紙のカルテを電子化したいと考えていても、どのシステムを選べばよいのか、費用はどれくらい必要なのかが見えず、検討が止まってしまう医療機関は少なくありません。
実際の導入では、システムの選定だけでなく院内の業務フローの見直しや職員の教育計画まで含めた設計が必要になり、院長や事務長が本業の合間に進めるには荷が重い作業になります。
そこで東京都は、導入そのものではなく「導入を検討する段階」の専門家費用を補助するという、少し珍しい切り口の制度を用意しています。
令和8年度医療機関診療情報デジタル導入支援事業は、電子カルテシステムの導入計画づくりに使うコンサルタント費用を、基準額100万円・補助率最大4分の3で補助する東京都の制度です。
申請の受付期間は令和8年4月15日から令和8年10月30日までで、原則としてJグランツからのオンライン申請となります。
この記事では、補助の対象になる医療機関の範囲、対象経費の線引き、必要書類、申請の流れ、そして事業計画書で押さえておきたい観点までを順に整理してお伝えします。
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業の基本情報
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業の申請に必要なもの
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業の申請手順
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業を自社で申請する際の注意点
- 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業を不正受給するとどうなるのか
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業のまとめ
医療機関診療情報デジタル導入支援事業の基本情報
| 正式名称 | 令和8年度医療機関診療情報デジタル導入支援事業 |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 実施機関 | 東京都保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当 |
| 対象者 | 東京都内で病院を開設する者及び医科診療所を開設する者で、東京都知事が適当と認める者 |
| 対象業種 | 医療、福祉 |
| 対象経費 | 電子カルテシステムを新たに導入する際の調整業務(導入計画の策定、導入コストの算出等)に係るコンサルタント費用 |
| その他要件 | 電子カルテシステムの導入に向けた取組を進めること、都が行う導入状況等の調査に協力すること |
| 補助対象外 | 電子カルテシステムの更新費用、部門システムの導入費用、国や地方公共団体の他の補助金を充当する経費 |
| 申請期間 | 令和8年4月15日から令和8年10月30日まで |
| 上限金額 | 基準額は1医療機関当たり1,000千円(100万円) |
| 補助率 | 200床以上の病院は2分の1、200床未満の病院及び医科診療所は4分の3 |
| 申請方法 | 原則としてJグランツによるオンライン申請 |
| 問い合わせ先 | 東京都医療DX推進事業補助金事務局 電話050-3816-2607 |
補助金・助成金の正式名称
この制度の正式名称は、令和8年度医療機関診療情報デジタル導入支援事業です。
Jグランツ上では制度名が「医療機関診療情報デジタル導入支援事業」と表記され、年度を冠した名称が公募のタイトルとして掲載されています。
運用の根拠となるのは医療機関診療情報デジタル導入支援事業実施要綱と、同事業補助金交付要綱の2つです。
名称に「デジタル導入支援」とありますが、補助されるのはシステムそのものではなく導入検討にかかる費用である点が、この制度を理解するうえでの出発点になります。
対象都道府県・市区町村
対象となる地域は東京都内です。
区部か多摩地域かによる区別は設けられておらず、島しょ部を含めて都内に開設されている医療機関であれば地域による制限を受けません。
病床配分の決定を受けてこれから新規に病院を開設する予定の方も、対象者として明記されています。
開設予定の段階から使える設計になっているため、新規開業を控えた医療機関にとっても検討の余地がある制度です。
実施機関
実施しているのは東京都保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当です。
ただし令和8年度については、申請受付と書類審査、問い合わせ対応を外部事業者に委託して運営しています。
実務上の窓口は東京都医療DX推進事業補助金事務局となり、この事務局が開設されたのは令和8年4月15日からです。
制度そのものに関する所管は都の医療政策課ですので、要綱の解釈など踏み込んだ照会が必要な場面では都の担当へ確認する流れになります。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象になるのは、東京都内において病院を開設する者、および医科診療所を開設する者のうち、東京都知事が適当と認める者です。
