中小企業にとって事業承継やM&Aは、経営を次の世代や新たな体制へと引き継ぐ大きな節目です。
しかし、承継や統合を終えた後にこそ本当の課題が始まる場面も少なくありません。
引き継いだ事業や買収した企業を自社と融合させ、期待した相乗効果を生み出すには、統合後の設備投資や体制づくりに相応の費用がかかります。
こうした統合後の取り組みを後押しするのが、中小企業生産性革命推進事業の一環である事業承継・M&A補助金のPMI推進枠(事業統合投資類型)です。
この制度は、事業統合を契機とした設備投資などの経費の一部を補助し、生産性の向上を支援するものです。
本記事では、事業承継・M&A補助金PMI推進枠の対象者や補助額、申請の流れまでをわかりやすく解説します。
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠の基本情報
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠を対象者が活用すべき理由(メリット)
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠を申請すべき人とそうでない人の特徴
- その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠の申請に必要なもの
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠の採択率を上げる事業計画書の作り方
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠の申請手順
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠を自社で申請する際の注意点
- 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠を不正受給するとどうなるのか
- 事業承継・M&A補助金PMI推進枠のまとめ
事業承継・M&A補助金PMI推進枠の基本情報
まずは、事業承継・M&A補助金PMI推進枠の全体像を概要表で確認していきます。
| 正式名称 | 中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(15次公募) PMI推進枠(事業統合投資類型) |
| 実施機関 | 事業承継・M&A補助金事務局(PMI推進) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象者 | 事業承継・事業再編・事業統合を行う中小企業者等(個人事業主を含む) |
| 対象業種 | 原則として全業種 |
| 対象経費 | 事業統合後のPMI推進(設備投資等)に係る経費 |
| 補助上限額 | 1,000万円 |
| 補助率 | 2/3以内 又は 1/2以内 |
| 申請期間 | 2026年7月24日 17時30分まで(15次公募) |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ) |
| 問い合わせ先 | 事業承継・M&A補助金事務局(PMI推進) 050-3192-6228 |
| 公式サイト | 事業承継・M&A補助金Webサイト |
補助金・助成金の正式名称
正式名称は「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金(15次公募) PMI推進枠(事業統合投資類型)」です。
いわゆる事業承継・M&A補助金の一類型で、M&Aによる事業統合を実施した後の設備投資などを支援する点が特徴です。
PMIとはPost Merger Integrationの略で、統合後の経営を軌道に乗せるための取り組みを指します。
対象都道府県・市区町村
対象地域は全国で、地理的な条件は設けられていません。
日本国内に拠点または居住地を置き、国内で事業を営んでいれば全国どこからでも申請できます。
ただし、地域経済に貢献している中小企業者等であることが求められます。
実施機関
実施機関は、事業承継・M&A補助金事務局(PMI推進)です。
本制度は中小企業庁が所管する中小企業生産性革命推進事業の一環として運営されています。
申請や審査に関する窓口は事務局に一本化されており、Jグランツを通じて手続きを進めます。
対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
対象となるのは、事業承継・事業再編・事業統合を契機として新たな取り組みを行う中小企業者等です。
法人だけでなく個人事業主も対象に含まれます。
中小企業基本法に準じた資本金・従業員数の基準を業種ごとに満たす必要があります。
なお、法人の場合は申請時点で設立登記および3期分の決算・申告が完了していることが求められます。
対象業種
対象業種は原則として全業種にわたります。
建設業や製造業、情報通信業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉など幅広い業種が挙げられています。
従業員数の制約はありませんが、業種区分ごとの中小企業者等の定義に該当することが前提となります。
対象経費
対象経費は、事業統合後のPMI推進に係る経費で、設備投資などが中心となります。
統合した事業を軌道に乗せ、相乗効果を実現するための投資が補助の対象です。
具体的にどの経費が対象となるかは、公募要領の補助対象経費の区分を必ず確認してください。
その他要件
補助対象者には、公募要領に定められた複数の応募資格を満たすことが求められます。
反社会的勢力でないこと、法令遵守上の問題を抱えていないこと、補助事業完了後の事業化状況報告を期限までに提出することなどが含まれます。
