東京都インキュベーション施設支援機能強化事業助成金|第1回は受付終了、第2回は令和8年12月14日から

助成金

東京都の「インキュベーション施設支援機能強化事業助成金」は、令和8年度第1回(令和8年7月15日〜7月31日17時)の申請受付を終了しています。現在は書類審査から総合審査に進む期間で、新規の申請はできません。

次に申請できるのは令和8年度第2回で、申請期間は令和8年12月14日(月)〜令和9年1月7日(木)です。この日程は、公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下、公社)の申請ページと、ハンズオン支援募集要項の両方に明記されています。

ただし、第2回に申請するには、締切当日までに公社のハンズオン支援を受けた実施計画書が完成している必要があります。公社は実施計画書の完成に「2か月以上」、その前提となるINCU Tokyoの登録に「1か月程度」かかると公表しており、いま動き出さないと第2回に間に合わない可能性があります。

本記事では、公社の募集要項・申請者用Q&A・ハンズオン支援募集要項をもとに、第2回の締切から逆算した準備スケジュール、自社が対象になるかの判定、助成額の計算方法、対象外になる経費と支援策を整理します。

  1. 令和8年度の受付状況|第1回は終了、第2回は令和8年12月14日から
    1. 第1回(令和8年7月15日〜7月31日)は受付を終了し、現在は審査期間
    2. 令和8年度第2回の申請期間は令和8年12月14日〜令和9年1月7日
  2. インキュベーション施設支援機能強化事業助成金の基本情報
  3. 第2回申請(令和9年1月7日締切)から逆算する準備スケジュール
    1. 実施計画書の完成には「2か月以上」、INCU Tokyo登録には「1か月程度」かかる
    2. INCU Tokyo未登録の施設運営管理者の着手期限
    3. INCU Tokyo登録済みの施設運営管理者の着手期限
    4. GビズIDプライムは2週間程度、ハンズオン支援は上限到達で早期終了
  4. 申請対象になるかを分ける4つの関門
    1. 関門1|施設が公式の「インキュベーション施設」の定義を満たすか
    2. 関門2|施設を「自ら運営管理する者」か(受託運営は対象外)
    3. 関門3|法人格と中小企業者の規模要件
    4. 関門4|ハンズオン支援を受けた実施計画書が完成しているか
  5. 助成額の計算方法と入金までの資金繰り
    1. 経費明細ごとに3分の2を乗じ、千円未満を切り捨てて合計する
    2. 助成額の計算例(想定例)
    3. 後払い|実績報告から入金までの流れ
  6. 助成対象になる経費とならない経費の線引き
    1. 経費明細ごとの金額ルール
    2. 「新たな支援策」に該当せず対象外になるケース
    3. 交付決定前に契約・発注・支払をしたものは対象外
    4. 令和7年度に交付決定を受けた支援策の内容(公式採択結果8件)
  7. 申請方法と必要書類
    1. jGrantsのみ|紙面での提出は受付されない
    2. 主な提出書類
    3. 代理申請できる範囲
  8. 公式に公表されている審査の視点と審査後の流れ
    1. 書類(形式)審査と書類(内容)審査の視点
    2. 面接はなく、審査は非公開
  9. 交付決定後に発生する義務
    1. 実績報告・完了検査・助成金の確定
    2. 5年間の実施結果状況報告と収益納付
    3. 財産処分の制限と関係書類の保存
    4. 交付決定の取消しと返還
  10. 他の助成金・補助金との併用
  11. 問い合わせ先と公式情報の確認先
  12. まとめ

令和8年度の受付状況|第1回は終了、第2回は令和8年12月14日から

第1回(令和8年7月15日〜7月31日)は受付を終了し、現在は審査期間

令和8年度第1回の申請期間は、令和8年7月15日(水)から7月31日(金)17時00分までで、すでに終了しています。募集要項に記載された第1回のスケジュールは次のとおりです。

手続 時期
電子申請(jGrants) 令和8年7月15日(水)〜7月31日(金)17時00分(終了)
書類審査 〜令和8年8月中下旬
総合審査 令和8年9月上旬
審査結果(採択結果)の通知 令和8年9月下旬にjGrantsで通知
交付決定 令和8年9月末
助成事業開始 令和8年10月1日〜
事務手続説明会 〜令和8年10月上旬
事業完了期限 最長 令和9年9月30日

第1回に申請済みの施設運営管理者は、申請時に「担当者メールアドレス」欄に記載したアドレスへ通知メールが届きます。なお公社は、審査は非公開で行い、審査の経過・結果に関する問い合わせには一切応じられないと明記しています。

