若手人材の採用や定着に課題を抱える都内の中小企業にとって、福利厚生の充実は有効な打ち手のひとつです。
公益財団法人東京しごと財団が実施する「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」は、住宅・食事・健康に関する福利厚生の取組を通じて、若手人材の確保と定着を後押しする制度です。
本記事で扱う【2年目申請用】の区分では、住宅の借上げや食事等の提供などに要した経費の2分の1、最大300万円が助成されます。
この申請区分は、本助成金で1年目の支給決定を受けている事業者が、2年目の支給申請を行う際に使用するものです。
本記事では、制度の基本情報から申請手順、注意点までを分かりやすく解説します。
2年目の支給申請を予定している企業のご担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の基本情報
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を対象者が活用すべき理由(メリット)
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を申請すべき人とそうでない人の特徴
- その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の申請に必要なもの
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の採択率を上げる事業計画書の作り方
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の申請手順
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を自社で申請する際の注意点
- 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を不正受給するとどうなるのか
- ES向上による若手人材確保・定着事業助成金のまとめ
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の基本情報
| 正式名称 | 令和8年度【2年目申請用】ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金 |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 実施機関 | 公益財団法人東京しごと財団 |
| 対象者 | 1年目の支給決定を受けている都内中小企業等(2年目支給申請者) |
| 対象業種 | ほぼ全業種(漁業、建設業、製造業、情報通信業、医療・福祉など) |
| 対象経費 | 住宅の借上げ費、食事等提供費、健康増進サービス提供費 |
| 上限金額 | 300万円(住宅200万円・食事50万円・健康増進50万円) |
| 助成率 | 2分の1 |
| 申請期限 | 2029年3月31日23時59分 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請 |
| 従業員数の上限 | 300名以下 |
| 問い合わせ先 | 東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 採用定着促進支援係(03-5211-0397) |
補助金・助成金の正式名称
正式名称は「令和8年度【2年目申請用】ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」です。
制度全体の名称は「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」で、助成対象期間が最大3年間あるうちの2年目の支給申請に対応する区分となります。
対象都道府県・市区町村
対象地域は東京都内です。
都内に事業所を置く中小企業等を対象とした制度であり、食事等の提供については都内事業所内での実施が要件とされています。
実施機関
実施機関は公益財団法人東京しごと財団です。
担当部署は企業支援部 雇用環境整備課 採用定着促進支援係で、雇用環境の整備に関する各種助成事業を手がけています。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象となるのは、本助成金で1年目の支給決定を受けており、2年目の支給申請を行う都内中小企業等です。
制度全体の要件として、全従業員に占める若手従業員(35歳未満)の割合が30%以下であること、入社3年以内の若手従業員数が全従業員数の10%以下であること、直近1年間に若手人材を含む求人活動を行っていることが求められます。
従業員には、常時使用する従業員の要件を満たすパート・アルバイトも含まれます。
対象業種
対象業種は、漁業、建設業、製造業、情報通信業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉などほぼすべての業種が対象です。
ただし、従業員数の上限は300名以下とされているため、企業規模の要件には注意が必要です。
対象経費
対象経費は、①35歳未満の若手従業員を対象とした住宅の借上げに係る経費、②都内事業所内で継続的かつ定期的に提供する食事等のサービスに係る経費、③従業員の健康増進を目的としたサービスの提供に係る経費の3種類です。