申請内容の作成を有償で第三者へ依頼する場合は、行政書士に限られ、証憑や委任契約書の提出が必須となります。
補助対象外となるもの
PMI推進枠の趣旨に合致しない経費や、他の補助金と重複する経費は対象外となります。
また、一部対象外となる中小企業者等の条件も定められています。
対象外の範囲は公募要領で細かく規定されているため、申請前に必ず確認しておくことが大切です。
申請期間
15次公募の申請期限は2026年7月24日17時30分までです。
期日間際は申請が集中し、不備の指摘や修正差戻しに事務局が対応できない場合があるため、期日の5営業日前までの提出が推奨されています。
余裕をもったスケジュールで準備を進めることをおすすめします。
上限金額・助成額
補助上限額は1,000万円です。
統合後の設備投資を伴う取り組みに対して、まとまった金額の支援を受けられる点が魅力です。
実際の交付額は、審査結果や対象経費の内容によって決まります。
補助率
補助率は2分の1以内または3分の2以内です。
要件を満たす場合は3分の2以内という高い補助率が適用され、自己負担を大きく抑えられます。
どちらの補助率が適用されるかは、事業者の区分や取り組み内容によって異なります。
問い合わせ先
問い合わせ先は、事業承継・M&A補助金事務局(PMI推進)です。
電話番号は050-3192-6228で、受付時間は平日の9時30分から12時、13時から17時までです。
土日祝日は受付を行っていないため、余裕をもって問い合わせることが望ましいです。
公式公募ページと確認すべきこと
申請にあたっては、必ず一次情報を確認することが欠かせません。
制度の詳細や電子申請の入口はJグランツの公募詳細ページで確認できます。
公募要領や交付規程については事業承継・M&A補助金の公式サイトから入手できます。
対象経費や応募資格の細部は公募要領に記載されているため、申請前に最新の情報を必ず確認してください。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠を対象者が活用すべき理由(メリット)
事業承継・M&A補助金PMI推進枠を活用する最大のメリットは、統合後の投資負担を軽減できる点にあります。
M&Aは契約が成立して終わりではなく、統合後にどれだけ相乗効果を引き出せるかが成否を分けます。
本制度を使えば、最大1,000万円・補助率3分の2以内で統合後の設備投資を支援してもらえます。
資金面の不安を和らげながら、統合直後の重要な投資に踏み切りやすくなります。
結果として、承継や統合をきっかけとした生産性の向上や事業の成長を後押しする効果が期待できます。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠を申請すべき人とそうでない人の特徴
ここでは、この制度の申請が向いている人と、そうでない人の特徴を整理します。
- 申請すべき人
- 見送ったほうが良い人の特徴
申請すべき人
- M&Aや事業統合を行い、統合後の設備投資を予定している中小企業者等
- 統合した事業の相乗効果を高めるため、まとまった投資を検討している事業者
- 中小企業基本法に準じた資本金・従業員数の基準を満たしている法人・個人事業主
- 期日に余裕をもって電子申請の準備を進められる事業者
見送ったほうが良い人の特徴
- 事業承継やM&A、事業統合の予定が具体的にない事業者
- 統合後の設備投資など補助対象となる経費が想定できない場合
- 中小企業者等の定義や応募資格を満たさない事業者
- 申請期限まで日数が乏しく、必要書類を準備しきれない場合
その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
事業承継・M&A補助金PMI推進枠とあわせて検討したい、代表的な制度を紹介します。
- 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
- ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
- 中小企業省力化投資補助金
- 小規模事業者持続化補助金
新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新たな分野へ挑戦する中小企業を後押しする制度です。
承継や統合を機に事業の幅を広げたい場合、新市場への進出費用を補助してもらえる選択肢になります。
ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
ものづくり補助金は、革新的な製品やサービスを生み出すための設備投資を支援する制度です。
統合によって得た技術や人材を活かし、新たな製品開発に取り組む際に相性の良い制度といえます。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、人手不足の解消につながる省力化設備の導入を支援する制度です。
統合後の業務効率化を図りたい場合に、省人化への投資を後押ししてくれます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務改善の取り組みを幅広く支援する制度です。
比較的小規模な投資から始めたい事業者にとって、活用しやすい制度として知られています。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠の申請に必要なもの
申請の際に準備しておきたい書類や、その確認方法を整理します。
- 申請に必要な書類一覧と取得方法
- 記載例はどこで確認できるか
申請に必要な書類一覧と取得方法