出典:令和8年度(2026年度)第1回インキュベーション施設支援機能強化事業 募集要項(助成金)P15・P20

令和8年度第2回の申請期間は令和8年12月14日〜令和9年1月7日

公社の助成事業申請ページには、令和8年度の申請書受付期間として次の2回が公表されています。

回次 申請期間 状況(2026年8月5日時点)
第1回 令和8年7月15日(水)〜令和8年7月31日(金) 受付終了
第2回 令和8年12月14日(月)〜令和9年1月7日(木) 受付開始前

第2回に申請できる実施計画書には条件があります。募集要項では、ハンズオン支援を受けて作成した実施計画書のうち、令和7年度中に作成したものは令和8年度第1回のみ令和8年度中に作成したものは第1回と第2回のいずれかに申請できると定められています。つまり、第2回に申請するには令和8年度中に作成した実施計画書が必要です。あわせて、同一の実施計画書で助成金を申請できるのは1回のみです。

なお、第2回の募集要項・申請様式・電子申請マニュアルは、本記事の執筆時点では公表されていません。助成限度額や助成率などの条件が第1回と同じかどうかは、第2回の募集要項が公表された時点で確認してください。

出典:公社「インキュベーション施設支援機能強化事業 助成事業 申請」第1回募集要項P7

インキュベーション施設支援機能強化事業助成金の基本情報

以下は令和8年度第1回の募集要項に基づく内容です。

正式名称 インキュベーション施設支援機能強化事業(助成事業)
年度・募集回 令和8年度(2026年度)第1回/第2回
対象地域 東京都
実施機関 公益財団法人東京都中小企業振興公社 事業戦略部 創業支援課 インキュベーション施設担当
助成対象者 INCU Tokyoに登録済みで、公社のハンズオン支援を受け実施計画書を作成したインキュベーション施設運営管理者
助成対象経費 事業費(報酬(謝金)、広告費、備品購入費、備品賃借料)/委託費(イベント運営等委託費)
助成限度額 上限1,000万円(下限額なし)
助成率 助成対象と認められる経費の3分の2以内
助成対象期間 交付決定日から1年が経過する日までの間で、事業に必要な期間
申請方法 jGrantsによる電子申請のみ(GビズIDプライムが必要)
第1回申請期間 令和8年7月15日〜令和8年7月31日17時00分(終了)
第2回申請期間 令和8年12月14日〜令和9年1月7日
問い合わせ先 創業支援課 インキュベーション施設担当 TEL 03-5220-1142(平日10:00〜17:00)/incukyoka@tokyo-kosha.or.jp

第2回申請(令和9年1月7日締切)から逆算する準備スケジュール

実施計画書の完成には「2か月以上」、INCU Tokyo登録には「1か月程度」かかる

この助成金は、申請書を書けば申請できる制度ではありません。申請の前提として、公社が所要期間を公表している手続が4つあります。

手続 公社が示す所要期間 出典
INCU Tokyoへの登録 申請から登録まで1か月程度 ハンズオン支援募集要項 P5
ハンズオン支援の申請結果連絡 申請受付完了メールは3営業日以内、事務局との打ち合わせ(約1時間)を経て、申請結果は14営業日以内 ハンズオン支援募集要項 P7
ハンズオン支援による実施計画書の完成 少なくとも2か月以上(申込が多数の場合はさらに必要) ハンズオン支援募集要項 P9
GビズIDプライムアカウントの取得 2週間程度(申請不備等があればそれ以上) 助成金募集要項 P15

そのうえで公社は、「公社が助成金の申請書を受理する時点で実施計画書が完成している必要がある」と明記しています。第2回の締切である令和9年1月7日までに実施計画書が完成していなければ、申請そのものができません。

INCU Tokyo未登録の施設運営管理者の着手期限

上記の所要期間を第2回の締切から積み上げると、次のような目安になります(公社が示す最短の所要期間を単純に足し合わせた目安であり、公社が公表しているスケジュールではありません)。

時期の目安 やること
2026年8月上旬まで INCU Tokyoへ登録申請する(登録完了まで1か月程度)
2026年9月上旬まで INCU Tokyo登録完了。ハンズオン支援を申請する
2026年9月下旬まで 事務局との打ち合わせを終え、ハンズオン支援の決定連絡を受ける(申請から14営業日以内)
2026年10月上旬まで ハンズオン支援を開始する(実施計画書の完成まで2か月以上)
2026年12月上旬まで 実施計画書を完成させる
2026年12月14日〜2027年1月7日 jGrantsで助成金を申請する

INCU Tokyoに未登録の施設運営管理者にとって、2026年8月上旬は第2回に間に合わせるための実質的な着手ラインにあたります。登録はインキュベーション・コミュニティ「INCU Tokyo」のページ中ほどにある参加申込から手続きします。