助成金の支給を受けるには、3種類のうち2つ以上の事業を各取組期間中に実施する必要があります。
その他要件
本助成金は、専門家の支援を受けて作成した取組計画に基づいてES向上の取組を実施することが前提となっています。
2年目の支給申請では、1年目に引き続き取組計画どおりに事業を実施していることが求められます。
このほかにも要件があるため、詳細は必ず募集要項をご確認ください。
補助対象外となるもの
取組計画に位置づけられていない経費や、取組期間外に支出した経費は助成の対象になりません。
対象外経費の詳細な範囲は募集要項に定められているため、支出前に確認しておくことをおすすめします。
申請期間
Jグランツ上の受付期限は2029年3月31日23時59分とされています。
ただし、2年目の支給申請には取組期間に応じた提出時期の定めがあるため、自社の取組期間に対応する申請時期を募集要項で確認してください。
上限金額・助成額
助成限度額は合計300万円です。
内訳は、住宅の借上げが200万円、食事等の提供が50万円、健康増進サービスの提供が50万円となっています。
補助率
助成率は対象経費の2分の1です。
住宅・食事・健康増進の分類ごとに、千円未満は切り捨てて算定されます。
問い合わせ先
問い合わせ先は、公益財団法人東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 採用定着促進支援係(電話:03-5211-0397)です。
申請書類の書き方や要件の解釈に迷った場合は、早めに相談しておくと安心です。
公式公募ページと確認すべきこと
公式情報は、Jグランツの公募詳細ページと東京しごと財団の制度公式サイトで確認できます。
申請前には、募集要項で対象要件・対象経費・提出書類・申請時期の4点を必ず確認してください。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を対象者が活用すべき理由(メリット)
最大のメリットは、住宅・食事・健康増進という従業員の生活に直結する福利厚生を、経費の半分の負担で充実させられる点です。
福利厚生の充実は求人市場での自社の魅力向上につながり、若手人材の応募増加や離職率の低下が期待できます。
また、助成対象期間が最大3年間と長く、単年度で終わらない継続的な職場環境の改善に取り組める点も魅力です。
すでに1年目の支給決定を受けている企業であれば、取組を継続するだけで2年目も助成を受けられる可能性が高く、申請しない理由はほとんどないといえます。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 本助成金で1年目の支給決定を受けており、取組を継続している都内中小企業
- 取組計画どおりに住宅の借上げ・食事等の提供・健康増進サービスのうち2つ以上を実施している企業
- 若手人材の採用・定着を中長期的に強化したい企業
- 実績報告などの事務手続きを適切に行える体制がある企業
見送ったほうが良い人の特徴
- 1年目の支給決定を受けていない企業(この区分では申請できません)
- 取組計画に位置づけた事業を2つ以上継続できていない企業
- 都外に事業所を移転した企業など、対象要件を満たさなくなった企業
- 経費の支払記録や証憑書類を適切に管理できていない企業
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
既存事業とは異なる分野へ踏み出す挑戦を金銭面から支える国の制度です。
新市場への進出に伴う設備投資や建物費など、まとまった投資を対象にできる点が特徴です。
人材確保と並行して事業の柱を増やしたい企業は、検討する価値があります。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
革新性のある新製品・新サービスの開発に必要な機械装置やシステム構築費を支援する制度です。
開発力の強化は若手人材にとって魅力的な職場づくりにも直結するため、本助成金との相乗効果が見込めます。
中小企業省力化投資補助金
人手不足に悩む中小企業が、省力化に資する設備やロボットを導入する際に活用できる制度です。
限られた人員でも生産性を維持できる体制づくりは、若手従業員の負担軽減にもつながります。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない小規模事業者が、販路開拓や業務効率化に取り組む費用を支援する制度です。
チラシ作成やホームページ改修といった身近な取組から使えるため、初めて補助金を利用する事業者にも向いています。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
2年目の支給申請では、支給申請書などの指定様式のほか、取組の実施状況が分かる書類や経費の支払いを証明する書類の提出が求められます。
申請様式は東京しごと財団のホームページからダウンロードでき、Jグランツからの電子申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要です。
必要書類の詳細は募集要項に一覧で示されているため、提出前にチェックリストとして活用してください。
記載例はどこで確認できるか
申請書類の記載例や記入上の注意点は、制度公式サイトに掲載されている募集要項・様式類で確認できます。
