都市で、担当部署は産業観光局の企業誘致推進室です。
指定申請書の提出先も、操業等開始届出書や交付申請書の提出先も同じ企業誘致推進室になります。
Jグランツの公募情報では、申請の前に問合せ先へ連絡するよう明記されていますので、書類を作り始める前にまず一報を入れる流れが想定されています。
なお補助対象事業の指定にあたっては、市長があらかじめ京都市企業立地促進事業委員会の意見を聴くことが交付要綱で定められています。
連絡先は電話075-222-4239、ファックス075-222-3331、メールアドレスはkigyoyc@city.kyoto.lg.jpです。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
補助対象者は、主たる事業として製造業、ソフトウェア業または情報処理サービス業を営み、もしくは営もうとしている中小企業者、大企業者または海外企業です。
交付要綱では中小企業者を「中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者のうち、会社をいう」と定義していますので、法人格を持つ会社が対象になります。
企業区分は3つに分かれており、資本金1億円以下かつ常時使用する従業員100人以下の会社が中小企業者A、それ以外の中小企業者が中小企業者B、中小企業者以外が大企業者です。
形式的には中小企業者であっても、発行済株式の2分の1以上を同一の大企業者が所有している場合などは大企業者として扱われます。
一方で、暴力団員等または暴力団密接関係者、性風俗関連特殊営業およびそれらに類似する業種を営む者、営業に関して必要な認可等を取得していない者、市町村税を滞納している者は補助対象者から除かれます。
対象業種
Jグランツの公募情報で対象業種として挙げられているのは、製造業と情報通信業の2つです。
交付要綱ではこれを「製造業等」と呼び、日本標準産業分類において製造業、ソフトウェア業および情報処理サービス業に分類される産業と定義しています。
つまり情報通信業であればどれでも対象になるわけではなく、ソフトウェア業と情報処理サービス業に限られる点が読み落とされやすいところです。
また「主たる事業として」営んでいることが条件ですので、付随的に該当業務を行っているだけでは要件を満たしません。
従業員数の上限は設けられていませんので、規模を理由に対象から外れることはありません。
対象経費
この制度の中心となる補助対象は、本社・工場等の新増設等に伴い取得した固定資産に係る固定資産税および都市計画税の納付税額相当額です。
ここでいう固定資産は地方税法上の家屋と償却資産を指し、土地に係る税額は含まれません。
実際に市へ納付した税額をもとに補助額が決まりますので、経費の見積書ではなく納税証明書と課税明細書が金額の根拠になります。
これに加えて、新増設等に伴い埋蔵文化財発掘調査を実施した場合には、その調査に要した経費も補助対象になります。
さらに交付要綱第6条には市内居住者支援が定められており、交付申請日から遡って6箇月以上継続して雇用され、かつ同期間継続して市内に居住し住民票を置く常時雇用者および役員が対象です。
その他要件
補助対象事業として認められるには、3つの要件をすべて満たす必要があります。
1つ目は生産等設備取得額の合計で、中小企業者は1,000万円以上、大企業者は2,500万円以上が求められます。
2つ目は雇用規模で、新増設等の後にその本社・工場等における常時雇用者の数が5人以上であることが必要です。
3つ目は雇用の増加で、市内の常時雇用者総数が指定申請日から増えているか、生産性の向上に資する投資を行ったうえで市内の常時雇用者を新たに1人以上雇用しているかのいずれかを満たす必要があります。
市内の公的インキュベーション施設から退去して新増設等を行う中小企業者については、これらの事業要件が課されない特例が用意されています。
なお指定を受けた日から6年以内に操業または営業を開始しない場合は、指定が取り消されることがあります。
補助対象外となるもの
土地に係る固定資産税および都市計画税は、明確に補助対象から除かれています。