INCU Tokyo登録済みの施設運営管理者の着手期限

すでにINCU Tokyoに登録済みで、令和8年度のハンズオン支援をまだ受けていない場合は、INCU Tokyo登録の1か月を差し引いた分だけ余裕があります。この場合は2026年9月上旬までにハンズオン支援を申請すれば、公社が示す最短所要期間の範囲では第2回に間に合う計算になります。

ハンズオン支援の内容と条件は次のとおりです。

  • 支援回数:1支援事業者あたり最大12回
  • 支援方法:訪問(対面)またはオンライン面談(1回あたり1時間程度)
  • 費用:無料
  • 申請受付期間:令和8年4月20日(月)〜令和9年1月25日(月)
  • 支援期間:令和8年4月20日(月)〜令和9年3月16日(火)

なお、令和7年度の実施計画書ですでに助成金の交付決定を受けている施設運営管理者も、その支援策とは別の新たな取組であれば、改めてハンズオン支援を利用できます。

GビズIDプライムは2週間程度、ハンズオン支援は上限到達で早期終了

申請はjGrantsのみで受け付けられ、jGrantsの利用にはGビズIDプライムアカウントが必要です。取得には2週間程度かかり、申請に不備があればさらに日数を要します。ハンズオン支援や実施計画書の準備と並行して、早い段階でGビズIDの発行申請を進めてください。

また、ハンズオン支援の募集要項には「申請件数が上限に達し次第、受付を終了いたします」と記載されています。受付期間の末日である令和9年1月25日まで必ず申請できるとは限らない点にも注意が必要です。

出典:令和8年度インキュベーション施設支援機能強化事業 ハンズオン支援 募集要項助成金募集要項P15

申請対象になるかを分ける4つの関門

「施設を運営していれば対象」ではありません。公式資料を読むと、対象者判定は次の4段階に分かれます。

関門1|施設が公式の「インキュベーション施設」の定義を満たすか

ハンズオン支援募集要項は「インキュベーション施設」を、以下の要件をすべて満たす起業家向けの施設と定義しています。

  • 入居型の創業支援施設(個別の貸事務室やコワーキングスペースを有する施設)であること
  • 施設に入居または入居を希望している起業家等、施設の主な支援対象が、創業前または創業10年未満の中小企業者等であること
  • インキュベーションマネージャーが適切に配置されている施設であること
  • 資金調達や人材確保、事業化等の支援体制又は支援計画を有する、または実施予定の施設であること

単なる貸会議室やレンタルオフィス、入居機能を持たない交流スペースは、この定義から外れます。インキュベーションマネージャーの配置が要件に含まれている点も、申請前に確認しておく項目です。

関門2|施設を「自ら運営管理する者」か(受託運営は対象外)

同じ募集要項は「施設運営管理者」を、INCU Tokyoの登録資格を有し、かつINCU Tokyoに登録している者であり、インキュベーション施設を自ら運営管理する者(受託により運営管理する者は除く)と定義しています。

自治体や不動産オーナーから運営を受託しているだけの事業者は、この定義に該当しません。運営受託の形態で施設に関わっている場合は、申請主体をどこにするかを整理したうえで公社へ確認してください。

関門3|法人格と中小企業者の規模要件

申請できるのは、次の12区分のいずれかに該当し、かつ「大企業が実質的に経営に参画していない者」です。

中小企業者/区市町村(都内のもの)/一般社団法人/一般財団法人/公益社団法人/公益財団法人/大学/地方銀行/信用金庫/信用組合/特定非営利活動法人/労働者協同組合

このうち中小企業者は、日本標準産業分類に基づく業種ごとに資本金または従業員数の基準が異なります。「従業員300人以下なら該当」といった一律の基準ではありません。

業種 資本金 又は 従業員
製造業、建設業、運輸業、その他業種(下記以外) 3億円以下 又は 300人以下
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ製造業及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) 3億円以下 又は 900人以下
卸売業 1億円以下 又は 100人以下
サービス業(下記以外) 5千万円以下 又は 100人以下
ソフトウエア業、情報処理サービス業 3億円以下 又は 300人以下
旅館業 5千万円以下 又は 200人以下
小売業 5千万円以下 又は 50人以下

「大企業が実質的に経営に参画していない者」については、大企業が単独で発行済株式総数または出資総額の2分の1以上を所有・出資している、大企業が複数で3分の2以上を所有・出資している、役員総数の2分の1以上を大企業の役員または職員が兼務している、といったケースが該当しないことが条件です。

このほか、法人事業税・法人住民税・法人税等を滞納していないこと、施設の建物を賃借している場合は貸主への賃料等の支払が滞っていないこと、過去5年間に助成事業等で不正等の事故を起こしていないことなど、募集要項には17項目の要件が定められています。

