新しい拠点をどこに構えるかという判断は、実際にその街で働いてみないと最後の一歩が踏み出せないものです。
京都府京都市は、市内への進出を検討している市外の企業が、試しにシェアオフィスやコワーキングスペースを使ってみる段階から費用を支える制度を設けています。
それが京都市企業立地促進制度補助金のひとつ、お試し立地支援制度です。
シェアオフィス等の利用料と往復交通費をそれぞれ2分の1、あわせて最大50万円まで補助する仕組みで、海外企業であればそれぞれ最大50万円まで枠が広がります。
正式に事業所を構える前の段階を対象にしている点が、他の立地補助金にはない特徴です。
この記事では、補助対象となる企業の条件、対象経費と上限額の考え方、申請の順序と期限までを、Jグランツの公募情報と京都市の交付要綱に沿って整理します。
京都市お試し立地支援制度の基本情報
| 正式名称 | 京都市企業立地促進制度補助金[お試し立地支援制度] |
| 対象地域 | 京都府京都市 |
| 実施機関 | 京都市 産業観光局 企業誘致推進室 |
| 対象者 | 既に市外に事業所を設置しており、かつ過去2年の間に市内に事業所を設置していない会社で、市内での事業所の設置を検討している事業者 |
| 対象業種 | 全業種(農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)) |
| 従業員数の上限 | 制約なし |
| 対象経費 | 市内のシェアオフィス等の利用料、通常勤務する事業所等または自宅とシェアオフィス等との往復交通費 |
| 対象事業の要件 | 市内のシェアオフィス等を7日以上利用すること、補助対象期間内に市の取材やアンケート等に応じること(補助対象期間は3箇月間、海外企業は6箇月間が上限) |
| 対象外 | 暴力団員等・暴力団密接関係者、性風俗関連特殊営業等を営む者、営業に必要な認可等を取得していない者、市町村税を滞納している者、本市の信頼性・公平性を損なうおそれがある者、過去に本要綱に基づく補助金の交付を受けた者。経費では入会金・保証金・事務手数料・飲食料・宿泊料および消費税等 |
| 申請期間 | シェアオフィス等の利用を開始する日の7日前まで(Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日23時59分) |
| 上限金額 | 利用料が最大25万円、交通費が最大25万円で合計最大50万円(海外企業はそれぞれ最大50万円) |
| 補助率 | シェアオフィス等の利用料の2分の1 + 往復交通費の2分の1 |
| 申請方法 | 補助対象事業指定申請書(第1号様式)等を京都市産業観光局企業誘致推進室へ提出(Jグランツでの電子申請受付は行っていない) |
| 問い合わせ先 | 京都市 産業観光局 企業誘致推進室(電話075-222-4239/ファックス075-222-3331/メールkigyoyc@city.kyoto.lg.jp) |
補助金・助成金の正式名称
正式な名称は「京都市企業立地促進制度補助金[お試し立地支援制度]」です。
京都市企業立地促進制度補助金という大きな枠組みがあり、その中に本社・工場等新増設等支援制度、市内初進出支援制度、お試し立地支援制度という3つの制度が置かれています。
お試し立地支援制度は交付要綱の第4章(第10条から第12条)に規定されており、3つのうち最も入口に近い、進出を検討する段階を支える位置づけです。
京都市の公式サイトでは「お試し立地支援制度」というページ名で案内されており、令和8年4月1日施行の交付要綱が公開されています。
対象都道府県・市区町村
対象地域は京都府京都市です。
補助の対象となるのは市内のシェアオフィス等の利用ですので、施設が京都市内に所在していることが前提になります。
一方で申請する企業自身は市外に事業所を置いている必要があり、市内に拠点を持つ企業ではなく、これから京都市に入ってくる企業に向けた制度である点が他の自治体補助金と大きく異なります。
なお、京都市および京都市の外郭団体が所有する施設内にあるシェアオフィス等は対象から除かれています。
実施機関
制度を運営しているのは京都市で、担当部署は産業観光局の企業誘致推進室です。
補助対象事業の指定申請書の提出先も、交付申請書の提出先も同室となっています。
京都市は公式ページで「申請をご検討される際は、ご一報ください」と案内していますので、書類を整える前にまず企業誘致推進室へ連絡するのが想定された流れです。
