水インフラにおける脱炭素化推進事業【四次公募】補助率・上限額・申請期限を解説

補助金

上下水道の浄水場やポンプ場、そしてダムは、地域のなかでも電力を多く使う施設として知られています。

2050年のカーボンニュートラルに向けて、こうした水インフラにも率先した脱炭素の取組が求められるようになりました。

環境省はその後押しとして、再生可能エネルギー設備や省エネ設備の導入費用を支援する補助制度を用意しています。

水インフラにおける脱炭素化推進事業の四次公募は令和8年6月18日(木曜日)に始まり、令和8年9月18日(金曜日)に締め切られます。

設備導入型では事業期間全体で1.0億円、地産地消モデル型では2.5億円という大きな上限が設けられている点も特徴です。

この記事では、Jグランツの公募情報と実施機関である一般社団法人静岡県環境資源協会の公募ページをもとに、対象者や補助率、申請の流れを整理してお伝えします。

  1. 水インフラにおける脱炭素化推進事業の基本情報
    1. 補助金・助成金の正式名称
    2. 対象都道府県・市区町村
    3. 実施機関
    4. 対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
    5. 対象業種
    6. 対象経費
    7. その他要件
    8. 補助対象外となるもの
    9. 申請期間
    10. 上限金額・助成額
    11. 補助率
    12. 問い合わせ先
    13. 公式公募ページと確認すべきこと
  2. 水インフラにおける脱炭素化推進事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
  3. 水インフラにおける脱炭素化推進事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
    1. 申請すべき人
    2. 見送ったほうが良い人の特徴
  4. その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
    1. 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
    2. ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
    3. 中小企業省力化投資補助金
    4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 水インフラにおける脱炭素化推進事業の申請に必要なもの
    1. 申請に必要な書類一覧と取得方法
    2. 記載例はどこで確認できるか
  6. 水インフラにおける脱炭素化推進事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
    1. 市場性を具体的に書く
    2. 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
    3. この制度を利用する必要性・重要性を記載
    4. 実行体制を明記する
  7. 水インフラにおける脱炭素化推進事業の申請手順
  8. 水インフラにおける脱炭素化推進事業を自社で申請する際の注意点
  9. 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
    1. 制度選定の精度が上がる
    2. 事業計画の質が上がる
    3. 採択後の実務まで見据えられる
  10. 水インフラにおける脱炭素化推進事業を不正受給するとどうなるのか
    1. 虚偽の申請が発覚した場合にたどる帰結
    2. 実績報告と現地確認によって食い違いが表面化する仕組み
  11. 水インフラにおける脱炭素化推進事業のまとめ

水インフラにおける脱炭素化推進事業の基本情報

正式名称 【令和7年度】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(水インフラにおける脱炭素化推進事業)[四次公募](制度名:建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業)
対象地域 全国
実施機関 一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センター(環境省の補助事業執行団体)
対象者 上下水道施設・ダム施設等の水インフラで脱炭素化に取り組む事業者。環境省の案内では地方公共団体、民間企業(PPA事業者)等
対象業種 Jグランツ上は全20業種区分が登録(従業員数の制約なし)
対象経費 ①水インフラのCO2削減設備・再生可能エネルギー設備の導入費用 ②水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業に要する費用
補助対象設備の例 太陽光発電、小水力発電、省エネ設備 等
上限金額(①設備導入) 事業期間全体で1.0億円
上限金額(②地産地消) 事業期間全体で2.5億円
補助率(①設備導入) 太陽光発電設備およびCO2削減率15%以上30%未満の省CO2促進設備は3分の1以内、太陽光以外の再エネ設備およびCO2削減率30%以上の省CO2促進設備は2分の1以内
補助率(②地産地消) 2分の1以内
公募期間 令和8年6月18日(木曜日)~令和8年9月18日(金曜日)※Jグランツ上の受付終了日時は2026年9月18日17時00分
申請方法 公募要領・実施要領・交付規程を確認のうえ申請様式を提出。電子申請システムjGrantsからの申請にも対応(代理申請可)
問い合わせ先 一般社団法人静岡県環境資源協会 支援センター(E-mail:center@siz-kankyou.or.jp)