関門4|ハンズオン支援を受けた実施計画書が完成しているか

申請者用Q&Aでは、他の要件をすべて満たしていても実施計画書が完成していなければ申請できないと明記されています(Q1-3)。実施計画書は助成金申請に必須のため、完成後に申請することになります。

実施計画書をめぐるルールは細かく、次の点が申請可否を左右します。

  • 令和7年度中に作成した実施計画書は令和8年度第1回のみ、令和8年度中に作成した実施計画書は第1回か第2回のいずれかに申請できる
  • 同一の実施計画書で助成金を申請できるのは1回のみ
  • 実施計画書1件に対する助成金の申請は1回。実施計画書に記載した施設が2か所あり実施期間が異なる場合でも、別々には申請できず1回にまとめて申請する(Q1-17)
  • 実施計画書に記載されていても、助成金申請書に記入していない経費は助成対象にならない
  • 実施計画書の内容にやむを得ない変更が生じた場合は「変更理由書」を添付する

助成額の計算方法と入金までの資金繰り

経費明細ごとに3分の2を乗じ、千円未満を切り捨てて合計する

募集要項には、助成金申請額の計算方法が次のように定められています。

  • 経費明細ごとの助成対象経費に3分の2を乗じて計算する(千円未満切り捨て)
  • この計算により算出した各経費明細を合計した額の上限が1,000万円

対象経費の総額にまとめて3分の2を掛けるのではなく、報酬(謝金)・広告費・備品購入費・備品賃借料・イベント運営等委託費という経費明細ごとに計算して切り捨てる点が特徴です。明細の数だけ切り捨てが発生するため、単純計算より助成額がわずかに少なくなります。

なお、助成下限額は設定されていません(Q1-7)。助成限度額1,000万円は助成対象期間の長短にかかわらず一定です。

助成額の計算例(想定例)

以下は制度の計算ルールを説明するための想定例で、実際の採択事例ではありません。

経費明細 助成対象経費 ×3分の2 千円未満切り捨て後の助成額
報酬(謝金) 620,000円 413,333円 413,000円
広告費 350,000円 233,333円 233,000円
備品購入費 480,000円 320,000円 320,000円
備品賃借料 150,000円 100,000円 100,000円
イベント運営等委託費 1,200,000円 800,000円 800,000円
合計 2,800,000円 1,866,000円

この例では、対象経費280万円に対する助成額は1,866,000円、自己負担額は2,800,000円−1,866,000円=934,000円です。総額にまとめて3分の2を掛けると1,866,666円になりますが、明細ごとに切り捨てるため666円少なくなります。

消費税の扱いは経費によって表記が異なります。募集要項では消費税等の公租公課が助成対象外の経費として挙げられている一方、備品購入費の1点あたりの単価判定は税込、報酬(謝金)の時間単価と委託費の見積書要否の判定は税抜と記載されています。自社の経費でどう計算するかは、公社の創業支援課へ確認してください。

後払い|実績報告から入金までの流れ

この助成金は後払いです。交付決定を受けても、その時点で資金が入るわけではありません。申請者用Q&A(Q1-5)に示された支払までの流れは次のとおりです。

  1. 助成対象期間の終了後1か月以内に、jGrantsから実績報告書を提出する
  2. 公社が助成対象施設を現地訪問し、購入備品等の現品確認、提出書類の原本照合、支援策実施状況・効果等のヒアリングを行う
  3. 検査結果をもとに助成金額を確定し、jGrantsで通知する
  4. 所定の請求書に記入し、jGrantsで提出する
  5. 指定の金融機関口座に助成金が振り込まれる

助成金の交付は、助成金額の確定・請求書の提出から約1か月後です。交付決定額はあくまで上限であり、検査の結果、確定額が減額されることがあります。事業実施から入金までの間は自己資金で立て替える前提で資金計画を組む必要があります。

経費の支払方法にも制限があります。助成事業者名義の金融機関口座からの振込が原則で、役員やその他個人名義・個人口座から振り込んだ経費、関連会社経由で振り込んだ経費は助成対象外です。クレジットカードは法人名義に限り認められますが、口座からの引き落としが助成対象期間中に完了している必要があり、ポイントやマイル等の優遇措置を受けている部分は対象外になります。電子マネーおよび暗号資産(仮想通貨)による支払も対象外です。

