東京都の令和8年度特許調査費用助成事業|上限100万円の対象経費と申請手順を解説

その他

競合他社がどんな特許を押さえているのかを知らないまま開発を進めると、製品化の直前で思わぬ権利侵害のリスクに気づくことがあります。

とはいえ、民間の調査会社に他社特許調査を依頼すれば数十万円単位の費用がかかり、中小企業にとっては後回しになりがちな支出です。

東京都知的財産総合センターは、こうした調査費用の一部を負担する特許調査費用助成事業を令和8年度も実施しています。

助成率は助成対象と認められる経費の2分の1以内、助成限度額は100万円で、最終受付期限は令和8年10月1日17時までとされています。

申請日以前に同センターの知財相談を受けていることが要件になっており、jGrantsでの交付申請と紙の申請書類の郵送という2つの手続きが必要です。

この記事では、対象者や助成対象経費の区分、申請の段取りと落とし穴までを一次情報に沿って整理していきます。

  1. 特許調査費用助成事業の基本情報
    1. 補助金・助成金の正式名称
    2. 対象都道府県・市区町村
    3. 実施機関
    4. 対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)
    5. 対象業種
    6. 対象経費
    7. その他要件
    8. 補助対象外となるもの
    9. 申請期間
    10. 上限金額・助成額
    11. 補助率
    12. 問い合わせ先
    13. 公式公募ページと確認すべきこと
  2. 特許調査費用助成事業を対象者が活用すべき理由(メリット)
  3. 特許調査費用助成事業を申請すべき人とそうでない人の特徴
    1. 申請すべき人
    2. 見送ったほうが良い人の特徴
  4. その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例
    1. 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
    2. ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
    3. 中小企業省力化投資補助金
    4. 小規模事業者持続化補助金
  5. 特許調査費用助成事業の申請に必要なもの
    1. 申請に必要な書類一覧と取得方法
    2. 記載例はどこで確認できるか
  6. 特許調査費用助成事業の採択率を上げる事業計画書の作り方
    1. 市場性を具体的に書く
    2. 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
    3. この制度を利用する必要性・重要性を記載
    4. 実行体制を明記する
  7. 特許調査費用助成事業の申請手順
  8. 特許調査費用助成事業を自社で申請する際の注意点
  9. 自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ
    1. 制度選定の精度が上がる
    2. 事業計画の質が上がる
    3. 採択後の実務まで見据えられる
  10. 特許調査費用助成事業を不正受給するとどうなるのか
    1. 不正が判明したときに科される措置
    2. 疑わしい点は早めに相談窓口へ申し出る
  11. 特許調査費用助成事業のまとめ

特許調査費用助成事業の基本情報

正式名称 特許調査費用助成事業(令和8年度)※Jグランツ掲載名は「令和8年度特許調査費用助成事業」、募集要項上の名称は「令和8年度特許調査費用助成金」
対象地域 東京都内
実施機関 公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
対象者 東京都内の中小企業者(会社及び個人事業者)、中小企業団体、一般社団法人・一般財団法人(1年度1社1案件に限る)
対象業種 農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、分類不能の産業
対象経費 民間調査会社等に依頼する国内及び外国の他社特許調査等に要する経費(開発戦略策定費用、特許出願戦略策定費用、継続的なウォッチングに要する費用、侵害予防に要する調査費用)
その他要件 申請日以前に東京都知的財産総合センターの知財相談を受けていること、常時使用する従業員300名以下、令和8年4月1日以前に設立・開業し都内で1年以上実質的に事業を行っていること、同一内容で他の公的助成を受けていないこと等
対象外 特許出願前に新規性や進歩性等を確認するための先行技術調査、令和8年3月31日以前に発注・契約・実施・支払のいずれかが完了しているもの、顧問料・原稿作成経費・提案書作成経費・鑑定費用、国内消費税、国内向けの振込手数料、関連会社との取引に係る経費、現金・手形・小切手・電子記録債権による支払、大企業・医療法人・学校法人・宗教法人等
申請期間 随時(最終受付期限:令和8年10月1日(木)17時まで)※Jグランツ上の受付終了日時も2026年10月1日17時
上限金額 100万円(下限額の定めなし)
補助率 助成対象と認められる経費の2分の1以内(千円未満切捨て)
問い合わせ先 公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター 特許調査費用助成金担当(〒110-0016 東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階/電話03-3832-3656/メールchizai-josei@tokyo-kosha.or.jp)

