東京都テレワークトータルサポート助成金【令和8年度】対象者判定・助成額計算・実績報告までの流れ

助成金

東京都の「テレワークトータルサポート助成金」は、令和8年度(2026年度)分の申請受付が令和8年5月29日に始まり、令和9年2月5日まで受け付けています。

この助成金は「テレワーク機器を買えばもらえる制度」ではありません。申請前に東京都のテレワーク相談窓口を利用して「相談窓口利用証」を受け取ること、支給決定後4か月以内にテレワーク実施対象者全員がテレワーク勤務を6回以上行うこと、実績報告までに「テレワーク東京ルール実践企業宣言」に登録することという、この制度に固有の3つの条件がそろって初めて助成金が確定します。

また、令和8年度はノートパソコン・デスクトップパソコンの購入単価の制限が撤廃された一方で、助成対象経費として計上できるのは1台あたり税抜10万円までです。消耗品費は税込単価1千円以上10万円未満、業務ソフトウェア購入費は税込単価10万円以上と、科目ごとに単価の線引きが違います。

本記事では、公益財団法人東京しごと財団が公開している令和8年度の募集要項をもとに、自社が対象になるかの判定、助成額の計算、科目ごとの単価ルール、申請から実績報告・財産処分制限までの流れを整理します。

  1. 令和8年度テレワークトータルサポート助成金の基本情報
  2. 受付状況と、令和9年2月5日の締切から逆算する準備スケジュール
    1. 申請受付期間と、期間内でも締め切られる条件
    2. 起点は「相談窓口利用証」の受領日
    3. GビズIDプライムの発行が間に合わないときは郵送申請に切り替える
  3. 助成額の計算方法|委託費の上限を含めた計算例
    1. 常時雇用労働者数で助成率・上限額・委託費上限が変わる
    2. 計算例1:常時雇用労働者20人の企業がノートPC10台と設置設定を導入する場合
    3. 計算例2:常時雇用労働者50人の企業がVPN設定を委託する場合
  4. 自社が対象になるか|労働者数と都内勤務要件のチェック
    1. 「999人以下」と「都内勤務2名以上」は別々の要件
    2. 個人事業主・一人社長・役員の扱い
    3. 非常時雇用の労働者・派遣労働者を対象に含める場合
    4. 過去のテレワーク関連助成金を受けている場合の1年ルール
  5. 助成対象になる機器・ならない機器の境界|6科目の単価ルール
    1. 科目別の単価ルール早見表
    2. 委託費として認められる3種類と上限
    3. VPN設定に伴って社内に設置できる機器の範囲
    4. 中古・アウトレット・整備済み品は一律で対象外
    5. 計画段階で外しておきたい助成対象外の経費
  6. 申請に必要な書類と、取得に時間がかかる書類
    1. 支給申請時の提出書類
    2. 納税証明書は「都税」であって国税ではない
    3. 有効期限と見積書のルール
  7. 申請から支給決定までの手順
  8. 支給決定後の実務|4か月以内の環境整備とテレワーク勤務6回以上
    1. 支給決定日より前の発注・契約・購入は対象外
    2. テレワーク勤務6回以上の数え方
    3. 「テレワーク東京ルール実践企業宣言」の登録が実績報告の前提
    4. 実績報告は支給決定日から5か月以内
  9. 助成金を受け取った後に残る義務
    1. 取得財産の処分制限と返還額の計算
    2. 関係書類は5年間保存する
    3. 支給決定が取り消される場合
  10. 令和7年度からの主な変更点
  11. 公式サイトで公開されている活用事例
  12. 対象外だった場合や、他の制度を検討する場合
  13. まとめ