また交付要綱は新増設等を「新たに建物を新築、増築、改築、購入または賃借すること」と定義したうえで、設備更新を除くとしています。
既存設備の入れ替えだけを行う投資は、金額が要件を満たしていても補助対象事業にはなりません。
埋蔵文化財発掘調査費については、試掘調査費と消費税および地方消費税が経費から除外されます。
制度の併用にも制限があり、交付要綱第22条により同一の補助対象事業で本社・工場等新増設等支援制度と市内初進出支援制度を併用することはできません。
申請期間
交付要綱第13条は、本社・工場等の新増設等の工事に着手する日までに指定申請書を提出しなければならないと定めています。
一方でJグランツの公募情報には、着工する日の30日前までに指定申請書を提出する必要があるため申請の前に問合せ先へ連絡するよう記載されています。
審査には京都市企業立地促進事業委員会の意見聴取が挟まりますので、実務上はJグランツの案内どおり着工の30日前を目安に動くのが安全です。
Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日23時59分、すなわち令和8年度末までとして登録されています。
補助金そのものの交付申請は、対象事業に伴い取得した固定資産に係る固定資産税・都市計画税を納付した年度内に行う必要があり、交付を受けようとする年度ごとに申請します。
上限金額・助成額
固定資産税・都市計画税相当額の補助は、中小企業者・大企業者ともに上限1億円です。
ただし大企業者については交付要綱の別表1により、常時雇用者の増加数に応じた限度額が別に定められています。
市外に本店を置く企業が市内で本社・工場等を初めて設置する場合、増加数1人未満で500万円、1人以上4人以下で1,000万円、300人以上でようやく1億円という段階になります。
埋蔵文化財発掘調査費の補助は上限2,500万円で、税相当額の補助金の交付時に併せて交付されます。
市内居住者支援は対象となる常時雇用者・役員1人につき20万円で1年度分、限度額は2,500万円です。
なお算定した補助金額の合計に1,000円未満の端数が生じたときは、切り捨てて交付されます。
補助率
中小企業者の補助率は、家屋および償却資産(土地を除く)に課される固定資産税・都市計画税相当額の100%が基本です。
オフィス・ラボ誘導地区とらくなん進都の鴨川以南を除く特定地域内であれば120%、オフィス・ラボ誘導地区またはらくなん進都の鴨川以南で本社機能を有する事業所、開発拠点、研究所を新増設する場合は150%まで上がります。
納付した税額を上回る金額が戻る設計になっているため、立地する地区の選択が補助額に直接効いてくる制度です。
大企業者の補助率は同じ税相当額の50%が基本で、特定地域では60%、オフィス・ラボ誘導地区等での本社機能・開発拠点・研究所の新増設では75%となります。
埋蔵文化財発掘調査費の補助率は、企業区分を問わず調査に要した経費の50%です。
交付年数は中小企業者Aが3年間、中小企業者Bが2年間、大企業者が1年間で、年度ごとの納付税額に応じて分割して交付されます。
問い合わせ先
問い合わせ先は京都市 産業観光局 企業誘致推進室です。
電話番号は075-222-4239、ファックス番号は075-222-3331、メールアドレスはkigyoyc@city.kyoto.lg.jpとなっています。
自社が中小企業者Aと中小企業者Bのどちらに当たるか、計画地が特定地域に含まれるかといった判断は補助額を大きく左右しますので、早い段階で同室に確認しておくことをおすすめします。
京都市役所の開庁時間は、土日祝および年末年始を除く平日の午前8時45分から午後5時30分までです。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の概要はJグランツの公募詳細ページにまとめられていますが、この制度はJグランツでの申請受付を行っていません。
申請様式、事業所設置事業計画、審議資料、交付要綱はいずれも京都市の本社・工場等新増設等支援制度のページからダウンロードできます。
着手前に確かめたいのは、生産等設備取得額が企業区分ごとのラインを超えるか、対象事業所の常時雇用者を5人以上確保できるか、そして着工予定日から逆算して申請が間に合うかの3点です。