助成対象になる経費とならない経費の線引き

経費明細ごとの金額ルール

助成対象経費は事業費と委託費の2区分・5明細です。明細ごとに、金額の上限や単価の範囲が定められています。

経費明細 主な金額ルールと注意点
報酬(謝金) 助成金額の限度額は一人につき時間単価17,420円(税抜)。Q&A(Q2-5)では、これを対象経費に換算した講師への支払額の上限は時間単価26,130円(税抜)と説明されている。これを超えて支払うことは可能だが、交付申請額は限度額まで
広告費 チラシ・パンフレット等は助成対象期間内の配布完了が原則。期間終了時点の未使用残存分や使用実績のないものは対象外(Q2-6)。切手・はがきの購入費、システム構築費は対象外
備品購入費 1点あたりの購入単価が税込1万円以上50万円未満のものが対象。50万円を超える場合、50万円を超えない部分だけを対象にすることはできない(Q2-9)。一般什器(机・椅子等)、買い替え、中古品、車両、消耗品は対象外
備品賃借料 施設内で使用する備品等の賃借料。光熱水費等を除いた金額が対象。支援策のために新たに導入するAI等のシステム利用料は対象だが、既に施設で活用しているものは対象外(Q2-10)。代表者または三親等以内の親族が所有する備品の賃借料は対象外
イベント運営等委託費 1契約あたり税抜100万円以上は原則2社以上の見積書が必要(税抜100万円未満は申請時に見積書不要)。施設外で開催する場合の会場使用料は1回につき税抜10万円までを上限とし、1日1回まで。委託業務の全部または主要な部分の再委託、飲食に係る経費、施設の清掃・警備等の維持管理費は対象外

複数の施設と合同で支援策を実施する場合、報酬(謝金)とイベント運営等委託費は参加施設数で按分し、実施計画書の支援策を実施する助成事業者相当分だけが対象になります。ハンズオン支援を受けていない施設と共催する場合も同様に按分が必要です(Q2-16)。

「新たな支援策」に該当せず対象外になるケース

この助成金の対象は、入居者等に対しこれまで施設で実施していない新たな支援策の遂行に必要な経費に限られます。申請者用Q&Aには、判断に迷いやすい具体例が示されています。

  • これまで行っていたセミナーを、内容を変更せず参加人数だけ拡大して開催する場合は「新たな支援策」に該当せず対象外。一方、施設で開催したことがない、または開催していた内容をブラッシュアップした創業支援セミナーは対象(Q2-13)
  • 過去に採択された支援策と同じ支援策は、対象施設が異なっていても「新たな支援策」に該当せず、ハンズオン支援・助成事業のいずれの対象にもならない(Q1-13)
  • 利用者や参加者から料金を徴収して実施する支援策は、金額にかかわらず対象外(Q2-12)
  • 交流の活性化などを目的とした音楽・演芸鑑賞やスポーツ観戦等への報酬は対象外。ただしセミナーや交流会で直接創業にかかわる講義を行う場合は対象になり得る(Q2-2)
  • 助成事業者の代表者・従業員・役員、その他施設で入居者支援を行っている者に対する報酬(謝金)および人件費は対象外
  • 助成事業者の企業運営・施設運営に関する外部専門家等への報酬は対象外
  • 入居者・登録者管理用等のシステム構築、物販やサービス販売に関するシステム構築は対象外。支援策周知のためのホームページの追加・改修は対象だが、改修後の維持管理経費は対象外(Q2-7)

また、各経費の実施(設置)場所は原則として施設内に限られます。施設の広さや設備等の都合で施設内での開催が困難な場合に限り、報酬(謝金)とイベント運営等委託費で施設外実施が認められます。

交付決定前に契約・発注・支払をしたものは対象外

助成対象経費は、助成対象期間中に契約、履行(取得・実施等)、支払(分割払は全ての支払)が完了した経費です。第1回の場合、助成対象期間の始まりは交付決定日の令和8年10月1日でした。

申請者用Q&Aでは、交付決定前の契約・取得(履行)・支払いは助成金交付の対象外であり(Q1-8)、交付決定前にすでに契約し助成対象期間内に購入・実施するものも申請できない(Q1-9)と明記されています。募集要項には、対象外となる支払の例として次のケースが図示されています。

  • 対象期間外の分を対象にした賃借料(例:翌月分を前月末に前払い)
  • 当初(契約)時点で、最後の支払が対象期間外となる分割払
  • 対象期間外におけるクレジットカードの引落

見積書、契約書、発注書、発注請書、納品書、検収書、請求書、振込控、領収書等の支払証拠書類に不備がある経費も対象外です。実施計画書に記載の支援策のうち、工事費や従業員人件費のように助成対象外であることが明らかな経費は、交付決定のスケジュールに関わらず先行して対応して差し支えないとされています(Q1-8)。

令和7年度に交付決定を受けた支援策の内容(公式採択結果8件)

公社は採択情報のページで、令和7年度第1回・第2回の採択者を公表しています。どのような支援策が交付決定を受けたかを知る手がかりになります。以下は公表されている内容そのものです。採択された理由や成果は公表されていないため、ここでは触れません。

