多様な体験型観光推進事業補助金は、ヘアカット、ネイル、メイクなどの美容技術を外国人旅行者向けの観光コンテンツとして活用する都内の美容室等の事業者に対し、東京都が新たなサービス開始に必要な経費の一部を補助する制度です。
令和8年度の申請締切は令和8年11月30日(月)必着です。申請額が予算額に達した時点で受付が終了するため、締切前でも受付が終わる可能性があります。
補助額は、補助対象経費の3分の2または補助限度額200万円のいずれか低い額です。
本記事では、東京都産業労働局の公式ページ、募集要領、公式FAQ(いずれも2026年8月1日確認)に基づき、自社が対象になるかの判定基準、対象経費と対象外経費の線引き、補助額の計算例、締切から逆算した準備の進め方を解説します。
多様な体験型観光推進事業補助金の基本情報と受付状況
| 制度名 | 令和8年度多様な体験型観光推進事業補助金 |
| 実施機関 | 東京都産業労働局観光部受入環境課 |
| 対象者 | 都内に登記簿上の本店または支店を有し、都内で美容室等を運営し、美容体験型観光サービスを提供する事業者(登記のない個人事業主は「都内に住所を有する」に読み替え) |
| 補助率・限度額 | 補助対象経費の3分の2または200万円のいずれか低い額 |
| 申請期間 | 令和8年4月1日〜令和8年11月30日(月)必着 ※予算額到達時点で受付終了 |
| 補助対象期間 | 交付決定日から令和9年3月31日まで(契約・発注、作業、納品、支払いまで完了) |
| 申請方法 | 簡易書留による郵送またはjGrants(電子申請) |
| 問い合わせ先 | 産業労働局観光部受入環境課(03-5320-4802) |
2026年8月1日時点で令和8年度分の申請を受付中です。審査には不備のない書類が揃ってから3週間程度かかり、交付申請額と交付決定額が異なる場合があります。
制度の詳細は募集要領(令和8年4月1日付)で必ず確認してください。
自社は対象になる?公式FAQでわかる対象者の境界
対象者の定義は「都内に登記簿上の本店又は支店を有し、都内で美容室等を運営し、美容体験型観光サービスを提供する事業者」の1文ですが、境界となるケースは公式FAQで具体的に示されています。
法人は「都内に本店・支店」、個人事業主は「都内に住所」が条件
法人は、登記簿上の本店または支店が都内にあることが条件です。本店が都外でも、都内に登記された支店があり、都内で美容室等を運営していれば対象になります。
登記のない個人事業主については、公式FAQで「都内に登記簿上の本店又は支店を有する」という条件を「都内に住所を有する」と読み替えることが明示されています。都内に住所があり、都内で美容体験型観光サービスを提供していれば申請できます。
「ヘアカット・ネイル・メイク等」の「等」に含まれる施術
美容体験型観光サービスとは、ヘアカット、ネイル、メイク等を観光コンテンツとして活用した外国人旅行者向けの体験プログラムを指します。公式FAQでは、「等」に該当する施術としてヘアセット、染毛、洗髪、パーマ、顔そり、エクステンションが挙げられています。
ヘッドスパやマッサージなどを含む総合的なビューティケアを行う店舗については、補助対象のサービスと対象外のサービスが混在する場合の考え方がFAQに示されています。多言語化(翻訳機の導入、ホームページの多言語化等)のようにサービスごとの区分けが困難な経費は全額が補助対象となり、施設整備や備品購入は補助対象となるサービスに区分けできる分だけが対象です。
自店の施術が該当するか判断できない場合は、受入環境課(03-5320-4802)への個別確認が公式に案内されています。
申請できない事業者(除外要件)
募集要領では、次に該当する事業者は対象外とされています。
- 暴力団・暴力団員等・暴力団関係者に該当する者
- 事業税その他租税の未申告または滞納がある者
- 風俗営業、性風俗関連特殊営業など風営法の規制対象営業を行っている者およびこれに類する者
- 過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けた者(法人は代表者を含む)
- 民事再生法・会社更生法・破産法に基づく申立や手続の途中など、事業の継続性が不確実な者
- 宗教活動や政治活動を主たる目的とする団体等
申請時には該当しないことを誓約する誓約書(様式第1号別紙2)を提出します。
補助額はいくら?計算例と入金までの流れ
補助額の計算ルールと計算例
補助額は、補助対象経費の3分の2と補助限度額200万円のいずれか低い額で、千円未満の端数は切り捨てです。消費税・地方消費税などの租税や振込手数料は間接経費として補助対象外のため、対象経費は税抜で考えます。