補助金・助成金の正式名称

制度の名称は「特許調査費用助成事業」です。

Jグランツには「令和8年度特許調査費用助成事業」という公募名で掲載され、公社が配布する募集要項の表紙には「令和8年度特許調査費用助成金」と書かれています。

「事業」と「助成金」で表記が揺れていますが、いずれも同じ制度を指しますので、年度が令和8年度であるかを確認すれば迷うことはありません。

公社は前年度から内容を改正していると案内していますので、様式は必ず令和8年度版をダウンロードしてください。

対象都道府県・市区町村

対象は東京都内で、区市町村ごとの区分けはありません。

会社の場合は令和8年4月1日を基準日として都内に登記簿上の本店または支店があること、中小企業団体や一般社団法人・一般財団法人は都内に登記簿上の主たる事務所があることが求められます。

個人事業者は、税務署へ提出済みの個人事業の開業・廃業等届出書の写しで納税地や主たる事業所が都内にあると確認できることが条件です。

登記簿上の住所に建物があるだけでは足りず、ホームページや名刺、看板、電話連絡時の状況、従業員の雇用状況などから総合的に事業実態が判断されます。

基準日時点で1年以上都内の事業所で実質的に事業を行っているか、都内で創業して事業を行っていることも必要です。

実施機関

運営主体は公益財団法人東京都中小企業振興公社で、窓口業務は東京都知的財産総合センターが担っています。

所在地は〒110-0016 東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階です。

同センターは中小企業向けに知的財産全般の無料相談を常時受け付けており、本助成金では申請前にこの相談を受けることが必須要件となっています。

調査会社への依頼の仕方が分からない段階でも相談に応じるとされていますので、計画づくりの入口として活用できます。

対象者(世帯・個人事業主・法人・団体・研究機関)

申請できるのは、東京都内の中小企業者(会社及び個人事業者)、中小企業団体、一般社団法人及び一般財団法人です。

中小企業者の判定は業種別の基準によるもので、製造業・建設業・運輸業などは資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5千万円以下または50人以下、サービス業は5千万円以下または100人以下とされています。

ゴム製品製造業の一部は3億円以下または900人以下、旅館業は5千万円以下または200人以下という特例も設けられています。

大企業が単独で発行済株式総数の2分の1以上を保有しているなど実質的に経営へ参画している場合は対象外で、医療法人・学校法人・宗教法人等も申請できません。

交付決定は一中小企業者等につき一年度一件までとされています。

対象業種

Jグランツで指定されている業種は、農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、分類不能の産業です。