病床配分の決定を受けて新規に病院を開設する者も、この対象者に含まれます。
一方で国、地方公共団体、地方独立行政法人、独立行政法人、国立大学法人が開設する医療機関は対象から除かれています。
健康保険法第63条第3項第1号に規定する保険医療機関ではない診療所、過去にこの補助金の交付を受けたことがある医療機関、暴力団や暴力団員等が関与する法人・団体も同様に除外されます。
対象業種
Jグランツ上で示されている対象業種は「医療、福祉」です。
制度の性質上、実際に申請できるのは病院と医科診療所に限られており、同じ医療・福祉の分野でも介護事業所や薬局は想定されていません。
対象は医科の診療所であり、歯科診療所については補助対象者として掲げられていない点に注意してください。
従業員数についての制約は設けられていないため、規模の大小そのものが申請の可否を分けることはありません。
対象経費
補助の対象となるのは、電子カルテシステムを新たに導入することを検討するうえで必要となる調整業務に係るコンサルタント費用です。
具体的には、電子カルテシステム導入計画の策定や導入コストの算出といった業務が例示されています。
対象となるのは令和8年度、すなわち交付決定通知を受けた後から令和9年3月31日までに実施した業務に限られます。
交付決定より前に契約を締結した案件は対象外になりますので、コンサルタントとの契約時期には特に気を配ってください。
その他要件
事業実施の条件として、電子カルテシステムの導入に向けた取組を進めることが求められています。
加えて、事業の効果検証のために都が実施する導入状況等の調査に協力することも条件のひとつです。
導入を予定する電子カルテシステムは、病院の場合、厚生労働省標準規格であるSS-MIX2ストレージへの出力かHL7 FHIR記述仕様での出力のいずれかが可能である必要があります。
国が構築する電子カルテ情報共有サービスなど、全国医療情報プラットフォームへの接続についても検討することが求められています。
補助対象外となるもの
すでに稼働している電子カルテシステムを更新するための費用は、補助の対象になりません。
また、部門システムを導入することに関する費用も対象外として明記されています。
国や地方公共団体の他の補助金等を充当する経費についても、この補助金を重ねて受けることはできません。
補助対象者の要件として、過去にこの補助金の交付を受けたことがある医療機関が除外されている点も、実質的な制限として押さえておく必要があります。
申請期間
令和8年度の受付開始は令和8年4月15日、申請期限は令和8年10月30日です。
Jグランツの公募詳細ページ上でも、受付終了日時は2026年10月30日23時59分と案内されています。
交付決定の時期は令和8年8月以降の見込みとされており、補助金が実際に支払われるのは補助事業完了後の令和9年5月頃の予定です。
交付決定を受けてから年度末までに業務を完了させる必要がありますので、申請が遅くなるほど実施できる期間が短くなる点を計算に入れてください。
上限金額・助成額
基準額は1医療機関当たり1,000千円、つまり100万円です。
補助額は、この基準額と対象経費の実支出額を比べて低いほうの金額を選び、さらに総事業費から寄附等を除いた金額と比較して低いほうに補助率を乗じて算出されます。
Jグランツ上の補助上限額の欄は「-」と表示されていますが、これは金額の定めがないという意味ではなく、基準額に補助率を乗じて算定する方式であることを示しています。
200床未満の医療機関が100万円のコンサルタント費用を支出した場合、補助額は75万円が上限の目安となります。
補助率
補助率は医療機関の規模によって2段階に分かれています。
200床以上の病院は2分の1、200床未満の病院および医科診療所は4分の3です。
小規模な医療機関ほど補助率が手厚く設定されており、診療所であれば自己負担は4分の1で済む計算になります。
自院がどちらの区分に当たるかは許可病床数で判断されますので、境界に近い規模の病院は事前に確認しておくと安心です。
問い合わせ先
申請受付と問い合わせの窓口は、東京都医療DX推進事業補助金事務局です。
電話番号は050-3816-2607、メールアドレスはtokyo-dx@saison-psp.co.jpとなっています。
制度を所管する東京都保健医療局医療政策部医療政策課医療改革推進担当の電話番号は03-5320-4448です。
日常的な申請手続きの質問は事務局へ、要綱の解釈にかかわる照会は都の担当へ、というように使い分けると話が早く進みます。
公式公募ページと確認すべきこと
公募の概要と申請の入口はJグランツの公募詳細ページにまとまっています。
要綱や申請様式、補助金申請手続の手引は東京都保健医療局の事業ページから入手する流れです。
確認しておきたいのは、自院が補助対象者の除外規定に当たらないかという点と、契約手続が競争入札の基準を満たすかという2点です。