令和8年度テレワークトータルサポート助成金の基本情報

制度名テレワークトータルサポート助成金(令和8年度)
実施機関公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 テレワーク支援係(東京都の事業)
対象地域東京都内
対象者常時雇用する労働者が999人以下の都内中堅・中小企業等。都内に勤務する常時雇用労働者を2名以上雇用していること
助成事業テレワーク環境の整備(加算できる項目はなし)
助成率・上限額常時雇用労働者2〜29人:2/3・上限150万円(うち委託費上限50万円)/30〜999人:1/2・上限250万円(うち委託費上限62.5万円)
助成対象経費の科目パソコン購入費/消耗品費/業務ソフトウェア購入費/委託費/賃借料/使用料の6科目
申請受付期間令和8年5月29日(金)〜令和9年2月5日(金)※予算を超えた場合は期間内でも受付終了
申請回数1助成対象事業者につき、受付期間内に1回限り
申請方法郵送またはJグランツ(電子申請)※来所による持参提出は一切不可
申請前の必須手続き東京都のテレワーク相談窓口を利用し「相談窓口利用証」を受領(申請日時点で有効期限内であること)
助成事業の実施期間支給決定日から4か月以内(テレワーク勤務6回以上の実績が必要)
実績報告の期限支給決定日から5か月以内
問い合わせ先助成金:公益財団法人東京しごと財団 03-5211-5200/相談窓口:03-6800-6004(いずれも平日9時〜17時)

数字だけを見ると「最大250万円」の制度ですが、実際に受け取れる金額を決めるのは上限額ではなく、後述する科目ごとの単価ルールとテレワーク勤務実績です。出典は令和8年度テレワークトータルサポート助成金概要(東京しごと財団)および令和8年度募集要項ページです。

受付状況と、令和9年2月5日の締切から逆算する準備スケジュール

申請受付期間と、期間内でも締め切られる条件

令和8年度の申請受付期間は令和8年5月29日(金)から令和9年2月5日(金)までです。提出方法によって締切時刻の扱いが異なります。

  • 郵送申請:締切日当日の消印有効
  • 電子申請(Jグランツ):締切日当日23時59分までに提出されたものまで有効
  • 来所による持参提出:一切受け付けない

募集要項には「予算の範囲を超える申請があった場合等、申請受付期間内でも受付を終了することがあります」と明記されています。つまり2月5日は最終期限であって、そこまで必ず申請できるという意味ではありません。

加えて、申請は1事業者につき受付期間内に1回限りです。中止届出書を提出して助成事業を中止した場合は再申請できません(支給申請の撤回であれば再申請は可能です)。「まず出してみて、後から内容を差し替える」という進め方ができない制度である点に注意してください。

起点は「相談窓口利用証」の受領日

この助成金の準備は、機器の選定でも見積依頼でもなく、東京都が実施するテレワークトータルサポート事業の相談窓口への申込みから始まります。相談窓口を利用すると「相談窓口利用証」が発行され、これがない企業は申請そのものができません。

相談窓口利用証には有効期限があり、申請日時点で期限内である必要があります。相談窓口を早く利用しすぎて、機器選定や見積取得に時間をかけている間に利用証の期限が切れる、という順序の失敗が起こり得ます。相談窓口の利用時期は、見積書の取得や社内決裁のスケジュールとあわせて決めてください。

なお、テレワーク機器等の整備対象者に「都内事業所に所属する常時雇用ではない労働者」または「当該事業所の業務に従事する派遣労働者」を含める場合は、相談窓口の利用に加えて東京都のコンサルティングの利用が必要で、「コンサルティング内容確認書」の受領が要件になります。相談窓口の申込みは事業特設サイトまたは電話(03-6800-6004)から行えます。

GビズIDプライムの発行が間に合わないときは郵送申請に切り替える

電子申請にはJグランツを使い、そのためにはGビズIDプライムのアカウントが必要です。募集要項には「GビズIDの発行が間に合わないことに伴う申請期日の猶予は想定しておりません。アカウントを取得できない場合は、郵送により申請してください」と記載されています。

また、申請日時点でGビズIDのアカウント情報が最新であることも確認が必要です。代表者の辞任などで登記上の代表者とアカウント情報が異なる場合、申請を受け付けられないことがあります。

申請代行を検討している場合は、提出方法の選択が変わります。電子申請では社会保険労務士や行政書士等による手続の代行ができません。代行を依頼するなら、委任状を添えた郵送申請を選ぶことになります。郵送・電子申請のいずれでも、見積業者や購入先業者が代行者になることは認められていません。

助成額の計算方法|委託費の上限を含めた計算例

常時雇用労働者数で助成率・上限額・委託費上限が変わる

常時雇用する労働者数助成率助成限度額うち委託費の上限
2人以上29人以下2/3150万円50万円
30人以上999人以下1/2250万円62.5万円

助成金額は、助成対象経費(税抜)に助成率を乗じて算出し、千円未満の端数は切り捨てます。単価の判定には税込金額を使う科目があるため、「単価判定は税込、助成額計算は税抜」という二段構えになっている点を押さえてください。