連絡先は電話075-222-4239、ファックス075-222-3331、メールアドレスはkigyoyc@city.kyoto.lg.jpです。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
補助対象者は、既に京都市外にオフィス等を設置しており、かつ指定申請日から遡って2年の間に市内にオフィス等を設置していない会社で、市内でのオフィス等の設置を検討している事業者です。
交付要綱第10条では「会社」と明記されていますので、法人格を持つ事業者が前提となります。
中小企業か大企業かによる区分は設けられておらず、従業員数の上限もありませんので、規模を理由に対象外となることはありません。
ただし暴力団員等または暴力団密接関係者、性風俗関連特殊営業およびそれらに類似する業種を営む者、営業に関して必要な認可等を取得していない者、市町村税を滞納している者は対象外です。
加えて、過去にこの交付要綱に基づく補助金の交付を受けた事業者も申請できません。
対象業種
京都市の公式ページでは対象業種を「全業種」と案内しており、業種による絞り込みは設けられていません。
Jグランツの公募情報でも、農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)が対象として挙げられています。
判断の分かれ目になるのは業種ではなく、市外に事業所があり過去2年間市内に事業所を置いていないという立地の条件のほうです。
性風俗関連特殊営業およびそれに類似する業種だけが要綱で明示的に除外されていますので、その点だけ確認しておいてください。
対象経費
補助対象経費は2種類あります。
1つ目はシェアオフィス等の利用料で、シェアオフィス、コワーキングスペースその他の複数の利用者が一の建物または個室を事業用に共有する形態の施設として市長が認めるものの利用に支払う経費です。
2つ目は交通費で、通常勤務するオフィス等の所在地または自宅とシェアオフィス等との往復にかかる公共交通機関の費用が対象になります。
海外企業の場合は、日本国内の入出国港とシェアオフィス等との往復が交通費の起点として扱われます。
交通費は京都市旅費条例に準ずるなど、合理的な経路および方法によるものとして市長が認める経費に限られます。
その他要件
補助対象事業として認められるには、市内のシェアオフィス等を7日以上利用することが必要です。
あわせて、補助対象期間内に京都市が行う取材やアンケート等に応じることも要件として定められています。
補助対象期間は3箇月間が上限で、海外企業に限り6箇月間まで認められます。
また、補助対象事業の指定を受けた日から90日以内に利用を開始しない場合は、指定が取り消されることがあります。
補助金額の合計に1,000円未満の端数が生じたときは切り捨てて算定されます。
補助対象外となるもの
利用料のうち、入会金、保証金、事務手数料、飲食料、宿泊料など通常定額の利用料に含まれないものとして市長が認める経費は対象外です。
消費税および地方消費税も、利用料と交通費のいずれについても補助対象から除かれます。
交通費についても自家用車のガソリン代やタクシー代は想定されておらず、あくまで公共交通機関の費用として市長が認めるものに限定されています。
施設面では、京都市および京都市の外郭団体が所有する施設内に存するシェアオフィス等が除外されています。
事業者側では、過去に京都市企業立地促進制度補助金の交付を受けたことがある企業が対象外となる点に注意が必要です。
申請期間
京都市の公式ページでは、申請期限を「シェアオフィス等の利用を開始する日の7日前まで」と案内しています。
Jグランツの公募情報でも同じく、利用を開始する日の7日前までに補助対象事業指定申請書を提出するよう記載されています。
利用を始めてから遡って申請することはできませんので、施設の予約より先に市への申請を済ませる段取りが欠かせません。
Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日23時59分、すなわち令和8年度末までとして登録されています。
なお補助金そのものの交付申請は、補助対象事業を完了した日から30日以内に行う必要があります。
上限金額・助成額
補助上限額は、シェアオフィス等の利用料で最大25万円、交通費で最大25万円の合計最大50万円です。