補助金・助成金の正式名称

Jグランツに登録されている公募名は「【令和7年度】二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(水インフラにおける脱炭素化推進事業)[四次公募]」です。

制度名としては「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」と表記されており、その中の一メニューとして水インフラの事業が位置づけられています。

名称の頭に「令和7年度」とありますが、四次公募そのものは令和8年6月から9月にかけて実施されるため、年度表記だけを見て受付が終わったと判断しないよう注意してください。

事業は二つのメニューに分かれており、①水インフラのCO2削減設備導入支援事業と、②水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業が用意されています。

公募要領も申請様式もメニューごとに別々に配布されているため、どちらに応募するのかを最初に決めておくことが必要です。

対象都道府県・市区町村

対象地域は全国で、都道府県や市区町村による絞り込みはありません。

実施機関が静岡県に所在する一般社団法人であるため誤解されやすいのですが、静岡県内の事業者に限った制度ではありません。

環境省が令和7年度予算で実施する国庫補助事業であり、全国の上下水道事業者やダム事業者、そこに設備を導入する民間事業者が同じ条件で応募できます。

応募の受付や審査、交付決定の事務を静岡県環境資源協会が一括して担う仕組みになっています。

そのため、書類の提出先や問い合わせ先はいずれも同協会の支援センターに一本化されています。

実施機関

実施機関は一般社団法人静岡県環境資源協会の省CO2促進事業支援センターです。

同協会は環境省から二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業)の交付決定を受け、間接補助事業として本補助金を執行しています。

つまり資金の出どころは環境省の国庫補助金であり、協会は公募・審査・交付の窓口を務める執行団体という位置づけです。

協会の所在地は静岡市葵区紺屋町で、電話番号は054-266-4161です。

制度全体の政策的な背景については、環境省が運営する水インフラの脱炭素化に関する特設ページで確認できます。

対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)

対象となるのは、上下水道施設やダム施設といった水インフラにおいて脱炭素化に取り組む事業者です。

環境省の案内では、補助対象事業者として地方公共団体および民間企業(PPA事業者)等が挙げられています。

上水道事業や下水道事業を運営する自治体の企業局・水道局は、①の設備導入支援事業の中心的な応募者にあたります。

自治体の施設に第三者所有モデルで太陽光発電設備を設置するPPA事業者のように、施設の所有者ではない民間企業も応募できる点がこの制度の使いやすさにつながっています。

②の地産地消モデル事業では、自家消費を超える再エネポテンシャルを持つ水インフラ施設で発電事業を行う民間事業者等が想定されています。

Jグランツ上では従業員数の上限が設けられていないため、企業規模による足切りはありません。

対象業種

Jグランツの公募情報では、農業・林業から医療・福祉まで20の業種区分がすべて登録されています。

形式上は業種による制限がないという扱いですが、実質的に応募できるのは水インフラ施設を保有・運営する事業者と、そこへ設備を導入する事業者に限られます。

中心となるのは電気・ガス・熱供給・水道業に分類される上下水道事業者と、公務に分類される地方公共団体の水道・下水道部門です。

PPA事業者や再エネ発電事業者は電気業として、設備工事を担う企業は建設業として関わる形になります。

自社の業種区分よりも、対象となる施設が水インフラに該当するかどうかを先に確かめることが実務的な判断になります。

対象経費

①の水インフラのCO2削減設備導入支援事業では、上下水道施設やダム施設への再生可能エネルギー設備の設置費用と、省エネ設備の導入費用が対象になります。

環境省の案内では、補助対象設備の例として太陽光発電、小水力発電、省エネ設備が挙げられています。

②の水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業では、水インフラ施設で発電事業を行い、周辺地域等に一定量の電力を供給するモデル事業に要する経費が対象です。

同じ再エネ設備の導入であっても、自家消費が中心なら①、余剰分を地域へ供給する事業として組み立てるなら②というように、事業の性格によって応募先のメニューが変わります。