また、実績報告時に常時雇用する労働者数が変わっていた場合は、変更後の規模に対する上限と支給決定額を比較し、低いほうが助成金支給額の上限になります。

計算例1:常時雇用労働者20人の企業がノートPC10台と設置設定を導入する場合

以下は募集要項の単価ルールに基づく計算例です(実際の採択事例ではありません)。

  • ノートパソコン 税抜12万円 × 10台=120万円 → パソコン購入費の助成対象経費は1台あたり税抜10万円が上限のため、対象経費は10万円×10台=100万円
  • PC設置・設定の委託 3万円 × 10台=30万円(機器1台につき3万円が上限。委託費上限50万円の範囲内)
  • 助成対象経費の合計=130万円
  • 助成額=130万円 × 2/3=866,666.6…円 → 千円未満切り捨てで866,000円
  • 実際の支出150万円(税抜)に対し、自己負担は634,000円

1台あたり10万円を超える高性能PCを選んでも購入自体は可能ですが、超過分は助成対象経費に計上できません。台数を優先するのか単価を優先するのかは、実施計画を作る段階で決めておく必要があります。

計算例2:常時雇用労働者50人の企業がVPN設定を委託する場合

  • ノートパソコン 税抜9万円 × 20台=180万円(1台10万円以内のため全額が対象経費)
  • VPN設定の委託費 税抜20万円 → 1申請につき15万円が上限のため、対象経費は15万円
  • VPN設定を行うUTM 1台 税抜8万円(税込88,000円)=8万円。消耗品費は税込単価1千円以上10万円未満のため対象
  • 助成対象経費の合計=203万円
  • 助成額=203万円 × 1/2=1,015,000円(上限250万円・委託費上限62.5万円のいずれも範囲内)

ここで注意したいのが、同じVPNルーターでも税込単価が10万円以上になると消耗品費として助成対象外になる点です。募集要項の「助成対象外となる機器等 例」にも、税込単価10万円以上の消耗品の例としてタブレット・モニター・VPNルーターが挙げられています。

なお、委託費だけを単独で申請することはできません。パソコン購入費や消耗品費などの機器導入とセットで申請する必要があります。

自社が対象になるか|労働者数と都内勤務要件のチェック

「999人以下」と「都内勤務2名以上」は別々の要件

対象者を「常時雇用労働者2〜999人の企業」とまとめて説明されることがありますが、募集要項では2つの要件に分かれています。

  • 企業全体で、常時雇用する労働者の数が999人以下であること(都内に本店登記があるか、支店・営業所等の事業所が都内にあること)
  • 都内に勤務する常時雇用労働者を2名以上雇用していること。うち1名は、申請日時点で6か月以上継続して雇用しており、かつ雇用保険加入期間が6か月以上の雇用保険被保険者であること(休業中の労働者を含む)

都外に本社があり都内に小規模な事業所を置いている企業では、企業全体の人数は満たしていても「都内勤務の常時雇用労働者2名以上」で外れるケースがあります。申請時には本社・支店等すべての事業所(都外の事業所、登記簿上の本店を含む)を様式第1号別紙「事業所一覧」に記載する必要があるため、拠点の実態と一致しているかを先に確認してください。

ここでいう常時雇用する労働者とは、雇用形態(アルバイト・パート等)にかかわらず、期間の定めなく雇用されている労働者、または有期雇用・日々雇用の更新で過去1年を超えて引き続き雇用されている(もしくは採用時から1年を超えて雇用されると見込まれる)労働者を指します。登録型派遣労働者は含みません。

個人事業主・一人社長・役員の扱い

個人事業主も対象に含まれますが、税務署へ開業届を提出していることが前提で、かつ都内勤務の常時雇用労働者2名以上という要件も満たす必要があります。従業員を雇用していないフリーランスや一人社長のみでは対象になりません。

もう1つ見落としやすいのが、テレワーク実施対象者の選定です。経営者や役員は労働者に含まれないため、テレワーク実施対象者に選ぶことができません。ただし兼務役員(役員と同時に部長・支店長等の労働者としての身分を持ち、雇用関係があると認められる者)は選定可能で、その場合は実績報告時に事業所別被保険者台帳等で兼務役員であることを示す書類の提出が求められます。