海外企業の場合は利用料と交通費のそれぞれで最大50万円まで拡大されます。
実際の限度額は交付要綱の別表2により、シェアオフィス等を利用する日数と同時に利用する人数の組み合わせで細かく決まります。
例えば1人が7日以上30日以下で利用した場合の利用料の上限は16,000円、5人以上が151日以上180日以下で利用した場合は50万円といった具合です。
交通費については「○往復に要する経費」と「○円」のいずれか低い額が限度となるため、往復回数の上限も同時に効いてきます。
補助率
補助率はシェアオフィス等の利用料が2分の1、往復交通費が2分の1です。
交付要綱では「100分の50を乗じた額」と表現されており、利用料と交通費をそれぞれ計算したうえで合算する仕組みになっています。
つまり自己負担は残りの2分の1で、実費の半額を市が肩代わりする形になります。
算定後の合計額に1,000円未満の端数が出た場合は切り捨てとなり、補助金は一括で交付されます。
問い合わせ先
問い合わせ先は京都市 産業観光局 企業誘致推進室です。
電話番号は075-222-4239、ファックス番号は075-222-3331、メールアドレスはkigyoyc@city.kyoto.lg.jpとなっています。
どのシェアオフィスが対象施設として認められるかは市長が認めるものとされていますので、利用したい施設が決まった段階で企業誘致推進室に確認しておくと確実です。
京都市役所の開庁時間は土日祝および年末年始を除く平日の午前8時45分から午後5時30分までです。
公式公募ページと確認すべきこと
制度の概要はJグランツの公募詳細ページにまとめられていますが、この制度はJグランツでの申請受付を行っていません。
申請様式、事業計画書、交付要綱はいずれも京都市のお試し立地支援制度のページからダウンロードできますので、手続きはこちらを起点にしてください。
最初に確かめておきたいのは、過去2年間に市内へオフィス等を設置していないこと、市町村税に未納がないこと、そして利用予定のシェアオフィスが対象施設として認められるかどうかの3点です。
同じページには市内初進出支援制度とあわせたチラシも掲載されており、進出後を見据えた制度の全体像をつかむのに役立ちます。
京都市お試し立地支援制度を対象者が活用すべき理由(メリット)
この制度の値打ちは、補助額そのものよりも「決める前に試せる」という設計にあります。
拠点を新設するかどうかの判断は、賃貸借契約を結んでからでは後戻りが難しく、社内でも慎重論が出やすいテーマです。
お試し立地支援制度を使えば、シェアオフィスを7日以上使いながら、実際の通勤動線や取引先との距離感、人材の集まり具合を確かめられます。
しかもその検証にかかる施設利用料と交通費の半額が戻ってきますので、意思決定のための調査費用を実質半分に抑えられる計算になります。
京都市には市内初進出支援制度という後続の制度も用意されており、実際に進出を決めた際には賃料や市内居住者に対する補助へ接続していけます。
補助対象期間内に市の取材やアンケートに応じることが要件になっている点も、市の担当部署と接点を持てるという意味では前向きに捉えられます。
企業誘致を担当する部署と早い段階でつながっておくと、物件情報や支援メニューの相談がしやすくなるからです。
京都市お試し立地支援制度を申請すべき人とそうでない人の特徴
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- 京都市外に事業所を持ち、市内への進出を具体的に検討し始めている会社
- 過去2年の間、京都市内にオフィス等を設置していない会社
- 拠点候補地の使い勝手を、契約前に社員の実感として確かめたい会社
- 京都の大学や研究機関、伝統産業との連携を探るために現地での活動拠点が必要な会社
- 関西圏での営業活動を増やしており、都度の出張より腰を据えた滞在に切り替えたい会社
- 日本市場への参入を検討しており、最長6箇月間の補助対象期間を活かせる海外企業
- 市の取材やアンケートに協力することに支障がない会社
- 利用開始日の7日前までに申請書を提出できるスケジュールで動ける会社
見送ったほうが良い人の特徴
- すでに京都市内にオフィス等を設置している、または過去2年以内に設置していた会社
- 会社の形態をとっていない個人事業主や任意団体
- 過去に京都市企業立地促進制度補助金の交付を受けたことがある会社