どちらも見落とすと交付決定後に対象外と判断されかねない項目ですので、様式を書き始める前に手引を通読しておくことをおすすめします。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
この制度の最大の価値は、電子カルテ導入の「手前」にある検討費用を公費で賄えることにあります。
システムの購入費や保守費に比べると、導入計画の策定やコスト算出にかかる費用は表に出にくく、院内の持ち出しで済ませてしまいがちな部分です。
しかし選定を誤ると数千万円規模の投資が無駄になりかねないため、本来はここに専門家の知見を投じる価値があります。
200床未満の病院や医科診療所であれば費用の4分の3が補助されますので、実質25万円程度の負担で本格的な導入コンサルティングを受けられる計算になります。
また、SS-MIX2やHL7 FHIRといった標準規格への対応を要件に組み込むことで、将来の全国医療情報プラットフォームへの接続を見据えた選定ができる点も見逃せません。
補助を受ける過程で導入計画が文書として残るため、理事会や職員への説明資料としてもそのまま活用できます。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 都内で紙カルテ運用を続けており、電子カルテの新規導入を具体的に検討し始めた病院・医科診療所
- 病床配分の決定を受け、これから都内に病院を新規開設する予定の医療機関
- システム選定の判断材料が不足しており、外部の専門家に計画策定を依頼したいと考えている医療機関
- SS-MIX2やHL7 FHIRといった標準規格への対応を、導入時点から織り込んでおきたい医療機関
- 令和9年3月末までにコンサルティング業務を完了させ、費用の支払いまで済ませられる医療機関
見送ったほうが良い人の特徴
- すでに電子カルテを稼働させており、更新やリプレースを検討している医療機関
- 国、地方公共団体、地方独立行政法人、独立行政法人、国立大学法人が開設する医療機関
- 過去にこの補助金の交付を受けたことがある医療機関
- 保険医療機関ではない診療所、および歯科診療所
- 導入したいのが電子カルテ本体ではなく、検査や会計などの部門システムである医療機関
- すでにコンサルタントと契約を締結してしまっている医療機関
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
これまで手がけてこなかった事業領域へ踏み出す挑戦に、国が資金面から伴走する枠組みです。
医療法人が健診センターや在宅医療部門を新設するなど、収益の柱を増やす動きを検討しているなら候補に挙がります。
審査では付加価値額や賃金の伸びについて具体的な数値目標を掲げることが求められますので、事業計画の作り込みには相応の時間を確保してください。
東京都の本補助金が院内の情報基盤を整える性格であるのに対し、こちらは事業構造そのものを動かす場面で効いてきます。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
革新的な製品やサービスを世に出すための設備投資、システム構築費を対象とする国の制度です。
医療分野では、新しい検査サービスの立ち上げや、遠隔診療の仕組みづくりといった用途で活用されることがあります。
同一の支出について複数の補助金を重ねて受けることはできませんので、経費の切り分けは見積書の段階から明確にしておいてください。
補助率や上限額は従業員規模や賃上げの取組状況で変動しますので、公募要領で自院の区分を確かめてから計画を組み立てるとよいでしょう。
中小企業省力化投資補助金
人手不足に直面する事業者が、機械やソフトウェアで業務を省力化する投資を支える制度です。
受付や会計の自動化、予約管理の効率化など、医療機関の周辺業務にも当てはまる場面は少なくありません。
電子カルテの導入で診療記録の流れを整えたうえで、周辺業務の省力化を重ねると、現場の負担軽減がより実感しやすくなります。
カタログから製品を選ぶ方式は手続きが簡便な反面、導入後は労働生産性の向上について報告を続ける義務が生じます。
小規模事業者持続化補助金
規模の小さい事業者が販路を広げたり業務を効率化したりする取組を、比較的少額から支援する制度です。
診療所のウェブサイト刷新や案内資料の作成といった、患者に向けた情報発信の場面で使われることがあります。
申請には商工会議所または商工会の支援を受けながら経営計画を作成する必要がありますので、早い段階で相談窓口へ足を運んでおくと進めやすくなります。
補助額は本記事で紹介している制度より小さめですが、手が届きやすく初めての補助金申請の練習にもなります。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業補助金に係る交付申請書(別記第1号):東京都保健医療局の事業ページから様式を入手します(Jグランツ申請の場合は提出不要です)
- 医療機関診療情報デジタル導入支援事業計画書(別記第1号様式 別紙1):同じく事業ページの様式を使用します