補助対象経費の具体的な内訳や区分は、メニューごとに配布されている公募要領のPDFに記載されています。

見積りを取る前に、どの費目が対象に含まれるのかを公募要領で確認しておくと後戻りを防げます。

その他要件

この事業は、先行事例を示すことで近隣の事業者へCO2排出抑制の取組を波及させることを目的に掲げています。

そのため、単に設備を入れて終わりではなく、脱炭素型の水インフラシステムの実現に資する内容であることが求められます。

①の省CO2促進設備については補助率がCO2削減率によって変わる設計になっているため、削減率を算定して示せることが実質的な前提条件になります。

②については、自家消費する以上の再エネポテンシャルを有する施設であることと、周辺地域等へ一定量の電力を供給する計画であることが要件として示されています。

申請にあたっては公募要領のほか、実施要領と交付規程にも目を通しておく必要があります。

実施要領と交付規程は、静岡県環境資源協会の事業トップページからPDFで入手できます。

補助対象外となるもの

水インフラに該当しない一般的な事業所や工場への設備導入は、この事業の枠組みでは扱われません。

建築物のZEB化や国立公園利用施設の脱炭素化は同じ制度の別メニューとして設けられており、それぞれ独立した公募が行われます。

なお、国立公園利用施設の脱炭素化推進事業は令和7年度の二次公募をもって事業終了と案内されているため、過去の情報を見て応募先を取り違えないよう注意が必要です。

補助金である以上、国の他の補助金と同一の経費に対して重複して交付を受けることは認められません。

交付決定より前に発注や契約を行った経費の扱いについても、交付規程で制限が設けられているのが通例です。

個別の可否については、公募要領の補助対象経費と補助対象外経費の記載を照らし合わせて確認してください。

申請期間

四次公募の公募期間は、令和8年6月18日(木曜日)から令和8年9月18日(金曜日)までです。

Jグランツ上の受付終了日時は2026年9月18日17時00分と登録されており、当日の夕方には受付が閉じられます。

一次公募から三次公募まではすでに終了しているため、今年度に応募できるのはこの四次公募の枠になります。

応募書類は公募要領と実施要領、交付規程を読み込んだうえで作成する必要があり、準備には相応の日数がかかります。

見積りの取得や施設側との調整を含めると、締切の1か月以上前から動き出すのが安全です。

上限金額・助成額

上限額はメニューごとに分かれており、いずれも事業期間全体での金額として設定されています。

①の水インフラのCO2削減設備導入支援事業は、事業期間全体で1.0億円が上限です。

②の水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業は、事業期間全体で2.5億円が上限とされています。

Jグランツの補助上限額の欄はハイフン表示になっていますが、詳細ページの本文には両メニューの上限額が明記されているため、金額が定まっていないわけではありません。

単年度ではなく事業期間全体の上限である点は、複数年度にまたがる設備投資を計画する際の前提になります。

実際の交付額は、補助対象経費に補助率を乗じた額と上限額のいずれか低いほうで決まります。

補助率

①の設備導入支援事業では、設備の種類とCO2削減率に応じて2段階の補助率が設定されています。

太陽光発電設備と、CO2削減率が15%以上30%未満の省CO2促進設備は3分の1以内です。

太陽光発電設備以外の再生可能エネルギー設備と、CO2削減率が30%以上の省CO2促進設備は2分の1以内となり、より高い削減効果を出す計画ほど手厚く支援される仕組みです。

水インフラで導入例の多い小水力発電は、太陽光以外の再生可能エネルギー設備として2分の1以内の区分に入ります。

②の地産地消モデル事業は、区分を設けず一律で2分の1以内です。

省エネ設備を検討する場合は、削減率が30%に届くかどうかで補助額が大きく変わるため、機器選定の段階で試算しておく価値があります。

問い合わせ先

問い合わせ先は一般社団法人静岡県環境資源協会の支援センターです。

質問はメールで受け付けており、宛先はcenter@siz-kankyou.or.jpです。

問い合わせ用のメールアドレスと申請書類の提出先アドレスは別に設定されているため、送り先を取り違えないよう公募ページの案内を確認してください。

メールの件名には、法人名と応募予定の事業名を記入するよう求められています。

協会の代表電話は054-266-4161、ファクスは054-266-4162です。

公式公募ページと確認すべきこと

補助上限額や補助率、対象業種などの概要はJグランツの公募詳細ページにまとまっています。

公募期間と公募要領、申請様式は静岡県環境資源協会の四次公募ページで配布されています。

まず確認したいのは、自社の計画が①設備導入支援事業と②地産地消モデル事業のどちらに当たるかという点で、ここを間違えると公募要領も申請様式も別のものを準備してしまうことになります。