【計算例(想定例)】対象経費が税抜150万円の場合:150万円×2/3=100万円で、補助額100万円・自己負担50万円です。
【計算例(想定例)】対象経費が税抜330万円の場合:330万円×2/3=220万円ですが上限200万円が適用され、補助額200万円・自己負担130万円です。
入金は事業完了後(後払い)
補助金は「交付申請→審査→交付決定→事業実施→実績報告→完了検査→補助金額確定→請求書(様式第8号)提出→支払」という流れで、実績報告と完了検査を経た後に振り込まれます。
確定額は、実際に要した補助対象経費に補助率を乗じた額(千円未満切り捨て)と交付決定額の低い方です。経費はいったん全額を自社で支払う必要があり、契約業者への支払いは補助事業者名義の預金口座からの口座振込に限られます(手形・小切手・ポイントによる支払いは対象外)。入金までの立て替え資金を見込んだ資金繰りが必要です。
他の補助金との重複受給はできない
募集要領では、同一事業について複数の補助金を受給することはできないとされています。ただし、国・都道府県・区市町村の他の補助事業等と対象経費が明確に区分できるものについてはこの限りではありません。同じ経費を他の補助金と重複して申請することはできない、と理解しておくのが安全です。
対象経費と対象外経費の境界(公式FAQの具体例つき)
補助対象経費は、美容体験型観光サービスの開発等に要する経費(機器・備品購入費、制作費、印刷製本費、翻訳費、委託費、施設整備費、改修・電気工事費、施工管理委託経費、立ち合い検査・点検費等)です。次の2つの要件を両方満たす必要があります。
- 外国人旅行者の言語や文化・習慣等に対応するために必要であること
- 本補助金の活用等により、外国人旅行者の集客から美容体験型観光サービスの提供まで、一連の受入体制が整備されること
対象になる経費の代表例
- 多言語対応の予約システムの導入経費
- 自社ホームページやチラシ等の多言語広報ツールの作成経費(日本語のみの広報ツールは対象外)
- 自動翻訳機・翻訳アプリの導入、店内表示やメニューの多言語化(構築したシステム等の保守費用は対象外)
- 外国人旅行者向けのメニュー開発
- 個室化や仕切り設置など、外国人旅行者が安心して施術を受けるための施設整備・改修(単なる老朽修繕は対象外)
公式FAQに載っている対象・対象外の判定例
| 検討している取組 | 公式FAQの回答 |
| ホームページの多言語化だけを申請したい | 申請可能。ただし事業計画書に店舗の受入体制と外国人向け広報の現状・今後の方向性を記載し、実施することが必要 |
| 施術用の椅子を外国人旅行者向けに大きいものへ更新したい | 対象になり得る。単なる増設や買い替えは対象外 |
| 外国人の髪質に合わせた薬剤等を開発したい | 外国人への対応に必要・外国人向けサービスの提供に直結・自店で使用(販売用でない)の3点を満たせば対象 |
| インフルエンサーを起用した外国人向けPR動画を作りたい | 自社ホームページや自社SNS掲載用の制作費は対象。インフルエンサー本人など自社と異なるアカウントでの投稿委託は対象外 |
| 従業員向けの多言語研修を受けさせたい | サービス提供に特化した内容なら講師報酬・会場費・テキスト代等が対象。日常会話の研修費用や検定受験料は対象外 |
| タブレット・PC・収納・ワゴンを購入したい | 汎用性があり目的外使用になり得るため対象外 |
| 店の雰囲気を良くする内装リニューアルをしたい | 意匠性・快適性の向上のみを目的とする内装工事は、外国人旅行者向けでも対象外 |
見積書について、申請時の相見積もりは不要とFAQに明記されています。ただし一般的な市場価格や事業規模に対して著しく高額な場合は、相見積もりが必要となることがあります。
見落としやすい対象外ルール
募集要領の「補助対象とならない経費」のうち、特に判断を誤りやすいものは次のとおりです。
- 交付決定前に発注・施工・導入した設備等の経費
- リース・レンタルによる設置機器の経費
- 直接人件費、消耗品費
- 消費税等の租税、振込手数料、通信費、水道光熱費などの間接経費
- 中古品の購入経費、設備設置後の維持費
- 不動産の取得・賃借に係る経費
- 補助金申請の業務に係る報酬(申請代行費用)
令和8年11月30日の締切から逆算する申請準備
締切は令和8年11月30日(月)必着で、予算到達時は締切を待たず受付が終了します。公式資料に示されている所要日数から、準備の順序を逆算できます。
jGrantsで申請するならGビズIDプライムの取得が先(2〜3週間)
電子申請システムjGrantsの利用には、GビズIDプライムアカウントが必要です。新規登録には国の審査に2〜3週間程度かかるため、アカウントを持っていない場合は申請準備の初期段階で取得手続きを進めます。郵送(簡易書留)で申請する場合、GビズIDは不要です。