非常時雇用の労働者・派遣労働者を対象に含める場合

テレワーク機器等の整備対象者に、都内事業所に所属する常時雇用ではない労働者や、当該事業所の業務に従事する派遣労働者を含める場合は、相談窓口だけでなくコンサルティングの利用が必要です。この場合、テレワーク実施対象者として選定できる人数は「コンサルティング内容確認書」に記載された人数が上限となります。

過去のテレワーク関連助成金を受けている場合の1年ルール

次の4つの助成金を受給している場合、その助成事業実施完了期限から起算して1年を経過していないと申請できません。

  • テレワーク導入ハンズオン支援助成金
  • テレワーク促進助成金
  • 育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金
  • テレワーク定着促進フォローアップ助成金

あわせて、テレワークトータルサポート助成金自体を受給(受給予定を含む)していないことも要件です。過去に東京都のテレワーク関連助成金を使ったことがある企業は、まず完了期限がいつだったかを確認してください。

その他、都税(法人都民税・法人事業税、個人の場合は個人事業税・個人都民税)の未納付がないこと、過去5年間に重大な法令違反等がないこと、労働関係法令を遵守していること、風俗営業等を行っていないこと、常時10人以上の労働者が雇用されている事業場がある企業等は就業規則を作成し労働基準監督署に届出を行っていることなどが要件として定められています。

助成対象になる機器・ならない機器の境界|6科目の単価ルール

科目別の単価ルール早見表

科目単価・数量の扱い
パソコン購入費購入単価に制限なし。ただし助成対象経費(税抜)の上限は1台あたり10万円。テレワーク実施対象者のために購入するものに限る(リモートデスクトップ用の社内設置ホスト端末は対象外)ノートPC、デスクトップPC
消耗品費税込単価1千円以上10万円未満に限る(税込単価10万円以上は対象外)モニター、タブレット、スマートフォン、周辺機器等
業務ソフトウェア購入費税込単価10万円以上の業務ソフトウェア財務会計ソフト、CADソフト等
委託費パソコン設置・設定、タブレット設定、VPN設定の3種類のみ。企業規模による上限ありキッティング、VPN設定作業
賃借料最長3か月分パソコンリース・レンタル料等
使用料最長3か月分サブスクリプション型ソフトウェア利用料等

期間による料金設定がある契約は、最長3か月分までしか申請できません。3年版の導入型ソフトや1年単位のライセンス契約は、申請期間分(最長3か月分)に按分した経費で申請する必要があります。また、原則としてテレワーク実施対象者数を超える数の購入・契約はできず、ライセンスの最低購入数が対象者数を超える場合も対象者分に按分した経費で申請します。

委託費として認められる3種類と上限

  • パソコンの設置・設定:貸与する機器1台につき3万円が上限
  • タブレット設定:貸与する機器1台につき3万円が上限
  • VPN設定:1申請につき15万円が上限

パソコン・タブレットの設置設定費は、申請するパソコンまたはタブレットに紐づく台数分が上限で、同じテレワーク実施対象者について委託費が重複することは認められません。さらに、委託費の合計は常時雇用労働者2〜29人で50万円、30〜999人で62.5万円が上限です。工事に関する委託費や業務の再委託費は助成対象外となります。

VPN設定に伴って社内に設置できる機器の範囲

この助成金は原則として「社内環境の整備」を対象外としていますが、VPN設定を行う場合に限り、社内に設置する機器の一部が対象になります。

  • VPNルーター、ファイアウォール、UTM、NAS、サーバーのうちいずれか1台のみ(VPN設定がなされるものに限る)
  • Web会議用機器(モニター、Webカメラ、スピーカー、マイク)各1台まで

これらの機器にVPN設定がなされない場合、機器本体の経費は助成対象になりません。また、支給申請時に委託作業の詳細が不明瞭な場合や、実績報告時に委託作業の履行が確認できない場合も、委託費・機器代ともに認められません。実績報告では、設定した機器・環境を利用できることが確認できる画面キャプチャ等の成果物提出が求められます。

中古・アウトレット・整備済み品は一律で対象外

アウトレット品、整備済み品(リファービッシュ品)、バルク品、新古品、新品未開封品を含め、完全な新品ではない製品は助成対象外です。実績報告時に購入機器のメーカー保証期間等を確認し、購入日との整合性が取れない場合は中古物品と判断されて対象外になることがあります。