回次 事業者名/対象施設 施設所在地 助成事業概要
第1回(令和7年9月1日採択・全4件) 昭和信用金庫/スタートアップえびす、スタートアップしもきた 渋谷区・世田谷区 動画コンテンツを作成し、創業時に活用できるスキルやノウハウ面、また創業者の体験談などをいつでも視聴可能とすることで創業に必要な知識を提供
東邦建材工業株式会社/RYOZANPARK GRAND 豊島区 飲食業チャレンジ支援について、各種セミナーや実践ワークショップの実施及び多様な分野の有識者講話により起業家マインドを醸成・投資家のマッチング促進策を実施
株式会社フロンティア倶楽部/フロンティア倶楽部早稲田会館 新宿区 商品・サービスの構想から販売・フィードバックまでを一貫して体験できる伴走型支援策としてセミナー等を実施
ゴールドウェア株式会社/GOLDWAREPARK西麻布 港区 各士業への相談会、ワークショップ実施により企業運営知識習得及び入居者間の交流促進や外部人脈の構築により新たなビジネスチャンス創出を支援
第2回(令和8年3月1日採択・全4件) 株式会社ソフィアコミュニケーションズ/インキュベーションハウス池上 大田区 コミュニティ型のセミナーや相談会等によりピッチコンテストへの気運を高め、ビジネス成長を促すプログラムを実施
メトロ設計株式会社/ベンチャーステージ上野・コワーキング&シェアアトリエreboot 台東区 クリエーターに特化した専門員による相談会、Web(HP)での入居者マッチングの実施
株式会社エイト/エイトスペース原宿 渋谷区 セミナー、ピッチ、相談会を組み合わせ、コミュニティ形成と相談体制を整えた伴走支援を実施
株式会社Brain Trust from The Sun/BTS OFFICE 中央区 専門家等から起業家向けの連続セミナーを開催し、入居への支援力向上プログラムを実施

公表されているのは事業者名・対象施設・施設所在地・助成事業概要のみで、助成金額は公表されていません。なお、採択された場合は助成事業者名、施設名称、施設所在区市町村名、助成事業概要が公表され、助成事業に関する事例としてのPRに協力を求められる場合があります。

出典:公社「インキュベーション施設支援機能強化事業」採択情報について令和7年度第1回 採択結果令和7年度第2回 採択結果

このほか、ハンズオン支援を活用した施設運営管理者の感想やマッチングイベント当日の様子は、公社のご活用事例ページで公開されています。

申請方法と必要書類

jGrantsのみ|紙面での提出は受付されない

申請はデジタル庁が所管するjGrantsのみで受け付けられます。申請者用Q&A(Q3-4)では、申請書および関係書類一式を紙面で提出した場合は受付とならず、書類一式が申請者に返却されると明記されています。大きな紙面など電子化が困難な資料について、事前に公社と協議したうえで公社が求めた場合のみ例外が認められます。

申請にあたっての主な留意事項は次のとおりです。

  • 申請は申請者の役員または従業員のアカウントから行う
  • 申請フォームの入力内容は送信後の加筆・修正ができない(Q3-1)
  • 提出ファイルは種別(拡張子)が指定されている。印刷時にA4サイズになるようレイアウトを調整・統一する
  • 紙面資料をカメラで撮影した写真データでの提出は避ける
  • マイナンバーの記載があるものは黒塗り等により判読できないようにする
  • 受付期間中に不備が訂正されなかった場合や追加書類の提出期限を過ぎた場合、申請書類が受理されないことがある
  • 審査にあたり白黒で印刷する場合があるため、資料は白黒でも判別できるものにする

主な提出書類

第1回の「申請に必要な書類(一覧)」には15項目が定められていました。主なものは次のとおりです。

  • 申請書(付表1-1 申請事前確認書、1-2 株主名簿、1-3 助成(補助)金交付状況、1-4 資金計画、1-5 経費明細、1-6 実施概要を含む/Excel)
  • インキュベーション施設支援機能強化事業 実施計画書(ハンズオン支援を受け作成したもの/Excel)
  • 変更理由書(該当する場合のみ)
  • イベント運営等委託料の経費内訳(詳細)が分かるもの(該当する場合)
  • 会社・団体等の概要、創業支援施設 説明資料
  • 反社会的勢力排除に関する誓約事項、反社会的勢力等の入居排除の確認書類
  • 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書/発行後3か月以内)
  • 法人税確定申告書(直近2事業年度。決算報告書、法人事業概況説明書、勘定科目内訳書を含む)
  • 納税証明書(法人税・消費税及び地方消費税/法人事業税及び法人都民税)
  • 同意書(jGrants代理申請用/該当する場合)