制度の背景や関連する取組事例は、環境省の水インフラ 脱炭素化推進支援サイトで公開されています。

同サイトには上下水道事業におけるPPA等事例集や水道事業等における小水力発電の資料も掲載されており、計画づくりの参考になります。

水インフラにおける脱炭素化推進事業を対象者が活用すべき理由(メリット)

上下水道施設は自治体が使用する電力のなかでも大きな割合を占め、電気料金の変動が経営に直結しやすい分野です。

再エネ設備や省エネ設備を入れれば電力購入量を減らせますが、初期投資の大きさが導入を止めてしまうことは珍しくありません。

この補助金は、その初期投資の3分の1から2分の1を国庫補助で賄えるようにする制度です。

上限額が①で1.0億円、②で2.5億円と大きく設定されているため、小規模な設備更新にとどまらず、施設全体の脱炭素化を視野に入れた計画にも対応できます。

PPA事業者にとっては、自治体施設への第三者所有モデルの導入を進めるうえで採算性を確保しやすくなる支援になります。

小水力発電のように太陽光以外の再エネを選べば2分の1以内の補助率が適用され、投資回収の見通しが立てやすくなります。

先行事例として公表されることで、地域の他の事業者へ取組が広がるきっかけをつくれるという副次的な効果も期待できます。

水インフラにおける脱炭素化推進事業を申請すべき人とそうでない人の特徴

  • 申請すべき人
  • 見送ったほうが良い人の特徴

申請すべき人

  • 浄水場・配水池・下水処理場などの上下水道施設を運営し、脱炭素化の設備投資を検討している自治体の水道局・企業局
  • ダム施設を管理し、未利用の落差や敷地を使った再エネ導入を計画している事業者
  • 自治体の水インフラ施設に第三者所有モデルで太陽光発電設備を設置しようとしているPPA事業者
  • CO2削減率30%以上を見込める省エネ設備への更新を予定しており、2分の1以内の補助率を狙える事業者
  • 小水力発電のように太陽光以外の再エネ設備の導入を検討している水インフラ事業者
  • 自家消費を上回る発電ポテンシャルがあり、周辺地域への電力供給まで事業として組み立てられる民間事業者
  • 令和8年9月18日までに公募要領を読み込み、申請様式と見積りをそろえられる体制がある組織

見送ったほうが良い人の特徴

  • 上下水道施設やダム施設に該当しない一般の事業所・工場への設備導入を考えている事業者
  • 建築物のZEB化が目的で、水インフラとの関わりがない事業者(同制度の別メニューを確認してください)
  • CO2削減効果を数値で示す準備がなく、削減率の算定に着手できていない事業者
  • 同一の経費について国の他の補助金の交付をすでに受けている、または受ける予定の事業者
  • 令和8年9月18日17時までに申請書類をそろえる見通しが立たない事業者
  • 設備の発注や契約を先に済ませてしまい、交付決定前の着手として扱われる可能性がある事業者
  • 事業完了後の実績報告や財産管理といった継続的な事務を担う体制を確保できない組織

その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例

  • 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
  • ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
  • 中小企業省力化投資補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)

既存の事業とは異なる市場へ踏み出す企業を、比較的大きな補助額で支える枠組みです。

水処理の技術を持つ企業が再エネ発電やエネルギーマネジメントの領域へ展開する、といった転換が想定されます。

付加価値額や給与支給総額について数値目標の設定が求められ、未達の場合には補助金の返還が生じうる仕組みになっています。

公募回ごとに要件が更新されるため、応募を決めたら必ず最新版の公募要領を取り寄せてください。

ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)