見積書の取得先や支給決定後の発注先に対して、この条件をあらかじめ伝えておかないと、コスト重視の提案を受け入れた結果として全額自己負担になりかねません。

計画段階で外しておきたい助成対象外の経費

募集要項の巻末資料には、助成対象外となる機器等の例が具体的に挙げられています。実施計画で助成対象経費と対象外経費が混在し、明確に区分できない場合は、区分できない項目がすべて対象外になります。

  • 税込単価1千円未満の消耗品(マウス、テンキー等)
  • 税込単価10万円以上の消耗品(タブレット、モニター、VPNルーター等)
  • アクセサリ類(電源タップ、延長コード等のケーブル類、モバイルバッテリー等)
  • 導入目的・利用用途以外の機能を搭載した機器(テレビチューナー搭載モニター、電話機付きプリンター等)
  • UPS(無停電電源装置)、オプションの延長保証
  • テレワーク実施対象者1人に機能が重複する機器を2台以上貸与するもの
  • シュレッダー、プロジェクター、USBメモリ、SDカード、スタンド類、椅子、机、のぞき見防止フィルム等
  • 通信費(携帯電話通話料金、Wi-Fi月額料金、インターネット回線・プロバイダー料金等)
  • 間接経費(消費税、振込手数料、収入印紙代、事務手数料等)、旅費、光熱水費、物品購入に係る送料
  • システムの再構築・冗長化、システム開発・改修および構築にあたるもの(パッケージへのカスタマイズやアドオンを含む)
  • 親会社・子会社・グループ企業等関連会社や、代表者の3親等以内の親族が経営する会社との取引(見積書取得を含む)
  • 自社製品の購入や自社で内製する場合の経費
  • 申請日時点から1年以内にサポートが終了するソフトウェア

また、経費の支払いは原則として口座振込で、助成対象事業者名義以外の口座やクレジットカードからの支払いは認められません。現金払いは、一取引あたり総額税込10万円以下で振込による支払が困難な場合を除いて対象外です。

申請に必要な書類と、取得に時間がかかる書類

支給申請時の提出書類

  • 事業計画書兼支給申請書(様式第1号)+別紙「事業所一覧」 ※常時雇用労働者2〜29人は様式第1号-1、30〜999人は様式第1号-2
  • 誓約書(様式第2号) ※代表者本人の署名が必要
  • 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用) 労働者2名分
  • 就業規則(本則) ※常時10人以上の労働者が雇用されている事業場がある企業等のみ。申請日時点で労働基準監督署の届出印があること
  • 会社案内または会社概要(個人事業主は事業案内・事業概要)
  • 商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書) ※申請日時点で発行日から3か月以内。登記情報提供サービスから出力したものは不可
  • 法人都民税および法人事業税の納税証明書
  • 相談窓口利用証 兼 コンサルティング内容確認書 ※申請日時点で有効期限内のもの
  • テレワーク環境構築図(導入前・導入後の両方)
  • 見積書 ※申請日時点で有効期限内のもの。ネットショッピング等の価格案内ページの写しは不可
  • 導入製品等の資料(製品情報、委託作業内容がわかるもの)
  • 委任状(郵送申請で代行を依頼する場合のみ)

個人事業主の場合は、これらに加えて個人事業の開業・廃業等届出書と住民票記載事項証明書(申請日時点で発行日から3か月以内)、個人都民税(居住地分・事業所地分)および個人事業税の納税証明書が必要です。

納税証明書は「都税」であって国税ではない

提出が必要なのは法人都民税・法人事業税の納税証明書で、都税事務所で発行されます。法人税など国税の納税証明書ではありません。他の補助金の感覚で税務署に請求すると、必要な書類が揃わないまま申請日を迎えることになります。

納期の到来状況によって提出する年度が変わる点にも注意が必要です。申請日時点で初めての納期限前であれば都税事務所に届け出た法人設立・設置届出書の写しを提出し、実績報告時に納税証明書を提出します。直近年度の納期が到来しておらず支払いが完了していない場合は前年度分を提出します。

有効期限と見積書のルール

登記簿謄本と住民票記載事項証明書は「申請日時点で発行日から3か月以内」、相談窓口利用証と見積書は「申請日時点で有効期限内」であることが求められます。これらは取得した瞬間から期限が進むため、申請日を決めてから逆算して取得するのが安全です。