区市町村による申請の場合、会社・団体等の概要、反社会的勢力排除に関する誓約事項、登記簿謄本、確定申告書、納税証明書などは不要とされていました。商業登記簿謄本は発行後3か月以内という期限があるため、取得のタイミングにも注意が必要です。また、申請書の「他の助成(補助)金の申請・採択・交付状況」欄には、過去5年間に申請施設が関与するすべての助成金等を直近のものから記載します。新型コロナウイルス感染症に伴う給付金等も含まれます(Q3-2)。

代理申請できる範囲

jGrants上の当初「申請手続き」に限り、行政書士等の第三者が代理申請機能を使用できます。ただし次の制約があります。

  • 申請の確認および提出は申請者自身が行う。申請受付以降の手続きも申請者自身が行う
  • 助成対象経費に関与する事業者(外注・委託先の事業者)およびその従業員、本助成事業の運営・審査に関わる者は代理申請を請け負えない
  • 委任にはGビズIDプライムを保有する委任者・受任者双方のマイページ上での委任申請・承認作業が必要
  • 代理申請を行う場合は「同意書(代理申請用)」を作成し、jGrants申請フォームの指定箇所にアップロードする

公式に公表されている審査の視点と審査後の流れ

書類(形式)審査と書類(内容)審査の視点

公社は募集要項で審査の視点を公表しています。以下は公表されている項目そのものです。

書類(形式)審査 本助成事業の資格要件に合致の適否/助成対象経費に合致の適否
書類(内容)審査 実施計画の妥当性、実現性/助成金の活用方法の有効性/スケジュールの妥当性/申請経費の妥当性/助成金交付の適格性

これらの視点に基づいて、助成金交付の必要性、効果および適格性が審査されます。加点項目は公表されていません。

面接はなく、審査は非公開

審査は書類審査と総合審査会の2段階で行われ、総合審査会に申請者が出席することはありません。申請者用Q&A(Q4-3)でも、審査の過程で申請者が立ち会うこと(面接など)はないと明記されています。また、採択率はあらかじめ設定しているものではないとされています(Q4-2)。

そのほか、募集要項には次の記載があります。

  • 必要に応じて公社から追加資料の提出および説明を求めることがある
  • 申請書提出後は、申請者都合による加筆・修正等の内容変更はできない
  • 審査の結果、助成金申請額と助成予定額が異なる場合がある
  • 必要により現地調査を行うことがある
  • 審査は非公開で行い、審査の経過・結果に関する問い合わせには一切応じられない
  • 期限内に依頼した追加資料の提出や説明が得られなかった場合、申請を辞退したものとみなす

交付決定後に発生する義務

実績報告・完了検査・助成金の確定

交付決定は、公社と助成事業者の間に負担付贈与契約が成立したことを示すもので、一定の義務を負担することが条件になります。助成対象期間の終了後1か月以内に実績報告書を提出し、完了検査を経て助成金額が確定します。

実績報告時に必要な主な書類は、経費明細ごとに異なります。

報酬(謝金) 契約書、業務完了届、経歴書、実施されたことがわかるもの(議事録・写真等)、請求書、源泉徴収の証明書類、支払証拠書類 等
広告費 発注書(控)または契約書(申込書)、納品書、請求書、源泉徴収の証明書類、成果物および成果物に関する資料、支払証拠書類 等
備品購入費 発注書(控)または契約書、納品書、請求書、購入品のカタログ等、写真、支払証拠書類 等
備品賃借料 契約書、納品書、請求書、賃借品のカタログ等、写真、支払証拠書類 等
委託費 契約書、業務完了届、請求書、実施されたことがわかるもの、支払証拠書類 等

助成事業の内容(経費の配分等)を変更する場合は、事前に変更承認申請書を提出して承認を受ける必要があります。助成対象期間の延長も変更承認申請の対象で、交付決定日から1年間の範囲で可能です(期間を短縮する場合の手続きは不要ですが、公社への連絡が必要です)。施設の所在地、施設名や法人名等を変更する場合は変更届を提出します。

5年間の実施結果状況報告と収益納付

助成事業が完了した日の属する公社会計年度の終了後、その翌年度から5年間、各会計年度が終了するごとに実施結果状況報告書を提出しなければなりません。申請者用Q&A(Q7-1)では、実施結果状況報告書が提出されない場合、公社が行うすべての助成(補助)事業等の利用ができなくなることがあると記載されています。

この期間に助成事業の実施により収益を得た場合、その収益の一部を公社へ納付することがあります(収益納付)。納付金の上限は助成金額です。産業財産権を助成事業年度または助成対象期間終了後5年以内に出願・取得した場合や、譲渡・実施権を設定した場合も、実施結果状況報告書に記載します。