- 経費所要額調(別記第1号様式 別紙2):同じく事業ページの様式を使用します
- 歳入歳出予算書(見込書)抄本:当該補助事業の支出予定額が記載されているものを自院で用意します
- 印鑑証明書:法務局等で取得します(Jグランツ申請の場合は提出不要です)
- その他参考となる資料:見積書の写しなど、所要額と単価・時間が確認できる詳細なものを準備します
- Jグランツで申請する場合:GビズIDプライムアカウントの取得が前提となります
記載例はどこで確認できるか
様式の書き方は、東京都が公開している補助金申請手続の手引で確認できます。
手引と各様式、実施要綱、交付要綱は東京都保健医療局の事業ページに一式が掲載されています。
見積書については単価や作業時間が読み取れる詳細な内訳が求められていますので、コンサルタントに依頼する段階でその旨を伝えておいてください。
記載に迷う箇所が出てきた場合は、様式を作り込む前に事務局へ電話で確認したほうが手戻りを避けられます。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
医療機関の場合、市場性は売上規模ではなく地域における役割として描くほうが伝わります。
日々の外来患者数、在宅訪問の件数、連携している医療機関や介護事業所の数といった数字を並べ、自院がどれだけの診療情報を扱っているかを示してください。
電子化によって情報共有が進めば地域の何人の患者に恩恵が及ぶのか、という規模感まで書き込めると計画の説得力が変わります。
高齢化率や在宅医療の需要見通しなど、区市町村が公表している統計を一つ引用しておくと、主観に頼らない記述になります。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
競合との勝ち負けを論じるのではなく、自院ならではの診療体制や連携の形を書き出すという考え方が合っています。
標榜科の組み合わせ、夜間や休日の対応体制、特定の疾患に強みを持つ診療実績など、他院にはない特徴を具体的に挙げてください。
その特徴があるからこそ電子カルテの導入設計にどんな固有の検討が必要になるのか、という筋道まで示せると評価につながります。
既存の紙運用で生じている非効率を具体例で示すと、現状と目指す姿の落差がはっきりします。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ院内の判断だけで進めず、外部のコンサルタントに費用を投じる必要があるのかを説明してください。
情報システムを担当する専任職員が不在である、複数のベンダーの提案を比較する基準を持っていない、といった実情を率直に記すことが出発点になります。
この事業が医療情報の共有・連携の促進を目的としている以上、自院の電子化が地域医療連携にどう寄与するかという視点を必ず添えてください。
全国医療情報プラットフォームへの接続を検討する姿勢を明記しておくことも、要件との整合という意味で欠かせません。
実行体制を明記する
コンサルタントに任せきりにせず、院内で誰が窓口となり、どの職種が検討に加わるのかを書き出してください。
医師、看護師、医事課の担当者がそれぞれどの場面で関与するのかを整理すると、現場が動く計画であることが伝わります。
交付決定が令和8年8月以降、事業完了が令和9年3月末という限られた期間ですので、月単位の工程表を添えておくと実現可能性の裏づけになります。
契約手続については競争入札が原則とされていますので、その手順を誰が担当するかも体制図に含めておくと万全です。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業の申請手順
- 東京都保健医療局の事業ページで実施要綱、交付要綱、補助金申請手続の手引を確認します
- 自院が補助対象者に該当し、除外規定に当たらないことを確かめます
- コンサルタントから、単価と作業時間が読み取れる詳細な見積書を取得します
- 交付申請書、事業計画書、経費所要額調、歳入歳出予算書(見込書)抄本などの書類を作成します
- GビズIDプライムアカウントを用意し、Jグランツにログインします(未取得の場合は発行に日数がかかります)
- Jグランツの公募詳細ページから電子申請を行い、必要書類をアップロードします
- 東京都による書類審査を経て、令和8年8月以降に交付決定通知を受け取ります
- 交付決定通知を受けた後、一般競争入札または指名競争入札によりコンサルタントとの契約手続を進めます
- 令和9年3月31日までに導入計画の策定等の業務を完了させ、報告書等の納品と支払いを済ませます
- 実績報告を行い、交付額の確定を受けたうえで、令和9年5月頃に補助金の支払いを受けます
医療機関診療情報デジタル導入支援事業を自社で申請する際の注意点
最も見落としやすいのは、交付決定通知の前に契約を締結した案件は補助対象外になるという決まりです。
入札や契約の事務は交付決定通知を受けてから始める必要がありますので、コンサルタントとの話し合いが進んでいても契約書を交わすのは待ってください。