ほぼ全業種が並んでおり、業種そのものによる足切りは行われていないと考えて差し支えありません。

Jグランツ上の従業員数の上限は300名以下と表示されています。

実務上は、自社技術を製品に落とし込む製造業や、ソフトウェア関連の情報通信業からの利用が中心になると考えられます。

なお、風俗関連業やギャンブル業など、支援対象として社会通念上適切でないと判断される業態は業種を問わず除外されます。

対象経費

助成対象になるのは、民間調査会社等に依頼する国内及び外国の他社特許調査等に要する経費で、募集要項では4つの区分に整理されています。

開発戦略策定費用と特許出願戦略策定費用には、関連技術や周辺特許に関する他社特許調査費用、パテントマップ作成費用、出願動向分析費用が含まれます。

継続的なウォッチングに要する費用は、検索式の作成・改良に要する費用と競合他社の特許出願動向調査費用が対象です。

侵害予防に要する調査費用としては、他社特許調査費用と特許無効化に要する調査費用が挙げられています。

いずれの区分でも、特許出願前に新規性や進歩性等を確認するための先行技術調査費用は除かれる点に注意が必要です。

経費は助成事業者自身が民間調査会社等へ直接支出し、証憑で使途や金額を確認できるものに限られます。

その他要件

助成対象期間は令和8年4月1日から最長で令和9年9月30日までの1年6か月です。

この期間内に民間調査会社等への発注または契約、実施、支払のすべてを完了させる必要があり、源泉所得税が発生する場合はその納付までを期間内に済ませなければなりません。

他社特許調査等の完了が確認できない場合は助成金が交付されませんので、調査報告書の受領までを見込んだ日程を組んでください。

このほか、事業税等を滞納していないこと、申請日までの過去5年間に公的な助成事業で不正等の事故を起こしていないこと、暴力団関係者でないこと、民事再生法や会社更生法による申立て等がないことなども要件に含まれます。

過去に公社から助成金の交付を受けている場合は、活用状況報告書等を所定の期日までに提出済みであることが前提となります。

補助対象外となるもの

特許出願前の新規性や進歩性を確かめる先行技術調査は、本助成金の対象から明確に外されています。

顧問料、原稿作成経費、提案書作成経費、鑑定費用など、他社特許調査等に要する経費であることが明らかでないものも認められません。

支払方法にも制限があり、現金・手形・小切手・電子記録債権による支払はいずれも対象外で、原則として助成事業者名義の口座からの振込払いが求められます。

親会社や子会社、役員・従業員を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社など関連会社との取引に係る経費も除外されます。

国内消費税、国内向けの振込手数料、帳票類が不備の経費、交付申請書に記載のない調査内容の変更や追加に伴う経費も助成対象になりません。

申請期間

受付は随時行われており、令和8年度の最終受付期限は令和8年10月1日(木)17時までです。

Jグランツ上の受付終了日時も2026年10月1日17時と表示されており、公社の案内と一致しています。

募集要項では申請の2~3週間前を知財相談の目安として示していますので、締切直前に思い立っても間に合わない設計になっています。

電子申請に使うGビズIDプライムアカウントの発行にも2~3週間程度かかるとされています。

交付決定は令和9年1月下旬頃を予定していると案内されていますので、入金時期を見込んだ資金繰りを考えておきましょう。

上限金額・助成額

助成限度額は100万円です。

Jグランツの補助上限額欄にも1,000,000円と表示されており、募集要項の記載と一致しています。

助成下限額の定めは公表資料に見当たりませんので、小規模な調査案件でも申請を検討できます。

最終的な交付額は、実際に要した助成対象経費に2分の1を乗じた額と助成予定額のいずれか低い額で確定し、千円未満の端数は切り捨てられます。

同一テーマであれば、4つの経費区分を組み合わせて助成対象とすることも可能とされています。

補助率

助成率は助成対象と認められる経費の2分の1以内です。

単純計算では、助成対象経費が200万円に達したところで助成限度額の100万円に届きます。

助成金は完了検査と額の確定を経てからの一括後払いですので、調査費用はいったん全額を自社で立て替える前提で資金を用意してください。

審査の結果、助成金交付申請額と助成予定額が異なる場合があることも押さえておきましょう。

問い合わせ先

問い合わせ先は公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センターの特許調査費用助成金担当です。

住所は〒110-0016 東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階、電話は03-3832-3656、メールはchizai-josei@tokyo-kosha.or.jpと案内されています。

センターの電話受付時間は平日9時から17時まで(12月29日から1月3日を除く)とされています。

申請書類の送付先も同じ住所で、封筒の表面に「特許調査費用助成金申請書類在中」と記載するよう求められています。

公式公募ページと確認すべきこと

公募情報はJグランツの公募詳細ページに掲載されています。

募集要項と助成金申請書の様式一式は東京都知的財産総合センターの公式案内ページからダウンロードできます。

最初に確かめたいのは、依頼予定の調査が先行技術調査に当たらないか、発注から支払までを令和8年4月1日以降かつ令和9年9月30日までに収められるか、申請前の知財相談を受けられるかの3点です。