新しい製品やサービスを実現するための設備投資に対して、長く運用されてきた支援制度です。

今回の補助金が施設の脱炭素化そのものを対象とするのに対し、こちらは自社が売り出す製品やサービスの開発側を支えます。

交付決定より前に発注した経費は補助の対象外となるため、相見積りを取る時期と正式に発注する時期を分けて記録しておくことが欠かせません。

補助率と上限額は企業規模や賃上げの取組状況によって変動する設計です。

中小企業省力化投資補助金

人手不足の現場に、作業を省力化する機器やソフトウェアを入れるための制度です。

水処理施設の遠隔監視や点検業務の自動化など、現場の負担を減らす投資と相性のよい分野があります。

登録製品から選ぶカタログ型は計画書づくりの手間が小さい代わりに、導入後は労働生産性の向上を報告する義務が続きます。

導入前の作業時間や人員配置を数値で残しておくと、その後の報告作業がそのまま組み立てられます。

小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際、最初に検討されることの多い制度です。

水インフラ関連の工事業者や設備メンテナンス業者であれば、ホームページの刷新や受注管理の仕組みづくりに使えます。

申請には商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が必要で、この発行日数を逆算して動くことが締切対策の要になります。

補助額は控えめですが、手続きの負担と支援の規模のバランスが取れた制度といえます。

水インフラにおける脱炭素化推進事業の申請に必要なもの

  • 申請に必要な書類一覧と取得方法
  • 記載例はどこで確認できるか

申請に必要な書類一覧と取得方法

  • 公募要領(設備導入)または公募要領(地産地消)/静岡県環境資源協会の四次公募ページからPDFでダウンロード
  • 実施要領/同協会の事業トップページからPDFでダウンロード
  • 交付規程/同協会の事業トップページからPDFでダウンロード
  • 申請様式一式/四次公募ページからZIP形式でダウンロードし、応募するメニューの様式を使用
  • 設備の見積書/導入予定の設備・工事について施工業者等から取得
  • CO2削減効果を示す算定資料/省CO2促進設備では補助率の区分に直結するため事前に試算
  • 事業計画・実施体制を示す資料/公募要領で求められる様式に沿って作成
  • GビズIDプライム/jGrantsから電子申請する場合に必要(発行までおおむね2〜3週間)

記載例はどこで確認できるか

記入方法や様式の考え方は、メニューごとに配布されている公募要領のPDFに記載されています。

公募要領は静岡県環境資源協会の四次公募ページから直接ダウンロードでき、Jグランツの公募要領欄からも同じ資料にたどり着けます。

申請様式はZIPファイルにまとめて配布されており、令和8年8月に更新版が公開されているため、以前にダウンロードした様式をそのまま使わず最新版を取り直してください。

補助対象経費の考え方や財産管理の扱いなど、様式だけでは読み取れない事項は交付規程に定められています。

記載内容に迷ったときは、件名に法人名と応募予定の事業名を書いたうえで支援センターにメールで照会できます。

水インフラにおける脱炭素化推進事業の採択率を上げる事業計画書の作り方

  • 市場性を具体的に書く
  • 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
  • この制度を利用する必要性・重要性を記載
  • 実行体制を明記する

市場性を具体的に書く

この事業で問われる市場性は、製品の売上見込みではなく、取組がどれだけ他へ波及しうるかという広がりです。

同じ規模の浄水場やポンプ場が全国にどれだけあるのかを示せれば、先行事例としての価値が伝わりやすくなります。

施設の年間電力使用量と、導入後に削減できるCO2排出量を具体的な数値で並べることが、計画の説得力を決める土台になります。

②の地産地消モデル事業では、供給先となる周辺地域の需要規模まで書き込めると計画の輪郭が明確になります。

差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載

この制度は先行事例づくりを目的としているため、すでにありふれた取組をなぞるだけでは印象に残りません。

配水池の上部空間を使う、未利用落差を小水力に転換する、といった自社施設ならではの条件を前面に出すことが有効です。

太陽光以外の再エネ設備やCO2削減率30%以上の省CO2促進設備は補助率が2分の1以内に上がるため、技術的な難度の高さがそのまま計画の独自性として評価につながります。