同じページには補助金の御案内というチラシも掲載されており、京都型グローバル・ニッチ・トップ企業育成補助金との違いを一覧で比較できます。
京都市企業立地促進制度補助金を対象者が活用すべき理由(メリット)
この制度の最大の特徴は、補助の対象が設備の購入費そのものではなく、投資後に発生する税負担である点です。
工場や研究所を建てると、竣工の翌年から固定資産税と都市計画税が毎年かかり続けます。
この制度を使えば、その税額に相当する金額が中小企業者Aなら3年度にわたって戻ってきますので、稼働初期のキャッシュフローが目に見えて楽になります。
しかも特定地域では補助率が100%を超えて最大150%まで設定されており、納めた税額以上の金額が交付される可能性があります。
補助額の算定根拠が実際の納付税額であることも、事業者にとっては見通しを立てやすい設計といえます。
埋蔵文化財発掘調査費の補助が併せて用意されている点も、京都という土地ならではの実務的な配慮です。
市内に土地を取得したあとで発掘調査が必要になり、想定外の費用が発生するという事態は、この地域では珍しくないからです。
京都市企業立地促進制度補助金を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 製造業、ソフトウェア業、情報処理サービス業を主たる事業として営む会社
- 京都市内で工場、研究所、開発拠点、本社機能を持つ事業所の新設や増設を計画している会社
- 生産等設備取得額が中小企業者で1,000万円、大企業者で2,500万円を超える投資を予定している会社
- 新拠点で常時雇用者5人以上の体制を組める会社
- 拠点の稼働に合わせて市内の雇用を増やす計画がある会社
- らくなん進都や京都駅南部地区など、補助率が上乗せされる特定地域への立地を検討している会社
- 市内の公的インキュベーション施設を卒業し、自前の拠点へ移ろうとしている中小企業者
- 着工予定日まで1箇月以上の余裕があり、事前協議と申請の時間を確保できる会社
見送ったほうが良い人の特徴
- 製造業等に該当しない業種を主たる事業としている会社
- 会社の形態をとっていない個人事業主や任意団体
- 既存設備の更新だけを予定しており、建物の新築・増築・改築・購入・賃借を伴わない会社
- 生産等設備取得額が企業区分ごとの下限に届かない会社
- 新設する事業所の常時雇用者が5人に満たない見込みの会社
- 市内の常時雇用者を増やす計画も、生産性向上投資と新規雇用の予定もない会社
- すでに工事に着手してしまっている会社
- 市町村税に滞納があり、申請までに納付の見通しが立たない会社
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
これまで手掛けてこなかった製品分野や市場へ本格的に軸足を移す中小企業向けに、国が用意している大型の支援策です。
新工場の建設が新規事業の立ち上げを兼ねているなら、税相当額の補助と並行して設備投資そのものを支える財源になり得ます。
京都市の制度は税負担を後から軽くする仕組みですので、初期投資を直接補助する国の制度と組み合わせると資金計画の穴が埋まりやすくなります。
補助上限や賃上げ要件は公募回ごとに変わりますので、検討する時点の公募要領で条件を確認してください。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
技術的に新規性のある製品やサービスを開発し、それを実現する設備を導入する取組を対象とした制度です。
新設した開発拠点や研究所で何を生み出すのかが具体化しているほど、計画としての説得力が増します。
京都市の指定申請で作成する事業所設置事業計画は、そのままこちらの計画書の骨格として使い回せる部分が多くあります。
申請の際は、給与支給総額や事業場内最低賃金に関する要件を満たせるかを社内で先に整理しておきましょう。
中小企業省力化投資補助金
人手不足を機械やシステムで補うための投資を対象にした制度です。
この制度の事業要件には「生産性の向上に資する投資」という選択肢が含まれていますので、省力化設備の導入がそのまま要件の充足につながる場合があります。