公式案内ページには電子申請マニュアルと助成事業共通のQ&Aも用意されていますので、書類を作り始める前に目を通しておくと安心です。

特許調査費用助成事業を対象者が活用すべき理由(メリット)

他社特許の状況を把握しないまま開発や販売に踏み切ると、後から警告状が届いて設計変更や販売停止を迫られる事態になりかねません。

専門の調査会社に依頼すれば精度の高い情報が得られますが、その費用が理由で調査を見送っている中小企業は少なくないはずです。

この助成金を使えば、調査費用の2分の1、最大100万円までを公社に負担してもらえます。

開発戦略の策定から出願戦略、競合のウォッチング、侵害予防まで幅広い目的の調査が対象になっているため、自社の課題に合わせて使いどころを選べます。

申請前の知財相談が組み込まれていることで、調査の依頼内容や依頼先の選び方について助言を受けられる点も見逃せません。

交付決定後も専門の相談員が進捗をヒアリングし、無料の相談に応じる体制が用意されています。

特許調査費用助成事業を申請すべき人とそうでない人の特徴

  • 申請すべき人
  • 見送ったほうが良い人の特徴

申請すべき人

  • 東京都内に本店・支店または主たる事務所を持ち、1年以上実質的に事業を行っている中小企業者・中小企業団体・一般社団法人・一般財団法人
  • 自社の技術や製品について、他社特許の状況を踏まえた開発戦略や出願戦略を立てたい事業者
  • 競合他社の出願動向を継続的にウォッチングする仕組みを整えたい事業者
  • 新製品の販売前に侵害予防調査を行い、権利侵害リスクを潰しておきたい事業者
  • 令和8年4月1日以降に調査を発注し、令和9年9月30日までに支払まで完了できる事業者
  • 申請前に東京都知的財産総合センターの知財相談を受けられる事業者
  • GビズIDプライムアカウントを取得し、jGrantsでの電子申請と書類郵送の両方に対応できる事業者

見送ったほうが良い人の特徴

  • 依頼したい調査が、特許出願前に新規性や進歩性を確認する先行技術調査に当たる場合
  • 令和8年3月31日以前に調査の発注・契約や支払を済ませてしまっている場合
  • 調査を自社内や関連会社で行い、外部の民間調査会社等に発注しない場合
  • 同一の調査について他の公的機関から既に助成を受けている場合
  • 都内に登記上の拠点がない、または大企業が実質的に経営に参画している場合
  • 医療法人・学校法人・宗教法人等に該当する場合
  • 同一年度に既にこの助成金の交付決定を受けている場合

その他にも利用すべき補助金・助成金制度の代表例

  • 新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)
  • ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)
  • 中小企業省力化投資補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

新事業進出補助金(新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠)

既存の事業とは異なる分野へ踏み出す中小企業に向けて、設備投資や建物費などを国が支援する枠組みです。

特許調査で見えてきた技術的な空白地帯を足がかりに、新しい製品カテゴリーへ挑戦する場面と噛み合います。

調査で得た他社動向の情報は、新事業の妥当性を裏づける材料としてそのまま計画書に活かせます。

公募回ごとに要件も締切も変わりますので、検討する際は最新の公募要領を確認してください。

ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠)