不明な点は、提出直前ではなく余裕をもって担当窓口に確認しておくと、差し戻しによる遅延を防げます。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
自社が属する業界の採用競争の激しさや、若手人材の獲得動向をデータで示すと説得力が増します。
「同業他社と比べて福利厚生が採用の決め手になっている」といった具体的な根拠を数字とともに記載しましょう。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
住宅補助や食事提供の内容が、他社の一般的な福利厚生とどう違うのかを整理して書くことが重要です。
自社ならではの取組内容と、それが従業員満足度に与える効果を対比させて示すと評価されやすくなります。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
自己資金だけでは福利厚生の拡充が難しい事情や、助成を受けることで実現できる改善の幅を率直に説明します。
若手の離職率や採用充足率といった自社の課題数値を挙げ、制度活用がその解決に不可欠であることを結び付けて書きましょう。
実行体制を明記する
誰が取組の運用を担い、誰が経費管理や報告書の作成を行うのか、役割分担を明確にしておくことが大切です。
担当者名と業務内容を具体的に記載し、複数年にわたる取組を継続できる体制であることを示しましょう。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金の申請手順
- 制度公式サイトで令和8年度の募集要項(2年目・3年目申請用)を確認する
- 1年目の取組内容と支給決定内容を整理し、2年目の申請時期を確認する
- 支給申請書などの必要書類を作成し、経費の証憑書類を揃える
- GビズIDプライムでJグランツにログインし、電子申請を行う
- 審査を経て支給決定を受け、取組を継続しながら実績報告を行う
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を自社で申請する際の注意点
まず、本記事で紹介した申請画面は2年目申請専用であり、初めて申請する場合は1年目申請用の区分から手続きする必要があります。
次に、住宅・食事・健康増進のうち2つ以上の事業を取組期間中に実施していないと支給対象にならないため、実施状況を早めに点検しておきましょう。
また、Jグランツでの代理申請は不可とされているため、自社のGビズIDプライムアカウントで申請する必要があります。
経費の領収書や契約書などの証憑書類は、実績報告や検査に備えて漏れなく保管しておくことが欠かせません。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
補助金・助成金は国や自治体ごとに数多く存在し、自社に最適な制度を見極めるだけでも相当な労力がかかります。
制度情報に精通した専門家に相談すれば、要件の適合性を短時間で判断でき、申請機会を逃すリスクを減らせます。
事業計画の質が上がる
申請書類は、審査する側に伝わる構成と根拠の示し方が重要です。
多くの申請支援を経験した専門家の視点が入ることで、書類の完成度が高まり、不備による差し戻しも防ぎやすくなります。
採択後の実務まで見据えられる
助成金は支給決定がゴールではなく、その後の実績報告や書類保管まで適切に行って初めて受給が完了します。
専門家に依頼すれば、複数年にわたる報告スケジュールの管理まで含めて伴走してもらえるため、担当者の負担を大きく減らせます。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金を不正受給するとどうなるのか
- 助成金の返還や企業名の公表につながるリスク
- 外部からの情報提供で発覚するケースもある
助成金の返還や企業名の公表につながるリスク
実態のない取組の申告や証憑書類の改ざんなどの不正が判明した場合、支給決定の取消しや助成金の返還を求められます。
実施機関である東京しごと財団や東京都の判断により、事業者名等が公表される可能性もあり、企業の信用に深刻な傷を残します。
一度失った取引先や金融機関からの信頼を取り戻すのは容易ではありません。
外部からの情報提供で発覚するケースもある
不正受給は、行政機関の検査だけでなく、従業員や取引先など内部事情を知る人からの情報提供をきっかけに明らかになることがあります。
「発覚しなければ問題ない」という考えは通用しないため、実態に即した正確な申請と報告を徹底してください。
ES向上による若手人材確保・定着事業助成金のまとめ
ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金の2年目申請は、1年目の支給決定を受けた都内中小企業が、福利厚生の取組を継続しながら経費の2分の1・最大300万円の助成を受けられる制度です。
住宅の借上げ・食事等の提供・健康増進サービスのうち2つ以上の実施が要件となるため、取組状況の確認と証憑書類の整理を早めに進めておきましょう。
最新の募集要項や申請様式は、Jグランツの公募詳細ページおよび東京しごと財団の制度公式サイトで必ず確認してください。
若手人材の確保と定着を実現する職場づくりに、本助成金をぜひ役立ててください。
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