新工場の自動化ラインを国の制度で導入し、その建物と設備にかかる税額を京都市の制度で戻すという二段構えも成り立ちます。
カタログに登録された製品から選ぶ類型なら、計画書の作成にかかる手間を抑えられます。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が販路を広げる取組に対して、幅広い経費を対象とする制度です。
拠点を新設しても、その存在が取引先や求職者に知られなければ稼働率も採用も伸びません。
新工場の紹介ページや会社案内の刷新といった発信面の費用に、この制度を充てるという使い方が考えられます。
申請には商工会議所または商工会の確認書が必要ですので、所在地の商工団体へ早めに相談しておくと進めやすくなります。
京都市企業立地促進制度補助金の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
最初に提出するのは、京都市企業立地促進制度補助金補助対象事業指定申請書(第1号様式)です。
添付書類は、法人の登記事項証明書、申請者の概要が分かる書類、事業計画書、賃貸借契約書の写しなど賃料や利用料が分かる書類などです。
第1号様式のほか、事業所設置事業計画と審議資料の様式も京都市の公式ページからダウンロードできます。
交付申請の段階では、交付申請書(第7号様式)に実績報告書、固定資産税・都市計画税の納税証明書と課税明細書、市町村税の納付を証する書類、常時雇用者の名簿と雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写しなどを添えて提出します。
市内居住者支援を受ける場合は、対象となる常時雇用者および役員の住民票の写しも必要になります。
操業または営業を開始したときは、操業等開始届出書(第5号様式)に現場写真、図面等、建物の登記事項証明書を添えて速やかに届け出てください。
記載例はどこで確認できるか
補助対象者や事業要件、補助率の上乗せ、限度額の考え方まで踏み込んで確認したい場合は、京都市企業立地促進制度補助金交付要綱が最も詳しい資料です。
要綱の末尾には第1号様式から第12号様式までが一括して収録されており、指定申請から交付決定、承継までの各段階で使う書式の記載項目を一度に見渡せます。
とくに別表1は大企業者の限度額が常時雇用者の増加数ごとに整理されていますので、採用計画によって補助上限がどう動くかを申請前に試算しておくと判断がぶれません。
記載に迷う箇所が出てきたときは、指定申請の前に企業誘致推進室へ相談するのが確実です。
京都市企業立地促進制度補助金の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
この制度では補助対象事業の指定にあたって京都市企業立地促進事業委員会が意見を述べますので、事業計画書は社外の委員が読む前提で書く必要があります。
生産能力を何割増やすのか、その増産分をどの取引先や市場が吸収するのかを、数量や金額で示してください。
受注残や引き合いの件数、既存顧客からの増産要請といった手元の事実を根拠に据えると、投資規模の妥当性が一気に伝わりやすくなります。
建物と設備の取得額を積み上げた表を添え、その内訳が事業計画の数字と対応していることを示しておきましょう。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
交付要綱の第1条は、この制度の趣旨を21世紀の京都市の基幹産業の育成および集積を図ることに置いています。
自社の技術や生産機能が、市内の産業集積にどう噛み合うのかを書き分けると、この趣旨に沿った計画として読まれます。
要綱では、ものづくり、ICT、スポーツ、環境・エネルギー、ヘルスケア・ライフサイエンス、コンテンツ・アート、社会課題解決などが市の産業政策に特に寄与する分野として列挙されています。
自社の事業がこれらと重なる場合は、その接点を冒頭で明示しておくと計画全体の位置づけが伝わります。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ他の候補地ではなく京都市なのかという問いに、計画書の中で正面から答えてください。