- 市町村税に滞納があり、申請までに納付の見通しが立たない会社
- シェアオフィス等の利用が7日に満たない見込みの会社
- すでに賃貸借契約を結ぶ段階まで進んでおり、試行の余地がない会社
- 京都市や外郭団体が所有する施設内のスペースだけを使う予定の会社
- 利用を開始してから補助金の存在に気付き、遡って申請しようとしている会社
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
既存事業とは異なる製品分野や市場へ本格的に踏み出す中小企業に対して、まとまった規模の投資を支援する国の制度です。
新拠点を足がかりに新しい事業領域を立ち上げる構想があるなら、お試し立地の次の段階で検討する価値があります。
京都での滞在中に集めた市場の手応えや協業先の反応は、そのまま新事業の必要性を説明する一次情報として使えます。
補助上限や要件は公募回ごとに見直されますので、検討する時点の公募要領で条件を確認してください。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
技術的な新規性のある製品やサービスの開発と、それを支える設備投資を対象とする制度です。
京都には素材、精密機器、ライフサイエンスなどの集積がありますので、現地企業との共同開発を軸に据えた計画も組み立てられます。
試行滞在中に接点を持った企業や研究機関の名前を計画書に具体的に書けると、実現可能性の説明が一段しっかりします。
賃上げに関する要件が設定される公募回が多いため、給与計画とあわせて判断することになります。
中小企業省力化投資補助金
人手不足の緩和につながる機器やシステムの導入費用を対象にした制度です。
拠点を増やすと管理コストも増えますので、少人数で複数拠点を回せる体制づくりと相性がよい制度といえます。
登録済みのカタログ製品から選ぶ類型を使えば、計画書の作成負担を抑えたまま申請を進められます。
対象製品は随時追加や見直しが行われますので、検討のたびに公式サイトで最新の一覧を確かめましょう。
小規模事業者持続化補助金
従業員数の少ない事業者が販路開拓に取り組む際、比較的幅広い経費に使える制度です。
新しい地域での認知づくりには、ウェブサイトの改修や現地向けの案内資料といった地道な費用がかかります。
京都拠点の開設を打ち出す販促物の制作費に、この補助金を充てるという組み立て方も考えられます。
申請には商工会議所または商工会の確認が必要ですので、本拠地の商工団体へ早めに相談しておくと進めやすくなります。
京都市お試し立地支援制度の申請に必要なもの
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
最初に提出するのは、京都市企業立地促進制度補助金補助対象事業指定申請書(第1号様式)です。
これに添付するのは、法人の登記事項証明書、申請者の概要が分かる書類、事業計画書、オフィス等の賃料および利用料が分かる書類などです。
第1号様式と事業計画書の様式は、京都市の公式ページからワード形式でダウンロードできます。
補助金の交付を受ける段階では、あらためて交付申請書(第7号様式)に実績報告書とシェアオフィス等の利用料および交通費の実績が分かる書類を添えて提出します。
交通費の実績は経路や金額が分かる形で残す必要がありますので、滞在中から領収書や利用明細を整理しておいてください。
記載例はどこで確認できるか
制度の全体像は、京都市が公開している市内初進出支援制度とお試し立地支援制度のチラシにまとめられています。
補助対象者や補助対象事業の定義、限度額の算定表まで確認したい場合は、同じページからダウンロードできる京都市企業立地促進制度補助金交付要綱が最も詳しい資料です。
とくに別表2は利用日数と利用人数ごとの限度額が一覧になっていますので、申請前に自社の利用計画を当てはめて補助見込額を試算しておくと判断がぶれません。
書き方に迷う箇所があれば、京都市が案内しているとおり、提出前に企業誘致推進室へ相談するのが確実です。
京都市お試し立地支援制度の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
この制度は補助対象事業の指定という形で審査されますので、事業計画書には京都市に進出する意義が読み取れる内容が求められます。
抽象的に「関西圏を開拓したい」と書くより、想定顧客の業種と件数、現在の関西向け売上の比率といった数字を添えるほうが伝わります。