革新的な製品・サービスの開発に必要な設備投資を支える、国の代表的な補助金です。

試作機や測定機器の導入など、開発そのものにかかる投資を対象にできる点が特許調査費用助成事業との違いです。

既存設備の単なる置き換えは評価されにくいため、開発する製品の新規性をどう説明するかが勝負どころになります。

過去の採択事例が公式サイトで公開されていますので、自社の構想と読み比べてみると輪郭がはっきりします。

中小企業省力化投資補助金

人手不足への対応として、省力化に資する設備やシステムの導入を後押しする制度です。

出願管理や期限管理といった知財事務の効率化に関わるツール導入とも、目的の面で接点があります。

知財の担当が総務や経営企画と兼務になっている企業ほど、業務の自動化による効果を実感しやすい制度です。

対象となる製品や登録カタログの内容は公式サイトで随時更新されています。

小規模事業者持続化補助金

従業員数の少ない事業者が販路を広げる取組を、幅広い経費で支援する制度です。

ウェブサイトの刷新やカタログ制作、展示会出展など、調査で固めた技術の強みを外へ発信する場面で使えます。

権利面の足場固めは本助成金、市場への打ち出しは持続化補助金と、役割を分けて併用する考え方が現実的です。

商工会議所や商工会と相談しながら経営計画を作る流れになっているため、申請書づくりに不慣れでも取り組みやすい制度です。

特許調査費用助成事業の申請に必要なもの

  • 申請に必要な書類一覧と取得方法
  • 記載例はどこで確認できるか

申請に必要な書類一覧と取得方法

全組織形態に共通して必要なのは、特許調査費用助成金交付申請書3部、反社会的勢力排除に関する誓約事項1部、直近2期分の確定申告書の写し、申請テーマに関連する資料3部です。

会社と団体等は発行後3か月以内の履歴事項全部証明書の原本、個人事業者は個人事業の開業届出書の写しを添えます。

納税証明書も必要で、会社は都税事務所発行の法人事業税及び法人都民税の納税証明書、個人事業者は個人事業税の納税証明書と代表者の住民税納税証明書を用意します。

中小企業団体や一般社団・財団法人は、定款、名簿、助成金交付申請等を議決した総会の議事録の写しも求められます。

提出部数は書類ごとに1部と3部が混在しており、3部提出する書類は1組にまとめて3つの束に分けるよう指定されています。

マイナンバーが記載された書類は受領されませんので、確定申告書や開業届の該当箇所は黒塗りにしてください。

記載例はどこで確認できるか

募集要項の巻末には、履歴事項全部証明書や納税証明書、確定申告書などのサンプルが確認ポイント付きで掲載されています。

実績報告の際に提出する注文書・注文請書・請求書についても、記載すべき事項を注記したサンプルが用意されています。

募集要項、助成金申請書、助成金申請書記入例は東京都知的財産総合センターの公式案内ページからまとめて入手できます。

同ページには特許調査費用助成事業に特化したQ&Aも掲載されていますので、判断に迷う論点はここで解消できることがあります。

それでも不明な点が残る場合は、申請前の知財相談の場でまとめて確認しておきましょう。

特許調査費用助成事業の採択率を上げる事業計画書の作り方

  • 市場性を具体的に書く
  • 差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載
  • この制度を利用する必要性・重要性を記載
  • 実行体制を明記する