見積書については、適正価格の検証のため申請企業等が自ら取得する必要があります。契約(購入)先1者あたりの契約金額が税込100万円以上になる場合は、同一内容で2者以上の見積書を取得し、原則として総額が安いほうを採用します。取得した見積書はすべて提出し、採用した見積書の右上に「採用」と記載します。

各様式の記入例は令和8年度募集要項ページからダウンロードできます。必ず令和8年度の様式を使用してください。過年度の様式や他の助成金の様式では受け付けられません。

申請から支給決定までの手順

  1. 東京都のテレワークトータルサポート事業の特設サイトまたは電話(03-6800-6004)から相談窓口に申し込む
  2. 相談窓口を利用し、「相談窓口利用証」を受領する(非常時雇用の労働者や派遣労働者を対象に含める場合はコンサルティングも利用し「コンサルティング内容確認書」を受領)
  3. テレワーク実施対象者と実施形態(在宅勤務/モバイル勤務/両方)を決め、導入機器と委託作業を選定する
  4. 申請企業自ら見積書を取得する(税込100万円以上は2者以上)
  5. 導入前・導入後のテレワーク環境構築図を作成する
  6. 登記簿謄本、都税の納税証明書、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書などを取得する
  7. GビズIDプライムを取得してJグランツから申請する、または委任状を添えて郵送で申請する
  8. 審査を経て支給決定通知を受け取る(Jグランツの場合はシステム上で通知)

郵送申請の宛先は「〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル11階 公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 テレワーク支援係」です。封筒に「テレワークトータルサポート助成金 申請書類在中」と記載し、レターパックや簡易書留など追跡可能な方法で送付します。書類の到着有無に関する問い合わせには応じてもらえないため、追跡記録は自社で保管してください。

審査の経過・結果に関する問い合わせにも一切応じられません。また、申請内容に不明な点があった場合の電話確認には、申請企業の在籍者または委任状で指定された代行者しか対応できません。申請書類の控えは必ず手元に保管しておく必要があります。

支給決定後の実務|4か月以内の環境整備とテレワーク勤務6回以上

支給決定日より前の発注・契約・購入は対象外

募集要項には「支給決定があるまで、助成事業(申込、発注、契約や購入)には着手しないでください」と明記されています。支給決定日より前に申込・発注・契約・購入があったものは助成対象外です。実績報告では発注書(申込書)や契約書の日付が支給決定日以後であることが確認されます。

助成事業の実施期間は支給決定日から4か月以内です。この期間内に、支給決定を受けた機器の購入や設定を完了してテレワーク環境を整備し、そのうえでテレワーク勤務の実績まで作る必要があります。

テレワーク勤務6回以上の数え方

整備したテレワーク環境を活用し、テレワーク実施対象者全員がそれぞれ6回以上のテレワーク勤務を実施した実績が必要です。6回に満たない対象者に係る経費は、助成額の確定時に減額対象となります。

  • 在宅勤務で申請した対象者は、在宅勤務を6回以上実施する
  • 「在宅勤務・モバイル勤務の両方」で申請した対象者は、それぞれ最低1回以上実施したうえで、合計6回以上実施する
  • 時間単位や半日のテレワーク勤務も1回の実績として認められる
  • 1日に複数回テレワークを実施した場合は、1回の実績として扱われる

原則として申請時の実施計画どおりにテレワーク勤務を実施する必要があります。実施計画に基づいて機器構成の妥当性が審査されているため、計画どおりに実施されなかった場合、実績報告時に一部機器が助成対象外になる可能性があります。

申請時に予定していたテレワーク実施対象者が退職・異動した場合は、当初の対象者の業務を引き継ぐ後任者に限り、新たなテレワーク実施対象者として事業実施・実績報告を行えます(後任者も対象者としての要件を満たす必要があります)。

「テレワーク東京ルール実践企業宣言」の登録が実績報告の前提

実績報告時には、東京都が実施する「テレワーク東京ルール」実践企業宣言書(「テレワーク推進リーダー設置」表示があるもの)の提出が必要です。この制度に登録するには、所定の項目を満たしたテレワーク規定が記載された書面を提出する必要があります。

助成事業や支払いを規定どおりに実施していても、実績報告日までに宣言書を提出できない場合、助成金の確定額は0円になります。登録手続きに時間を要する場合があるため、機器の導入と並行してテレワーク東京ルール実践企業宣言の登録手続きを進めてください。