類似施設で公表されている導入事例と比べ、自社の条件がどう違うのかを一段落でまとめておくと伝わりやすくなります。

この制度を利用する必要性・重要性を記載

補助を求める理由は、初期投資の重さによって導入判断が止まっているという事情に集約されます。

補助がない場合の投資回収年数と、補助を受けた場合の回収年数を並べて示せば、必要性が数字で説明できます。

2050年カーボンニュートラルに向けて水インフラにも率先した対応が求められているという政策的な位置づけを、自組織の脱炭素目標と結びつけて書くと筋が通ります。

自治体であれば、地方公共団体実行計画に掲げた削減目標との整合を示すことが説明の助けになります。

実行体制を明記する

水インフラの設備導入には、施設の管理者、設計・施工を担う事業者、電力の供給先など複数の関係者が関わります。

PPAのような第三者所有モデルでは、施設の所有者と設備の所有者が分かれるため、役割分担を明示することがとりわけ重要になります。

設備の稼働開始後に誰が運転・保守を担い、CO2削減の実績をどのように把握して報告するのかまで書き込むと、計画の実現性が高く見えます。

事業期間が複数年度にわたる場合は、年度ごとの工程と担当を分けて記載しておくと審査側にも伝わりやすくなります。

水インフラにおける脱炭素化推進事業の申請手順

  1. 自社または自団体の施設が、上下水道施設・ダム施設等の水インフラに該当するかを確認します。
  2. 計画が①水インフラのCO2削減設備導入支援事業と②水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業のどちらに当たるかを決めます。
  3. 静岡県環境資源協会の四次公募ページから、該当するメニューの公募要領をダウンロードして読み込みます。
  4. 同協会の事業トップページから実施要領と交付規程をダウンロードし、補助対象経費と手続の流れを確認します。
  5. 導入予定の設備について施工業者等から見積りを取得します。
  6. 省CO2促進設備を導入する場合は、CO2削減率が15%以上30%未満か30%以上かを算定し、適用される補助率を確かめます。
  7. 四次公募ページから申請様式のZIPファイルをダウンロードし、最新版であることを確認して展開します。
  8. 申請様式に沿って事業計画、実施体制、経費内訳、CO2削減効果を記入します。
  9. jGrantsから電子申請する場合は、GビズIDプライムを取得します。発行までおおむね2〜3週間かかります。
  10. 公募期間である令和8年6月18日から9月18日までの間に、書類を提出先へ提出します。
  11. 審査を経て交付決定を受けた後に、設備の発注・工事に着手します。
  12. 事業完了後に完了実績報告を行い、補助金の交付額確定と支払を受けます。
  13. 取得した設備については、処分制限期間中の適正な財産管理と実績の報告を継続します。