交付決定まで3週間程度、発注できるのは交付決定後
審査には不備のない書類が揃ってから3週間程度かかります。交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外のため、機器の発注や工事の契約は交付決定通知を受けてから行います。
事業は交付決定日から令和9年3月31日までに、契約(発注)・作業・納品・経費の支払いまで完了させる必要があります。仮に締切直前の11月末に申請して交付決定が3週間程度後になると、実施に使える期間はおよそ3か月です。施工を伴う改修や製作物の納期を考えると、申請は早いほど実施期間に余裕が生まれます。
事業完了後は30日以内に実績報告
実績報告書(様式第6号)は、事業が完了した日から30日以内または令和9年3月31日のいずれか早い日までに提出します。完了検査では契約書、納品書、請求書、領収書、銀行の振込履歴が確認されるため、実施中から帳票類を整理して保管しておきます。
多様な体験型観光推進事業補助金の申請方法と必要書類
郵送(簡易書留)での申請
次の宛先に簡易書留で郵送します。〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都庁第一本庁舎19階 東京都 産業労働局 観光部 受入環境課 受入環境調整担当 宛。持参する場合は開庁日の午前9時〜午後5時に持ち込みますが、窓口での書類確認は行われません。
jGrantsでの電子申請
GビズIDプライムでログイン後、jGrantsの公募詳細ページから申請します。動作環境はWindowsがChrome・Firefox・Edge、macOSがChrome・Firefox・Safari、AndroidがChromeの各最新版で、Internet ExplorerやEdgeのIEモードはエラーが生じるため利用できません。申請内容に不備があるとjGrants上で差戻しとなり、申請フォームに記入した担当者メールアドレスに通知が届きます。
必要書類(指定様式)と事業計画書のポイント
- 申請書(様式第1号)
- 申請前確認書(様式第1号)
- 事業計画書(様式第1号別紙1)
- 誓約書(様式第1号別紙2)
- 経費の見積書(相見積もりは不要)
指定様式と添付書類の一覧は公式ページの「申請に必要な書類」からダウンロードできます。すべての書類が揃っていることを確認してから提出してください。
事業計画書には、店舗内の外国人旅行者受入体制(多言語対応等)と外国人旅行者向け広報について、現状と今後の方向性を記載して実施することが求められます。ホームページの多言語化や椅子の更新など単一の経費だけを申請する場合も、この記載は必要です。
申請前に確認したい注意点
- 締切日時点で書類に不備・不足があると受付されません。提出書類は返却されないため、必ず控えを残します。
- 交付決定は1事業者あたり1回限りです。複数の取組はまとめて1回で申請します。
- 事業内容を変更・中止する場合は、事前に変更等承認申請書(様式第4-1号・第4-2号)を提出して承認を受ける必要があります。
- 取得価格50万円以上の財産を耐用年数内に処分・移設する場合は、事前に知事の承認が必要です。無断処分は交付決定の取消しや返還請求の対象になります。
- 交付決定の内容と異なる事実が認められた場合や、偽りその他不正の手段による受給、目的外使用などの場合は、交付決定の全部または一部が取り消され、交付済みの補助金は期限を定めて返還となります。
- 関係書類・帳簿類は補助事業完了日の属する会計年度終了後5年間保存し、東京都の実地検査に応じる必要があります。
制度について不明な点や不正受給に関する相談・通報は、産業労働局観光部受入環境課(03-5320-4802)が窓口です。
多様な体験型観光推進事業補助金のまとめ
多様な体験型観光推進事業補助金は、都内で美容室等を運営し外国人旅行者向けの美容体験を提供する事業者(個人事業主は都内に住所があれば可)が、対象経費の3分の2・上限200万円の補助を受けられる制度です。対象施術の範囲や経費の線引きは公式FAQで具体的に示されており、迷うケースは受入環境課に個別確認できます。
申請締切は令和8年11月30日(月)必着ですが、予算到達で早期終了する可能性があります。jGrants利用ならGビズIDプライムの取得(2〜3週間)、交付決定まで3週間程度、事業完了は令和9年3月31日まで、実績報告は完了後30日以内という公式スケジュールから逆算し、早めに事業計画書と見積書の準備を始めてください。
最新情報は東京都産業労働局の公式ページと募集要領で必ず確認してください。
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