実績報告は支給決定日から5か月以内

実績報告書類は支給決定日から5か月以内に提出します(期限厳守)。期限内に提出がない場合や、追加書類の提出期限を過ぎた場合、問い合わせに回答がない場合には、助成事業を中止したものとみなされます。

実績報告で提出する主な書類は次のとおりです。

  • 実績報告書(様式第7号)+別紙「事業所一覧」
  • 「テレワーク東京ルール」実践企業宣言書(「テレワーク推進リーダー設置」表示あり)
  • 見積書、発注書(申込書)、契約書、納品書、請求書
  • 委託完了届(業務報告書) ※委託作業を行った場合
  • 口座振込の控え等、支払いを確認できるもの
  • 購入物品の写真(すべての台数分を1枚に収めた外観写真と、製造番号が確認できる画面キャプチャ等)
  • 委託の成果物(設定した機器・環境を利用できることが確認できる画面キャプチャ等)

助成金の支払いは、助成額確定通知書を受領した後にJグランツ等で請求手続きを行い、請求申請の受付完了から1か月程度で指定口座に振り込まれます。機器代金は先に自社で全額支払う必要があるため、発注から入金までの資金繰りを見込んでおく必要があります。

助成金を受け取った後に残る義務

取得財産の処分制限と返還額の計算

助成事業により取得した財産は、助成事業完了後から5年間、または「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定める期間を経過する日の、いずれか遅い日まで保存しなければなりません。

取得価格または効用の増加価格が10万円以上の取得財産を他の用途に使用する、貸し付ける、譲り渡す、他の物件と交換する、債務の担保に供する場合は、あらかじめ財産処分申請書(様式第9号)により財団の承認を受ける必要があります。財産処分制限期間を経過したものはこの限りではありません。

財産処分を行う場合、処分時から財産処分制限期間が経過するまでの期間に相当する助成金の返還を求められることがあります。返還額は「処分財産の助成金額-(処分財産の助成金額÷財産処分制限期間)×使用月数」で計算されます。募集要項では、税抜12万円のパソコン(法定耐用年数4年=48か月、助成対象経費10万円、助成率2/3、助成金額66,000円)を18か月で処分した場合、66,000円-(66,000円÷48か月)×18か月=41,250円が返還額となる例が示されています。

関係書類は5年間保存する

助成事業に係るすべての関係書類および帳簿類は、支給決定のあった日の属する財団の会計年度(4月〜翌3月)終了後、5年間保存する必要があります。必要に応じて職員による立ち入り調査が行われることもあります。

また、助成金の支給を受けた事業者については、企業名、代表者名、所在地、電話番号、業種、労働者数、支給年度、助成金額が公表される場合があり、申請書の提出をもって同意したものとして扱われます。

支給決定が取り消される場合

偽りその他不正の手段により助成金の支給を受けたとき、助成金を他の用途に使用したとき、支給決定の内容や条件・法令等に違反したとき、廃業・倒産等により助成事業の実施が客観的に不可能となったとき、申請の要件に該当しない事実が判明したときなどは、支給決定の全部または一部が取り消され、すでに支給された助成金の返還を求められます。不正の内容や申請者等が公表されることがあり、刑事罰が適用される場合もあります。

東京しごと財団は、「自己負担なしでテレワークに関する助成金を受給できる」「テレワーク等をしなくてもパソコン等が手に入る」といった電話勧誘・セールスへの注意を呼びかけています。この助成金は助成対象経費の3分の1(常時雇用労働者2〜29人)または2分の1(30〜999人)以上を自己負担することが前提の制度です。キャッシュバックや協賛金等の名目で実質的に助成金額を偽る行為は虚偽申請にあたります。

令和7年度からの主な変更点

項目令和7年度令和8年度
申請受付期間令和7年6月10日〜令和8年2月27日(受付終了)令和8年5月29日〜令和9年2月5日
申請様式事業計画書兼支給申請書に「加算項目1・2」の様式を含む加算項目の様式なし(助成事業はテレワーク環境の整備のみ、加算できる項目はなし)
パソコンの単価税込単価10万円以上のテレワーク機器購入は助成対象外ノートPC・デスクトップPCは購入単価金額に制限なし。ただし助成対象経費の上限は1台あたり10万円

令和7年度の新規申請受付は令和8年2月27日をもって終了しており、実績報告のみ引き続き受け付けられています。令和7年度に本助成金を受給した企業は、令和8年度に再度申請することはできません(テレワークトータルサポート助成金を受給・受給予定の企業は対象外)。