市場性を具体的に書く

技術審査では、事業との関連性・整合性と費用対効果が評価の視点に挙げられています。

調査対象の技術がどの市場でどれだけの売上に結び付くのかを、取引先の顔ぶれや想定数量を交えて描いてください。

調査に投じる費用と、それによって回避できる設計変更や係争のコストを並べて示すと、費用対効果の説明が具体的になります。

引き合いの記録や展示会での反響など、市場の実在を裏づける材料があれば添えておきましょう。

差別化ポイント(自社と他社の違い)を明確に記載

審査では調査目的の明確性・妥当性が問われますので、調査の対象となる自社技術の位置づけをはっきりさせる必要があります。

既存製品と比べてどの要素が新しいのか、どの技術領域で他社と競合しうるのかを、図や表を使って整理してください。

申請テーマに関連する資料としてパンフレットやプレゼン資料の提出が求められますので、そこに自社の強みが読み取れる情報を入れておくと理解が進みます。

競合の名前を挙げられる場合は、どの点で棲み分けを図るのかまで書き添えると説得力が増します。

この制度を利用する必要性・重要性を記載

調査の緊急性も技術審査の視点に含まれています。

量産開始や展示会出展、取引先への納入といった具体的な予定を示し、その前にどうしても調査を終える必要があると説明しましょう。

自社の資金だけでは調査範囲を絞らざるを得ないという事情を率直に書くことは、助成の必要性を伝えるうえで有効です。

知的財産権の効果的な活用を通じた国際競争力の向上と経営基盤の強化という制度の目的に、自社の計画をどう重ねるかも意識して記載してください。

実行体制を明記する

調査計画の内容そのものも審査の対象ですので、誰がいつ何を進めるのかを具体化しておく必要があります。

依頼予定の民間調査会社、社内で結果を受け止める担当者、調査結果を開発や出願にどう反映するかという流れを整理しましょう。

発注から支払までを令和9年9月30日までに終える必要がありますので、調査会社の作業期間と請求サイクルを織り込んだ工程表が信頼につながります。

調査の依頼内容が固まらない段階であれば、知財相談で依頼の仕方から助言を受けることもできます。

特許調査費用助成事業の申請手順

  1. 東京都知的財産総合センターの公式案内ページで募集要項を確認し、申請要件と助成対象経費を把握する
  2. 同センターの知財相談をウェブから予約し、申請日以前に申請内容に関する相談を受ける
  3. GビズIDプライムアカウントを未取得の場合は発行手続きを行う(発行まで2~3週間程度)
  4. 公式案内ページから募集要項、助成金申請書、助成金申請書記入例をダウンロードする
  5. 特許調査費用助成金交付申請書に日本語で必要事項を記入し、A4サイズ・片面印刷でクリップ止めする
  6. 履歴事項全部証明書または開業届の写し、納税証明書、直近2期分の確定申告書、申請テーマに関連する資料などを揃える
  7. jGrantsの「特許調査費用助成事業 交付申請フォーム」から電子申請の手続きを行う
  8. 申請書類を簡易書留・レターパック・宅配便など記録が残る方法で知財センターへ送付する
  9. 不備や不足がある場合は知財センターから連絡が入るため、示された期限までに修正資料を提出する
  10. 書類審査(必要に応じて面接審査)を経て、令和9年1月下旬頃に交付決定通知を受け取る
  11. 令和9年9月30日までに民間調査会社等への発注・契約、実施、支払を完了し、調査を終える
  12. 完了後15日以内に実績報告書と帳票類の写しを提出する
  13. 指定の場所で完了検査を受け、助成金の額の確定通知を受け取る
  14. 助成金請求書と印鑑証明書を提出し、一括後払いで指定口座に入金を受ける

特許調査費用助成事業を自社で申請する際の注意点

見落とされやすいのは、jGrantsでの交付申請だけでは手続きが完結しないという点です。

電子申請と紙の申請書類の送付という2つの手続きを、いずれも申請受付期間内に終えなければ正式に受理されません。

書類の提出方法にも決まりがあり、持参・普通郵便・FAX・電子メールでは受け付けられませんので、記録が残る発送方法を選んでください。

助成対象期間の考え方も要注意で、発注日から支払日までのすべてが令和8年4月1日から令和9年9月30日の間に収まっていなければ、その経費は認められません。

交付決定後に調査内容を変更したり追加したりすることはできない一方、著しい変更や中止には事前の承認申請が必要とされていますので、申請時点の調査設計は慎重に固めましょう。

弁理士事務所等の代理人による知財センターとの事務連絡や検査対応は遠慮するよう案内されており、jGrantsの代理申請機能を使う場合も申請の確認と提出は申請者自身が行う必要があります。