水インフラにおける脱炭素化推進事業を自社で申請する際の注意点

最初につまずきやすいのは、公募名に「令和7年度」とあることから受付が終わったと早合点してしまう点です。

四次公募の実際の受付は令和8年6月18日から9月18日までで、年度表記と公募期間がずれていることを押さえておく必要があります。

二つ目は、①と②でメニューが分かれており、公募要領も申請様式も別々に配布されているという構造です。

応募先のメニューを取り違えると、準備した書類一式がそのまま使えなくなるため、最初の切り分けに時間をかける価値があります。

三つ目は、省CO2促進設備の補助率がCO2削減率で二分される点で、算定の根拠が弱いと想定より低い区分で扱われる可能性があります。

四つ目は、申請様式が令和8年8月に更新されていることで、古い様式のまま提出すると差し戻しの原因になります。

問い合わせ用のメールアドレスと提出用のメールアドレスが別であることも、公募ページで明確に注意喚起されています。

自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ

  • 制度選定の精度が上がる
  • 事業計画の質が上がる
  • 採択後の実務まで見据えられる

制度選定の精度が上がる

水インフラの脱炭素化を支える公的支援は、環境省の補助事業だけでも複数の系統に分かれています。

再エネ熱利用・工場廃熱利用等の価格低減促進事業のように、下水熱や河川熱を扱う別枠の制度も存在します。

再エネ分野の補助金に詳しいコンサルタントや中小企業診断士に相談すれば、導入したい設備に対してどの制度が最も条件がよいかを比較したうえで選べます。

相談の前に環境省の支援サイトで関連制度の一覧に目を通しておくと、依頼の範囲を絞り込めます。

事業計画の質が上がる

この事業では、CO2削減効果の算定と先行事例としての波及性の説明が計画の中核になります。

削減率の算定は設備の仕様や運転条件に左右されるため、技術的な裏付けを持つ相手と組むことで数字の信頼度が変わります。

外部の視点が入ると、補助金を取ることだけでなく設備を長く動かし続けるところまで含めた計画になり、次の投資判断にも使える資料が残ります。

まとめた計画は、議会や金融機関、社内の投資委員会への説明資料としてそのまま活用できます。

採択後の実務まで見据えられる

交付決定を受けた後には、設備の発注、完了実績報告、そして交付額の確定という一連の手続が控えています。

補助金で取得した財産には処分制限期間が設けられるのが通例で、期間中の売却や用途変更には手続が必要になります。

複数年度にまたがる事業では年度ごとの交付申請と報告が発生するため、事務の負担を最初に見積もっておくことが後半の混乱を防ぎます。

経理処理や消費税の取扱いが絡む部分は、顧問税理士と早い段階で情報を共有しておくと安心です。

水インフラにおける脱炭素化推進事業を不正受給するとどうなるのか

  • 虚偽の申請が発覚した場合にたどる帰結
  • 実績報告と現地確認によって食い違いが表面化する仕組み

虚偽の申請が発覚した場合にたどる帰結

この補助金は環境省の国庫補助金を財源とし、静岡県環境資源協会が交付規程に基づいて執行する公的資金です。

偽りその他不正の手段によって交付を受けたと判断されれば、交付決定は取り消され、受領済みの補助金は返還を求められます。

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が適用される国庫補助金であり、悪質な事案では加算金の納付や罰則の対象となる可能性もあります。

自治体や公共性の高い事業者にとっては、金額の多寡以上に住民からの信頼に関わる問題になります。

実績報告と現地確認によって食い違いが表面化する仕組み

申請時に添付する見積書は施工業者が発行し、完了実績報告には契約書や領収書といった第三者が関わる書類が必要になります。

設備は施設に物理的に据え付けられるため、書類上の内容と現地の状態を突き合わせれば違いはすぐに分かります。

CO2削減効果についても稼働後の運転実績として確認される性質のものであり、申請時に過大な数値を書けば後の報告段階で説明がつかなくなります。

記載の誤りに気づいた場合は、そのままにせず支援センターへ連絡して訂正の手続を取ることが結果的に組織を守ります。

水インフラにおける脱炭素化推進事業のまとめ

この補助金は、上下水道施設やダム施設といった水インフラに再エネ設備や省エネ設備を導入する費用を、環境省の国庫補助で支援する制度です。

①水インフラのCO2削減設備導入支援事業は事業期間全体で1.0億円、②水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業は2.5億円が上限とされています。

補助率は①が太陽光発電設備等で3分の1以内、太陽光以外の再エネ設備やCO2削減率30%以上の省CO2促進設備で2分の1以内、②が2分の1以内です。

四次公募の受付は令和8年6月18日(木曜日)から令和8年9月18日(金曜日)までで、Jグランツ上の受付終了日時は同日17時00分に設定されています。

対象は全国の水インフラ事業者で、地方公共団体のほかPPA事業者などの民間企業も応募できます。

補助上限額や対象業種はJグランツの公募詳細ページで、公募要領と申請様式は静岡県環境資源協会の四次公募ページで確認できます。

まずは自社の計画が①と②のどちらに当たるかを切り分け、CO2削減率の算定と見積りの取得を並行して進めることが、締切までにたどり着くための第一歩になります。