電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要となるため、早めに取得しておくことが大切です。
法人の場合は決算書や申告書の写し、個人事業主の場合は確定申告書などの提出が求められます。
有償で第三者に申請内容の作成を依頼する場合は、行政書士による証憑や委任契約書もあわせて必要です。
記載例はどこで確認できるか
申請様式や記載例は、公募要領とあわせて公開されています。
詳細な様式は事業承継・M&A補助金の公式サイトで確認できます。
最新版の様式を使用しないと受理されない場合があるため、申請直前に必ず最新の書式を確認してください。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠の採択率を上げる事業計画書の作り方
採択を勝ち取るためには、審査員に伝わる事業計画書を作り込むことが欠かせません。
- 市場性を具体的に書く
- 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
- この制度を利用する必要性・重要性を記載
- 実行体制を明記する
市場性を具体的に書く
統合後に狙う市場の規模や成長性を、数値や具体的な根拠とともに示すことが重要です。
誰にどのような価値を届けるのかを明確にすると、投資の妥当性が審査員に伝わりやすくなります。
差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
統合によって得た技術や人材、販路が競合とどう違うのかを具体的に描くことが大切です。
自社ならではの強みを明文化することで、計画全体の説得力が一段と高まります。
この制度を利用する必要性・重要性を記載
なぜ本制度による支援が必要なのか、資金面や事業戦略の観点から丁寧に説明します。
補助を受けることで実現するステップアップを具体的に描くと、制度活用の意義が明確になります。
実行体制を明記する
計画を確実に遂行できる社内体制や役割分担を示すことも欠かせません。
責任者やスケジュール、外部の協力者を明記すると、実現可能性の高さを示せます。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠の申請手順
申請は電子申請システムのJグランツを通じて行います。
- GビズIDプライムアカウントを取得する
- 公募要領を確認し、対象経費や応募資格を精査する
- 事業計画書や必要書類を準備する
- Jグランツの申請フォームに情報を入力する
- 必要書類を添付し、期限までに申請を提出する
- 事務局からの不備指摘があれば速やかに修正・対応する
- 審査結果の通知を確認する
事業承継・M&A補助金PMI推進枠を自社で申請する際の注意点
申請期日の直前は応募が集中しやすく、事務局が不備の修正差戻しに対応できない可能性があります。
そのため、期日の5営業日前までに提出を済ませておくと安心です。
対象経費の区分や応募資格の解釈を誤ると不採択につながるため、公募要領の読み込みが欠かせません。
提出前には書類の記載漏れや様式の版数を丁寧に確認しておくことをおすすめします。
自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
申請の経験が乏しい場合は、専門家の力を借りることも有効な選択肢です。
- 制度選定の精度が上がる
- 事業計画の質が上がる
- 採択後の実務まで見据えられる
制度選定の精度が上がる
数多くの補助金の中から、自社の状況に最も合う制度を見極めるのは容易ではありません。
専門家に相談すれば、統合後の投資計画に適した制度を的確に選び出せます。
事業計画の質が上がる
審査で評価されるポイントを踏まえた計画づくりには、一定の経験とコツが求められます。
専門家の視点が加わることで、計画書の完成度と説得力が格段に高まります。
採択後の実務まで見据えられる
補助金は採択されて終わりではなく、交付後の報告や実績管理まで続きます。
交付後の煩雑な手続きまで見据えて伴走してもらえる点が、専門家に依頼する大きな利点です。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠を不正受給するとどうなるのか
補助金を不正に受給した場合には、厳しい措置が取られる点を理解しておく必要があります。
- 法人名などが公表される可能性
- 不正に関する情報提供の受付
法人名などが公表される可能性
不正受給が判明した場合、補助金の返還に加えて加算金の支払いを求められることがあります。
悪質なケースでは、所管する行政機関や事務局によって事業者名が公表される場合があります。
社会的な信用を失うリスクは、事業の継続に深刻な影響を及ぼします。
不正に関する情報提供の受付
補助金制度では、不正受給に関する情報提供や通報の窓口が設けられているのが一般的です。
第三者からの通報をきっかけに調査が行われることもあるため、適正な申請と経費執行が不可欠です。
正しい手続きを守ることが、結果として事業者自身を守ることにつながります。
事業承継・M&A補助金PMI推進枠のまとめ
事業承継・M&A補助金PMI推進枠は、事業統合後の設備投資を最大1,000万円まで支援する制度です。
補助率は要件に応じて3分の2以内または2分の1以内となり、統合直後の投資負担を大きく和らげます。
15次公募の申請期限は2026年7月24日17時30分までで、電子申請システムのJグランツから手続きを行います。
申請を検討する際は、必ず最新の一次情報を確認したうえで準備を進めることが大切です。
制度の詳細はJグランツの公募詳細ページで、公募要領は事業承継・M&A補助金の公式サイトで確認してください。
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