契約は保健医療局の契約手続基準に基づき原則として一般競争入札または指名競争入札で行うこととされ、特命随意契約による場合は契約前に都へ理由を報告して確認を受ける必要があります。
交付申請書の提出が採択を確約するものではない点も、事業計画書の内容が審査されるという前提とあわせて理解しておいてください。
Jグランツでの申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、取得には日数を要しますので、申請期限から逆算して早めに手続きを始めることをおすすめします。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
医療機関向けの補助制度は国、都道府県、区市町村がそれぞれに用意しており、対象経費が微妙に重なり合っています。
電子カルテ関連ひとつをとっても、導入検討費を見る制度、機器整備を見る制度、通信環境を見る制度と性格が分かれます。
国や地方公共団体の他の補助金と重複して充当できない決まりがある以上、どの支出をどの制度に割り当てるかの設計が成否を左右します。
複数の制度を横断して見てきた専門家に相談すれば、この割り当ての判断が短時間で片づきます。
事業計画の質が上がる
日々診療にあたっている方ほど、自院の運用の特徴を当たり前のものと感じて説明を省いてしまう傾向があります。
外部の書き手が聞き取ることで、審査する側が知りたい情報が過不足なく文章として立ち上がってきます。
経費所要額調と見積書と事業計画書の三者で数字と業務内容が食い違っていないかという整合の確認も、第三者の目が入ると精度が上がります。
計画づくりで整理した内容は、後の入札仕様書やベンダーへの要求事項の土台としてもそのまま使えます。
採択後の実務まで見据えられる
この制度は交付決定を受けてから契約、業務実施、実績報告、額の確定と続く長い工程を持っています。
入札手続の進め方や、報告書の納品と支払いを年度内に収める段取りは、初めて経験する担当者には負担の大きい作業です。
申請の時点から実績報告に必要な証拠書類を意識して集めておけば、令和9年3月末の期限前に慌てずに済みます。
補助金の支払いが翌年度の5月頃になるという資金繰りの前提も、あらかじめ助言を受けておくと院内の説明がしやすくなります。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業を不正受給するとどうなるのか
- 虚偽申請が発覚したときに待っている処分
- 日々の記録が身を守るという考え方
虚偽申請が発覚したときに待っている処分
補助金の交付は東京都の交付要綱に基づいて行われ、要綱に反する行為があれば交付決定の取消しという措置が取られます。
実際には行っていない業務を実施したように装う、見積額を水増しして請求する、対象外である電子カルテの更新費用を新規導入の検討費として申告するといった行為が典型例です。
すでに受け取った補助金は加算金とともに返還を求められるのが公的補助金の一般的な扱いであり、悪質な場合は詐欺罪として刑事責任を問われる可能性もあります。
医療機関にとっては、金銭的な損失以上に地域の患者や連携先からの信頼を失う影響のほうが重く響きます。
日々の記録が身を守るという考え方
この事業では、都が導入状況等に関する調査を行う際に協力することが実施条件として定められています。
後日の照会に備えるという意味では、契約書、見積書、報告書の納品物、支払いを裏づける通帳の記録を一式で保管しておくことが最も確実な備えになります。
意図的な不正でなくても、経費の区分を誤ったまま報告すれば結果として返還を求められることがありますので、迷った時点で事務局へ相談する習慣をつけてください。
担当者の異動があっても引き継げるよう、保管場所と整理のルールを院内で決めておくと安心です。
医療機関診療情報デジタル導入支援事業のまとめ
令和8年度医療機関診療情報デジタル導入支援事業は、都内の病院と医科診療所が電子カルテシステムを新たに導入する際の検討費用を支援する東京都の制度です。
補助されるのは導入計画の策定やコスト算出といった調整業務に係るコンサルタント費用で、基準額は1医療機関当たり100万円となっています。
補助率は200床以上の病院が2分の1、200床未満の病院および医科診療所が4分の3で、小規模な医療機関ほど手厚い設計です。
申請受付は令和8年4月15日に始まり、令和8年10月30日が期限となっています。
交付決定通知の前に契約を結んでしまうと補助対象外になりますので、契約の時期だけは絶対に前倒ししないよう気をつけてください。
公募の詳細と申請の入口はJグランツの公募詳細ページ、要綱と様式一式は東京都保健医療局の事業ページでそれぞれ確認できます。
交付決定から年度末までの実施期間は決して長くありませんので、電子カルテの導入を考えている医療機関は早めに準備へ取りかかることをおすすめします。
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