原材料の調達先、共同開発の相手、採用したい人材が集まる大学など、市内に立地する必然性を具体名で挙げると説得力が出ます。
補助を受けなければ投資の判断がどう変わるのかまで踏み込んで書くと、制度が果たす役割がはっきりします。
立地予定地が特定地域に含まれる場合は、その地区を選んだ理由も併せて記載しておきましょう。
実行体制を明記する
工事予定期間と操業等開始予定日は第1号様式の記載項目そのものですので、根拠のあるスケジュールを組んでおく必要があります。
指定を受けてから6年以内に操業または営業を開始しないと指定が取り消されますので、余裕を持たせつつ現実的な線を引いてください。
常時雇用者5人以上という要件と雇用増加の要件があるため、誰をいつ配置し、何人を新規採用するのかという人員計画は数字で示すことが欠かせません。
設計事務所や施工業者、社内の推進責任者を明記し、誰が何を担うのかが読み手に分かる形にしておきましょう。
京都市企業立地促進制度補助金の申請手順
- 自社の主たる事業が製造業、ソフトウェア業、情報処理サービス業のいずれかに該当するか確認する
- 資本金と従業員数から中小企業者A、中小企業者B、大企業者のどの区分に当たるかを判定する
- 市町村税の納付状況を確認し、未納があれば先に納付を済ませる
- 京都市の公式ページから交付要綱、第1号様式、事業所設置事業計画、審議資料の様式をダウンロードする
- 立地予定地が特定地域やオフィス・ラボ誘導地区に含まれるかを確認し、補助率の上乗せを見込めるか把握する
- 京都市産業観光局企業誘致推進室へ連絡し、計画内容が補助対象事業に該当するか事前に相談する
- 生産等設備取得額、対象事業所の常時雇用者数、市内の雇用増加計画が事業要件を満たすか確認する
- 事業所設置事業計画に投資内容、スケジュール、人員計画、市内立地の意義を記載する
- 補助対象事業指定申請書(第1号様式)に登記事項証明書、会社概要、事業計画書、賃貸借契約書の写し等を添える
- 本社・工場等の新増設等の工事に着手する日まで(Jグランツの案内では着工日の30日前まで)に企業誘致推進室へ提出する
- 京都市企業立地促進事業委員会の意見聴取を経て、補助対象事業指定決定通知書(第2号様式)を受け取る
- 工事を実施し、操業または営業を開始したら操業等開始届出書(第5号様式)を現場写真等とともに提出する
- 翌年1月1日を賦課期日とする年度の固定資産税・都市計画税を納付する
- 納付した年度内に交付申請書(第7号様式)と実績報告書、納税証明書、課税明細書、雇用関係書類を提出する
- 交付決定通知書(第8号様式)を受け取り、指定口座への振込を待つ
- 中小企業者Aは3年度、中小企業者Bは2年度にわたり、年度ごとに交付申請を繰り返す
京都市企業立地促進制度補助金を自社で申請する際の注意点
見落としが最も起こりやすいのは、申請の期限が着工前に設定されているという点です。
建物が完成してから制度の存在を知っても、遡って指定を受けることはできません。
Jグランツに掲載されていながらJグランツからは申請できない制度である点も、電子申請に慣れた事業者ほど戸惑いやすいところです。
補助額が実際の納付税額に連動するため、申請時点では正確な金額が確定しないことも押さえておく必要があります。
交付決定の条件には、納付額に変更が生じた場合の報告義務と、減額されていた場合に補助金を減額または取消しすることがある旨が明記されています。
加えて交付申請は年度ごとに行うものですので、初年度で手続きが完結すると考えていると、2年度目以降の補助を取りこぼしてしまいます。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
京都市の企業立地支援には、本社・工場等新増設等支援制度のほかに京都型グローバル・ニッチ・トップ企業育成補助金、賃貸用事業施設等立地促進制度補助金、市内初進出支援制度などが並んでいます。
補助率と交付年数の組み合わせが制度ごとに異なるため、同じ投資でも選ぶ制度によって受け取れる総額が変わります。