詳細は令和7年度募集要項ページと令和8年度の募集要項を比較して確認してください。

公式サイトで公開されている活用事例

東京都テレワークトータルサポート事業の公式サイトには、支援を受けた企業のテレワーク活用事例が業種別に掲載されています。企業名は公表されておらず、業種・従業員数・相談内容・取組内容・支援効果が紹介される形式です。助成金の採択結果や採択事業者一覧は公表されていません。

  • 【学術研究・専門・技術サービス業/2〜30名】持出用端末やコミュニケーションツール等のIT環境が不十分という相談から、不足している機器端末やツールを検討し、助成金を活用してビジネスチャットを含む環境を整備した事例
  • 【情報通信業/51〜100名】数名のみで実施していたテレワークを全社展開するにあたり、助成金を活用して勤怠管理ツールを導入し、テレワーク規程を労働基準監督署に提出して制度化した事例

いずれも公式サイトに掲載されている活用事例であり、助成金の審査で有利になる条件を示すものではありません。掲載されているのはコンサルティングを通じた取組内容と効果であり、審査項目や加点項目は公表されていません。

対象外だった場合や、他の制度を検討する場合

都内勤務の常時雇用労働者2名以上という要件を満たせない場合や、テレワークトータルサポート助成金をすでに受給している場合は、東京都の他のテレワーク関連支援も検討できます。公式サイトの助成金等についてのページで、次の制度が案内されています。

  • テレワーク定着強化奨励金:テレワークを進める上での課題と解決策を検討し、自社に最適な「テレワークルール(我が社のベストバランス)」等を定めた都内中堅・中小企業等に奨励金を支給
  • サテライトオフィス勤務導入奨励金:サテライトオフィス勤務を可能とする規定を整備し、従業員に利用させた場合に奨励金を支給
  • ワーケーション勤務導入奨励金:ワーケーション勤務を可能とする規定を整備し、従業員に利用させた場合に奨励金を支給
  • 東京都中小企業制度融資 社会課題解決融資(働き方改革支援):テレワークトータルサポートを受けてテレワークに取り組んでいる場合が対象
  • 人材確保等支援助成金(テレワークコース/厚生労働省):良質なテレワークを制度として導入・実施し、人材確保や雇用管理改善の観点で効果を上げた中小企業事業主が対象

ただし、助成金の支給事由と同一の事由により支給要件を満たす他の助成金のうち、国または都が実施するものを受給する場合は併給が認められません。募集要項では「本助成金で申請するパソコンに関して、他の助成金を同様に受給することは認められません」と例示されています。

なお、本助成事業に取り組み、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に登録・公表している中小企業は、東京都中小企業制度融資「女性活躍推進融資(TOKYOウィメン・ビズ・サポート)」の対象となり、信用保証料3分の2補助や利率優遇を受けられます。

まとめ

令和8年度のテレワークトータルサポート助成金で、申請前に確認しておきたい要点を整理します。

  • 申請受付期間は令和8年5月29日〜令和9年2月5日。予算超過時は期間内でも受付終了。申請は1事業者1回限り
  • 相談窓口利用証がなければ申請できず、申請日時点で有効期限内である必要がある
  • 要件は「常時雇用労働者999人以下」と「都内勤務の常時雇用労働者2名以上(うち1名は継続雇用6か月以上・雇用保険加入6か月以上)」の2本立て
  • 助成額はパソコン1台あたり税抜10万円、消耗品費は税込1千円以上10万円未満、委託費は合計50万円/62.5万円という上限の組み合わせで決まる
  • 支給決定日より前の発注・契約・購入は対象外。中古・アウトレット・整備済み品も対象外
  • 支給決定日から4か月以内にテレワーク実施対象者全員が6回以上のテレワーク勤務を実施し、5か月以内に実績報告する
  • 実績報告日までに「テレワーク東京ルール実践企業宣言」の宣言書を提出できないと、助成金確定額は0円になる
  • 助成金の入金は請求申請の受付完了から1か月程度。機器代金は先に全額自社で支払う

要件や様式は年度ごとに変わります。申請前には必ず令和8年度テレワークトータルサポート助成金 募集要項ページで最新版の募集要項と様式を確認し、まずはテレワークトータルサポート事業の相談窓口への申込みから進めてください。電子申請の受付ページはJグランツの公募詳細ページです。