京都という土地を選ぶ理由を、産業集積や大学の存在、観光需要など市の特性と結び付けて説明できると、計画の輪郭がはっきりします。
試行期間中に何を確かめたいのかを検証項目として列挙しておくと、目的が明確な計画として読まれます。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
京都市は企業誘致を通じて産業基盤の強化と雇用の確保を図ることを制度の目的に掲げています。
その視点に立つと、自社が市内にもたらす技術や機能が既存企業と何が違うのかを書き分けることに意味があります。
交付要綱では、ものづくり、ICT、環境・エネルギー、ヘルスケア・ライフサイエンス、コンテンツ・アート、社会課題解決などが市の産業政策に特に寄与する分野として挙げられています。
自社の事業がこれらの分野に重なるのであれば、その接点を明示しておくと市側の理解が早まります。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ本契約ではなく試行から入る必要があるのかを、自社の事情に即して説明してください。
遠隔地からの出張を重ねても分からなかったこと、社内で判断が割れている論点などを挙げると、試行の必然性が伝わります。
補助対象期間内に市の取材やアンケートに応じることが要件になっていますので、市にとって参考になる知見を持ち帰る姿勢を示しておくことも有効です。
試行の結果を踏まえて市内初進出支援制度の活用まで視野に入れていると書ければ、一過性の利用ではないことが伝わります。
実行体制を明記する
誰が何日間、どのシェアオフィスを利用するのかを具体的に書くことが出発点です。
補助金の限度額が利用日数と同時利用人数で決まる仕組みですので、計画段階での人数と日数の設定がそのまま金額に直結します。
なお別表2の備考では、シェアオフィス等の利用が一週間未満の人は利用人数に含めないと定められていますので、短期間だけ立ち寄る社員を人数に数えないよう注意してください。
社内の意思決定者と現地担当者の役割分担、試行後にどの会議体で結論を出すのかまで書いておくと、実行力のある計画として読まれます。
京都市お試し立地支援制度の申請手順
- 自社が市外に事業所を持ち、過去2年の間に京都市内にオフィス等を設置していないことを確認する
- 市町村税の納付状況を確認し、未納があれば先に納付を済ませる
- 京都市の公式ページから交付要綱、第1号様式、事業計画書の様式をダウンロードする
- 京都市産業観光局企業誘致推進室へ連絡し、利用予定のシェアオフィス等が対象施設に該当するか確認する
- 利用する人数と日数を決め、別表2に当てはめて補助見込額を試算する
- 事業計画書に、進出検討の背景、試行で確かめたい項目、実施体制を記載する
- 補助対象事業指定申請書(第1号様式)に法人の登記事項証明書、会社概要、事業計画書、利用料が分かる書類を添える
- シェアオフィス等の利用を開始する日の7日前までに、企業誘致推進室へ申請書一式を提出する
- 補助対象事業指定決定通知書(第2号様式)を受け取る
- 指定を受けた日から90日以内にシェアオフィス等の利用を開始する
- 7日以上利用し、補助対象期間(3箇月間、海外企業は6箇月間)内に市の取材やアンケート等に応じる
- 利用料の領収書と交通費の実績が分かる書類を整理する
- 補助対象事業を完了した日から30日以内に、交付申請書(第7号様式)と実績報告書を提出する
- 交付決定通知書(第8号様式)を受け取り、指定口座への振込を待つ
京都市お試し立地支援制度を自社で申請する際の注意点
最も間違えやすいのは、Jグランツに掲載されているのにJグランツからは申請できないという点です。
京都市は公募情報の冒頭で、本補助金の申請受付をJグランツでは行っていないと明記しています。
次に気を付けたいのが申請のタイミングで、利用を開始する日の7日前までという期限を過ぎると、その利用分は補助の対象になりません。
補助額が利用日数と同時利用人数で決まる点も、計画段階で見落とされがちなところです。
一週間未満しか利用しない社員は人数に算入されませんので、想定していた金額と実際の限度額がずれることがあります。
また、この制度を一度使うと、過去に交付を受けた者として本要綱に基づく他の制度の対象から外れる規定がありますので、市内初進出支援制度などとの兼ね合いは事前に企業誘致推進室へ確認しておいてください。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