なお、過去に公社から助成金の交付を受けている場合、申請時点までに「企業化状況報告書」や「実施結果状況報告書」等を報告期間内に提出していることが申請要件です。未提出がある場合、当該助成事業で定める報告期間満了の翌年度の3月31日まで、本助成事業へ申請できません。

財産処分の制限と関係書類の保存

助成事業により取得または効用が増加した備品等について、取得価格または効用の増加した価格が50万円以上のものは、助成事業を完了した年度の翌年度から起算して5年を経過する日までに処分(目的外使用、譲渡、交換、貸付、担保に供すること、廃棄)しようとするとき、あらかじめ財産処分承認申請書を提出して承認を受ける必要があります。処分により得た収入の一部を公社に納付する場合もあります。

助成事業に係る関係書類および帳簿は、助成事業の完了した年度の翌年度から起算して5年間、保存しなければなりません。経理処理は他の事業と区別して記録します。

交付決定の取消しと返還

募集要項には、交付決定の全部または一部が取り消される場合が11項目挙げられています。主なものは、交付決定または変更承認等の内容と異なる事実が認められたとき、偽り・隠匿その他不正の手段により助成金の交付を受けたときまたは受けようとしたとき、助成金を他の用途に使用したときまたは使用しようとしたとき、都内において実質的に事業を行っている実態がないと認められるとき、申請要件に該当しない事実が判明したときなどです。

取り消された場合、不正の内容や助成事業者およびこれに協力した関係者等が公表されることがあり、すでに交付されている助成金は期限を定めて返還することになります。不正行為に対しては刑事罰が適用される場合もあります。これらの規定は助成金の額が確定した後にも適用されます。

他の助成金・補助金との併用

申請者用Q&A(Q1-14)には、重複利用と併願申請の考え方が整理されています。

助成対象品目 他の助成(補助)金と期間が重複している 他の助成(補助)金と期間が重複していない
他の助成(補助)金と同じ 不可 備品賃借料等で期間が重複せず、重複受給ではないと認められる場合は可
他の助成(補助)金と異なる 他の助成(補助)金事業で助成(補助)対象外として取り扱われていれば可

併願申請そのものは可能ですが、双方の事業で交付決定を受けた場合はいずれか一方を辞退する必要があります。本助成金を辞退する場合、辞退届の提出期限は交付決定通知書が届いてから14日以内です。この期限を過ぎていた場合は中止(廃止)承認申請書を提出することになります。

また、公社の「インキュベーション施設整備・運営費補助事業」に採択され補助金を受けた施設でも、本助成金は別の助成(補助)金であるため申請できます(Q1-10)。過去に本助成金の交付を受けた施設についても、ハンズオン支援を受けて過去に採択されたものとは別の新たな支援策の実施計画書が完成していれば、再度申請できます(Q1-11)。国の制度や補助を受けて設立された施設も、申請資格等を満たしていれば申請できます(Q1-12)。

問い合わせ先と公式情報の確認先

問い合わせ先は支援の種類によって窓口が分かれています。

助成事業に関すること 公益財団法人東京都中小企業振興公社 事業戦略部 創業支援課 インキュベーション施設担当
TEL:03-5220-1142(平日10:00〜17:00、土日祝日および年末年始を除く)
メール:incukyoka@tokyo-kosha.or.jp
ハンズオン支援・専門家派遣に関すること インキュベーション施設支援機能強化事業 運営事務局
TEL:03-6213-1761(10:00〜17:00、土日祝日および年末年始12月29日〜1月3日を除く)
メール:info-incu@tohmatsu.co.jp
jGrants・GビズIDに関すること GビズID ヘルプデスク

申請前に確認しておきたい公式情報は次のとおりです。

まとめ

東京都インキュベーション施設支援機能強化事業助成金は、令和8年度第1回(令和8年7月15日〜7月31日)の受付を終了しており、次に申請できるのは令和8年12月14日〜令和9年1月7日の第2回です。

第2回に申請するには、令和8年度中にハンズオン支援を受けて作成した実施計画書が締切時点で完成している必要があります。公社は実施計画書の完成に2か月以上、その前提となるINCU Tokyoの登録に1か月程度かかると公表しており、INCU Tokyo未登録の施設運営管理者にとっては2026年8月上旬が実質的な着手ラインです。

助成限度額は1,000万円、助成率は3分の2以内で、経費明細ごとに3分の2を乗じて千円未満を切り捨てた額を合計します。後払いのため、事業実施から入金までは自己資金での立替が前提になります。対象は「これまで施設で実施していない新たな支援策」に限られ、既存セミナーの規模拡大や有料で実施する支援策、交付決定前に契約・支払をしたものは対象外です。

第2回の募集要項が公表されたら、助成限度額・助成率・対象経費・提出書類に変更がないかを必ず公社の申請ページで確認してください。