自社に申請ノウハウが無い場合は専門家に依頼するのもおすすめ

  • 制度選定の精度が上がる
  • 事業計画の質が上がる
  • 採択後の実務まで見据えられる

制度選定の精度が上がる

知的財産に関する公的支援は、調査費用のほかに出願費用や外国出願、権利活用の場面ごとにメニューが分かれています。

支援経験のある専門家に相談すれば、いま自社が置かれた段階でどの制度を先に使うべきかを筋道立てて整理してもらえます。

同一の調査について複数の公的助成を重ねて受けることはできませんので、併願の可否を早い段階で押さえておく意味は大きいといえます。

制度を探し回る時間を、開発や営業といった本来の業務に振り向けられる効果もあります。

事業計画の質が上がる

交付申請書には、調査目的の妥当性や緊急性、費用対効果といった審査の視点に応える記述が求められます。

普段の業務で書き慣れない内容だけに、審査で何が見られるかを知る立場からの助言は仕上がりを大きく左右します。

社内では説明するまでもないと思っている技術上の強みほど、書面では抜け落ちやすいものですので、第三者の目で確かめてもらう価値があります。

整理した計画は、金融機関との面談や社内の意思決定にもそのまま使い回せます。

採択後の実務まで見据えられる

この助成金は交付決定を受けた時点では入金されず、調査の完了、実績報告、完了検査、額の確定という段取りを踏んで初めて支払われます。

契約書または注文書・注文請書、調査報告書などの完了報告書類、請求書、振込控、通帳の写しと、必要な帳票の要件は細かく定められています。

外国の調査会社に依頼した場合は外貨請求額と為替レート、円換算額の整合まで確認されますので、実務に通じた伴走者がいると差戻しを防ぎやすくなります。

なお、官公署へ提出する書類の作成代行は行政書士等の資格に関わる領域ですので、依頼先の業務範囲と費用は契約前に確認しておきましょう。

特許調査費用助成事業を不正受給するとどうなるのか

  • 不正が判明したときに科される措置
  • 疑わしい点は早めに相談窓口へ申し出る

不正が判明したときに科される措置

この助成金の原資は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が扱う公的資金です。

募集要項では、交付決定の内容と異なる事実が認められたとき、偽りや隠匿その他不正の手段により交付を受けたとき、助成金を他の用途に使用したときなどに、交付決定の全部または一部を取り消すと定められています。

あわせて不正の内容や申請者、協力した関係者等が公表されることがあり、既に受け取った助成金は期限を定めて返還を求められます。

これらの規定は助成金の額が確定した後にも適用され、不正行為には刑事罰が科される場合があると明記されています。

キャッシュバックや協賛金の名目で実質的な受領額を偽る行為も、不正の手段に当たるとされています。

疑わしい点は早めに相談窓口へ申し出る

公社は完了検査で証拠書類の原本照合を行い、それとは別に立入り調査や報告を求めることができるとされています。

外注先の調査会社など助成事業の関係者にも質問が及ぶため、書類の食い違いは表に出やすい仕組みです。

経費区分の取り違えや記載の誤りに気づいた時点で自ら知財センターへ連絡すれば、訂正の手続きを案内してもらえ、悪質な事案として扱われる事態を避けやすくなります。

助成事業に関する帳簿や書類は、事業が完了した日の属する会計年度の翌年度から起算して5年間の保存が義務づけられていますので、確実に保管しておきましょう。

特許調査費用助成事業のまとめ

特許調査費用助成事業は、他社特許調査等を民間調査会社に依頼する東京都内の中小企業者等に対し、その費用の一部を東京都知的財産総合センターが助成する制度です。

助成率は助成対象経費の2分の1以内、助成限度額は100万円で、令和8年度の最終受付期限は令和8年10月1日(木)17時までとされています。

開発戦略策定、特許出願戦略策定、継続的なウォッチング、侵害予防という4つの目的の調査が対象になる一方、出願前の先行技術調査は対象外です。

申請前の知財相談とGビズIDプライムアカウントの取得に時間がかかりますので、締切から逆算して早めに動き出してください。

最新の情報はJグランツの公募詳細ページ東京都知的財産総合センターの公式案内ページで必ずご確認ください。

他社の権利を把握することは、自社の技術を守り伸ばすための第一歩になります。