京都市の企業立地支援には、お試し立地支援制度のほかに市内初進出支援制度、本社・工場等新増設等支援制度、賃貸用事業施設等立地促進制度、公的インキュベーション施設向けの賃料補助制度などが並んでいます。
どの制度から入るかによって、その後に使える制度の組み合わせが変わってきます。
とくに本要綱には併用を制限する規定や、過去に交付を受けた者を除く規定がありますので、順序を誤ると後から使える枠を自ら狭めてしまいます。
全体像を把握している支援者に相談すると、進出計画に合わせた使い方を早い段階で描けます。
事業計画の質が上がる
様式の空欄を埋めるだけであれば自社でも作れますが、審査する側が知りたいのは進出の実現性です。
自社の中だけで書き上げると、社内では自明の前提が説明されないまま提出されてしまうことがよくあります。
第三者の目が入ることで、前提条件の補足や数値の裏付けが加わり、読み手が判断しやすい計画書に整います。
完成した計画書は、社内の稟議資料や金融機関への説明資料としてもそのまま活用できます。
採択後の実務まで見据えられる
指定を受けてからも、90日以内の利用開始、市の取材への対応、完了から30日以内の交付申請と、期限のある手続きが続きます。
交通費の実績を後から揃えようとして、経路の証明に手こずるケースも起こりがちです。
申請前の段階で、滞在中に何をどう記録するかまで決めておくと、完了後の手続きが滞りません。
なお行政に提出する書類の作成代行には資格上の制約がありますので、依頼先の業務範囲と費用は契約前に確かめてください。
京都市お試し立地支援制度を不正受給するとどうなるのか
- 虚偽の申請が明らかになった場合の取扱い
- 状況が変わったときに市へ伝えるべきこと
虚偽の申請が明らかになった場合の取扱い
交付要綱第18条は、偽りその他不正の手段により補助対象事業の指定を受けたときは、市長が指定を取り消すことができると定めています。
取消しが決定されると補助対象事業指定取消決定通知書が送付され、既に交付を受けていれば返還を求められることになります。
実際に市内で事業所を運営しているのに未設置と偽ったり、利用していない日数を実績に含めたりすれば、これに該当する余地があります。
悪質と判断された場合には、京都市の補助制度に関する条例上の措置に加えて、一般の法令に基づく責任を問われる可能性も残ります。
最大50万円のために、その後の京都市の支援制度を使えなくする判断は、経営上も割に合いません。
状況が変わったときに市へ伝えるべきこと
交付要綱第15条は、申請者の名称や所在地に変更が生じたとき、あるいは補助対象事業を中止または廃止したときに、速やかに届け出るよう求めています。
届出には補助対象事業変更・中止・廃止届出書(第4号様式)という様式が用意されています。
利用日数が計画より減った、参加人数が変わったといった変更も、自己判断で処理せず企業誘致推進室へ相談するのが正しい進め方です。
交付要綱第17条により、市長は必要な限度において事業に関する報告を求め、関係帳簿等を調査できるとされています。
利用実績や交通費の記録は、求められたときにすぐ示せる形で保管しておきましょう。
京都市お試し立地支援制度のまとめ
京都市企業立地促進制度補助金[お試し立地支援制度]は、市外の企業が京都市内のシェアオフィス等を試行的に利用する費用を支える制度です。
補助率は利用料と交通費のそれぞれ2分の1で、上限は利用料が最大25万円、交通費が最大25万円の合計最大50万円となっています。
海外企業であれば、それぞれ最大50万円まで枠が広がり、補助対象期間も6箇月間まで認められます。
申請はシェアオフィス等の利用を開始する日の7日前までに行う必要があり、Jグランツ上の受付終了日時は2027年3月31日23時59分です。
対象となるのは、市外に事業所があり、過去2年の間に市内へオフィス等を設置していない会社に限られます。
制度の概要はJグランツの公募詳細ページ、申請様式と交付要綱の入手先は京都市のお試し立地支援制度のページです。
拠点を増やすかどうかを机上で悩み続けるより、半額の負担で実際に働いてみるほうが答えは早く出るはずです。
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