交付要綱には併用を禁じる条項もありますので、どの制度で申請するかの入口の判断が後戻りできない選択になり得ます。
制度全体を俯瞰できる支援者に相談すると、投資計画に合った選び方を早い段階で固められます。
事業計画の質が上がる
この制度の事業計画書は、社外の委員が読む審議資料として機能します。
技術に詳しくない読み手にも投資の意義が伝わる書き方ができているかどうかは、社内だけでは判断しにくい部分です。
外部の視点が入ると、業界内では常識とされている前提が補足され、数値の根拠も明示された読みやすい計画書に仕上がります。
整えた計画書は金融機関との融資交渉や社内の投資決裁の場でも、そのまま説明資料として使えます。
採択後の実務まで見据えられる
指定を受けたあとも、操業等開始の届出、年度ごとの交付申請、変更が生じた際の届出と、手続きは長期にわたって続きます。
中小企業者Aであれば3年度分の交付申請を繰り返すことになり、その都度、納税証明書や雇用関係書類を揃え直す必要があります。
誰がいつ何の書類を用意するのかを申請前に決めておくと、年度末の慌ただしい時期でも交付申請を落とさずに済みます。
なお行政に提出する書類の作成代行には資格上の制約がありますので、依頼先の業務範囲と費用は契約前に確認してください。
京都市企業立地促進制度補助金を不正受給するとどうなるのか
- 事実と異なる申請が判明したときに起こること
- 計画に変更が生じた場合の届出義務
事実と異なる申請が判明したときに起こること
交付要綱第18条は、偽りその他不正の手段により補助対象事業の指定を受けたときに、市長が指定を取り消すことができると定めています。
取消しが決まると補助対象事業指定取消決定通知書が送付され、既に受け取った補助金があれば返還を求められます。
設備取得額を水増しして要件を満たしたように見せかけたり、実在しない従業員を常時雇用者として計上したりする行為は、これに当たる余地があります。
補助額が最大1億円という規模である以上、悪質と判断されれば京都市の条例上の措置にとどまらず、一般の法令に基づく責任を問われる可能性も残ります。
交付年数が複数年にわたる制度ですので、途中で発覚すれば残る年度分の補助もすべて失うことになります。
計画に変更が生じた場合の届出義務
交付要綱第15条は、申請者の氏名や住所、補助対象事業所の用途、工事種別、所在地に変更があったときに速やかに届け出るよう求めています。
事業を中止または廃止した場合も同様で、補助対象事業変更・中止・廃止届出書(第4号様式)という様式が用意されています。
工期の延長や設備構成の見直しといった変更を自己判断で処理せず、企業誘致推進室へ相談したうえで手続きを進めることが、結果として補助金を守ることにつながります。
交付要綱第17条により、市長は必要な限度において事業に関する報告を求め、関係帳簿等を調査することができるとされています。
納税関係の書類や雇用の記録は、求められたときにすぐ提示できる形で保管しておきましょう。
京都市企業立地促進制度補助金のまとめ
京都市企業立地促進制度補助金[本社・工場等新増設等支援制度]は、製造業等を営む企業が市内で本社・工場等を新増設した際に、固定資産税・都市計画税相当額を補助する制度です。
補助率は中小企業者が100%から150%、大企業者が50%から75%で、上限は1億円となっています。
交付年数は中小企業者Aが3年間、中小企業者Bが2年間、大企業者が1年間で、埋蔵文化財発掘調査費には別枠で最大2,500万円の補助があります。
申請は本社・工場等の新増設等の工事に着手する日までに行う必要があり、Jグランツの公募情報では着工日の30日前までの提出が案内されています。
生産等設備取得額が中小企業者で1,000万円以上、大企業者で2,500万円以上であること、対象事業所の常時雇用者が5人以上であることが基本の事業要件です。
制度の概要はJグランツの公募詳細ページ、申請様式と交付要綱の入手先は京都市の本社・工場等新増設等支援制度のページです。
投資の意思決定が固まる前に企業誘致推進室へ一報を入れておくことが、この制度を使い切るための最初の一手になります。
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